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第二章 世界樹の枝と外の状況

29. 水耕栽培基地の栽培結果と今後の販売計画

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 外の世界の過酷な現実を報されショックを受けた僕。
 ホーフーンはある程度想像できていたみたいだ。
 毎日ひもじい食事しか出来なかったけど、食事を与えられていた僕は恵まれた環境だったんだな……。

 外界の話はいったんおいておき、僕たちは小型水耕栽培基地へと向かった。
 そこでは魔石を動力源として出来た作物が保管されているからだ。
 僕たちの食卓には毎日出ているけど、商品としての価値はクーオの方が詳しいだろうからね。
 調理した物の味は確認してもらっているけど、どれだけ出来ているかはまだ確認してもらっていない。
 商品の量で売値も変わるだろうからさ。
 僕とホーフーンもここ数日は小麦の収穫で様子を見に来ることが出来なかったし、どれだけ増えているか楽しみだ。

「ニャ。これほど出来ていましたかニャ」

「うん。この数日で魔石が切れちゃったみたいだけど、ここまでは生産できたみたいだね」

 僕たちは小型水耕栽培基地の貯蔵庫へと来ている。
 ここには生産されたサニーレタスとミニトマト、イチゴが貯蔵されていた。
 でも、どれもすごい量だ。
 シャリナは毎日ここから少しずつ食卓に上がる分を持って来ているらしいけど、これほどの量を売り切れるのだろうか?

「ふむ。想像していたよりも多いですが多分いけますニャ」

「本当に?」

「まあ、私の犬車も亜空間格納になっていますからニャ。食べ物の鮮度が落ちないように時間停止効果をかけてありますのニャ」

「そんなにすごかったんだ、あの犬車」

「他にもいろいろ仕掛けがしてありますニャ。ともかく、最初は少量ずつになりますが各地で販売してきますのニャ」

「よろしく、クーオ」

「はいニャ」

 これからはクーオが数日おきにこの世界樹の森へとやってきて品物を積み込んでいくことになった。
 クーオにしてみればこの森に来ることもさほど苦ではないらしい。
 普段滅多に来なかったのは来る必要がなかったからだそうな。
 確かに、小麦の収穫時期以外に来ても特に用事はないよね。

 それからクーオの犬車にサニーレタスなどを積み込む手伝いをして一日が終わった。
 クーオは明日この森を出発するらしい。
 なので、今日はお風呂を堪能していくそうだ。
 クーオは本当にお風呂が好きだな。

「ねえ、クーオ。僕たちの小麦粉を売ったお金で安い小麦粉を買えないかな?」

「ニャ?」

「どうしたのにゃ、バオア。藪から棒に」

「いや、僕たちの小麦粉ってすごく高値で売れているんでしょう? だったら、その売れたお金で普通の小麦粉を買って貧しい人たちに配れば……」

「うーん、それじゃあ意味がないのニャ」

「意味がない?」

「バオア様たちの小麦粉は確かに高値で売れますニャ。その結果として普通の小麦粉は値下がりしますニャ。私がその安い小麦粉を買って貧しい人たちに配っても、一時的な効果はどうあれ長期的には意味がないのニャ。それに、一般的な家庭にはパン焼き釜がないので小麦粉だけあってもパンは焼けないのニャ」

 ああ、そっか。
 目先のことばかり考えてちゃだめなんだ。

 この話は一旦保留としてクーオが預かってくれることになった。
 貧しい人たちへの施しはなにかしないとまずい状況にある地域も多いらしい。
 でも、そういうことは治めている貴族や国家がやることであって僕たちがあまり口を挟むことじゃないとも言われた。
 ……僕たちにできることってなにかないかな?
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