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第四章 『地中の果実』
55. ジャガイモの作付け
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謁見が終わって少し経った。
その間にドワーフ帝国ではジャガイモを育てる土地を選定していたらしく、クーオ経由で僕とホーフーンにジャガイモの作付けを手伝ってほしいと依頼が来たんだ。
断れるはずもないのでクーオの案内に従い現地の村に行ってみると、宰相様が既に来ている。
どうやら、今回の試みには期待がかけられているらしい。
しっかりやらないと。
「お待たせしました、宰相様」
「うむ、よく来てくれた。ジャガイモを植えてほしいのはこちらの畑になるが大丈夫だろうか?」
宰相様が示してくれた畑にはなにも植えられていない。
育ちきる前の麦を刈り取った痕跡があるから、今回の試験栽培のために畑を開けてくれたようだ。
そこまでしなくてもよかったんだけど。
「ジャガイモを植える土地についてはわかりました。もう始めても構いませんか?」
「ああ。農家の者たちも呼び集めてある。お主らのやり方で植えてもらいたい」
「はい。それでは始めます」
僕は少し離れた場所に小型トラクターを召喚、耕運機とジャガイモの種植え機も用意する。
いきなり出てきた小型トラクターに、宰相様を始め騎士や農家のみんなも驚いている。
少し説明すればよかったかな?
「驚かせてすみません。これが『トラクター』といって畑を耕すための乗り物になります」
「これで畑を耕す? 馬車並みに大きいぞ」
「とりあえず見ていてください。そうすればわかりますから」
僕は小型トラクターに乗り耕運機を取り付け畑へ。
畑の端についたら耕運機のスイッチを入れ、畑を耕し始める。
「すごい音だ! これがトラクターの音なのか!?」
「見ろ! トラクターの通り過ぎたあとは畑が掘り返されているぞ!」
「なんと……これほどまで簡単に畑を耕せるとは」
やっぱり小型トラクターって便利なんだろうな。
普通は人が持てるサイズの道具で少しずつ耕すしかない畑も、トラクターならすぐに耕すことができるんだから。
畑を耕し終わったらジャガイモの種植え機をトラクターにつなげ、ジャガイモを植え始めた。
これもトラクターの力でぐんぐん進み、全部の作業が三時間程度で終わってしまう。
ちょっと早すぎたかな。
「宰相様、ジャガイモの作付け終わりました」
「あ、ああ、そうか。いやはや、農業機器とはすごいな。人の手では数日かかる作業を三時間程度で終わらせるとは」
「そうですよね。世界樹の枝の村は人口が少ないので、効率的に農業が出来ないと意味がないんですよ」
「なるほどな。それで、ジャガイモとはどれくらいの間で育つ?」
「世界樹の枝の村では一週間ほどでしたが……普通の環境だと四カ月程度はかかるかと」
「四カ月か。ならば、来年の麦には間に合うな」
「はい。いい結果が出ればいいのですが」
「こればかりはどうなるかわからぬ。少なくとも農家の食料になれば儲けものだ」
「そうですね」
次、様子を見に来るのは一カ月後ということになった。
ここは帝都からも近い村なので頻繁に様子を見に来ることが出来るらしい。
早く実ってくれるといいんだけど。
その間にドワーフ帝国ではジャガイモを育てる土地を選定していたらしく、クーオ経由で僕とホーフーンにジャガイモの作付けを手伝ってほしいと依頼が来たんだ。
断れるはずもないのでクーオの案内に従い現地の村に行ってみると、宰相様が既に来ている。
どうやら、今回の試みには期待がかけられているらしい。
しっかりやらないと。
「お待たせしました、宰相様」
「うむ、よく来てくれた。ジャガイモを植えてほしいのはこちらの畑になるが大丈夫だろうか?」
宰相様が示してくれた畑にはなにも植えられていない。
育ちきる前の麦を刈り取った痕跡があるから、今回の試験栽培のために畑を開けてくれたようだ。
そこまでしなくてもよかったんだけど。
「ジャガイモを植える土地についてはわかりました。もう始めても構いませんか?」
「ああ。農家の者たちも呼び集めてある。お主らのやり方で植えてもらいたい」
「はい。それでは始めます」
僕は少し離れた場所に小型トラクターを召喚、耕運機とジャガイモの種植え機も用意する。
いきなり出てきた小型トラクターに、宰相様を始め騎士や農家のみんなも驚いている。
少し説明すればよかったかな?
「驚かせてすみません。これが『トラクター』といって畑を耕すための乗り物になります」
「これで畑を耕す? 馬車並みに大きいぞ」
「とりあえず見ていてください。そうすればわかりますから」
僕は小型トラクターに乗り耕運機を取り付け畑へ。
畑の端についたら耕運機のスイッチを入れ、畑を耕し始める。
「すごい音だ! これがトラクターの音なのか!?」
「見ろ! トラクターの通り過ぎたあとは畑が掘り返されているぞ!」
「なんと……これほどまで簡単に畑を耕せるとは」
やっぱり小型トラクターって便利なんだろうな。
普通は人が持てるサイズの道具で少しずつ耕すしかない畑も、トラクターならすぐに耕すことができるんだから。
畑を耕し終わったらジャガイモの種植え機をトラクターにつなげ、ジャガイモを植え始めた。
これもトラクターの力でぐんぐん進み、全部の作業が三時間程度で終わってしまう。
ちょっと早すぎたかな。
「宰相様、ジャガイモの作付け終わりました」
「あ、ああ、そうか。いやはや、農業機器とはすごいな。人の手では数日かかる作業を三時間程度で終わらせるとは」
「そうですよね。世界樹の枝の村は人口が少ないので、効率的に農業が出来ないと意味がないんですよ」
「なるほどな。それで、ジャガイモとはどれくらいの間で育つ?」
「世界樹の枝の村では一週間ほどでしたが……普通の環境だと四カ月程度はかかるかと」
「四カ月か。ならば、来年の麦には間に合うな」
「はい。いい結果が出ればいいのですが」
「こればかりはどうなるかわからぬ。少なくとも農家の食料になれば儲けものだ」
「そうですね」
次、様子を見に来るのは一カ月後ということになった。
ここは帝都からも近い村なので頻繁に様子を見に来ることが出来るらしい。
早く実ってくれるといいんだけど。
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