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第3部 〝ペットテイマー〟、〝オークの砦〟を攻める 第4章 砦内部侵入
91. 潜入準備
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防衛戦の次の日、夜明け前に目を覚ますと無理矢理軽い食事を取り、栄養を補給する。
次に食事ができるタイミングが来るかどうかもわからないからね。
ペットたちにもそれぞれのご飯を与えて、私の準備は完了。
既に起き出し、裏門を見張っているサンドロックさんとデイビッド教官のところに行く。
「おはようございます。サンドロックさん、デイビッド教官」
「おう、シズク」
「よく眠れたか?」
「おかげさまで。よかったんですか、私、また夜の見張り番をしなかったんですけれど」
「お前の体調は万全に整えておきたいからな。いざというときの隠し球、しっかり頼むぞ」
「シズクの出番がないに越したことはない。ただ、相手は〝オークの砦〟だ。中になにが待っているのか想像もできない。準備は怠るな」
「はい」
私たちが会話をしている間にも、ひとりまたひとりと先輩冒険者の方々は集まって来て、やがて全員が揃った。
そこで、サンドロックさんから最後のあいさつが始まる。
「お前ら、ここが最後の戦場だ。ここでやつらの戦力をそぎ落とせないと、アイリーンの街を守れなくなっちまう。作戦内容は変わらず、俺とデイビッドが主導して主力のオークどもを撃破、その間に隠密行動部隊がオークブラックスミスやオークアルケミストを抹殺だ。隠密行動部隊は現存する金属類も持ち帰ってもらえると嬉しい。シズクがいれば《ストレージ》も使えるからな」
うん、私とキントキがいれば《ストレージ》で根こそぎ相手の資源を奪い取れるものね。
使えそうなものは全部いただいて帰ろう!
「俺とデイビッドの班はとにかく上位のオーク狙いだ。オークジェネラルは全員倒す覚悟で挑むぞ。ザコのオークやハイオークが多少逃げ出しても、仕方がないと諦めろ。いまの俺たちじゃ完全殲滅は不可能だ。できれば首魁も倒したいがそこまでたどり着けるかもわからん。いいな。できれば今日中。遅くとも明日にはケリをつける。以上だ」
サンドロックさんの言葉に小声ながらもそれぞれの言葉で応じる先輩冒険者たち。
やっぱり頼もしいなぁ。
「さて、シズク。お前の上司、隠密行動部隊のリーダーを紹介する。スネイル、ちょっときてくれ」
「はい」
やってきたのは小柄な女性の人間。
この人が隠密行動部隊のリーダーなのかな?
「シズク、こいつがスネイル。隠密行動部隊のリーダーだ。お前はこいつの直下に入り指示を聞け。相手にもお前が俺やデイビッドに並ぶ特級戦力だってばれている以上、お前の役目は暗殺よりも囮だ」
「あはは……暴れ過ぎちゃいましたからね」
「暴れすぎたおかげで助かりましたけどね。あらためて、私がスネイル。よろしく、シズクさん」
「よろしくお願いします、スネイルさん」
「よし、あとのことはスネイルに任せる。隠密行動部隊は第1部隊と第2部隊の間に入って侵入開始だ」
いいたいことだけ言い残すと、サンドロックさんは立ち去って行ってしまった。
さて、私が準備するべきものは……。
「シズクさん。あなたの手札、話せるものだけでいいから話してもらえる?」
「構いませんが……急にどうして?」
「私たちの中にも死者や戦線離脱者が数名出ているの。作戦の練り直しが必要なのよ」
なるほど。
最初予定していた方法では制圧が難しくなってしまったわけか。
「構いません。主な魔法は《大地魔法》《嵐魔法》《灼砂魔法》です」
「《大地魔法》砦正面の通用口を塞いだ魔法?」
「はい。そうですよ」
「……ふむ、なるほど。それならいけるかも」
「スネイルさん?」
どうやらスネイルさんの中では、もう戦術が決まっているみたい。
どう戦うんだろう?
「シズクさん。あなた、暗視系のスキルって持っている?」
「はい。ありますが、なにか?」
「じゃあ、私たちの目標がいる部屋の中に入ったら、《大地魔法》で扉も窓もすべてを厚い石の壁で塞いでしまって」
「え、いいんですか? それって逃げ場も……」
「私たちも背水の陣よ。逃げ場など既にないわ」
スネイルさんも覚悟は決まっているんだ。
なら、私にはできることをやろう。
「わかりました。ただ、室内にオークジェネラルやオークバーサーカーがいた場合、私は出入り口を閉ざしたあとそちらの対処に回りますね」
「お願い。私たちの武器も相当性能のいい武器なんだけれど、さすがにオリハルコンの装甲を貫く自信はないもの」
「では、大物狩りは任せてください」
「アサシンやレンジャーがいたら私たちの方で始末するから、気兼ねなく大物狩りに集中して」
「はい!」
このあと、隠密行動部隊全員が呼び集められていまの方針を全員で確認。
反対意見を出す人間はひとりもいなかったよ。
うん、責任重大だね。
「各班、準備はできたか? 砦内に侵入する!」
いよいよ砦攻めが始まるんだ。
大丈夫、だよね?
『なにを心配している、シズク?』
「ミネル」
『シズクなら心配いらないよ』
『むしろ、わちらのことを心配してほしいわさ』
『あたちたちの方が守りが弱いの。この激戦でまたスキルは強くなったけど』
「はは。みんなもまたスキルが強くなってたんだ。強くなったスキルの詳細はまた今度教えてね」
頼もしいなぁ、うちの仲間たち。
私も負けていられないね!
次に食事ができるタイミングが来るかどうかもわからないからね。
ペットたちにもそれぞれのご飯を与えて、私の準備は完了。
既に起き出し、裏門を見張っているサンドロックさんとデイビッド教官のところに行く。
「おはようございます。サンドロックさん、デイビッド教官」
「おう、シズク」
「よく眠れたか?」
「おかげさまで。よかったんですか、私、また夜の見張り番をしなかったんですけれど」
「お前の体調は万全に整えておきたいからな。いざというときの隠し球、しっかり頼むぞ」
「シズクの出番がないに越したことはない。ただ、相手は〝オークの砦〟だ。中になにが待っているのか想像もできない。準備は怠るな」
「はい」
私たちが会話をしている間にも、ひとりまたひとりと先輩冒険者の方々は集まって来て、やがて全員が揃った。
そこで、サンドロックさんから最後のあいさつが始まる。
「お前ら、ここが最後の戦場だ。ここでやつらの戦力をそぎ落とせないと、アイリーンの街を守れなくなっちまう。作戦内容は変わらず、俺とデイビッドが主導して主力のオークどもを撃破、その間に隠密行動部隊がオークブラックスミスやオークアルケミストを抹殺だ。隠密行動部隊は現存する金属類も持ち帰ってもらえると嬉しい。シズクがいれば《ストレージ》も使えるからな」
うん、私とキントキがいれば《ストレージ》で根こそぎ相手の資源を奪い取れるものね。
使えそうなものは全部いただいて帰ろう!
「俺とデイビッドの班はとにかく上位のオーク狙いだ。オークジェネラルは全員倒す覚悟で挑むぞ。ザコのオークやハイオークが多少逃げ出しても、仕方がないと諦めろ。いまの俺たちじゃ完全殲滅は不可能だ。できれば首魁も倒したいがそこまでたどり着けるかもわからん。いいな。できれば今日中。遅くとも明日にはケリをつける。以上だ」
サンドロックさんの言葉に小声ながらもそれぞれの言葉で応じる先輩冒険者たち。
やっぱり頼もしいなぁ。
「さて、シズク。お前の上司、隠密行動部隊のリーダーを紹介する。スネイル、ちょっときてくれ」
「はい」
やってきたのは小柄な女性の人間。
この人が隠密行動部隊のリーダーなのかな?
「シズク、こいつがスネイル。隠密行動部隊のリーダーだ。お前はこいつの直下に入り指示を聞け。相手にもお前が俺やデイビッドに並ぶ特級戦力だってばれている以上、お前の役目は暗殺よりも囮だ」
「あはは……暴れ過ぎちゃいましたからね」
「暴れすぎたおかげで助かりましたけどね。あらためて、私がスネイル。よろしく、シズクさん」
「よろしくお願いします、スネイルさん」
「よし、あとのことはスネイルに任せる。隠密行動部隊は第1部隊と第2部隊の間に入って侵入開始だ」
いいたいことだけ言い残すと、サンドロックさんは立ち去って行ってしまった。
さて、私が準備するべきものは……。
「シズクさん。あなたの手札、話せるものだけでいいから話してもらえる?」
「構いませんが……急にどうして?」
「私たちの中にも死者や戦線離脱者が数名出ているの。作戦の練り直しが必要なのよ」
なるほど。
最初予定していた方法では制圧が難しくなってしまったわけか。
「構いません。主な魔法は《大地魔法》《嵐魔法》《灼砂魔法》です」
「《大地魔法》砦正面の通用口を塞いだ魔法?」
「はい。そうですよ」
「……ふむ、なるほど。それならいけるかも」
「スネイルさん?」
どうやらスネイルさんの中では、もう戦術が決まっているみたい。
どう戦うんだろう?
「シズクさん。あなた、暗視系のスキルって持っている?」
「はい。ありますが、なにか?」
「じゃあ、私たちの目標がいる部屋の中に入ったら、《大地魔法》で扉も窓もすべてを厚い石の壁で塞いでしまって」
「え、いいんですか? それって逃げ場も……」
「私たちも背水の陣よ。逃げ場など既にないわ」
スネイルさんも覚悟は決まっているんだ。
なら、私にはできることをやろう。
「わかりました。ただ、室内にオークジェネラルやオークバーサーカーがいた場合、私は出入り口を閉ざしたあとそちらの対処に回りますね」
「お願い。私たちの武器も相当性能のいい武器なんだけれど、さすがにオリハルコンの装甲を貫く自信はないもの」
「では、大物狩りは任せてください」
「アサシンやレンジャーがいたら私たちの方で始末するから、気兼ねなく大物狩りに集中して」
「はい!」
このあと、隠密行動部隊全員が呼び集められていまの方針を全員で確認。
反対意見を出す人間はひとりもいなかったよ。
うん、責任重大だね。
「各班、準備はできたか? 砦内に侵入する!」
いよいよ砦攻めが始まるんだ。
大丈夫、だよね?
『なにを心配している、シズク?』
「ミネル」
『シズクなら心配いらないよ』
『むしろ、わちらのことを心配してほしいわさ』
『あたちたちの方が守りが弱いの。この激戦でまたスキルは強くなったけど』
「はは。みんなもまたスキルが強くなってたんだ。強くなったスキルの詳細はまた今度教えてね」
頼もしいなぁ、うちの仲間たち。
私も負けていられないね!
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