農業機器無双! ~農業機器は世界を救う!~

あきさけ

文字の大きさ
上 下
4 / 71
第一章 僕たちの出会いとスキル〝農業機器〟

4. 世界樹の森で迎える初めての朝

しおりを挟む
「う、うーん」

 窓から漏れる日差しを受けて僕は目を覚ました。
 そうか、そういえば世界樹の森にある小屋の中で寝たんだっけ。
 がっしりとした木組みの小屋は多少のことで揺らがないだろう。
 本当にいい場所が見つかったな。

 ……あれ、ホーフーンがいない。
 どこに行ったんだろう?

「おや? 目を覚ましましたかにゃ?」

「あ、ホーフーン。どこに行ってたの?」

「食料を探しに行ってましたにゃ。いやはや、やはり世界樹の森は素材が豊富にゃ」

 入り口から僕のそばまでやってきたホーフーンは持っていた袋の中身を見せてくれた。
 中には昨日も見た果物の他に山菜やキノコが入っている。
 果物はわかるけど山菜やキノコは……ああ、ホーフーンのスキルで毒がないかわかるんだっけ。
 じゃあ、安心して食べられるな。

「とりあえず朝ごはんにしましょうにゃ。果物だけでは味気ないですから山菜とキノコも焼きましょうにゃ」

「焼くって……火はどうするの?」

「魔法でおこしますにゃ。薪は外にありましたにゃ。山菜とキノコを焼く準備をしておくのでバオアは薪を取ってきてほしいにゃ」

「うん、わかった」

 ホーフーンに頼まれて外に出てみると、すがすがしい青空が広がっていた。
 日は大分高くなっており、結構寝過ごしたことがわかる。
 ホーフーンが言っていた薪は……ああ、小屋の横に薪置き場があった。
 隣には古びた井戸もある。
 薪はここから持っていけばいいのか。
 でも、僕の背丈よりも高く、幅も僕が大股で数歩歩かないといけないほど幅広く積まれているけど、これ何十日分くらいの薪なんだろう?
 そもそも使い切ったらどうすればいいのかな?
 普通に薪を切り出しに行くにも斧がない。
 生活用品がいろいろ足りないな……。

「バオア、薪はまだですかにゃ?」

「あ、うん、すぐに持っていく」

 今後のことを考えていたらホーフーンに急かされてしまった。
 先のことよりもいまのことだよね。
 僕はすぐに薪を持って小屋の中に戻る。
 小屋の中ではホーフーンがナイフで山菜とキノコを食べやすい大きさに切り分け、鉄串に刺して待っていた。

「薪は持ってきてくれましたかにゃ? こちらに竈があるので薪を入れてくださいにゃ」

 ホーフーンが指し示した先には確かに竈がある。
 僕がその中に薪を並べると入れ替わりにホーフーンがやってきて薪を指さす。
 すると、竈の中の薪に一瞬で火が付いた。
 すごい、これが魔法!

「にゃ? 魔法を見るのは初めてですかにゃ?」

「うん。僕は使えなかったし、家族も使用人も使っているところを見たことがなかったからね」

「そうですかにゃ? バオアにも魔法の才能はありそうですがにゃ」

「そんなこと言われても使えないよ」

「まあ、正式な使い方を知らないと使えないのかもしれませんにゃ。とりあえずいまは山菜とキノコを焼くにゃ」

 ホーフーンは山菜とキノコの串を取りに行った。
 僕にも魔法が使えるんだろうか?
 魔法ってスキルとは関係ないのかな?
 よくわからないけど、まずは朝ご飯にしよう。
 山菜とキノコの焼ける匂いもたまらないしね。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

やさしい魔法と君のための物語。

雨色銀水
ファンタジー
これは森の魔法使いと子供の出会いから始まる、出会いと別れと再会の長い物語――。 ※第一部「君と過ごしたなもなき季節に」編あらすじ※ かつて罪を犯し、森に幽閉されていた魔法使いはある日、ひとりの子供を拾う。 ぼろぼろで小さな子供は、名前さえも持たず、ずっと長い間孤独に生きてきた。 孤独な魔法使いと幼い子供。二人は不器用ながらも少しずつ心の距離を縮めながら、絆を深めていく。 失ったものを埋めあうように、二人はいつしか家族のようなものになっていき――。 「ただ、抱きしめる。それだけのことができなかったんだ」 雪が溶けて、春が来たら。 また、出会えると信じている。 ※第二部「あなたに贈るシフソフィラ」編あらすじ※ 王国に仕える『魔法使い』は、ある日、宰相から一つの依頼を受ける。 魔法石の盗難事件――その事件の解決に向け、調査を始める魔法使いと騎士と弟子たち。 調査を続けていた魔法使いは、一つの結末にたどり着くのだが――。 「あなたが大好きですよ、誰よりもね」 結末の先に訪れる破滅と失われた絆。魔法使いはすべてを失い、物語はゼロに戻る。 ※第三部「魔法使いの掟とソフィラの願い」編あらすじ※ 魔法使いであった少年は罪を犯し、大切な人たちから離れて一つの村へとたどり着いていた。 そこで根を下ろし、時を過ごした少年は青年となり、ひとりの子供と出会う。 獣の耳としっぽを持つ、人ならざる姿の少女――幼い彼女を救うため、青年はかつての師と罪に向き合い、立ち向かっていく。 青年は自分の罪を乗り越え、先の未来をつかみ取れるのか――? 「生きる限り、忘れることなんかできない」 最後に訪れた再会は、奇跡のように涙を降らせる。 第四部「さよならを告げる風の彼方に」編 ヴィルヘルムと魔法使い、そしてかつての英雄『ギルベルト』に捧ぐ物語。 ※他サイトにも同時投稿しています。

えっ、じいちゃん昔勇者だったのっ!?〜祖父の遺品整理をしてたら異世界に飛ばされ、行方不明だった父に魔王の心臓を要求されたので逃げる事にした〜

楠ノ木雫
ファンタジー
 まだ16歳の奥村留衣は、ずっと一人で育ててくれていた祖父を亡くした。親戚も両親もいないため、一人で遺品整理をしていた時に偶然見つけた腕輪。ふとそれを嵌めてみたら、いきなり違う世界に飛ばされてしまった。  目の前に浮かんでいた、よくあるシステムウィンドウというものに書かれていたものは『勇者の孫』。そう、亡くなった祖父はこの世界の勇者だったのだ。  そして、行方不明だと言われていた両親に会う事に。だが、祖父が以前討伐した魔王の心臓を渡すよう要求されたのでドラゴンを召喚して逃げた!  追われつつも、故郷らしい異世界での楽しい(?)セカンドライフが今始まる!  ※他の投稿サイトにも掲載しています。

キャンピングカーで異世界の旅

モルモット
ファンタジー
主人公と天女の二人がキャンピングカーで異世界を旅する物語。 紹介文 夢のキャンピングカーを手に入れた主人公でしたが 目が覚めると異世界に飛ばされていました。戻れるのでしょうか?そんなとき主人公の前に自分を天女だと名乗る使者が現れるのです。 彼女は内気な性格ですが実は神様から命を受けた刺客だったのです。

【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-

ジェルミ
ファンタジー
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 その条件として女神に『面白楽しく生活でき、苦労をせずお金を稼いで生きていくスキルがほしい』と無理難題を言うのだった。 困った女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 この味気ない世界を、創生魔法とカスタマイズ可能なストレージを使い、美味しくなる調味料や料理を作り世界を変えて行く。 はい、ご注文は? 調味料、それとも武器ですか? カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく。 村を開拓し仲間を集め国を巻き込む産業を起こす。 いずれは世界へ通じる道を繋げるために。 ※本作はカクヨム様にも掲載しております。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

END-GAME【日常生活編】

孤高
ファンタジー
この作品は本編の中に書かれていない日常を書いてみました。どうぞご覧ください 本編もよろしくです! 毎日朝7時 夜7時に投稿

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

処理中です...