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第一章 僕たちの出会いとスキル〝農業機器〟
7. 『小型トラクター』
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ホーフーンも加わっての草刈りは順調に進んでいった。
ひとりの時よりもふたりの方が当然早いし、広い範囲の草を刈れる。
だけど、なかなか農業機器スキルのレベルは上がってくれない。
結局、レベル3に上がったのはホーフーンとふたりで草刈りを始めてから10日後のことだった。
「ホーフーン、スキルレベルが上がったよ」
「ようやくですかにゃ。意外と重労働でしたにゃ」
「そうだね。今回増えたのは……『小型トラクター』と『小型耕運機』?」
「はて、なんでしょうかにゃ? 早速呼び出してみるにゃ」
「わかった。えい!」
僕はスキルを使って『小型トラクター』と『小型耕運機』を呼び出す。
いつも通り目の前で光を放ったあと残されたのは、大きな鉄の箱と鉄で出来た棒のような物だ。
大きな鉄の箱には車輪が4つ付いており、鉄製ではないのか押すと弾力がある。
箱にはひとり分の椅子が付いているけど馭者席などはなし。
そもそも、馬などをつなぐ場所もない。
鉄の棒の方は地面に接地する部分が横に渦巻くようにもう一本の棒を内包している。
鉄の棒って形容したけど、この中の棒を保護するための鉄のケースかもしれない。
このケースからは一本飛び出した棒があり、なにかに使われるようだ。
でも、出っ張っているだけでなにに使われるかはよくわからない。
「ほう。これは面白いですにゃ」
「え? 面白いってなにが?」
僕が鉄のケースを調べている間、鉄の箱を調べていたホーフーンがなにかに気がついたようだ。
おそらく『解析』スキルを使って調べたんだろう。
なにがわかったのか早く教えてほしい。
「この箱、『小型トラクター』は人が操って重い物を運んだり別のアタッチメントを付けて作業したりする機械ですにゃ」
「アタッチメント?」
「バオアの側にある『小型耕運機』のようなものですにゃ」
「これがそうなの?」
「そうらしいにゃ。とりあえず『小型トラクター』の乗り方を覚えましょうにゃ」
「うん。わかった」
ホーフーンは僕を鉄のはこの上に付いている部屋の中に入れ、ホーフーンも無理矢理中に入る。
この箱の中からは周囲がよく見渡せるようになっているようだ。
しかも、側面から出っ張っている棒の先には鏡も付いており後ろの方まで見える。
よくできた仕掛けだなあ。
「バオア、感心するのもいいですが、動かし方ですにゃ」
「あ、ごめん、そうだったね」
「まず前進の仕方ですにゃ。バオアの左手側にある3本の棒のうち右端を前に出して右足のペダルを踏むにゃ」
「うん。……っと!?」
指示通り右端の棒を前に出し、右足のところにあるペダルをぐいっと踏み込む。
すると、『小型トラクター』が大きなうなり声を上げて急発進した。
慌ててペダルから足をどけたけど、その勢いのままかなりの距離を進んだよ。
結構怖い乗り物なのかも。
「いきなり踏み込み過ぎにゃ! 慎重にゆっくりと踏むにゃ!」
「ごめん。……あ、今度はゆっくりと進んだ」
「右や左に曲がりたいときはバオアがいま握っている円形の棒を回せばいいにゃ。右に回せば右に、左に回せば左に回るにゃ」
「どれどれ……うわぁ、本当だ!」
「それから、左足のペダルはブレーキにゃ。止まりたいときに踏めばいいにゃ」
「こう、かな? ……あ、止まった」
「前進についての説明は以上にゃ。次、回転についての説明にゃ」
ホーフーンからはこの『小型トラクター』がその場で回転できることと後進出来ることも習った。
しばらくホーフーンと一緒に『小型トラクター』の運転訓練に励む。
最高速度は走るよりも俄然速いし、移動手段としても便利かも。
運転するための席……操縦席に僕とホーフーンが入ると狭いことは玉に瑕だけどね。
ひとりの時よりもふたりの方が当然早いし、広い範囲の草を刈れる。
だけど、なかなか農業機器スキルのレベルは上がってくれない。
結局、レベル3に上がったのはホーフーンとふたりで草刈りを始めてから10日後のことだった。
「ホーフーン、スキルレベルが上がったよ」
「ようやくですかにゃ。意外と重労働でしたにゃ」
「そうだね。今回増えたのは……『小型トラクター』と『小型耕運機』?」
「はて、なんでしょうかにゃ? 早速呼び出してみるにゃ」
「わかった。えい!」
僕はスキルを使って『小型トラクター』と『小型耕運機』を呼び出す。
いつも通り目の前で光を放ったあと残されたのは、大きな鉄の箱と鉄で出来た棒のような物だ。
大きな鉄の箱には車輪が4つ付いており、鉄製ではないのか押すと弾力がある。
箱にはひとり分の椅子が付いているけど馭者席などはなし。
そもそも、馬などをつなぐ場所もない。
鉄の棒の方は地面に接地する部分が横に渦巻くようにもう一本の棒を内包している。
鉄の棒って形容したけど、この中の棒を保護するための鉄のケースかもしれない。
このケースからは一本飛び出した棒があり、なにかに使われるようだ。
でも、出っ張っているだけでなにに使われるかはよくわからない。
「ほう。これは面白いですにゃ」
「え? 面白いってなにが?」
僕が鉄のケースを調べている間、鉄の箱を調べていたホーフーンがなにかに気がついたようだ。
おそらく『解析』スキルを使って調べたんだろう。
なにがわかったのか早く教えてほしい。
「この箱、『小型トラクター』は人が操って重い物を運んだり別のアタッチメントを付けて作業したりする機械ですにゃ」
「アタッチメント?」
「バオアの側にある『小型耕運機』のようなものですにゃ」
「これがそうなの?」
「そうらしいにゃ。とりあえず『小型トラクター』の乗り方を覚えましょうにゃ」
「うん。わかった」
ホーフーンは僕を鉄のはこの上に付いている部屋の中に入れ、ホーフーンも無理矢理中に入る。
この箱の中からは周囲がよく見渡せるようになっているようだ。
しかも、側面から出っ張っている棒の先には鏡も付いており後ろの方まで見える。
よくできた仕掛けだなあ。
「バオア、感心するのもいいですが、動かし方ですにゃ」
「あ、ごめん、そうだったね」
「まず前進の仕方ですにゃ。バオアの左手側にある3本の棒のうち右端を前に出して右足のペダルを踏むにゃ」
「うん。……っと!?」
指示通り右端の棒を前に出し、右足のところにあるペダルをぐいっと踏み込む。
すると、『小型トラクター』が大きなうなり声を上げて急発進した。
慌ててペダルから足をどけたけど、その勢いのままかなりの距離を進んだよ。
結構怖い乗り物なのかも。
「いきなり踏み込み過ぎにゃ! 慎重にゆっくりと踏むにゃ!」
「ごめん。……あ、今度はゆっくりと進んだ」
「右や左に曲がりたいときはバオアがいま握っている円形の棒を回せばいいにゃ。右に回せば右に、左に回せば左に回るにゃ」
「どれどれ……うわぁ、本当だ!」
「それから、左足のペダルはブレーキにゃ。止まりたいときに踏めばいいにゃ」
「こう、かな? ……あ、止まった」
「前進についての説明は以上にゃ。次、回転についての説明にゃ」
ホーフーンからはこの『小型トラクター』がその場で回転できることと後進出来ることも習った。
しばらくホーフーンと一緒に『小型トラクター』の運転訓練に励む。
最高速度は走るよりも俄然速いし、移動手段としても便利かも。
運転するための席……操縦席に僕とホーフーンが入ると狭いことは玉に瑕だけどね。
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