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第二章 世界樹の枝と外の状況
26. クーオの再来とお風呂
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『小型水耕栽培基地』を設置したあと家に帰って休み、翌日からは次の麦を植えるため畑を耕し始める。
一度草を狩り取っている場所をまた畑として利用するだけなので小型耕運機を使うだけでいい。
それでも広いから3日ほどかかっちゃったんだけどね。
そして、畑を耕し終わった日の夕食時。
シャリナが夕食の支度をしている間にガランガランと鐘が鳴り響いた。
これはクーオの鐘の音だ。
あれからまだ数日なのにどうしたんだろう?
ホーフーンと顔を見合わせつつも出迎えるために玄関へと向かった。
「あ、ホーフーン様、バオア様! なんニャ、この立派な屋敷は! 一瞬、間違った場所に来たかと思ったニャ!?」
「ごめんごめん。世界樹の精霊様からいただいた物なんだ」
「世界樹の精霊様ニャ? 詳しく話してほしいニャ」
「バオアもクーオも夕食の時間にゃ。夕食を食べながら説明しましょうにゃ」
「そうだね、そうしようか。クーオも一緒に食べるよね?」
「ではご相伴にあずかりますニャ」
急遽ひとり増えてもシャリナは嫌な顔ひとつせず料理をしてくれた。
この家での食事はパンに山菜とキノコの炒め物かスープが基本だが、塩を塩湖から取れる塩に変えたことで格段に美味しくなった。
香辛料も時間を見て探してきているので昔より彩りが豊富だ。
クーオも満足そうに食べてくれたしね。
食事中に説明しようかと思っていたんだけど、クーオが食事に集中していたため出来なかった世界樹の精霊様に会ったときの話を食後にする。
クーオも世界樹の精霊様には会ってみたかったようだけど、用事もないのに会いに行くのは失礼なことらしいので行かなくて正解だったようだ。
そして、今日来てくれた理由はケットシーの里から液体肥料を運んできてくれてということだった。
「液体肥料だけは早くもってくるべきだと思い、伺いましたのニャ。でも、来て正解でしたニャ」
「え? どういう意味?」
「バオア様の望んだ商品がほとんど必要のない物になっているのニャ。まさか、今後もあの小屋で食事をするつもりはないですよニャ?」
「するつもりはないのにゃ。確かに不要になっていたのにゃ。呼び出して変更を告げるべきだったのにゃ」
「結果的には間に合ったのでよかったですニャ。それで、代わりの注文はどうしますかニャ?」
代わりの注文か……あれならどうだろう?
ホーフーンの方をみても頷き返してくれたし問題はなさそうだ。
僕たちでは仕入れできないだろうし、これを機に入手してもらおう。
「クーオ、魔石って頼める?」
「魔石ですかニャ? 量にもよりますが……なにに使うニャ?」
「この家の浴場が魔石で管理されているみたいなんだよ。だから、魔石がないと浴場が使えなくなっちゃうんだよね」
「浴場……? お風呂があるのですかニャ!?」
「え、うん、そうだと思う」
「それは一大事ですニャ! すぐにでも集めますニャ!」
クーオの豹変ぶりに驚かされてしまった。
ホーフーンの話によると、クーオは無類のきれい好きらしい。
服は毎日洗浄と浄化魔法で綺麗にしているし、体も同じく洗浄と浄化で綺麗にしているのだとか。
噂では、街で宿を取るとき特上の宿に泊まりお風呂を楽しんでいるとかいないとか。
……本題に入る前にお風呂に案内するべきだね、これは。
一度草を狩り取っている場所をまた畑として利用するだけなので小型耕運機を使うだけでいい。
それでも広いから3日ほどかかっちゃったんだけどね。
そして、畑を耕し終わった日の夕食時。
シャリナが夕食の支度をしている間にガランガランと鐘が鳴り響いた。
これはクーオの鐘の音だ。
あれからまだ数日なのにどうしたんだろう?
ホーフーンと顔を見合わせつつも出迎えるために玄関へと向かった。
「あ、ホーフーン様、バオア様! なんニャ、この立派な屋敷は! 一瞬、間違った場所に来たかと思ったニャ!?」
「ごめんごめん。世界樹の精霊様からいただいた物なんだ」
「世界樹の精霊様ニャ? 詳しく話してほしいニャ」
「バオアもクーオも夕食の時間にゃ。夕食を食べながら説明しましょうにゃ」
「そうだね、そうしようか。クーオも一緒に食べるよね?」
「ではご相伴にあずかりますニャ」
急遽ひとり増えてもシャリナは嫌な顔ひとつせず料理をしてくれた。
この家での食事はパンに山菜とキノコの炒め物かスープが基本だが、塩を塩湖から取れる塩に変えたことで格段に美味しくなった。
香辛料も時間を見て探してきているので昔より彩りが豊富だ。
クーオも満足そうに食べてくれたしね。
食事中に説明しようかと思っていたんだけど、クーオが食事に集中していたため出来なかった世界樹の精霊様に会ったときの話を食後にする。
クーオも世界樹の精霊様には会ってみたかったようだけど、用事もないのに会いに行くのは失礼なことらしいので行かなくて正解だったようだ。
そして、今日来てくれた理由はケットシーの里から液体肥料を運んできてくれてということだった。
「液体肥料だけは早くもってくるべきだと思い、伺いましたのニャ。でも、来て正解でしたニャ」
「え? どういう意味?」
「バオア様の望んだ商品がほとんど必要のない物になっているのニャ。まさか、今後もあの小屋で食事をするつもりはないですよニャ?」
「するつもりはないのにゃ。確かに不要になっていたのにゃ。呼び出して変更を告げるべきだったのにゃ」
「結果的には間に合ったのでよかったですニャ。それで、代わりの注文はどうしますかニャ?」
代わりの注文か……あれならどうだろう?
ホーフーンの方をみても頷き返してくれたし問題はなさそうだ。
僕たちでは仕入れできないだろうし、これを機に入手してもらおう。
「クーオ、魔石って頼める?」
「魔石ですかニャ? 量にもよりますが……なにに使うニャ?」
「この家の浴場が魔石で管理されているみたいなんだよ。だから、魔石がないと浴場が使えなくなっちゃうんだよね」
「浴場……? お風呂があるのですかニャ!?」
「え、うん、そうだと思う」
「それは一大事ですニャ! すぐにでも集めますニャ!」
クーオの豹変ぶりに驚かされてしまった。
ホーフーンの話によると、クーオは無類のきれい好きらしい。
服は毎日洗浄と浄化魔法で綺麗にしているし、体も同じく洗浄と浄化で綺麗にしているのだとか。
噂では、街で宿を取るとき特上の宿に泊まりお風呂を楽しんでいるとかいないとか。
……本題に入る前にお風呂に案内するべきだね、これは。
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