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第二章 世界樹の枝と外の状況
31. 寒村の民
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_/_/_/_/_/クーオ
結論から言えばこいつらは山賊ではなかったのニャ。
正確には山賊行為をしようとしていた村人たちでしたニャ。
詳しく聞くと、この村人たちの住む村でも食料が足りなくなり、この者たちが狩りに出てもここ数日間獲物が1匹も取れない状況だったニャ。
そうしてこの者たちだけで思いついたのが山賊行為をして商人から食料を奪い取ることでしたニャ。
……はっきり言って、馬鹿ですニャ。
「お前たち、もう少し頭を働かせるニャ。ただでさえ食糧不足な状況でこんな山道で食料を持った商人を襲えると思っているのかニャ?」
「そ、それは……」
「それに、食料って結構重いニャ。持って帰るのも大変だニャ。そこはどうするつもりだったニャ?」
「そこは、商人の馬車を奪って……」
「そこまでしたら完全に山賊ニャ。手配がかかって住処がわかれば村ごと処刑されるニャ。そこまで考えていたのかニャ?」
「う……」
考えていなかったようだニャ。
これ以上、この場でこの者たちを説教しても始まらないので彼らの村へと案内してもらうことにしたニャ。
多少の食料は分けてやることを約束したら応じてくれましたのニャ。
こんなところでも山賊に向かない村人たちニャ。
1時間ほど歩いたところで森が開け、村が見えてきましたニャ。
でも、男たちが言っていた通り活気がありませんニャ。
どうすればいいのかニャ?
「止まれ! ……お前たちは。狩りの成果は出たか?」
「いや、鳥一羽すら捕まえられなかった。このケットシーは行商人の方だ。話次第では食料を恵んでくださると」
「なに!? 失礼いたしました! お通りください!」
ふむ、門番の対応は丁寧ニャ。
元はそこまで落ちぶれていない村だったのかもしれないニャ。
そのまま私は村長の家へと案内されたニャ。
村長はお歳を召したダークエルフの女性ですニャ。
「旅の方、ようこそいらっしゃいました。私は村のまとめ役ターシャと申します」
「猫の商人クーオだニャ。今日はそこの連中が山賊の真似事をしようとしていたところを捕まえてやってきたのだニャ」
私が『山賊の真似事』と言うとターシャは顔色を変えて一緒に来ていた男たちをにらみつけたニャ。
まあ、当然かもしれないけどニャ。
「お前たち、なにをしているのだ!」
「村長、すまねぇ。村のためを思って山賊の真似事をしようとしていた」
「山賊行為だと!? そんなことが国に知れれば村ごと処刑だ!」
「すまねぇ。獲物が捕れず、気が逸っていて……」
「それで、ばれてはいないのだろうな?」
「……襲う前にそこのケットシーの行商人に止められた」
「それはそれは……この者たちが申し訳ないことを」
「襲われた訳ではないので構わないニャ。それよりも、この村でも食糧不足が深刻だと聞いたのニャ。本当なのかニャ?」
私の質問にターシャは肩を落とし、顔色を悪くして答えてくれたニャ。
「……はい。今年も不作で年貢として支払った麦を除けばまともな食料はほとんど残っておりませんでした。それでも秋の間は山菜を採り飢えをしのいでおりましたが、冬に入ってからは山菜も採れなくなり、猟も失敗続きでまともな物を口に出来ておりません」
ふむ、想像以上に深刻だにゃ。
さて、どうするべきかニャ?
結論から言えばこいつらは山賊ではなかったのニャ。
正確には山賊行為をしようとしていた村人たちでしたニャ。
詳しく聞くと、この村人たちの住む村でも食料が足りなくなり、この者たちが狩りに出てもここ数日間獲物が1匹も取れない状況だったニャ。
そうしてこの者たちだけで思いついたのが山賊行為をして商人から食料を奪い取ることでしたニャ。
……はっきり言って、馬鹿ですニャ。
「お前たち、もう少し頭を働かせるニャ。ただでさえ食糧不足な状況でこんな山道で食料を持った商人を襲えると思っているのかニャ?」
「そ、それは……」
「それに、食料って結構重いニャ。持って帰るのも大変だニャ。そこはどうするつもりだったニャ?」
「そこは、商人の馬車を奪って……」
「そこまでしたら完全に山賊ニャ。手配がかかって住処がわかれば村ごと処刑されるニャ。そこまで考えていたのかニャ?」
「う……」
考えていなかったようだニャ。
これ以上、この場でこの者たちを説教しても始まらないので彼らの村へと案内してもらうことにしたニャ。
多少の食料は分けてやることを約束したら応じてくれましたのニャ。
こんなところでも山賊に向かない村人たちニャ。
1時間ほど歩いたところで森が開け、村が見えてきましたニャ。
でも、男たちが言っていた通り活気がありませんニャ。
どうすればいいのかニャ?
「止まれ! ……お前たちは。狩りの成果は出たか?」
「いや、鳥一羽すら捕まえられなかった。このケットシーは行商人の方だ。話次第では食料を恵んでくださると」
「なに!? 失礼いたしました! お通りください!」
ふむ、門番の対応は丁寧ニャ。
元はそこまで落ちぶれていない村だったのかもしれないニャ。
そのまま私は村長の家へと案内されたニャ。
村長はお歳を召したダークエルフの女性ですニャ。
「旅の方、ようこそいらっしゃいました。私は村のまとめ役ターシャと申します」
「猫の商人クーオだニャ。今日はそこの連中が山賊の真似事をしようとしていたところを捕まえてやってきたのだニャ」
私が『山賊の真似事』と言うとターシャは顔色を変えて一緒に来ていた男たちをにらみつけたニャ。
まあ、当然かもしれないけどニャ。
「お前たち、なにをしているのだ!」
「村長、すまねぇ。村のためを思って山賊の真似事をしようとしていた」
「山賊行為だと!? そんなことが国に知れれば村ごと処刑だ!」
「すまねぇ。獲物が捕れず、気が逸っていて……」
「それで、ばれてはいないのだろうな?」
「……襲う前にそこのケットシーの行商人に止められた」
「それはそれは……この者たちが申し訳ないことを」
「襲われた訳ではないので構わないニャ。それよりも、この村でも食糧不足が深刻だと聞いたのニャ。本当なのかニャ?」
私の質問にターシャは肩を落とし、顔色を悪くして答えてくれたニャ。
「……はい。今年も不作で年貢として支払った麦を除けばまともな食料はほとんど残っておりませんでした。それでも秋の間は山菜を採り飢えをしのいでおりましたが、冬に入ってからは山菜も採れなくなり、猟も失敗続きでまともな物を口に出来ておりません」
ふむ、想像以上に深刻だにゃ。
さて、どうするべきかニャ?
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