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第3部 〝ペットテイマー〟、〝オークの砦〟を攻める エピローグ 凱旋
99. アイリーンの街への凱旋
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昨日は酷い目にあった……。
お酒を飲んだことがないって言ったのにお酒を飲まされて、三口くらい飲んだあとから記憶がないんだもん。
気がついたらテントの中で寝かされていて、時間はもう夕暮れ時。
サンドロックさんにもデイビッド教官にも謝られて「お前は二度と酒を飲むな」とまで忠告されたし、そんなに酒癖が酷かったのかなぁ。
祝勝会が終わった翌日からはアイリーンの街へと帰還する準備に入った。
私はアイリーンの街まで行って動けなくなった人たち用の馬車を手配してこようとしたんだけど、今度もまた「戦功1位が走り回るな!」と止められてしまうし。
私、みんなの役に立てればそれでよかったんだけどな。
そんなわけで私が許されていることは負傷者の手当くらいのみ。
シラタマと一緒に《命魔法》を使って治せる範囲の傷を治してあげる。
それでも治せないほど重症を負った冒険者たちも多いんだけれど、痛みの緩和にはなるから多少の役には立てているはずなんだ。
ともかく、救護所は大忙し。
私は邪魔にならない範囲で動いているけれど、専門の治癒術士さんたちは本当に大変そう。
そんな中にひとり見知った顔を見つけた。
「ベティ?」
「シズクさん? 治療を手伝ってくれていたんですか?」
「ああ、うん。私がいまできることって回復魔法をかけて歩くことくらいだから」
「そんな気遣い必要ないのに。シズクさんだって疲れているんでしょうから休んでいてください」
「私は大丈夫だよ。昨日も結構休んだし」
「そうなんですか? ……あ、私、もうすぐ休憩時間なので少し話に付き合っていただけますか?」
「いいよ。それじゃあ、それまで私はこっちで回復魔法をかけて回るね」
「わかりました。お願いします」
ベティも疲れた顔をしていたけれど、きちんと働けていたんだ。
まだ落ち込んでいたらどうしようかと思ってたよ。
そのまま私が救護所で《命魔法》をかけ続けているとベティが呼びにきたので、一緒に救護所を出て一休みすることにした。
「シズクさん。この間はありがとうございました。本営の救援に駆けつけてくれて」
「ううん。私たちも襲われていたから救援に駆けつけるのが遅くなっちゃったし」
「いえ。まだ間に合った方です。バリケードは三重にしてあったんですが、残りひとつのところまで破られていましたし、それがなくなれば本当に私たちはオークに皆殺しでしたから」
「……ごめんね。もっと早く駆けつけていればルイスたちも」
「ルイスたちが死んだのはかなり早い段階でした。シズクさんが早く駆けつけてくれていても間に合いませんでしたよ」
「でも……」
「こうなる可能性だって覚悟して志願し、乗り込んで来たんです。シズクさんだって死ぬ覚悟はできてましたよね?」
「まあ、ね。私はメイナお姉ちゃんやミーベルンに生きて帰るって約束しているから、絶対死んでやるものかって意地はあったけれど、冒険者をやっている以上はどこかで死ぬかもしれない覚悟はあるよ」
「私たちも同じでした。前線部隊よりは安全な守備隊を任されたのは幸運だと感じていましたが、そんな甘い考えがあったからこそ油断も生まれたんだと思います。私は『治癒術士』だから、最後衛の救護隊に加わりました。それだって命がけだったんだってそのとき思い知らされたんですよ。本当に甘かったです」
「ベティ……」
「この攻略作戦を経験して初めて思い知りました。『私たちがやっていたのは冒険者ごっこだった』んだなって。最初の頃こそシズクさんと同じランクに上がれたことを喜んでいましたけど、実力は天地ほどの差があった。装備の性能の差とかテイムしている仲間の差とかあるかもしれませんが、それを除いてもシズクさんはやっぱり強かったんです。冬の明け頃にオークの侵攻を受けていた頃からずっと」
そうなのかな?
確かに私はあの時から装備に恵まれていた。
仲間たちだって側にいてくれた。
だけど、それだけだった気がする。
そこまで大きな差はないよね?
「シズクさん。私、施療院に入れることになりました。今回の救護隊における実績を買われて」
「それは、おめでとう、だよね?」
「……仲間が死んだあとに目標を達成するのは心苦しいですが、私が冒険者になった目的は実績を積んで施療院に入ることでしたから」
「そうだったよね。冒険者は辞めるの?」
「はい、辞めます。せっかくいろいろ指導していただいたのに申し訳ありません」
「いいよ、気にしないで」
「ありがとうございます。ロイドとマーゴットは冒険者を続けるそうですが、今後も同じパーティでいられるかどうかまではわからないと言っていました。私たちも転換点だったのだと思います」
「そっか。気持ちの整理はついているんだよね?」
「はい。一晩泣きじゃくりましたが整理はつきました。今後は施療院で医療に携わっていきます」
「わかった。頑張ってね」
「シズクさんも頑張ってください。間違っても、施療院に運ばれてくるほどの大怪我をしないですむように」
「そっちもわかったよ。そろそろ休憩時間も終わりじゃない?」
「そうですね。私は戻ります。シズクさんは?」
「私も回復魔法をかけて歩くよ。他の場所に行くと「大人しく座っていろ」としか言われないもの」
「わかりました。お手伝い、お願いします」
「うん」
この日はこんな感じで1日中救護所のお手伝い。
夕食のときにサンドロックさんに捕まって「お前は本当に大人しくしてろ」って言われたけど、他の人のためにできることがあるならしてあげたいんだよね。
私が変わっているのかな?
********************
その次の日にはアイリーンの街から負傷者を運ぶための馬車隊も到着して救護所の負傷者たちは全員アイリーンの街へと運ばれていった。
それからは各種天幕を片付けて荷馬車へと積み込み、私たちもアイリーンに出発だ。
……サンドロックさんとキントキに乗った私が先頭で。
「あの、サンドロックさん。私が最後尾の方が安全ですよ? 仲間から借りているスキルもありますし」
「うるせぇ。最後尾はデイビッドに任せてあるから心配するな。戦功1位の功労者が最後尾でどうするんだよ、このド阿呆」
うぅ、私の扱いがどんどん持ち上げられていく……。
私はただの〝ウルフ狩りのステップワンダー〟なのに……。
アイリーンの街までこの人数だと1日じゃ着かないから、〝シラタマの丘〟周辺で一夜を明かすことになった。
そのとき、私のことをまだ覚えていたウサギさんたちが寄ってきてご飯をせがみ始めて大変だったよ。
ご飯だけ私が作って他の冒険者さんたちに配ってもらったけど、ご飯を配っていた冒険者さんたちもウサギに絡みつかれて……喜んでいたのかな?
まあ、楽しかったのならいいんじゃないかな、うん。
一夜明けて再びアイリーンの街を目指し始め、昼頃にはアイリーンの街へと到着。
アイリーンの街の前ではケウナコウ様が待っていてくれた。
街の住民たちもその後ろに大勢駆けつけているよ。
「ご苦労、サンドロックギルドマスター。〝オークの砦〟を文字通り粉砕してきたというのはまことか?」
「はい。シズクのペット、キントキの魔法により〝オークの砦〟、並びにその裏口となっていた洞窟を潰して参りました。これでもう、あの地はモンスターの住処になりません」
「よろしい。定期的な巡回は必要だが長年の脅威は去ったということだな?」
「はい。また、戦利品として多数の魔鉄やアダマンタイト、ミスリルを初めとする魔法金属類も手に入れて参りました。後ほど検分していただければ幸いです」
「よかろう。それで、今回の戦功1位は?」
「はい。今回の戦功1位は文句なしでシズクです。私がオークエンプレスと戦っている間、ポイゾネスワイバーンの特殊変異個体を引きつけ続け、その後、単騎での討伐まで成し遂げました。そのほかにも多数の戦功あり。詳しい報告は後日行いますが、我々の間ではシズクが戦功1位にもっとも相応しいと」
「それほどか。シズク、そのポイゾネスワイバーンの特殊変異個体とやらは解体してあるのか?」
「いえ、まだでございます。仕留めるときに魔石を心臓から抜き取りましたが、それ以外は倒した時のまま保存してあります」
「よろしい。それでは、それをここに出してもらえるか?」
え?
あの巨体をここに?
いいの?
「どうした? 取り出せぬのか?」
「ああ、その……非常に大きいものでして……街の横手でも構わないでしょうか?」
「……サンドロックギルドマスター?」
「……その方がよろしいかと」
「わ、わかった。それでは街から少し離れた場所に出してくれ」
「承知いたしました」
私は街からそれなりに離れた場所まで移動すると、《ストレージ》からその巨体を取り出した。
死体として地上に落ちたら、空で戦ってたときよりも大きく感じるんだもんなぁ。
「……サンドロックギルドマスター、本当にこれをシズクひとりで?」
「ついている傷がシズクのやり方そのものでしょう?」
「ついている傷……確かに、腹部から胸まで切り開かれている。これでは〝解体〟の手順だな」
「私は下から見ていましたが、〝解体〟そのものでしたよ? 下腹部にダガーを突き刺し、そのまま胸まで一気に切り開く。そして、心臓から魔石をえぐり出したのですから」
「く、くははは! これだけの大物を狩るときでさえも〝ウルフ狩りのステップワンダー〟は健在か! 生きているモンスターまで〝解体〟するとは恐れ入る!」
「ええ。シズク、俺が倒したオークエンプレスもその横に出してくれ」
「わかりました。こちらになります」
「む、オークエンプレスとはこの程度のサイズなのか?」
「はい。逃げ回りながら魔法を使い続けるだけの小物でした。魔法そのものは強力でしたがそれだけですね」
「なるほど。確かに戦功1位は文句なしでシズクだな!」
うぅ、ケウナコウ様まで……。
街のみんなも大盛り上がりだし。
私、〝ウルフ狩りのステップワンダー〟に戻れるのかなぁ?
お酒を飲んだことがないって言ったのにお酒を飲まされて、三口くらい飲んだあとから記憶がないんだもん。
気がついたらテントの中で寝かされていて、時間はもう夕暮れ時。
サンドロックさんにもデイビッド教官にも謝られて「お前は二度と酒を飲むな」とまで忠告されたし、そんなに酒癖が酷かったのかなぁ。
祝勝会が終わった翌日からはアイリーンの街へと帰還する準備に入った。
私はアイリーンの街まで行って動けなくなった人たち用の馬車を手配してこようとしたんだけど、今度もまた「戦功1位が走り回るな!」と止められてしまうし。
私、みんなの役に立てればそれでよかったんだけどな。
そんなわけで私が許されていることは負傷者の手当くらいのみ。
シラタマと一緒に《命魔法》を使って治せる範囲の傷を治してあげる。
それでも治せないほど重症を負った冒険者たちも多いんだけれど、痛みの緩和にはなるから多少の役には立てているはずなんだ。
ともかく、救護所は大忙し。
私は邪魔にならない範囲で動いているけれど、専門の治癒術士さんたちは本当に大変そう。
そんな中にひとり見知った顔を見つけた。
「ベティ?」
「シズクさん? 治療を手伝ってくれていたんですか?」
「ああ、うん。私がいまできることって回復魔法をかけて歩くことくらいだから」
「そんな気遣い必要ないのに。シズクさんだって疲れているんでしょうから休んでいてください」
「私は大丈夫だよ。昨日も結構休んだし」
「そうなんですか? ……あ、私、もうすぐ休憩時間なので少し話に付き合っていただけますか?」
「いいよ。それじゃあ、それまで私はこっちで回復魔法をかけて回るね」
「わかりました。お願いします」
ベティも疲れた顔をしていたけれど、きちんと働けていたんだ。
まだ落ち込んでいたらどうしようかと思ってたよ。
そのまま私が救護所で《命魔法》をかけ続けているとベティが呼びにきたので、一緒に救護所を出て一休みすることにした。
「シズクさん。この間はありがとうございました。本営の救援に駆けつけてくれて」
「ううん。私たちも襲われていたから救援に駆けつけるのが遅くなっちゃったし」
「いえ。まだ間に合った方です。バリケードは三重にしてあったんですが、残りひとつのところまで破られていましたし、それがなくなれば本当に私たちはオークに皆殺しでしたから」
「……ごめんね。もっと早く駆けつけていればルイスたちも」
「ルイスたちが死んだのはかなり早い段階でした。シズクさんが早く駆けつけてくれていても間に合いませんでしたよ」
「でも……」
「こうなる可能性だって覚悟して志願し、乗り込んで来たんです。シズクさんだって死ぬ覚悟はできてましたよね?」
「まあ、ね。私はメイナお姉ちゃんやミーベルンに生きて帰るって約束しているから、絶対死んでやるものかって意地はあったけれど、冒険者をやっている以上はどこかで死ぬかもしれない覚悟はあるよ」
「私たちも同じでした。前線部隊よりは安全な守備隊を任されたのは幸運だと感じていましたが、そんな甘い考えがあったからこそ油断も生まれたんだと思います。私は『治癒術士』だから、最後衛の救護隊に加わりました。それだって命がけだったんだってそのとき思い知らされたんですよ。本当に甘かったです」
「ベティ……」
「この攻略作戦を経験して初めて思い知りました。『私たちがやっていたのは冒険者ごっこだった』んだなって。最初の頃こそシズクさんと同じランクに上がれたことを喜んでいましたけど、実力は天地ほどの差があった。装備の性能の差とかテイムしている仲間の差とかあるかもしれませんが、それを除いてもシズクさんはやっぱり強かったんです。冬の明け頃にオークの侵攻を受けていた頃からずっと」
そうなのかな?
確かに私はあの時から装備に恵まれていた。
仲間たちだって側にいてくれた。
だけど、それだけだった気がする。
そこまで大きな差はないよね?
「シズクさん。私、施療院に入れることになりました。今回の救護隊における実績を買われて」
「それは、おめでとう、だよね?」
「……仲間が死んだあとに目標を達成するのは心苦しいですが、私が冒険者になった目的は実績を積んで施療院に入ることでしたから」
「そうだったよね。冒険者は辞めるの?」
「はい、辞めます。せっかくいろいろ指導していただいたのに申し訳ありません」
「いいよ、気にしないで」
「ありがとうございます。ロイドとマーゴットは冒険者を続けるそうですが、今後も同じパーティでいられるかどうかまではわからないと言っていました。私たちも転換点だったのだと思います」
「そっか。気持ちの整理はついているんだよね?」
「はい。一晩泣きじゃくりましたが整理はつきました。今後は施療院で医療に携わっていきます」
「わかった。頑張ってね」
「シズクさんも頑張ってください。間違っても、施療院に運ばれてくるほどの大怪我をしないですむように」
「そっちもわかったよ。そろそろ休憩時間も終わりじゃない?」
「そうですね。私は戻ります。シズクさんは?」
「私も回復魔法をかけて歩くよ。他の場所に行くと「大人しく座っていろ」としか言われないもの」
「わかりました。お手伝い、お願いします」
「うん」
この日はこんな感じで1日中救護所のお手伝い。
夕食のときにサンドロックさんに捕まって「お前は本当に大人しくしてろ」って言われたけど、他の人のためにできることがあるならしてあげたいんだよね。
私が変わっているのかな?
********************
その次の日にはアイリーンの街から負傷者を運ぶための馬車隊も到着して救護所の負傷者たちは全員アイリーンの街へと運ばれていった。
それからは各種天幕を片付けて荷馬車へと積み込み、私たちもアイリーンに出発だ。
……サンドロックさんとキントキに乗った私が先頭で。
「あの、サンドロックさん。私が最後尾の方が安全ですよ? 仲間から借りているスキルもありますし」
「うるせぇ。最後尾はデイビッドに任せてあるから心配するな。戦功1位の功労者が最後尾でどうするんだよ、このド阿呆」
うぅ、私の扱いがどんどん持ち上げられていく……。
私はただの〝ウルフ狩りのステップワンダー〟なのに……。
アイリーンの街までこの人数だと1日じゃ着かないから、〝シラタマの丘〟周辺で一夜を明かすことになった。
そのとき、私のことをまだ覚えていたウサギさんたちが寄ってきてご飯をせがみ始めて大変だったよ。
ご飯だけ私が作って他の冒険者さんたちに配ってもらったけど、ご飯を配っていた冒険者さんたちもウサギに絡みつかれて……喜んでいたのかな?
まあ、楽しかったのならいいんじゃないかな、うん。
一夜明けて再びアイリーンの街を目指し始め、昼頃にはアイリーンの街へと到着。
アイリーンの街の前ではケウナコウ様が待っていてくれた。
街の住民たちもその後ろに大勢駆けつけているよ。
「ご苦労、サンドロックギルドマスター。〝オークの砦〟を文字通り粉砕してきたというのはまことか?」
「はい。シズクのペット、キントキの魔法により〝オークの砦〟、並びにその裏口となっていた洞窟を潰して参りました。これでもう、あの地はモンスターの住処になりません」
「よろしい。定期的な巡回は必要だが長年の脅威は去ったということだな?」
「はい。また、戦利品として多数の魔鉄やアダマンタイト、ミスリルを初めとする魔法金属類も手に入れて参りました。後ほど検分していただければ幸いです」
「よかろう。それで、今回の戦功1位は?」
「はい。今回の戦功1位は文句なしでシズクです。私がオークエンプレスと戦っている間、ポイゾネスワイバーンの特殊変異個体を引きつけ続け、その後、単騎での討伐まで成し遂げました。そのほかにも多数の戦功あり。詳しい報告は後日行いますが、我々の間ではシズクが戦功1位にもっとも相応しいと」
「それほどか。シズク、そのポイゾネスワイバーンの特殊変異個体とやらは解体してあるのか?」
「いえ、まだでございます。仕留めるときに魔石を心臓から抜き取りましたが、それ以外は倒した時のまま保存してあります」
「よろしい。それでは、それをここに出してもらえるか?」
え?
あの巨体をここに?
いいの?
「どうした? 取り出せぬのか?」
「ああ、その……非常に大きいものでして……街の横手でも構わないでしょうか?」
「……サンドロックギルドマスター?」
「……その方がよろしいかと」
「わ、わかった。それでは街から少し離れた場所に出してくれ」
「承知いたしました」
私は街からそれなりに離れた場所まで移動すると、《ストレージ》からその巨体を取り出した。
死体として地上に落ちたら、空で戦ってたときよりも大きく感じるんだもんなぁ。
「……サンドロックギルドマスター、本当にこれをシズクひとりで?」
「ついている傷がシズクのやり方そのものでしょう?」
「ついている傷……確かに、腹部から胸まで切り開かれている。これでは〝解体〟の手順だな」
「私は下から見ていましたが、〝解体〟そのものでしたよ? 下腹部にダガーを突き刺し、そのまま胸まで一気に切り開く。そして、心臓から魔石をえぐり出したのですから」
「く、くははは! これだけの大物を狩るときでさえも〝ウルフ狩りのステップワンダー〟は健在か! 生きているモンスターまで〝解体〟するとは恐れ入る!」
「ええ。シズク、俺が倒したオークエンプレスもその横に出してくれ」
「わかりました。こちらになります」
「む、オークエンプレスとはこの程度のサイズなのか?」
「はい。逃げ回りながら魔法を使い続けるだけの小物でした。魔法そのものは強力でしたがそれだけですね」
「なるほど。確かに戦功1位は文句なしでシズクだな!」
うぅ、ケウナコウ様まで……。
街のみんなも大盛り上がりだし。
私、〝ウルフ狩りのステップワンダー〟に戻れるのかなぁ?
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