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第四章 『地中の果実』
54. 会食
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場所を豪華な食堂に移して僕たちは皇帝陛下一行と共に会食することとなった。
テーブルにはナイフやフォークが用意されており、どれもが磨き込まれている。
皇帝陛下が席に座るのを待ち全員が席に座った。
「さて、今日の料理だがお前らの村から献上された献上品を使った料理を用意してある。文句はないよな?」
「文句などございませんにゃ。どのような料理を食べられるのか楽しみにしていますにゃ」
「ああ、俺も楽しみだ。まずは一品目、運んできてくれ」
皇帝陛下がそう言うと、一品目の品が運び込まれた。
一品目はサニーレタスとプチトマトを使ったサラダかな。
「……この葉っぱはなんだ?」
「サニーレタスという野菜にゃ。新鮮なレタスはみずみずしいにゃ」
「どれ。おお、本当にみずみずしいな。味気ないがソースを絡めることでその問題もなくなる」
「お褒めいただき光栄ですにゃ」
「この赤いのは?」
「プチトマトという野菜ですにゃ。そのままフォークで刺して食べて問題ありませんにゃ」
「ふむ……おお、こいつは酸味があって美味いな。中身がはじける感覚も楽しい」
どうやら水耕栽培で育った野菜は好評なようだ。
栽培方法を尋ねられたけど、農業機器のおかげだと教えると考え込んでしまった。
ドワーフの国でも育てようとしていたのかな?
僕たちの村でも畑で育てたことはないんだけど。
そのあとも肉料理などが出されてそれらに僕たちの村で作った野菜が使われていた。
皇帝陛下は真っ白なパンを見て驚いていたね。
ただ、パンが味気なくて少し物足りない様子だったけど。
「次は……ジャガイモか」
「ジャガイモですにゃ……」
「これはどう食えばいい?」
「ナイフで切り分けてフォークで刺すかスプーンですくうかですにゃ。塩ゆでしてあるはずなので身が崩れやすいですにゃ」
「ふうん。おお、本当にナイフを入れただけで崩れた。しかも、作ってからそれなりに時間が経っているはずなのに湯気が出る。……うん、しっかり塩気もあり野菜の甘みもある。こいつは優れた野菜だな。見た目以外は」
「見た目は……献上品には向かないかもしれませんが我慢してほしいのにゃ」
「そんな細かいことは気にせん。最後はフルーツか。こいつは?」
「イチゴですにゃ。これもそのまま食べられますにゃ」
「じゃあ早速……こいつも甘みと酸味があって美味い。お前らの村で採れた野菜や果物は本当に美味しいな」
「ありがとうございますにゃ」
さて、これで食事も終わった。
ここからが本題だ。
頑張ってよ、ホーフーン。
「これが世界樹の村で採れる野菜ですにゃ。普段はこれらをクーオに売り歩いてもらうだけですが、これらのうちジャガイモだけは世界樹の精霊様からの頂き物にゃ。ですが、外の世界でも育てることが可能らしいですにゃ」
「ほう。それは本当か?」
「世界樹の精霊様が言うのですから間違いはないはずですにゃ。また、精霊様の言うことが真実であれば、ジャガイモを育てたあとの畑は作物の収穫量が増えるらしいのですにゃ」
「おい! それこそ本当か!?」
「残念ながら村では実験出来ませんにゃ。村には痩せた土地がないため、ジャガイモの効果を試せないのですにゃ」
「……なるほど。それじゃあ、そいつを俺たちで試してみろと」
「申し訳ありませんがそうなりますにゃ。お手伝いいただけませんかにゃ?」
そこまで話し終えると皇帝陛下は黙り込んでしまった。
気を悪くしてしまっただろうか。
「おい、宰相。直轄地の畑で試験栽培してみるぞ」
「皇帝陛下、いまの話を信用するのですか?」
「あまり信用はしていない。だが、このまま不作が続いても仕方がないだろう。精霊様のお墨付きというなら試してみるのも悪くはない」
「かしこまりました。皇帝家直轄地の休耕地にジャガイモを植えさせましょう。ホーフーンとやら、ジャガイモを育てるにあたり気を付けることは?」
「水はけがよい土地がいいにゃ。あと、水を与えすぎると腐ってしまい育ちませんにゃ」
「あまり水を必要としないか。雨のあまり降らない帝国では都合のいい作物だな」
「どうですかにゃ?」
「わかった、育ててみよう。種はどうすればいい?」
「今日献上した分とは別にジャガイモを献上しますにゃ。それを種として育てることが出来ますにゃ」
「なるほど。それでは別室で詳し栽培生方法を聞こうではないか」
「頼んだぞ、宰相」
「お任せあれ」
宰相様に僕たちが知る限りのジャガイモを育てる知識をお伝えした。
あとはジャガイモがどれだけ育ち、そのあと畑がどれだけ豊かになるかだ。
畑が豊かになることまでは検証出来ていないから今回の試みが始めてだけど、これがうまくいけば帝国全土にジャガイモ栽培を広めてくれるらしい。
一時的に麦の収穫が減り、税収が減ってもこちらの方が効果が期待出来る可能性があるそうだ。
うまくいくことを期待しよう。
テーブルにはナイフやフォークが用意されており、どれもが磨き込まれている。
皇帝陛下が席に座るのを待ち全員が席に座った。
「さて、今日の料理だがお前らの村から献上された献上品を使った料理を用意してある。文句はないよな?」
「文句などございませんにゃ。どのような料理を食べられるのか楽しみにしていますにゃ」
「ああ、俺も楽しみだ。まずは一品目、運んできてくれ」
皇帝陛下がそう言うと、一品目の品が運び込まれた。
一品目はサニーレタスとプチトマトを使ったサラダかな。
「……この葉っぱはなんだ?」
「サニーレタスという野菜にゃ。新鮮なレタスはみずみずしいにゃ」
「どれ。おお、本当にみずみずしいな。味気ないがソースを絡めることでその問題もなくなる」
「お褒めいただき光栄ですにゃ」
「この赤いのは?」
「プチトマトという野菜ですにゃ。そのままフォークで刺して食べて問題ありませんにゃ」
「ふむ……おお、こいつは酸味があって美味いな。中身がはじける感覚も楽しい」
どうやら水耕栽培で育った野菜は好評なようだ。
栽培方法を尋ねられたけど、農業機器のおかげだと教えると考え込んでしまった。
ドワーフの国でも育てようとしていたのかな?
僕たちの村でも畑で育てたことはないんだけど。
そのあとも肉料理などが出されてそれらに僕たちの村で作った野菜が使われていた。
皇帝陛下は真っ白なパンを見て驚いていたね。
ただ、パンが味気なくて少し物足りない様子だったけど。
「次は……ジャガイモか」
「ジャガイモですにゃ……」
「これはどう食えばいい?」
「ナイフで切り分けてフォークで刺すかスプーンですくうかですにゃ。塩ゆでしてあるはずなので身が崩れやすいですにゃ」
「ふうん。おお、本当にナイフを入れただけで崩れた。しかも、作ってからそれなりに時間が経っているはずなのに湯気が出る。……うん、しっかり塩気もあり野菜の甘みもある。こいつは優れた野菜だな。見た目以外は」
「見た目は……献上品には向かないかもしれませんが我慢してほしいのにゃ」
「そんな細かいことは気にせん。最後はフルーツか。こいつは?」
「イチゴですにゃ。これもそのまま食べられますにゃ」
「じゃあ早速……こいつも甘みと酸味があって美味い。お前らの村で採れた野菜や果物は本当に美味しいな」
「ありがとうございますにゃ」
さて、これで食事も終わった。
ここからが本題だ。
頑張ってよ、ホーフーン。
「これが世界樹の村で採れる野菜ですにゃ。普段はこれらをクーオに売り歩いてもらうだけですが、これらのうちジャガイモだけは世界樹の精霊様からの頂き物にゃ。ですが、外の世界でも育てることが可能らしいですにゃ」
「ほう。それは本当か?」
「世界樹の精霊様が言うのですから間違いはないはずですにゃ。また、精霊様の言うことが真実であれば、ジャガイモを育てたあとの畑は作物の収穫量が増えるらしいのですにゃ」
「おい! それこそ本当か!?」
「残念ながら村では実験出来ませんにゃ。村には痩せた土地がないため、ジャガイモの効果を試せないのですにゃ」
「……なるほど。それじゃあ、そいつを俺たちで試してみろと」
「申し訳ありませんがそうなりますにゃ。お手伝いいただけませんかにゃ?」
そこまで話し終えると皇帝陛下は黙り込んでしまった。
気を悪くしてしまっただろうか。
「おい、宰相。直轄地の畑で試験栽培してみるぞ」
「皇帝陛下、いまの話を信用するのですか?」
「あまり信用はしていない。だが、このまま不作が続いても仕方がないだろう。精霊様のお墨付きというなら試してみるのも悪くはない」
「かしこまりました。皇帝家直轄地の休耕地にジャガイモを植えさせましょう。ホーフーンとやら、ジャガイモを育てるにあたり気を付けることは?」
「水はけがよい土地がいいにゃ。あと、水を与えすぎると腐ってしまい育ちませんにゃ」
「あまり水を必要としないか。雨のあまり降らない帝国では都合のいい作物だな」
「どうですかにゃ?」
「わかった、育ててみよう。種はどうすればいい?」
「今日献上した分とは別にジャガイモを献上しますにゃ。それを種として育てることが出来ますにゃ」
「なるほど。それでは別室で詳し栽培生方法を聞こうではないか」
「頼んだぞ、宰相」
「お任せあれ」
宰相様に僕たちが知る限りのジャガイモを育てる知識をお伝えした。
あとはジャガイモがどれだけ育ち、そのあと畑がどれだけ豊かになるかだ。
畑が豊かになることまでは検証出来ていないから今回の試みが始めてだけど、これがうまくいけば帝国全土にジャガイモ栽培を広めてくれるらしい。
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うまくいくことを期待しよう。
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