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第二部 医学の知識と若木の令嬢 第十章 村の病を治療せよ
99. 根源の魔物退治
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残っていた村人たちにも念のため浄化の炎を浴びてもらい、騒動はひとまず終わりを迎えた。
次は魔物の種がどこから感染し始めたのかを調べることらしいよ。
「さて、感染源ですが……この場合、水か食料の場合が多いのですよ」
「そうなんですか? ローレンさん」
「はい。体内に寄生するタイプの魔物は、食事と一緒に取り込まれることがほとんどなのです。さて、どこをまず調べるべきか」
「それでしたらまずは井戸をお調べください」
井戸を調べるように進言してくれたのは、さっきの村人さん。
なにか事情を知っているのかな?
「正気を失った者たちの多くは、同じ地域の井戸を使っております。そこが感染源の可能性が高いかと」
「わかりました。それではそちらに案内してください」
村人さんに案内されてひとつの井戸の前へと到着した。
試しに水をひとすくいしてみたけど、見た限りなにもおかしなところはない。
ここからはどうやって調べるのかな?
「ふむ、それでは試薬を使いましょうか」
「試薬?」
「はい。魔物の魔力に反応し水の色が変わる試薬です。見ていてください」
ローレンさんがカバンから取り出した粉末を水に入れると、水の色が赤く染まっていった。
これが魔物の棲み着いている水っていうことかな?
「ふむ、やはり魔物がいましたか。感染源はこの井戸がメインでしょうね」
「メイン? 他にもあるのですか?」
「はい。他にもある可能性があります。一度、村の井戸すべてを調べさせてください」
「わかりました。案内します」
ローレンさんと村人さんの間で話がまとまり、私たちはすべての井戸を見て回ることになった。
結果、魔物がいたのは最初の井戸だけで他の井戸では反応なし。
これってどういうことだろう?
「ふむ、これは……」
「おい、ローレン。一体どういう状況だ?」
「ああ、すみません、アーテル様。可能性としては、井戸の内部にその魔物の根が生えている可能性があります。そうなると、その根を排除しない限り、水が安全にはなりません」
「なるほど。具体的には?」
「ノヴァ様に浄化の炎で焼いていただくのが得策でしょう。火力も高いですし」
「だそうだが、構わないか、ノヴァ?」
「はい、大丈夫です!」
「ただ、それだけでは一時的な対処のみ。問題は本体を見つけ出し、討伐する必要があります」
「だろうな。で、本体ってのはどこにいる?」
「そこまでは私にも……。魔物はおそらく〝パペットツリー〟でしょう。そう遠くにはいないはずです」
「パペットツリーか。確か普通の木に擬態している魔物だったな。根を焼かれれば反応するか?」
「多少は反応するでしょう。そこを見極めてください」
「よっしゃ。冒険者は村の周囲なる木々を監視に回れ! 準備ができ次第、根を焼く!」
アーテルさんの号令で冒険者さんたちが動き出す。
この村は森からも離れているから、村の近くにある木って少ないんだよね。
おかげで数本ごとに冒険者さんをひとり見張りにつけることが出来たみたい。
準備が終わったら私は井戸の中に向けて思いっきり浄化の炎を放った。
すると井戸の中からなにかが伸びてこようとしたけど、途中で焼かれて灰になってしまう。
あれが魔物の根だったんだね。
「アーテル! 村の東にあった木が派手に動いたらしい! もう戦闘が始まっている!」
「そうか、わかった! 俺もすぐそちらに向かう! ノヴァ、お前の役割はここまでだ。あとは俺たち冒険者に任せろ」
「うん、わかった」
アーテルさんも駆けだしていき、魔物は数分で倒されてしまったらしい。
念のため浄化の炎で念入りに焼かれたらしいし、この村の脅威は去ったといってもいいだろう。
ローレンさんが調べたら、この魔物がいままで通りかかった村を襲っていた魔物とみて間違いないらしいしね。
症状が一致しないのは、体力低下の症状を引き起こす前に凶暴化の症状を起こしたからだそうだ。
ローレンさんの読みではこの村では水源が複数あり、感染者を増やせなかったため、強制的に増やそうとしたのだろうと考えている。
なにはともあれ、解決したのならいいことだね。
とりあえず、この井戸も浄化の炎で焼いたから井戸水が大丈夫になっているはずだし、村に活気が戻ってくれるといいな。
次は魔物の種がどこから感染し始めたのかを調べることらしいよ。
「さて、感染源ですが……この場合、水か食料の場合が多いのですよ」
「そうなんですか? ローレンさん」
「はい。体内に寄生するタイプの魔物は、食事と一緒に取り込まれることがほとんどなのです。さて、どこをまず調べるべきか」
「それでしたらまずは井戸をお調べください」
井戸を調べるように進言してくれたのは、さっきの村人さん。
なにか事情を知っているのかな?
「正気を失った者たちの多くは、同じ地域の井戸を使っております。そこが感染源の可能性が高いかと」
「わかりました。それではそちらに案内してください」
村人さんに案内されてひとつの井戸の前へと到着した。
試しに水をひとすくいしてみたけど、見た限りなにもおかしなところはない。
ここからはどうやって調べるのかな?
「ふむ、それでは試薬を使いましょうか」
「試薬?」
「はい。魔物の魔力に反応し水の色が変わる試薬です。見ていてください」
ローレンさんがカバンから取り出した粉末を水に入れると、水の色が赤く染まっていった。
これが魔物の棲み着いている水っていうことかな?
「ふむ、やはり魔物がいましたか。感染源はこの井戸がメインでしょうね」
「メイン? 他にもあるのですか?」
「はい。他にもある可能性があります。一度、村の井戸すべてを調べさせてください」
「わかりました。案内します」
ローレンさんと村人さんの間で話がまとまり、私たちはすべての井戸を見て回ることになった。
結果、魔物がいたのは最初の井戸だけで他の井戸では反応なし。
これってどういうことだろう?
「ふむ、これは……」
「おい、ローレン。一体どういう状況だ?」
「ああ、すみません、アーテル様。可能性としては、井戸の内部にその魔物の根が生えている可能性があります。そうなると、その根を排除しない限り、水が安全にはなりません」
「なるほど。具体的には?」
「ノヴァ様に浄化の炎で焼いていただくのが得策でしょう。火力も高いですし」
「だそうだが、構わないか、ノヴァ?」
「はい、大丈夫です!」
「ただ、それだけでは一時的な対処のみ。問題は本体を見つけ出し、討伐する必要があります」
「だろうな。で、本体ってのはどこにいる?」
「そこまでは私にも……。魔物はおそらく〝パペットツリー〟でしょう。そう遠くにはいないはずです」
「パペットツリーか。確か普通の木に擬態している魔物だったな。根を焼かれれば反応するか?」
「多少は反応するでしょう。そこを見極めてください」
「よっしゃ。冒険者は村の周囲なる木々を監視に回れ! 準備ができ次第、根を焼く!」
アーテルさんの号令で冒険者さんたちが動き出す。
この村は森からも離れているから、村の近くにある木って少ないんだよね。
おかげで数本ごとに冒険者さんをひとり見張りにつけることが出来たみたい。
準備が終わったら私は井戸の中に向けて思いっきり浄化の炎を放った。
すると井戸の中からなにかが伸びてこようとしたけど、途中で焼かれて灰になってしまう。
あれが魔物の根だったんだね。
「アーテル! 村の東にあった木が派手に動いたらしい! もう戦闘が始まっている!」
「そうか、わかった! 俺もすぐそちらに向かう! ノヴァ、お前の役割はここまでだ。あとは俺たち冒険者に任せろ」
「うん、わかった」
アーテルさんも駆けだしていき、魔物は数分で倒されてしまったらしい。
念のため浄化の炎で念入りに焼かれたらしいし、この村の脅威は去ったといってもいいだろう。
ローレンさんが調べたら、この魔物がいままで通りかかった村を襲っていた魔物とみて間違いないらしいしね。
症状が一致しないのは、体力低下の症状を引き起こす前に凶暴化の症状を起こしたからだそうだ。
ローレンさんの読みではこの村では水源が複数あり、感染者を増やせなかったため、強制的に増やそうとしたのだろうと考えている。
なにはともあれ、解決したのならいいことだね。
とりあえず、この井戸も浄化の炎で焼いたから井戸水が大丈夫になっているはずだし、村に活気が戻ってくれるといいな。
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