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第五章 本当の農地復興
61. 大型トラクター
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旧ドワーフ帝国領地だった世界樹の森周辺領だが、復興は思いのほか早く進んだ。
世界樹の森周辺と言っても僕の耕している畑とは比較にならないくらい広いし、そこで暮らしている住民のことも考えると少しでも早く復興してあげないといけない。
なので、自分の畑の管理はフレイに一任し僕とホーフーンはこちらの開拓に専念した。
その途中、遂に新たな『農業機器』、『大型トラクター』とその付属品一式が手に入ったのだ!
大型トラクターで耕せる面積は中型トラクターの2倍ほど。
つまり効率も2倍上がるわけだ。
その上、中型トラクターも1台空くので、そちらをホーフーンに任せれば更に開拓に必要な時間は減っていく。
最初は1年以上を見積もっていた開拓期間も半年あまりで終えることが出来た。
それを報告に行った時のドワーフ皇帝陛下は非常に驚いていたね。
さすがにこんな早くに終わるとは思ってもいなかったのだろう。
すぐに準備を整え、僕たちと一緒に領地の視察へと向かった。
「……驚いたな。本当に畑の再開拓が終わっている」
「はい。新しい『農業機器』が手に入りましたので」
「新しい『農業機器』とな?」
「『大型トラクター』です。中型トラクターよりも2倍の幅を耕せます。多分、スピードも速いかと」
「そこまでか。いや、そうでもないと目の前の光景が嘘になるな」
「そうですね。それで、これからどうなさいますか?」
「エルフ女王国に連絡を取り領地の返還手続きを行う。あちらもこんなに早く再開拓が終わるとは思っていないだろう。実際の受け渡しには1年程度の時間がかかるかもな」
「そうですか……」
「まあ、遅れるよりはよい。各村や街は飢えていないか?」
「それはもちろんです。最初に僕たちの村で採れたジャガイモを食糧として運び込みましたから。再開拓は順番があったので早いところと遅いところが出てしまいましたが、食事には困らなかったのであまり不満が出たとは聞いていません」
「そうか、ならばよい」
皇帝陛下は青々と葉が茂る畑を眺め、ふと思い出したように僕に聞いてきた。
「そういえば、獣人帝国とエルフ女王国への開拓支援はどうなっている? お前たちはここにつきっきりではなかったのか?」
「そちらでしたらご心配ありません。クーオに頼み、世界樹の村の集落から数名ずつ各国に送り出してあります。『農業機器』も僕でしたら出し入れ可能ですので、最初は僕も一緒についていき、必要な『農業機器』を渡して農作業を行ってもらう形ですね」
「そうだったか。彼の国々との約束が守られているのであればよい。だが、そうなってくると次は……」
「更に隣り合う国々ですよね。そちらにもクーオを使って接触を試みています。うまく行けば、そちらでも再開拓が出来るようになるかと」
「よいな。先に先に動くことは重要だ。問題がある国はあるか?」
「……人間族国家がどうしても接触できません。どこに行ってもクーオから商品を奪い取ろうとして話にならないと」
「あれらの国々は先に起こした戦乱の影響もあり国としての屋台骨が揺らいでいるのであろう。そういうことは国家の出る幕だ。お前たちは話の通じる国と接触を続け、農地の再開拓を進めてくれ」
「はい、かしこまりました」
僕たちの方針は皇帝陛下のご命令により決まった。
元々話の通じるところから復興していく予定だったので問題ないといえば問題ないが、国家としてのお墨付きを得られたのはありがたい。
場合によっては正式な使者を立ててもらうことも可能だ。
そういうことがあまり起こらないといいんだけどね。
ともかく、僕らのやることは変わらない。
荒れた大地を耕して耕して耕すだけだ。
よし、頑張るぞ!
世界樹の森周辺と言っても僕の耕している畑とは比較にならないくらい広いし、そこで暮らしている住民のことも考えると少しでも早く復興してあげないといけない。
なので、自分の畑の管理はフレイに一任し僕とホーフーンはこちらの開拓に専念した。
その途中、遂に新たな『農業機器』、『大型トラクター』とその付属品一式が手に入ったのだ!
大型トラクターで耕せる面積は中型トラクターの2倍ほど。
つまり効率も2倍上がるわけだ。
その上、中型トラクターも1台空くので、そちらをホーフーンに任せれば更に開拓に必要な時間は減っていく。
最初は1年以上を見積もっていた開拓期間も半年あまりで終えることが出来た。
それを報告に行った時のドワーフ皇帝陛下は非常に驚いていたね。
さすがにこんな早くに終わるとは思ってもいなかったのだろう。
すぐに準備を整え、僕たちと一緒に領地の視察へと向かった。
「……驚いたな。本当に畑の再開拓が終わっている」
「はい。新しい『農業機器』が手に入りましたので」
「新しい『農業機器』とな?」
「『大型トラクター』です。中型トラクターよりも2倍の幅を耕せます。多分、スピードも速いかと」
「そこまでか。いや、そうでもないと目の前の光景が嘘になるな」
「そうですね。それで、これからどうなさいますか?」
「エルフ女王国に連絡を取り領地の返還手続きを行う。あちらもこんなに早く再開拓が終わるとは思っていないだろう。実際の受け渡しには1年程度の時間がかかるかもな」
「そうですか……」
「まあ、遅れるよりはよい。各村や街は飢えていないか?」
「それはもちろんです。最初に僕たちの村で採れたジャガイモを食糧として運び込みましたから。再開拓は順番があったので早いところと遅いところが出てしまいましたが、食事には困らなかったのであまり不満が出たとは聞いていません」
「そうか、ならばよい」
皇帝陛下は青々と葉が茂る畑を眺め、ふと思い出したように僕に聞いてきた。
「そういえば、獣人帝国とエルフ女王国への開拓支援はどうなっている? お前たちはここにつきっきりではなかったのか?」
「そちらでしたらご心配ありません。クーオに頼み、世界樹の村の集落から数名ずつ各国に送り出してあります。『農業機器』も僕でしたら出し入れ可能ですので、最初は僕も一緒についていき、必要な『農業機器』を渡して農作業を行ってもらう形ですね」
「そうだったか。彼の国々との約束が守られているのであればよい。だが、そうなってくると次は……」
「更に隣り合う国々ですよね。そちらにもクーオを使って接触を試みています。うまく行けば、そちらでも再開拓が出来るようになるかと」
「よいな。先に先に動くことは重要だ。問題がある国はあるか?」
「……人間族国家がどうしても接触できません。どこに行ってもクーオから商品を奪い取ろうとして話にならないと」
「あれらの国々は先に起こした戦乱の影響もあり国としての屋台骨が揺らいでいるのであろう。そういうことは国家の出る幕だ。お前たちは話の通じる国と接触を続け、農地の再開拓を進めてくれ」
「はい、かしこまりました」
僕たちの方針は皇帝陛下のご命令により決まった。
元々話の通じるところから復興していく予定だったので問題ないといえば問題ないが、国家としてのお墨付きを得られたのはありがたい。
場合によっては正式な使者を立ててもらうことも可能だ。
そういうことがあまり起こらないといいんだけどね。
ともかく、僕らのやることは変わらない。
荒れた大地を耕して耕して耕すだけだ。
よし、頑張るぞ!
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