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第三章 『世界樹の村』
46. 集会 2
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黒翼族とそれ以外の各種族との間で交渉がまとまり一旦集会は落ち着きを取り戻した。
各集落とも農業以外にやっていたことができなくなっていたのがネックだったらしい。
食べ物に余裕が出てきて文化活動も再開したくなったのかな?
「ほかに意見がある者はいますかにゃ?」
「そういえば、最近の世界情勢はどうなっているのですかな、クーオ様。この平和な森にいると世の事情に疎くなってしまい」
ダークエルフのターシャさんが現在の世界情勢を尋ねてきた。
僕たちは直接クーオから聞いてるけど、他の集落には伝えていない。
みんなを不安がらせないようにしていたんだけど、そろそろみんなも外の状況を知りたくなってきたみたいだ。
「まあ、無理もありませんニャ。世界情勢は悪くなる一方ですニャ。とにかく食料が足りてませんニャ。各国、食料を増産しようと新規開拓や既存の畑を改良しようとしていますが効果が出ていませんのニャ。特に人間族の四カ国は悪化状況が著しく、食料を奪うための戦争を始めましたニャ」
人間族の国か。
昔からあまりいい噂は聞かなかった国だけど、戦争まで始めたんだよね。
余計食料が足りなくなるんじゃないかな?
「人間族による食料略奪のための戦争はどれも失敗、どの国も貴重な食糧と働き手を大量に失いさらなる飢餓をもたらしていますニャ。まあ、人災なので気にしても仕方がないのニャ」
クーオも手厳しい。
だけど、戦争に直接加担しなかった人たちまで飢えに苦しんでるのは心苦しいな。
なんとか助けてあげたいけど……どうしようもないか。
「人間族の国に近づくと食糧を強奪されそうになるので近づけていませんニャ。それ以外の国はこの村から買い上げた食料を売り歩いていますが、焼け石に水ですニャ。もっと根本的な解決策が必要ですニャア」
「根本的な解決策……なにかいい方法がありませんか、バオア様、ホーフーン様」
「ええと、僕にはどうすることも……」
「吾輩にも限界がありますにゃ。国のブレーンとなることは出来ますが、各村まで支えることは難しいですのにゃ。もっとほかの解決策を考える必要がありますにゃ」
「そうですか……いまは地道に食料を供給するしか出来ないのですね」
「そうなりますにゃ。気を落とさずに取り組むしかありませんにゃ」
食糧問題の解決は本当に難しい。
いくら僕たちが『農業機器』によってたくさんの農作物を作れても、世界的な飢饉が相手となるとたかがしれている。
僕も可能な限り増産しているんだけど、やっぱり焼け石に水みたいだ。
どうにか出来ないのかな……。
それから今回の集会でこの集落の名前を正式に『世界樹の村』と定めた。
いままでは外に売りに出た際使っていた名前だけど、集落全体を指す言葉として一番だろうということでこれに定められたのだ。
名前負けしないように頑張らなくちゃ。
各集落とも農業以外にやっていたことができなくなっていたのがネックだったらしい。
食べ物に余裕が出てきて文化活動も再開したくなったのかな?
「ほかに意見がある者はいますかにゃ?」
「そういえば、最近の世界情勢はどうなっているのですかな、クーオ様。この平和な森にいると世の事情に疎くなってしまい」
ダークエルフのターシャさんが現在の世界情勢を尋ねてきた。
僕たちは直接クーオから聞いてるけど、他の集落には伝えていない。
みんなを不安がらせないようにしていたんだけど、そろそろみんなも外の状況を知りたくなってきたみたいだ。
「まあ、無理もありませんニャ。世界情勢は悪くなる一方ですニャ。とにかく食料が足りてませんニャ。各国、食料を増産しようと新規開拓や既存の畑を改良しようとしていますが効果が出ていませんのニャ。特に人間族の四カ国は悪化状況が著しく、食料を奪うための戦争を始めましたニャ」
人間族の国か。
昔からあまりいい噂は聞かなかった国だけど、戦争まで始めたんだよね。
余計食料が足りなくなるんじゃないかな?
「人間族による食料略奪のための戦争はどれも失敗、どの国も貴重な食糧と働き手を大量に失いさらなる飢餓をもたらしていますニャ。まあ、人災なので気にしても仕方がないのニャ」
クーオも手厳しい。
だけど、戦争に直接加担しなかった人たちまで飢えに苦しんでるのは心苦しいな。
なんとか助けてあげたいけど……どうしようもないか。
「人間族の国に近づくと食糧を強奪されそうになるので近づけていませんニャ。それ以外の国はこの村から買い上げた食料を売り歩いていますが、焼け石に水ですニャ。もっと根本的な解決策が必要ですニャア」
「根本的な解決策……なにかいい方法がありませんか、バオア様、ホーフーン様」
「ええと、僕にはどうすることも……」
「吾輩にも限界がありますにゃ。国のブレーンとなることは出来ますが、各村まで支えることは難しいですのにゃ。もっとほかの解決策を考える必要がありますにゃ」
「そうですか……いまは地道に食料を供給するしか出来ないのですね」
「そうなりますにゃ。気を落とさずに取り組むしかありませんにゃ」
食糧問題の解決は本当に難しい。
いくら僕たちが『農業機器』によってたくさんの農作物を作れても、世界的な飢饉が相手となるとたかがしれている。
僕も可能な限り増産しているんだけど、やっぱり焼け石に水みたいだ。
どうにか出来ないのかな……。
それから今回の集会でこの集落の名前を正式に『世界樹の村』と定めた。
いままでは外に売りに出た際使っていた名前だけど、集落全体を指す言葉として一番だろうということでこれに定められたのだ。
名前負けしないように頑張らなくちゃ。
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