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第五章 本当の農地復興

63. 世界の復興状況

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 獣人帝国もエルフ女王国もなかなか復興は進まないらしい。
 ただ、食糧支援は行き届いているみたいなので安心した。
 あとは他の国々かな。
 こっちは完全にクーオ任せだから彼女の帰りを待とう。

 その日の夕食を食べ終わってすぐ、クーオは帰ってきた。
 夕食は既に済ませているらしく、浴場で体を洗ったらすぐに会議をすることに。
 クーオもややご機嫌な表情だ。

「私の報告ですが、人間族の国を除けばどこの国でも好意的に受け止められていますニャ。やはり、ドワーフ皇帝と獣人皇帝、エルフ女王の三人の書状は聞きますニャ。離れた国でも話を聞いてもらえますニャ」

「いいことですにゃ。それで、どのような状況まで持ち込めましたかにゃ?」

「ジャガイモの試験栽培と各街や村への食糧支援まで許可をいただけましたニャ。これはダークエルフ族、白翼族、黒翼族、小人族、魔人族、夜魔族、鬼女族全部ですニャ」

「すごい! この村で暮らしているみんなじゃないか!」

「はいニャ。他の種族にも声をかけてくださるそうですから支援できる種族や国はもっと広がりますニャ。これで世界が救われていきますニャ!」

 本当にすごい!
 僕たちがやってきたことが世界中に広がっていくだなんて!
 これで世界は救われるのかな!?

「ジャガイモはこれまで以上に必要となってきますニャ。バオア様、ホーフーン様、増産をお願いしますニャ」

「わかったよ、クーオ!」

「わかりましたにゃ。そうなると気がかりなことが出てきましたにゃ」

「気がかりなこと?」

「はいですにゃ。ひとつ目は人間族国家がこの中に含まれないことですにゃ。クーオ、人間族国家には行ってみましたかにゃ?」

「行きましたが門前払いニャ。話になりませんニャ」

「そうなると、また人間族国家の復興が遅れますにゃ。このまま放っておけば短絡的なあの国家群はまた戦争を始めますにゃ」

 ああ、そっか。
 前も「奪ってしまえばいい」という理由で戦争を始めて大敗しているんだっけ。
 今度は食糧の差も大きいから前回以上の大敗になりかねない。
 そうなると出てくるのは人間族の難民と賊か。
 放っておくには大きな問題かな。

「次に、そもそもこの世界的な飢饉はなぜ発生したかということにゃ。吾輩たちがやっているのは痩せた土地を復活させる言わば対処療法。元の原因を絶たねば、また昔のように土地が痩せ細る可能性がありますにゃ」

 なるほど、そっちも調べなくちゃいけない段階か。
 いままでは土地を豊かにするだけで手一杯だったけど、これからは痩せ細った原因を探すことも始めなければいけない。
 思ったよりも大変だ。
 人間族国家も問題だけどこっちの手も抜けない。
 さて、僕たちに出来ることはなんだろう?
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