農業機器無双! ~農業機器は世界を救う!~

あきさけ

文字の大きさ
上 下
46 / 71
第三章 『世界樹の村』

46. 集会 2

しおりを挟む
 黒翼族とそれ以外の各種族との間で交渉がまとまり一旦集会は落ち着きを取り戻した。
 各集落とも農業以外にやっていたことができなくなっていたのがネックだったらしい。
 食べ物に余裕が出てきて文化活動も再開したくなったのかな?

「ほかに意見がある者はいますかにゃ?」

「そういえば、最近の世界情勢はどうなっているのですかな、クーオ様。この平和な森にいると世の事情に疎くなってしまい」

 ダークエルフのターシャさんが現在の世界情勢を尋ねてきた。
 僕たちは直接クーオから聞いてるけど、他の集落には伝えていない。
 みんなを不安がらせないようにしていたんだけど、そろそろみんなも外の状況を知りたくなってきたみたいだ。

「まあ、無理もありませんニャ。世界情勢は悪くなる一方ですニャ。とにかく食料が足りてませんニャ。各国、食料を増産しようと新規開拓や既存の畑を改良しようとしていますが効果が出ていませんのニャ。特に人間族の四カ国は悪化状況が著しく、食料を奪うための戦争を始めましたニャ」

 人間族の国か。
 昔からあまりいい噂は聞かなかった国だけど、戦争まで始めたんだよね。
 余計食料が足りなくなるんじゃないかな?

「人間族による食料略奪のための戦争はどれも失敗、どの国も貴重な食糧と働き手を大量に失いさらなる飢餓をもたらしていますニャ。まあ、人災なので気にしても仕方がないのニャ」

 クーオも手厳しい。
 だけど、戦争に直接加担しなかった人たちまで飢えに苦しんでるのは心苦しいな。
 なんとか助けてあげたいけど……どうしようもないか。

「人間族の国に近づくと食糧を強奪されそうになるので近づけていませんニャ。それ以外の国はこの村から買い上げた食料を売り歩いていますが、焼け石に水ですニャ。もっと根本的な解決策が必要ですニャア」

「根本的な解決策……なにかいい方法がありませんか、バオア様、ホーフーン様」

「ええと、僕にはどうすることも……」

「吾輩にも限界がありますにゃ。国のブレーンとなることは出来ますが、各村まで支えることは難しいですのにゃ。もっとほかの解決策を考える必要がありますにゃ」

「そうですか……いまは地道に食料を供給するしか出来ないのですね」

「そうなりますにゃ。気を落とさずに取り組むしかありませんにゃ」

 食糧問題の解決は本当に難しい。
 いくら僕たちが『農業機器』によってたくさんの農作物を作れても、世界的な飢饉が相手となるとたかがしれている。
 僕も可能な限り増産しているんだけど、やっぱり焼け石に水みたいだ。
 どうにか出来ないのかな……。

 それから今回の集会でこの集落の名前を正式に『世界樹の村』と定めた。
 いままでは外に売りに出た際使っていた名前だけど、集落全体を指す言葉として一番だろうということでこれに定められたのだ。
 名前負けしないように頑張らなくちゃ。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

えっ、じいちゃん昔勇者だったのっ!?〜祖父の遺品整理をしてたら異世界に飛ばされ、行方不明だった父に魔王の心臓を要求されたので逃げる事にした〜

楠ノ木雫
ファンタジー
 まだ16歳の奥村留衣は、ずっと一人で育ててくれていた祖父を亡くした。親戚も両親もいないため、一人で遺品整理をしていた時に偶然見つけた腕輪。ふとそれを嵌めてみたら、いきなり違う世界に飛ばされてしまった。  目の前に浮かんでいた、よくあるシステムウィンドウというものに書かれていたものは『勇者の孫』。そう、亡くなった祖父はこの世界の勇者だったのだ。  そして、行方不明だと言われていた両親に会う事に。だが、祖父が以前討伐した魔王の心臓を渡すよう要求されたのでドラゴンを召喚して逃げた!  追われつつも、故郷らしい異世界での楽しい(?)セカンドライフが今始まる!  ※他の投稿サイトにも掲載しています。

キャンピングカーで異世界の旅

モルモット
ファンタジー
主人公と天女の二人がキャンピングカーで異世界を旅する物語。 紹介文 夢のキャンピングカーを手に入れた主人公でしたが 目が覚めると異世界に飛ばされていました。戻れるのでしょうか?そんなとき主人公の前に自分を天女だと名乗る使者が現れるのです。 彼女は内気な性格ですが実は神様から命を受けた刺客だったのです。

【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-

ジェルミ
ファンタジー
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 その条件として女神に『面白楽しく生活でき、苦労をせずお金を稼いで生きていくスキルがほしい』と無理難題を言うのだった。 困った女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 この味気ない世界を、創生魔法とカスタマイズ可能なストレージを使い、美味しくなる調味料や料理を作り世界を変えて行く。 はい、ご注文は? 調味料、それとも武器ですか? カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく。 村を開拓し仲間を集め国を巻き込む産業を起こす。 いずれは世界へ通じる道を繋げるために。 ※本作はカクヨム様にも掲載しております。

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

神々の間では異世界転移がブームらしいです。

はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》 楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。 理由は『最近流行ってるから』 数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。 優しくて単純な少女の異世界冒険譚。 第2部 《精霊の紋章》 ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。 それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。 第3部 《交錯する戦場》 各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。 人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。 第4部 《新たなる神話》 戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。 連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。 それは、この世界で最も新しい神話。

30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。

ひさまま
ファンタジー
 前世で搾取されまくりだった私。  魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。  とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。  これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。  取り敢えず、明日は退職届けを出そう。  目指せ、快適異世界生活。  ぽちぽち更新します。  作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。  脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

処理中です...