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第一章 僕たちの出会いとスキル〝農業機器〟
9. 『小型種まき機』と『猫の行商人』
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小型耕運機を使うようになってたった2日間で、20日間かけて草を切り開いたすべての土地を開墾することが出来た。
でも、まだ新しい農業機器は出てきていないのでもっと開墾する必要があるんだろう。
仕方がないので、またホーフーンと手分けして草を切り開き、ある程度の土地を綺麗にしたら小型トラクターと小型耕運機で耕すを繰り返す。
そんな日々を10日間ほど続けた結果、新しい農業機器がようやく使えるようになった。
それは……。
「ふむ、『小型種まき機』ですかにゃ」
「そうらしい。取り出してみる?」
「お願いしますにゃ。まずは解析ですにゃ」
スキルを使って小型種まき機を取り出す。
小型種まき機も小型トラクターに取り付けて使う農業機器のようだ。
小型耕運機と同じように小型トラクターにつなぐための棒が突き出ている。
他にも開けられる蓋がとりついており、なにかを入れることが出来るみたいだ。
一体なんのための蓋なんだろう?
「ううむ。これは困りましたにゃ」
「困ったって?」
「『小型種まき機』ですが、その名前の通り種を蒔くための機械ですにゃ」
「うん、それはなんとなくわかる」
「……吾輩たち、種を持っていませんにゃ」
「……あ」
そうだった。
いままでは土地の開墾ばかりだから問題なかったけど、本来農業をするにはなにを育てるにも『種』が必要だ。
僕は着の身着のまま追い出されたから種なんて持っているわけがないし、ホーフーンだって植物の種なんて持っていないだろう。
さて、どうしようか……。
「……困ったときは商人に頼りますにゃ。『猫の行商人』なら大丈夫ですにゃ」
「『猫の行商人』? ケットシー族の行商人のこと?」
「はいですにゃ。とある方法で世界中を股にかけて移動し続けている行商人ですにゃ。いまは持っていなくともすぐに仕入れてきてくれるはずですにゃ」
なんだかすごい行商人がいるみたいだ。
ホーフーンはすぐにその行商人を呼ぶ準備をすると言って小屋へと戻って行き、僕は野良作業の続きをする。
夕食の時に聞いた話だと、行商人が来るまで4日から5日ほどかかるらしい。
特別な連絡方法を使っているらしいけど、あちらに伝わるまで時間がかかるそうだ。
それまでは畑の面積を広げていくことにした。
そして5日後、いつものように小型トラクターに乗って畑を開墾していると鐘が鳴り響く音が聞こえてきた。
一体なんだろう?
「にゃ。猫の行商人が来たようですにゃ」
「猫の行商人。ああ、あれからもう5日もたつのか」
「はいですにゃ。早く小屋へと戻るのですにゃ。いないと思われると別の場所に行ってしまいますにゃ」
ホーフーンに急かされ、トラクターのハンドルを切り小屋へと向かう。
小屋の方に向かうと見えてきたのは大きな犬がつながれた馬車。
犬と言っても馬並みの体格があり、それが2匹もつながれている。
相当力がありそう。
馬車も小型トラクターより数倍大きいし、たくさんの物が持ち運べそうだ。
馬車……犬車の前にはひとりのケットシーがいた。
ここからでは性別の判別が付かない。
行商人らしく、旅人風の姿をしていてつばの広い帽子をかぶっているからだ。
ただ、そのケットシーも大きな音を立てて近づいてくる小型トラクターには驚いている様子である。
「ニャ、なんなのニャ!?」
「待たせましたにゃ、クーオ」
「あ、ホーフーン様! この乗り物はなんニャ!?」
「その説明はあとですにゃ。まずは買い物ですにゃ」
「はっ!? そうでしたニャ!」
僕が小型トラクターから降りると、そのケットシーは僕に向かって優雅なお辞儀をしてみせる。
帽子の下から出てきた顔はシャム猫種のケットシーだった。
「初めまして。私、クーオと申しますニャ。メスのケットシー、シャム猫種でございますニャ。以後、よろしくお願いしますニャ」
でも、まだ新しい農業機器は出てきていないのでもっと開墾する必要があるんだろう。
仕方がないので、またホーフーンと手分けして草を切り開き、ある程度の土地を綺麗にしたら小型トラクターと小型耕運機で耕すを繰り返す。
そんな日々を10日間ほど続けた結果、新しい農業機器がようやく使えるようになった。
それは……。
「ふむ、『小型種まき機』ですかにゃ」
「そうらしい。取り出してみる?」
「お願いしますにゃ。まずは解析ですにゃ」
スキルを使って小型種まき機を取り出す。
小型種まき機も小型トラクターに取り付けて使う農業機器のようだ。
小型耕運機と同じように小型トラクターにつなぐための棒が突き出ている。
他にも開けられる蓋がとりついており、なにかを入れることが出来るみたいだ。
一体なんのための蓋なんだろう?
「ううむ。これは困りましたにゃ」
「困ったって?」
「『小型種まき機』ですが、その名前の通り種を蒔くための機械ですにゃ」
「うん、それはなんとなくわかる」
「……吾輩たち、種を持っていませんにゃ」
「……あ」
そうだった。
いままでは土地の開墾ばかりだから問題なかったけど、本来農業をするにはなにを育てるにも『種』が必要だ。
僕は着の身着のまま追い出されたから種なんて持っているわけがないし、ホーフーンだって植物の種なんて持っていないだろう。
さて、どうしようか……。
「……困ったときは商人に頼りますにゃ。『猫の行商人』なら大丈夫ですにゃ」
「『猫の行商人』? ケットシー族の行商人のこと?」
「はいですにゃ。とある方法で世界中を股にかけて移動し続けている行商人ですにゃ。いまは持っていなくともすぐに仕入れてきてくれるはずですにゃ」
なんだかすごい行商人がいるみたいだ。
ホーフーンはすぐにその行商人を呼ぶ準備をすると言って小屋へと戻って行き、僕は野良作業の続きをする。
夕食の時に聞いた話だと、行商人が来るまで4日から5日ほどかかるらしい。
特別な連絡方法を使っているらしいけど、あちらに伝わるまで時間がかかるそうだ。
それまでは畑の面積を広げていくことにした。
そして5日後、いつものように小型トラクターに乗って畑を開墾していると鐘が鳴り響く音が聞こえてきた。
一体なんだろう?
「にゃ。猫の行商人が来たようですにゃ」
「猫の行商人。ああ、あれからもう5日もたつのか」
「はいですにゃ。早く小屋へと戻るのですにゃ。いないと思われると別の場所に行ってしまいますにゃ」
ホーフーンに急かされ、トラクターのハンドルを切り小屋へと向かう。
小屋の方に向かうと見えてきたのは大きな犬がつながれた馬車。
犬と言っても馬並みの体格があり、それが2匹もつながれている。
相当力がありそう。
馬車も小型トラクターより数倍大きいし、たくさんの物が持ち運べそうだ。
馬車……犬車の前にはひとりのケットシーがいた。
ここからでは性別の判別が付かない。
行商人らしく、旅人風の姿をしていてつばの広い帽子をかぶっているからだ。
ただ、そのケットシーも大きな音を立てて近づいてくる小型トラクターには驚いている様子である。
「ニャ、なんなのニャ!?」
「待たせましたにゃ、クーオ」
「あ、ホーフーン様! この乗り物はなんニャ!?」
「その説明はあとですにゃ。まずは買い物ですにゃ」
「はっ!? そうでしたニャ!」
僕が小型トラクターから降りると、そのケットシーは僕に向かって優雅なお辞儀をしてみせる。
帽子の下から出てきた顔はシャム猫種のケットシーだった。
「初めまして。私、クーオと申しますニャ。メスのケットシー、シャム猫種でございますニャ。以後、よろしくお願いしますニャ」
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