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第一章 僕たちの出会いとスキル〝農業機器〟
12. 種まきを終えて
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僕たちが耕した畑の面積はかなり広かったらしい。
何度も種麦をつぎ足し、畑全体にまき終えるには3日ほどかかった。
その間、クーオはしきりにまき終えた麦の様子を観察していたようだ。
さすがに最初にまいた種でも3日で芽は出ないと思うけど……。
「お疲れ様ですにゃ、バオア。麦はまき終わりましたかにゃ?」
「終わったよ。ホーフーンたちは麦の芽が出ないか確認?」
「はいですにゃ。でも、さすがにまだ出ないみたいですにゃ」
「そりゃあね」
3日で芽が出たらすごいだろう。
実際、どれくらいの期間で麦が収穫できるかわからないがまだまだ先のはずだ。
それよりもクーオにお礼を言わなくちゃ。
「クーオ、ありがとう。おかげで種まきを終えることが出来たよ」
「気にしないでくださいニャ。私にも実りのあることでしたニャ。それよりも……」
「それよりも?」
「バオア様はその服しか持っていないのかニャ?」
「うん。この一着だけだね」
僕の服はこの地に置き去りにされたときのまま、ボロの一張羅だ。
着替えるにもほかの服がないから仕方がない。
毎日朝と夜の2回、ホーフーンの『洗浄』の魔法で洗ってもらっている。
それでも替えの服がないというのは厳しいかな。
「それでは身だしなみが整いませんのニャ。古着でよければバオア様にちょうどいいサイズの服がありますのでそれをプレゼントするニャ」
「いいの?」
「お近付きの印というやつニャ。これから先、稼がせてもらうから期待しているニャ」
「あはは……」
クーオの思惑はともかく、着替えを手に入れることが出来た。
夏用の服に春秋用の服、冬用の服がそれぞれ10着ずつだ。
こんなにもらって大丈夫なのか聞いてみたが、最近は服の売り上げが落ち込んでいるから構わないらしい。
むしろ、古着と引き換えに食料を売ることが多いので在庫としてはあまり気味なのだそうだ。
僕はハーフエルフで体格もエルフに近い。
そんな僕にもあうサイズの服があるということは、エルフの国でも不作が進行しているのだろう。
僕が習った歴史だと、エルフの国は豊穣神の加護で不作とは縁遠いと聞いたけどあれは作り話だったんだろうか?
ともかく、替えの服が手に入ったのは嬉しいけどね。
「さて、私はそろそろ行くニャ。ホーフーン様、なにかご入り用でしたらまた呼ぶニャ」
「はいにゃ。でもその前に、バオアが新しい『農業機器』を授かっていないか確認していくにゃ」
「新しい『農業機器』?」
「バオアのスキル『農業機器』はレベルアップで成長するスキルにゃ。成長させるための方法はスキルを使って農業を行うこと。今回種まきをしたことでレベルが上がり、新しい『農業機器』が増えているかもしれませんにゃ」
「なるほど。それを聞いてしまえばすぐに去るのはもったいないですニャ。バオア様、確認してくださいニャ」
「わかった。『農業機器』発動!」
僕の目の前に出てきた半透明な板には新しい『農業機器』が表示されていた。
新しく手に入ったのはふたつ、『小型ドローン(液体散布用)』と『井戸掘り機(ポンプ付き)』だ。
井戸掘り機はそのままの意味だろうけど、『小型ドローン』ってなんだろう?
何度も種麦をつぎ足し、畑全体にまき終えるには3日ほどかかった。
その間、クーオはしきりにまき終えた麦の様子を観察していたようだ。
さすがに最初にまいた種でも3日で芽は出ないと思うけど……。
「お疲れ様ですにゃ、バオア。麦はまき終わりましたかにゃ?」
「終わったよ。ホーフーンたちは麦の芽が出ないか確認?」
「はいですにゃ。でも、さすがにまだ出ないみたいですにゃ」
「そりゃあね」
3日で芽が出たらすごいだろう。
実際、どれくらいの期間で麦が収穫できるかわからないがまだまだ先のはずだ。
それよりもクーオにお礼を言わなくちゃ。
「クーオ、ありがとう。おかげで種まきを終えることが出来たよ」
「気にしないでくださいニャ。私にも実りのあることでしたニャ。それよりも……」
「それよりも?」
「バオア様はその服しか持っていないのかニャ?」
「うん。この一着だけだね」
僕の服はこの地に置き去りにされたときのまま、ボロの一張羅だ。
着替えるにもほかの服がないから仕方がない。
毎日朝と夜の2回、ホーフーンの『洗浄』の魔法で洗ってもらっている。
それでも替えの服がないというのは厳しいかな。
「それでは身だしなみが整いませんのニャ。古着でよければバオア様にちょうどいいサイズの服がありますのでそれをプレゼントするニャ」
「いいの?」
「お近付きの印というやつニャ。これから先、稼がせてもらうから期待しているニャ」
「あはは……」
クーオの思惑はともかく、着替えを手に入れることが出来た。
夏用の服に春秋用の服、冬用の服がそれぞれ10着ずつだ。
こんなにもらって大丈夫なのか聞いてみたが、最近は服の売り上げが落ち込んでいるから構わないらしい。
むしろ、古着と引き換えに食料を売ることが多いので在庫としてはあまり気味なのだそうだ。
僕はハーフエルフで体格もエルフに近い。
そんな僕にもあうサイズの服があるということは、エルフの国でも不作が進行しているのだろう。
僕が習った歴史だと、エルフの国は豊穣神の加護で不作とは縁遠いと聞いたけどあれは作り話だったんだろうか?
ともかく、替えの服が手に入ったのは嬉しいけどね。
「さて、私はそろそろ行くニャ。ホーフーン様、なにかご入り用でしたらまた呼ぶニャ」
「はいにゃ。でもその前に、バオアが新しい『農業機器』を授かっていないか確認していくにゃ」
「新しい『農業機器』?」
「バオアのスキル『農業機器』はレベルアップで成長するスキルにゃ。成長させるための方法はスキルを使って農業を行うこと。今回種まきをしたことでレベルが上がり、新しい『農業機器』が増えているかもしれませんにゃ」
「なるほど。それを聞いてしまえばすぐに去るのはもったいないですニャ。バオア様、確認してくださいニャ」
「わかった。『農業機器』発動!」
僕の目の前に出てきた半透明な板には新しい『農業機器』が表示されていた。
新しく手に入ったのはふたつ、『小型ドローン(液体散布用)』と『井戸掘り機(ポンプ付き)』だ。
井戸掘り機はそのままの意味だろうけど、『小型ドローン』ってなんだろう?
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