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第三章 『世界樹の村』
48. 魔人族の移住
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集会で魔人族の移住は承認された。
交流のない種族ということでみんな不安なところはあるけれど、同じように不作で苦しんでいるならば助けてあげたいそうだ。
この村の人たちは本当にいい人たちばかりだな。
受け入れる場所についてもクーオが事前に確認を取り、やはり川のそばがいいということになったようだ。
なので、いまの村からは離れた場所に住んでもらうことになってしまう。
申し訳ないけれど、そこは我慢してもらおう。
「お、ゲートが開きましたにゃ」
「そうだね。どんな人たちがやってくるんだろう?」
いつもの広場前に転移用のゲートが開き、僕たちは受け入れの準備を整えそれを待つ。
最初に出てきたのは、大きなトカゲ!?
「うわぁ!?」
「ああ、ランドリザードですにゃ。見た目は大きく凶暴そうですが、実態は臆病で大人しく草食性の魔人族にとっては馬代わりの生き物ですにゃ」
「そ、そうなの?」
「そうだ。驚かしてしまったようだな」
大きなトカゲ……ランドリザードの引いてきた馬車、トカゲ車かな?
ともかくそれから降りてきたのはひとりの男性。
体格は僕よりもはるかに背も高くがっちりしており、戦士といった方が似合いそう。
この人が魔人族なんだろうか。
見た目は肌が青色のヒト族なんだけど。
「俺が今回移住することになった村の代表、ヤポックだ。あなたが世界樹の村の村長、バオア殿か?」
「はい。僕がバオアです」
「そうか。今回は食糧支援だけではなく移住先として受け入れてくれたことにも感謝する。俺たちの村でも作物が取れなくなってきており、狩りに出てもなかなか獲物を取ることが出来ない。まさに渡りに船だった。しかし、ここに住んでいるのはエルフや獣人族など光のヒト族なんだろう? 俺たちが来ても大丈夫なのか?」
「そこについては差し支えありません。事前に村の各種族の代表者たちで集会を行い受け入れることを決めました。ただ、住む場所が川のそばということで僕たちの居住地から遠くなってしまいますが構いませんか?」
「問題ない。こちらからお願いしていることだ。我らの願いを聞き入れていただき感謝する」
「はい。こちらこそよろしくお願いします」
そのあとはランドリザードの車に乗って続々と魔人族がやってきた。
人数は聞いていた通り大体60人くらいかな。
巨大なランドリザードがその半分くらいの数いるせいでとても大人数に見えてしまう。
移住者たちには少しこの広場で休憩してもらい、移住地へと案内することになった。
案内した先ではドワーフの親方衆が待ち構えていたんだけど、さすがにランドリザードには驚いたみたいだね。
あの強気なドワーフたちが驚いてビクビクしていたよ。
「……よし、家とあのランドリザードという家畜の小屋についても承った。明日から工事を始めるからしばらくは我慢していてくれ」
「よろしく頼む。俺たちも力仕事は得意だ。手伝えることがあったらなんでも言ってほしい」
「ほう。魔人族って聞いて警戒していたが、話をすると気のいい連中じゃねぇか。安心したよ」
「我々も歓迎されているようで嬉しい。この村の一員となったからには全力で事にあたろう」
「本当に気がいいぜ。まずは家が出来るまでゆっくり体を安めな。それが終わったらこの村流の農業を教えてもらえるはずだ」
「わかった」
魔人族たちはまだ体力が残っているうちに移住を決断出来たからかやる気に満ちているみたいだ。
でも、いまはゆっくり休める家が出来るまでは農業機器を渡さないようにしている。
やっぱり農作業は力仕事だからね。
家がないと落ち着いて出来ない。
彼らにはもう少し待ってもらおう。
交流のない種族ということでみんな不安なところはあるけれど、同じように不作で苦しんでいるならば助けてあげたいそうだ。
この村の人たちは本当にいい人たちばかりだな。
受け入れる場所についてもクーオが事前に確認を取り、やはり川のそばがいいということになったようだ。
なので、いまの村からは離れた場所に住んでもらうことになってしまう。
申し訳ないけれど、そこは我慢してもらおう。
「お、ゲートが開きましたにゃ」
「そうだね。どんな人たちがやってくるんだろう?」
いつもの広場前に転移用のゲートが開き、僕たちは受け入れの準備を整えそれを待つ。
最初に出てきたのは、大きなトカゲ!?
「うわぁ!?」
「ああ、ランドリザードですにゃ。見た目は大きく凶暴そうですが、実態は臆病で大人しく草食性の魔人族にとっては馬代わりの生き物ですにゃ」
「そ、そうなの?」
「そうだ。驚かしてしまったようだな」
大きなトカゲ……ランドリザードの引いてきた馬車、トカゲ車かな?
ともかくそれから降りてきたのはひとりの男性。
体格は僕よりもはるかに背も高くがっちりしており、戦士といった方が似合いそう。
この人が魔人族なんだろうか。
見た目は肌が青色のヒト族なんだけど。
「俺が今回移住することになった村の代表、ヤポックだ。あなたが世界樹の村の村長、バオア殿か?」
「はい。僕がバオアです」
「そうか。今回は食糧支援だけではなく移住先として受け入れてくれたことにも感謝する。俺たちの村でも作物が取れなくなってきており、狩りに出てもなかなか獲物を取ることが出来ない。まさに渡りに船だった。しかし、ここに住んでいるのはエルフや獣人族など光のヒト族なんだろう? 俺たちが来ても大丈夫なのか?」
「そこについては差し支えありません。事前に村の各種族の代表者たちで集会を行い受け入れることを決めました。ただ、住む場所が川のそばということで僕たちの居住地から遠くなってしまいますが構いませんか?」
「問題ない。こちらからお願いしていることだ。我らの願いを聞き入れていただき感謝する」
「はい。こちらこそよろしくお願いします」
そのあとはランドリザードの車に乗って続々と魔人族がやってきた。
人数は聞いていた通り大体60人くらいかな。
巨大なランドリザードがその半分くらいの数いるせいでとても大人数に見えてしまう。
移住者たちには少しこの広場で休憩してもらい、移住地へと案内することになった。
案内した先ではドワーフの親方衆が待ち構えていたんだけど、さすがにランドリザードには驚いたみたいだね。
あの強気なドワーフたちが驚いてビクビクしていたよ。
「……よし、家とあのランドリザードという家畜の小屋についても承った。明日から工事を始めるからしばらくは我慢していてくれ」
「よろしく頼む。俺たちも力仕事は得意だ。手伝えることがあったらなんでも言ってほしい」
「ほう。魔人族って聞いて警戒していたが、話をすると気のいい連中じゃねぇか。安心したよ」
「我々も歓迎されているようで嬉しい。この村の一員となったからには全力で事にあたろう」
「本当に気がいいぜ。まずは家が出来るまでゆっくり体を安めな。それが終わったらこの村流の農業を教えてもらえるはずだ」
「わかった」
魔人族たちはまだ体力が残っているうちに移住を決断出来たからかやる気に満ちているみたいだ。
でも、いまはゆっくり休める家が出来るまでは農業機器を渡さないようにしている。
やっぱり農作業は力仕事だからね。
家がないと落ち着いて出来ない。
彼らにはもう少し待ってもらおう。
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