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第三章 『世界樹の村』
44. 生き物の世話
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僕はガイアを連れ帰ることになったんだけど、馬の世話の仕方はよくわからない。
ジャメルさんもそれは承知していたようで、馬の世話係としてひとり僕に同行させてくれることになった。
同行者の名はフレイ、20歳代の女性だ。
見た目は10代前半に見えるのだが、これは黒翼族の特徴として寿命がエルフなどよりもずっと長く、成長が遅いためらしい。
彼女と接するときは気を付けよう。
ガイアにも立派な馬具をつけてもらったあと、黒翼族たちの元を出発した。
馬具を付けた途端、ガイアは僕に乗れと急かし始めてくるし困ったものだ。
黒翼族の元を離れるまではゆっくり歩いていたんだけど、それだけでガイアは我慢できなくなってきたらしく、立ち止まってしまう。
フレイも少し自由に走らせた方がいいだろうということだったので、ガイアの好きに走らせることに。
すると、ガイアは数歩足の調子を確認するといきなり全速力で駆け出し、一気に最高速度まで達した。
想像してはいたけど、トラクターなんかよりもずっと速い!
それに、トラクターの時は操縦席が透明なガラスのようなもので囲まれているから風がわからないけど、今回は風を全身に受けて走っている。
はっきり言って、気持ちいい!
十分もかからず僕の家までたどり着いてしまい、慌てて手綱を引きガイアを止める。
ガイアも思いきり走って満足できたようだ。
でも、フレイを置いてきてしまったな……。
そう考えていたら、フレイが空を飛んで家までやってきた。
黒翼族は空を飛ぶと馬並みに速く飛ぶことも出来るらしい。
長距離を飛ぶことは出来ないため移動は馬の方が便利なようだが、軽い物を運んで崖の向こう側に行くなどはお手の物だとか。
何事も適材適所だね。
「バオア、その馬はどうしたのにゃ?」
「あ、ホーフーン」
そういえば、ホーフーンは黒翼族の案内をしていないんだった。
事情を話すとちょっと困った顔をして告げてくる。
「バオア、馬をもらってきたのはいいのですが、馬小屋はどうするのですにゃ?」
「そっか、馬の寝床がないね」
「吾輩たちが昔使っていた小屋は、いま収穫された作物庫になっているのにゃ。そうでなくても状態保存のための結界を小屋に張ってしまった以上、生き物が長く暮らすには不向きにゃ」
僕たちが昔寝床にしていた小屋は、作物庫になっている。
もう誰もあの小屋で寝泊まりする者はいないだろうという判断でホーフーンに作物が劣化しないための結界も張ってもらった。
なので、生き物があの中で長く暮らすのは無理なんだ。
さて、どうしたものか。
『おや、お困りのようですね?』
「あ、世界樹の精霊様」
『どうしたのです、その立派な馬は?』
「今回村に来た黒翼族から譲り受けました。ただ、休ませる場所に困っていて」
『なるほど。では、あなた方の屋敷に馬小屋を作っておきましょう。それで、構いませんね?』
「僕たちとしては助かりますが……いいのですか?」
『気にしないでください。あなた方はよくやってくれていますからご褒美です。……新しく裏庭に馬小屋を作っておきました。それではまた』
世界樹の精霊様は去っていった。
わざわざ作っていただき恐縮だが、手に入ったことはすごく助かる。
早速馬小屋に行きフレイに助言を受けながら餌と水を与え、体を洗ってあげた。
これからはこれを毎日やらなくちゃいけない。
生き物の世話って大変だ。
ジャメルさんもそれは承知していたようで、馬の世話係としてひとり僕に同行させてくれることになった。
同行者の名はフレイ、20歳代の女性だ。
見た目は10代前半に見えるのだが、これは黒翼族の特徴として寿命がエルフなどよりもずっと長く、成長が遅いためらしい。
彼女と接するときは気を付けよう。
ガイアにも立派な馬具をつけてもらったあと、黒翼族たちの元を出発した。
馬具を付けた途端、ガイアは僕に乗れと急かし始めてくるし困ったものだ。
黒翼族の元を離れるまではゆっくり歩いていたんだけど、それだけでガイアは我慢できなくなってきたらしく、立ち止まってしまう。
フレイも少し自由に走らせた方がいいだろうということだったので、ガイアの好きに走らせることに。
すると、ガイアは数歩足の調子を確認するといきなり全速力で駆け出し、一気に最高速度まで達した。
想像してはいたけど、トラクターなんかよりもずっと速い!
それに、トラクターの時は操縦席が透明なガラスのようなもので囲まれているから風がわからないけど、今回は風を全身に受けて走っている。
はっきり言って、気持ちいい!
十分もかからず僕の家までたどり着いてしまい、慌てて手綱を引きガイアを止める。
ガイアも思いきり走って満足できたようだ。
でも、フレイを置いてきてしまったな……。
そう考えていたら、フレイが空を飛んで家までやってきた。
黒翼族は空を飛ぶと馬並みに速く飛ぶことも出来るらしい。
長距離を飛ぶことは出来ないため移動は馬の方が便利なようだが、軽い物を運んで崖の向こう側に行くなどはお手の物だとか。
何事も適材適所だね。
「バオア、その馬はどうしたのにゃ?」
「あ、ホーフーン」
そういえば、ホーフーンは黒翼族の案内をしていないんだった。
事情を話すとちょっと困った顔をして告げてくる。
「バオア、馬をもらってきたのはいいのですが、馬小屋はどうするのですにゃ?」
「そっか、馬の寝床がないね」
「吾輩たちが昔使っていた小屋は、いま収穫された作物庫になっているのにゃ。そうでなくても状態保存のための結界を小屋に張ってしまった以上、生き物が長く暮らすには不向きにゃ」
僕たちが昔寝床にしていた小屋は、作物庫になっている。
もう誰もあの小屋で寝泊まりする者はいないだろうという判断でホーフーンに作物が劣化しないための結界も張ってもらった。
なので、生き物があの中で長く暮らすのは無理なんだ。
さて、どうしたものか。
『おや、お困りのようですね?』
「あ、世界樹の精霊様」
『どうしたのです、その立派な馬は?』
「今回村に来た黒翼族から譲り受けました。ただ、休ませる場所に困っていて」
『なるほど。では、あなた方の屋敷に馬小屋を作っておきましょう。それで、構いませんね?』
「僕たちとしては助かりますが……いいのですか?」
『気にしないでください。あなた方はよくやってくれていますからご褒美です。……新しく裏庭に馬小屋を作っておきました。それではまた』
世界樹の精霊様は去っていった。
わざわざ作っていただき恐縮だが、手に入ったことはすごく助かる。
早速馬小屋に行きフレイに助言を受けながら餌と水を与え、体を洗ってあげた。
これからはこれを毎日やらなくちゃいけない。
生き物の世話って大変だ。
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