農業機器無双! ~農業機器は世界を救う!~

あきさけ

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第四章 『地中の果実』

57. ドワーフ帝国の生育状況

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 更にあれから半年が過ぎた。
 僕たちはドワーフ帝国のいろいろな場所でジャガイモを栽培して歩いている。
 かなり広大な地域をジャガイモ畑にすることも多く、そういうときは中型トラクターを使っての作業だ。
 どこに行ってもトラクターを取り出したときは驚かれるが仕方のないことと諦めて農作業をしている。

 世界樹の森から直接持ち出したジャガイモは、やはりどの土地でも二週間ほどで収穫できるようだ。
 対して、その時収穫できたジャガイモを使って栽培をすると四カ月ほどかかるらしい。
 ドワーフ帝国は冬でもジャガイモ栽培に適した環境だから気候による遅れはないと思う。
 やはり、世界樹の森のジャガイモが特別なのだろう。

 それから、ジャガイモを収穫したあとの畑では確実に作物の生育状況がよくなっているようだ。
 まだまだ収穫時期には早いようだが、小麦も太くぐんぐん成長しているのだとか。
 今年の収穫は各地でジャガイモ栽培をしているためまばらだろうが、来年は期待できると宰相様も言っていた。
 僕も世界樹の村の代表として世界樹の森の作物が役に立ってくれているなら嬉しい。
 ドワーフ帝国とはお互いいい関係を築けていけそうだ。

「にゃー、ドワーフ帝国はこれで安泰ですかにゃ」

「そうだね。このままジャガイモを普及させていけば安泰だと思う」

「そうなってくると、次はどこの国を復活させるかですよにゃ」

「どこの国をか……。気が早すぎじゃない、ホーフーン」

「そうでもないにゃ。ドワーフ帝国だけが豊かになれば、それを狙って戦争が起きかねませんにゃ。早急に他の国々も立て直す必要がありますにゃ」

 戦争の可能性か……。
 そこまで考えていなかった。
 確かにドワーフ帝国だけ食糧があるとわかれば、周辺国が攻めてくるかもしれない。
 そうなってくると、また畑が荒らされて食糧難の時代に逆戻りだ。
 なにかいい知恵は……。

「考えていても仕方がないことなのですがにゃ」

「え? どういうこと?」

「ドワーフ帝国に攻め込むにはドワーフ帝国と隣接していなければいけませんにゃ。なら、ドワーフ帝国と隣接している国を次に立て直せばいいのにゃ」

「なるほど……じゃあ、次に立て直すのって?」

「ドワーフ帝国の隣接国、エルフ女王国と獣人帝国ですにゃ」

 エルフ女王国と獣人帝国か……。
 どっちもあまり耕作はしてないって聞いているけど大丈夫なのかな?
 ホーフーンには考えがあるみたいだし、大丈夫だと信じたいけどまかせてもいいんだよね?
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