9 / 71
第一章 僕たちの出会いとスキル〝農業機器〟
9. 『小型種まき機』と『猫の行商人』
しおりを挟む
小型耕運機を使うようになってたった2日間で、20日間かけて草を切り開いたすべての土地を開墾することが出来た。
でも、まだ新しい農業機器は出てきていないのでもっと開墾する必要があるんだろう。
仕方がないので、またホーフーンと手分けして草を切り開き、ある程度の土地を綺麗にしたら小型トラクターと小型耕運機で耕すを繰り返す。
そんな日々を10日間ほど続けた結果、新しい農業機器がようやく使えるようになった。
それは……。
「ふむ、『小型種まき機』ですかにゃ」
「そうらしい。取り出してみる?」
「お願いしますにゃ。まずは解析ですにゃ」
スキルを使って小型種まき機を取り出す。
小型種まき機も小型トラクターに取り付けて使う農業機器のようだ。
小型耕運機と同じように小型トラクターにつなぐための棒が突き出ている。
他にも開けられる蓋がとりついており、なにかを入れることが出来るみたいだ。
一体なんのための蓋なんだろう?
「ううむ。これは困りましたにゃ」
「困ったって?」
「『小型種まき機』ですが、その名前の通り種を蒔くための機械ですにゃ」
「うん、それはなんとなくわかる」
「……吾輩たち、種を持っていませんにゃ」
「……あ」
そうだった。
いままでは土地の開墾ばかりだから問題なかったけど、本来農業をするにはなにを育てるにも『種』が必要だ。
僕は着の身着のまま追い出されたから種なんて持っているわけがないし、ホーフーンだって植物の種なんて持っていないだろう。
さて、どうしようか……。
「……困ったときは商人に頼りますにゃ。『猫の行商人』なら大丈夫ですにゃ」
「『猫の行商人』? ケットシー族の行商人のこと?」
「はいですにゃ。とある方法で世界中を股にかけて移動し続けている行商人ですにゃ。いまは持っていなくともすぐに仕入れてきてくれるはずですにゃ」
なんだかすごい行商人がいるみたいだ。
ホーフーンはすぐにその行商人を呼ぶ準備をすると言って小屋へと戻って行き、僕は野良作業の続きをする。
夕食の時に聞いた話だと、行商人が来るまで4日から5日ほどかかるらしい。
特別な連絡方法を使っているらしいけど、あちらに伝わるまで時間がかかるそうだ。
それまでは畑の面積を広げていくことにした。
そして5日後、いつものように小型トラクターに乗って畑を開墾していると鐘が鳴り響く音が聞こえてきた。
一体なんだろう?
「にゃ。猫の行商人が来たようですにゃ」
「猫の行商人。ああ、あれからもう5日もたつのか」
「はいですにゃ。早く小屋へと戻るのですにゃ。いないと思われると別の場所に行ってしまいますにゃ」
ホーフーンに急かされ、トラクターのハンドルを切り小屋へと向かう。
小屋の方に向かうと見えてきたのは大きな犬がつながれた馬車。
犬と言っても馬並みの体格があり、それが2匹もつながれている。
相当力がありそう。
馬車も小型トラクターより数倍大きいし、たくさんの物が持ち運べそうだ。
馬車……犬車の前にはひとりのケットシーがいた。
ここからでは性別の判別が付かない。
行商人らしく、旅人風の姿をしていてつばの広い帽子をかぶっているからだ。
ただ、そのケットシーも大きな音を立てて近づいてくる小型トラクターには驚いている様子である。
「ニャ、なんなのニャ!?」
「待たせましたにゃ、クーオ」
「あ、ホーフーン様! この乗り物はなんニャ!?」
「その説明はあとですにゃ。まずは買い物ですにゃ」
「はっ!? そうでしたニャ!」
僕が小型トラクターから降りると、そのケットシーは僕に向かって優雅なお辞儀をしてみせる。
帽子の下から出てきた顔はシャム猫種のケットシーだった。
「初めまして。私、クーオと申しますニャ。メスのケットシー、シャム猫種でございますニャ。以後、よろしくお願いしますニャ」
でも、まだ新しい農業機器は出てきていないのでもっと開墾する必要があるんだろう。
仕方がないので、またホーフーンと手分けして草を切り開き、ある程度の土地を綺麗にしたら小型トラクターと小型耕運機で耕すを繰り返す。
そんな日々を10日間ほど続けた結果、新しい農業機器がようやく使えるようになった。
それは……。
「ふむ、『小型種まき機』ですかにゃ」
「そうらしい。取り出してみる?」
「お願いしますにゃ。まずは解析ですにゃ」
スキルを使って小型種まき機を取り出す。
小型種まき機も小型トラクターに取り付けて使う農業機器のようだ。
小型耕運機と同じように小型トラクターにつなぐための棒が突き出ている。
他にも開けられる蓋がとりついており、なにかを入れることが出来るみたいだ。
一体なんのための蓋なんだろう?
「ううむ。これは困りましたにゃ」
「困ったって?」
「『小型種まき機』ですが、その名前の通り種を蒔くための機械ですにゃ」
「うん、それはなんとなくわかる」
「……吾輩たち、種を持っていませんにゃ」
「……あ」
そうだった。
いままでは土地の開墾ばかりだから問題なかったけど、本来農業をするにはなにを育てるにも『種』が必要だ。
僕は着の身着のまま追い出されたから種なんて持っているわけがないし、ホーフーンだって植物の種なんて持っていないだろう。
さて、どうしようか……。
「……困ったときは商人に頼りますにゃ。『猫の行商人』なら大丈夫ですにゃ」
「『猫の行商人』? ケットシー族の行商人のこと?」
「はいですにゃ。とある方法で世界中を股にかけて移動し続けている行商人ですにゃ。いまは持っていなくともすぐに仕入れてきてくれるはずですにゃ」
なんだかすごい行商人がいるみたいだ。
ホーフーンはすぐにその行商人を呼ぶ準備をすると言って小屋へと戻って行き、僕は野良作業の続きをする。
夕食の時に聞いた話だと、行商人が来るまで4日から5日ほどかかるらしい。
特別な連絡方法を使っているらしいけど、あちらに伝わるまで時間がかかるそうだ。
それまでは畑の面積を広げていくことにした。
そして5日後、いつものように小型トラクターに乗って畑を開墾していると鐘が鳴り響く音が聞こえてきた。
一体なんだろう?
「にゃ。猫の行商人が来たようですにゃ」
「猫の行商人。ああ、あれからもう5日もたつのか」
「はいですにゃ。早く小屋へと戻るのですにゃ。いないと思われると別の場所に行ってしまいますにゃ」
ホーフーンに急かされ、トラクターのハンドルを切り小屋へと向かう。
小屋の方に向かうと見えてきたのは大きな犬がつながれた馬車。
犬と言っても馬並みの体格があり、それが2匹もつながれている。
相当力がありそう。
馬車も小型トラクターより数倍大きいし、たくさんの物が持ち運べそうだ。
馬車……犬車の前にはひとりのケットシーがいた。
ここからでは性別の判別が付かない。
行商人らしく、旅人風の姿をしていてつばの広い帽子をかぶっているからだ。
ただ、そのケットシーも大きな音を立てて近づいてくる小型トラクターには驚いている様子である。
「ニャ、なんなのニャ!?」
「待たせましたにゃ、クーオ」
「あ、ホーフーン様! この乗り物はなんニャ!?」
「その説明はあとですにゃ。まずは買い物ですにゃ」
「はっ!? そうでしたニャ!」
僕が小型トラクターから降りると、そのケットシーは僕に向かって優雅なお辞儀をしてみせる。
帽子の下から出てきた顔はシャム猫種のケットシーだった。
「初めまして。私、クーオと申しますニャ。メスのケットシー、シャム猫種でございますニャ。以後、よろしくお願いしますニャ」
0
お気に入りに追加
411
あなたにおすすめの小説
えっ、じいちゃん昔勇者だったのっ!?〜祖父の遺品整理をしてたら異世界に飛ばされ、行方不明だった父に魔王の心臓を要求されたので逃げる事にした〜
楠ノ木雫
ファンタジー
まだ16歳の奥村留衣は、ずっと一人で育ててくれていた祖父を亡くした。親戚も両親もいないため、一人で遺品整理をしていた時に偶然見つけた腕輪。ふとそれを嵌めてみたら、いきなり違う世界に飛ばされてしまった。
目の前に浮かんでいた、よくあるシステムウィンドウというものに書かれていたものは『勇者の孫』。そう、亡くなった祖父はこの世界の勇者だったのだ。
そして、行方不明だと言われていた両親に会う事に。だが、祖父が以前討伐した魔王の心臓を渡すよう要求されたのでドラゴンを召喚して逃げた!
追われつつも、故郷らしい異世界での楽しい(?)セカンドライフが今始まる!
※他の投稿サイトにも掲載しています。
キャンピングカーで異世界の旅
モルモット
ファンタジー
主人公と天女の二人がキャンピングカーで異世界を旅する物語。
紹介文
夢のキャンピングカーを手に入れた主人公でしたが 目が覚めると異世界に飛ばされていました。戻れるのでしょうか?そんなとき主人公の前に自分を天女だと名乗る使者が現れるのです。
彼女は内気な性格ですが実は神様から命を受けた刺客だったのです。
【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-
ジェルミ
ファンタジー
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
その条件として女神に『面白楽しく生活でき、苦労をせずお金を稼いで生きていくスキルがほしい』と無理難題を言うのだった。
困った女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。
この味気ない世界を、創生魔法とカスタマイズ可能なストレージを使い、美味しくなる調味料や料理を作り世界を変えて行く。
はい、ご注文は?
調味料、それとも武器ですか?
カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく。
村を開拓し仲間を集め国を巻き込む産業を起こす。
いずれは世界へ通じる道を繋げるために。
※本作はカクヨム様にも掲載しております。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。
神々の間では異世界転移がブームらしいです。
はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》
楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。
理由は『最近流行ってるから』
数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。
優しくて単純な少女の異世界冒険譚。
第2部 《精霊の紋章》
ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。
それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。
第3部 《交錯する戦場》
各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。
人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。
第4部 《新たなる神話》
戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。
連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。
それは、この世界で最も新しい神話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる