辺境の街で雑貨店を営む錬金術士少女ノヴァ ~魔力0の捨てられ少女はかわいいモフモフ聖獣とともにこの地では珍しい錬金術で幸せをつかみ取ります~

あきさけ

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第一部 辺境の街で雑貨店を営む錬金術士少女 第四章 裏庭を薬草採取の畑にしよう

24. 完成! わたしの薬草畑!

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 森から帰ってきたあとはちょっと大変だった。
 スピカさんに不要な心配をさせてしまったらしい。
 人相の悪い男たちを引き渡すのに時間がかかってしまい、帰るのが遅くなっちゃったからだ。
 まったく、面倒な連中だったね。
 でも、薬草畑の素材はあるし許そう。
 もうあの男たちとわたしが会うこともないらしいし。

「ノヴァちゃん、薬草はたくさん採れたのかい?」

 スピカさんの雑貨店に帰ってきて夕食を食べたあと、スピカさんに聞かれた。
 わたしはもちろんこう答える。

「はい! 見たこともない素材もたくさんありました! まだ元気がない子たちもいるけど、そういう子たちは育てるので大丈夫です!」

「おやおや。あたしの家の裏庭も賑やかになりそうだねぇ」

「一面、薬草だらけの畑にしてみせますよ!」

「それは楽しみだ。明日から早速作業を始めるのかい?」

「そのつもりです。まずは、地面を柔らかくして石を取り除く作業ですね」

「ふむ、そこは普通の農作業と変わらないか。それが終わったらどうするんだい?」

「土がふかふかになったら草花を植え、魔法で元気にしてあげます。そうすれば土地も草花にあった栄養をふんだんに取り込んでくれるんですよ!」

「ほほう、そいつはすごそうだ。楽しみだねぇ」

「はい! 楽しみにしていてください!」

 そして翌日、いよいよ薬草畑を作るための作業が始まる。
 まずは、いまいる草花をどけるところからかな。
 巻き込んでしまったらかわいそうだもんね。

「これも土魔法でよいしょっと」

 土魔法を使って根元から引き抜いてあげる。
 あとでこの子たちも埋め直してあげなくちゃね。

「さて次は、地面の掘り直しかな。邪魔な石をすべて取り除かないと」

「にゃうにゃ」

「シシも手伝ってくれるの? じゃあ、一緒にやろうか!」

 シシと一緒に裏庭一帯へと魔力を浸透させ、土の中にある硬い物を見つける。
 見つけたらそれを地面の上まで押し上げてくればひとつ完了。
 これを何十個と繰り返して全部の石を取り除いていくんだ。
 普通だったらかなり辛いかも。

「おーい、ノヴァ。手伝いに来たぞ……ってなにやっているんだ?」

「あれ、アーテルさん。いまは石を取り除いているところですよ」

「石を取り除く? 掘り返してもいないのにか?」

「掘り返す必要はまだないですよ。ほら、ああやって石が出てくるんです」

 わたしが指を差したところでは、シシが地面の中から一個の石を取り出したところだ。
 アーテルさんからするとなにもないところから石が出てきているように見えるのかな?
 すっごく驚いている。

「あれ、どうやっているんだ?」

「土の中から石だけをとりだしているんです。難しい事じゃないですよ?」

「いや、すげえ難しい事だからな」

「そうですか?」

「ああ。それで、その辺に転がっている石はどうするんだ?」

「あとでまとめて捨てるつもりです。転がしておいても邪魔ですから」

「わかった。俺はあれを拾ってきてやる。石はどこに捨てればいい?」

「それじゃあ、とりあえずわたしのところに持って来てください。バッグにしまっておいて邪魔にならないところで捨てます」

「了解。大容量のマジックバッグってのもうらやましいよな」

 このバッグだってお母さんからのもらい物だから知らないよ。
 ともかく、アーテルさんが石拾いをしてくれるおかげで作業はぐんぐん進んでいった。
 このペースなら午前中には石出しが終わりそう。

「うーん、この魔法ももう少し改良したいところだよね」

「うにゃぁ」

「かと言って、畑から石をはじき出すのも危ないし、考えものかな」

「うにゃにゃ?」

「地面の中で石を粉々に砕く? それもいいかもしれないけれど、土が硬くならないかなぁ?」

「にゃふぅ」

「おーい、もう終わりか?」

 シシと考えごとをしていたら石を出す手が止まっていたみたい。
 アーテルさんから声をかけられてしまった。

「あ、まだあります。ちょっと待っててください」

「了解。そっちも大変だろうから、のんびりでいいぞ」

「はーい」

「にゃーう」

 そう言えば、こっちはシシとふたりがかりなのに、アーテルさんはひとりで全部の石を片付けているよね?
 どうやっているんだろう。
 とにかく、石の取り出しも午前中の間に無事終了。
 お昼ご飯を食べたら午後の作業、草花の植え付け開始だ。
 もっとも、こっちはすぐに終わるんだけど。
 魔力で浮かばせた草花に土魔法をかけ、地面に植えれば完了。
 どの子が日当たりがいい場所が好きで、どの子が日当たりのよくない場所が好きかも覚えている。
 幸い、スピカさんの雑貨店の裏庭には低木の覆い茂っている場所があったから、そこを日陰として活用させてもらうことにしたんだ。
 上手く育ってくれるといいなぁ。

「しかし、魔法で畑を作るとこうなるのか。一瞬だったな」

 アーテルさんが感心したように言うけど当然だと思う。
 たくさん草花を採取してきたんだから、それをひとつひとつ植えている時間なんてないよ。

「結構デリケートな魔法なんですよ? 根を傷めないように植えたりする必要がありますから」

「そうなのか。でも、お前とシシなら出来るんだよな? お前、農家の手伝いとかも出来るんじゃないのか?」

「わかりません。やったことがないですから」

「……それもそうか」

 農家の仕事なんてやったことがないから出来るかどうかわからない。
 わたしは錬金術士なんだから基本的に錬金術がお仕事なんだからね。
 このあと、草花に魔法で水や栄養を与えたらその日の作業は終了。
 あとは一週間くらい毎日水と栄養を与え続ければ……出来た!

「出来ました! わたしの薬草畑です!」

「はー、想像よりもしっかりとした畑なんだな」

「む。アーテルさんはどんな畑を想像していたんですか?」

「いや。その辺の草を使っているから、草むらみたいになっているのかと」

「いずれはそうなっていきます。でも、第一段階はこれで十分です!」

「やっぱり草むらになるのかよ……」

 アーテルさんが呆れているけど気にしない!
 さて、今日はどの子たちの調子がいいのかな?
 久しぶりのお薬作り、楽しまなくちゃ!
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