農業機器無双! ~農業機器は世界を救う!~

あきさけ

文字の大きさ
上 下
44 / 71
第三章 『世界樹の村』

44. 生き物の世話

しおりを挟む
 僕はガイアを連れ帰ることになったんだけど、馬の世話の仕方はよくわからない。
 ジャメルさんもそれは承知していたようで、馬の世話係としてひとり僕に同行させてくれることになった。
 同行者の名はフレイ、20歳代の女性だ。
 見た目は10代前半に見えるのだが、これは黒翼族の特徴として寿命がエルフなどよりもずっと長く、成長が遅いためらしい。
 彼女と接するときは気を付けよう。

 ガイアにも立派な馬具をつけてもらったあと、黒翼族たちの元を出発した。
 馬具を付けた途端、ガイアは僕に乗れと急かし始めてくるし困ったものだ。
 黒翼族の元を離れるまではゆっくり歩いていたんだけど、それだけでガイアは我慢できなくなってきたらしく、立ち止まってしまう。
 フレイも少し自由に走らせた方がいいだろうということだったので、ガイアの好きに走らせることに。
 すると、ガイアは数歩足の調子を確認するといきなり全速力で駆け出し、一気に最高速度まで達した。
 想像してはいたけど、トラクターなんかよりもずっと速い!
 それに、トラクターの時は操縦席が透明なガラスのようなもので囲まれているから風がわからないけど、今回は風を全身に受けて走っている。
 はっきり言って、気持ちいい!

 十分もかからず僕の家までたどり着いてしまい、慌てて手綱を引きガイアを止める。
 ガイアも思いきり走って満足できたようだ。
 でも、フレイを置いてきてしまったな……。
 そう考えていたら、フレイが空を飛んで家までやってきた。
 黒翼族は空を飛ぶと馬並みに速く飛ぶことも出来るらしい。
 長距離を飛ぶことは出来ないため移動は馬の方が便利なようだが、軽い物を運んで崖の向こう側に行くなどはお手の物だとか。
 何事も適材適所だね。

「バオア、その馬はどうしたのにゃ?」

「あ、ホーフーン」

 そういえば、ホーフーンは黒翼族の案内をしていないんだった。
 事情を話すとちょっと困った顔をして告げてくる。

「バオア、馬をもらってきたのはいいのですが、馬小屋はどうするのですにゃ?」

「そっか、馬の寝床がないね」

「吾輩たちが昔使っていた小屋は、いま収穫された作物庫になっているのにゃ。そうでなくても状態保存のための結界を小屋に張ってしまった以上、生き物が長く暮らすには不向きにゃ」

 僕たちが昔寝床にしていた小屋は、作物庫になっている。
 もう誰もあの小屋で寝泊まりする者はいないだろうという判断でホーフーンに作物が劣化しないための結界も張ってもらった。
 なので、生き物があの中で長く暮らすのは無理なんだ。
 さて、どうしたものか。

『おや、お困りのようですね?』

「あ、世界樹の精霊様」

『どうしたのです、その立派な馬は?』

「今回村に来た黒翼族から譲り受けました。ただ、休ませる場所に困っていて」

『なるほど。では、あなた方の屋敷に馬小屋を作っておきましょう。それで、構いませんね?』


「僕たちとしては助かりますが……いいのですか?」

『気にしないでください。あなた方はよくやってくれていますからご褒美です。……新しく裏庭に馬小屋を作っておきました。それではまた』

 世界樹の精霊様は去っていった。
 わざわざ作っていただき恐縮だが、手に入ったことはすごく助かる。
 早速馬小屋に行きフレイに助言を受けながら餌と水を与え、体を洗ってあげた。
 これからはこれを毎日やらなくちゃいけない。
 生き物の世話って大変だ。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

えっ、じいちゃん昔勇者だったのっ!?〜祖父の遺品整理をしてたら異世界に飛ばされ、行方不明だった父に魔王の心臓を要求されたので逃げる事にした〜

楠ノ木雫
ファンタジー
 まだ16歳の奥村留衣は、ずっと一人で育ててくれていた祖父を亡くした。親戚も両親もいないため、一人で遺品整理をしていた時に偶然見つけた腕輪。ふとそれを嵌めてみたら、いきなり違う世界に飛ばされてしまった。  目の前に浮かんでいた、よくあるシステムウィンドウというものに書かれていたものは『勇者の孫』。そう、亡くなった祖父はこの世界の勇者だったのだ。  そして、行方不明だと言われていた両親に会う事に。だが、祖父が以前討伐した魔王の心臓を渡すよう要求されたのでドラゴンを召喚して逃げた!  追われつつも、故郷らしい異世界での楽しい(?)セカンドライフが今始まる!  ※他の投稿サイトにも掲載しています。

キャンピングカーで異世界の旅

モルモット
ファンタジー
主人公と天女の二人がキャンピングカーで異世界を旅する物語。 紹介文 夢のキャンピングカーを手に入れた主人公でしたが 目が覚めると異世界に飛ばされていました。戻れるのでしょうか?そんなとき主人公の前に自分を天女だと名乗る使者が現れるのです。 彼女は内気な性格ですが実は神様から命を受けた刺客だったのです。

【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-

ジェルミ
ファンタジー
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 その条件として女神に『面白楽しく生活でき、苦労をせずお金を稼いで生きていくスキルがほしい』と無理難題を言うのだった。 困った女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 この味気ない世界を、創生魔法とカスタマイズ可能なストレージを使い、美味しくなる調味料や料理を作り世界を変えて行く。 はい、ご注文は? 調味料、それとも武器ですか? カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく。 村を開拓し仲間を集め国を巻き込む産業を起こす。 いずれは世界へ通じる道を繋げるために。 ※本作はカクヨム様にも掲載しております。

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

神々の間では異世界転移がブームらしいです。

はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》 楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。 理由は『最近流行ってるから』 数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。 優しくて単純な少女の異世界冒険譚。 第2部 《精霊の紋章》 ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。 それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。 第3部 《交錯する戦場》 各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。 人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。 第4部 《新たなる神話》 戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。 連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。 それは、この世界で最も新しい神話。

30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。

ひさまま
ファンタジー
 前世で搾取されまくりだった私。  魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。  とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。  これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。  取り敢えず、明日は退職届けを出そう。  目指せ、快適異世界生活。  ぽちぽち更新します。  作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。  脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

処理中です...