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第四章 『地中の果実』
50. 『地中の果実』
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僕はホーフーンに呼び出されて世界樹の枝の前へとやってきた。
そこには既に世界樹の精霊様が待っておられる。
早く行かないと。
「お待たせいたしました。世界樹の精霊様」
『構いませんよ。急な呼び出しですので』
「本日のご用件、なんでございましょうかにゃ?」
『そろそろあなた方にこれを渡す時期かと思い。受け取りなさい』
世界樹の精霊様が差し出してくれたのは、薄茶色の皮を持った果実のような物。
妙にゴツゴツとした印象を受けるけど、これはなんだろう?
『これはジャガイモ。畑に植えて育てると一個が十個以上に育ちます』
「にゃ! そんなにですかにゃ!?」
『はい。収穫間隔も短く、あなた方の畑なら一週間に一度は採れるでしょう』
「そんなに……なにかいいことずくめのような」
『生育方法が多少異なります。ジャガイモはあまり水分を好みません。水はけのよい土地で多量の水を与えないようにしながら栽培する必要があります』
「なるほど。麦と同じように育てるわけにはいかないのですね」
『ええ。まずは栽培してみるといいでしょう。種植えは最初手で行いなさい。ある程度数が増えてきたら農業機器が現れるはずです』
「わかりました。ありがとうございます、世界樹の精霊様」
『いえ。では、これで』
世界樹の精霊様が去り、僕たちの手の中にはいくつかのジャガイモが残された。
さて、これはどうしようか?
「ホーフーン、どうしようか?」
「畑として利用していない土地を開墾してジャガイモ畑にするにゃ。この程度の数だったらそんなに手間じゃないのにゃ」
「そうだね。そうしよう」
僕たちは草刈り機で草を刈り、トラクターで畑を起こしてジャガイモを植えた。
最初はどれくらいの間隔が適正なのかもわからないから、かなり離して植えてみる。
さて、どのくらい増えるんだろうか?
「植え終わりましたししばらくは様子見にゃ」
「そうだね。水をあまり与えないようにっていうことだから、三日に一回くらいでいいかも」
「それでも多すぎる可能性がありますが、最初は様子見ですにゃ。ここの畑はどこも水はけがいいし、育てるのには困らないはずにゃ」
「うん。しばらく待ってみよう」
このように始まったジャガイモ栽培。
本当に一週間で実がなるのか心配だったけど、世界樹の精霊様が言うのだから信じて待ってみよう。
ジャガイモを観察し続けると、二日目には地中から芽が出て茎が伸び始めた。
更にそのまましばらく観察をし続けていると花が咲き、果実がなったけどもらったジャガイモとは形が違う。
どういうことだろう?
「にゃ。実の形が違いますにゃ」
「そうだね。世界樹の精霊様に聞きに行ってみようか」
「そうしましすかにゃ」
僕たちだけではわからないため、世界樹の精霊様に聞きに行く。
すると、世界樹の精霊様は驚くべき内容を教えてくれた。
『ああ、教え忘れていました。ジャガイモは地下に出来るコブを食べるのです』
「地上ではなく地下ですかにゃ!?」
『はい。地上の茎が黄色く変色し始めたら収穫時期です。地下の根に傷をつけないよう注意して周囲から掘り起こしてください。そうすればジャガイモを収穫できるはずです』
「わかりました。でも、収穫できたジャガイモはどうすれば……」
『半日ほど天日干しにして水分を飛ばしてください。そのあとは光に当てないこと。芽が出たり変色したりしたジャガイモは毒なので食べないように。食べ方は……皮を剥いて少しの間水にさらし、別の水で十分ほどゆでて、ゆで終わったら水を捨て焦げ付かないように芋を揺らしながら熱を加え、最後に適量の塩をまぶせばいいでしょう。家事精霊に調理法を教えておきますのでそちらに任せてください』
「はいですにゃ。やってみますにゃ」
よくわからないけど、世界樹の精霊様の指示に従い、茎が黄色く変色し枯れ始めるのを待つ。
実をつけて数日で変色し始めたので、ホーフーンたちと一緒に手分けして掘り返した。
すると、世界樹の精霊様から受け取ったときと同じ形をしたジャガイモが本当に十個以上出来上がっていた!
ほかの株からも同じように十個以上採れたみたいで、ジャガイモは一気に増えたようだ。
そして、採れたジャガイモを家精霊に渡すと早速料理をし始め、世界樹の精霊様が言っていた通りに料理を行っていた。
完成したジャガイモ料理は、見た目黄色いジャガイモのままなんだけど、温かそうな湯気が立ち上り食欲を刺激しするものだ。
早速食べてみよう。
「ん! これは美味しいですにゃ! 塩だけで味付けしたとは思えない味ですにゃ!」
「はい! 見た目はあまりよろしくありませんが、ほくほくしていて美味しいです!」
「フレイもそう思う? それにお腹にもたまって食糧不足の解決に役立ちそうだ」
収穫されたジャガイモは世界樹の精霊様の指示通り暗い場所に保管されることになり、後日クーオにも食べてもらった。
クーオも大喜びでジャガイモを食べ、『地中の果実』の名前で売り込みをかけると言っていたけど、どこまで成功するか……。
食糧不足の救いになればいいんだけど。
そこには既に世界樹の精霊様が待っておられる。
早く行かないと。
「お待たせいたしました。世界樹の精霊様」
『構いませんよ。急な呼び出しですので』
「本日のご用件、なんでございましょうかにゃ?」
『そろそろあなた方にこれを渡す時期かと思い。受け取りなさい』
世界樹の精霊様が差し出してくれたのは、薄茶色の皮を持った果実のような物。
妙にゴツゴツとした印象を受けるけど、これはなんだろう?
『これはジャガイモ。畑に植えて育てると一個が十個以上に育ちます』
「にゃ! そんなにですかにゃ!?」
『はい。収穫間隔も短く、あなた方の畑なら一週間に一度は採れるでしょう』
「そんなに……なにかいいことずくめのような」
『生育方法が多少異なります。ジャガイモはあまり水分を好みません。水はけのよい土地で多量の水を与えないようにしながら栽培する必要があります』
「なるほど。麦と同じように育てるわけにはいかないのですね」
『ええ。まずは栽培してみるといいでしょう。種植えは最初手で行いなさい。ある程度数が増えてきたら農業機器が現れるはずです』
「わかりました。ありがとうございます、世界樹の精霊様」
『いえ。では、これで』
世界樹の精霊様が去り、僕たちの手の中にはいくつかのジャガイモが残された。
さて、これはどうしようか?
「ホーフーン、どうしようか?」
「畑として利用していない土地を開墾してジャガイモ畑にするにゃ。この程度の数だったらそんなに手間じゃないのにゃ」
「そうだね。そうしよう」
僕たちは草刈り機で草を刈り、トラクターで畑を起こしてジャガイモを植えた。
最初はどれくらいの間隔が適正なのかもわからないから、かなり離して植えてみる。
さて、どのくらい増えるんだろうか?
「植え終わりましたししばらくは様子見にゃ」
「そうだね。水をあまり与えないようにっていうことだから、三日に一回くらいでいいかも」
「それでも多すぎる可能性がありますが、最初は様子見ですにゃ。ここの畑はどこも水はけがいいし、育てるのには困らないはずにゃ」
「うん。しばらく待ってみよう」
このように始まったジャガイモ栽培。
本当に一週間で実がなるのか心配だったけど、世界樹の精霊様が言うのだから信じて待ってみよう。
ジャガイモを観察し続けると、二日目には地中から芽が出て茎が伸び始めた。
更にそのまましばらく観察をし続けていると花が咲き、果実がなったけどもらったジャガイモとは形が違う。
どういうことだろう?
「にゃ。実の形が違いますにゃ」
「そうだね。世界樹の精霊様に聞きに行ってみようか」
「そうしましすかにゃ」
僕たちだけではわからないため、世界樹の精霊様に聞きに行く。
すると、世界樹の精霊様は驚くべき内容を教えてくれた。
『ああ、教え忘れていました。ジャガイモは地下に出来るコブを食べるのです』
「地上ではなく地下ですかにゃ!?」
『はい。地上の茎が黄色く変色し始めたら収穫時期です。地下の根に傷をつけないよう注意して周囲から掘り起こしてください。そうすればジャガイモを収穫できるはずです』
「わかりました。でも、収穫できたジャガイモはどうすれば……」
『半日ほど天日干しにして水分を飛ばしてください。そのあとは光に当てないこと。芽が出たり変色したりしたジャガイモは毒なので食べないように。食べ方は……皮を剥いて少しの間水にさらし、別の水で十分ほどゆでて、ゆで終わったら水を捨て焦げ付かないように芋を揺らしながら熱を加え、最後に適量の塩をまぶせばいいでしょう。家事精霊に調理法を教えておきますのでそちらに任せてください』
「はいですにゃ。やってみますにゃ」
よくわからないけど、世界樹の精霊様の指示に従い、茎が黄色く変色し枯れ始めるのを待つ。
実をつけて数日で変色し始めたので、ホーフーンたちと一緒に手分けして掘り返した。
すると、世界樹の精霊様から受け取ったときと同じ形をしたジャガイモが本当に十個以上出来上がっていた!
ほかの株からも同じように十個以上採れたみたいで、ジャガイモは一気に増えたようだ。
そして、採れたジャガイモを家精霊に渡すと早速料理をし始め、世界樹の精霊様が言っていた通りに料理を行っていた。
完成したジャガイモ料理は、見た目黄色いジャガイモのままなんだけど、温かそうな湯気が立ち上り食欲を刺激しするものだ。
早速食べてみよう。
「ん! これは美味しいですにゃ! 塩だけで味付けしたとは思えない味ですにゃ!」
「はい! 見た目はあまりよろしくありませんが、ほくほくしていて美味しいです!」
「フレイもそう思う? それにお腹にもたまって食糧不足の解決に役立ちそうだ」
収穫されたジャガイモは世界樹の精霊様の指示通り暗い場所に保管されることになり、後日クーオにも食べてもらった。
クーオも大喜びでジャガイモを食べ、『地中の果実』の名前で売り込みをかけると言っていたけど、どこまで成功するか……。
食糧不足の救いになればいいんだけど。
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