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第3部 〝ペットテイマー〟、〝オークの砦〟を攻める 第3章 砦攻め開始
88. 対オーク総力戦
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昨日の夜、各地への伝令が終わったあと、私は眠らせてもらった。
今日、どう動くか一番わからないのは私だからって。
そんな私も朝日が昇る前には起き出し、滝の裏手をじっとにらみ続けている。
交代で見張りを続けていた先輩冒険者の皆さんから聞いた話では、まだオークたちに動きはないらしい。
でも、オークたちがいつ動き出すかもわからないし、気を抜くわけには……。
「出てきたぞ、オークたちだ」
その言葉に全員の緊張が高まった。
どこだ、どこに向かう?
「……鉱山の方に向かったな。数はおよそ100。ほとんどがオークとハイオーク。それにオークナイト。オークバーサーカー4のオークジェネラル2だ」
「そんなに、ですか」
「いや、まだ少ねぇ方だ」
「サンドロックさん」
「あいつらなら倒しきれる量だ。問題ない」
「でも、バーサーカー4匹にジェネラル2匹は」
「かなり厳しいが耐えてもらうしかないな。次の連中が出てきたぞ」
「なんだ? オークナイトを先頭にオークバーサーカー10のオークジェネラル4?」
「なに?」
「……まずい! こっちにまっすぐ向かってきている!」
「はっ!! 戦力を大きく見てくれたじゃねぇか!! 総員、戦闘準備だ!! シズク!! お前はオークジェネラルを相手にしろ!! お前のペットはオークバーサーカーの数を少しでも減らしてくれ!!」
「はい!」
私たちの宿営地には大勢のオークナイトとオークバーサーカー、オークジェネラルが攻め込んできた。
戦況はいきなり乱戦状態になったけど、私と仲間たちはまだ気付かれていない。狙うべき相手が背中をみせた瞬間……いま!!
「っ!!」
「PiGiii!?」
「《魔爪刃》!」
私は不意うちからの《魔爪刃》でオークジェネラル1匹を討ち取った。
そうなるとオークジェネラルを始め、オークバーサーカーとかほとんどの敵の視線がこっちに集まるんだけど、それだって計算のうち!
「よそ見している暇があるのかよ、豚頭!」
「Pyugyu!」
「お前の相手はこっちだ!」
「相手を間違えるな、豚ども!」
いまできた一瞬の隙を突いてサンドロックさんや先輩方が一気にオークの数を減らしてくれる。
特にオークジェネラル1匹とオークバーサーカー2匹を倒せたのは大きいね!
「Bumoo……」
「まあ、私が狙われるよね」
その一瞬の隙で大分数は減ったけど、オークはすぐに体勢を整えまた相手と向き直った。
私の相手はオークジェネラル1匹とオークバーサーカー2匹か、しんどいな。
まあ、バーサーカー1匹はすぐになんとかできるんだけど!
「Buhi!」
「一気に来るなんて生意気!」
3匹息を合わせてきたけど大した問題じゃないかな?
キントキ、よろしくね!
『《バインディンググラス》!』
突っ込んできていたオークたちの両足に草がいきなり絡みつき、3匹全員がつんのめる。
オークジェネラルは倒れなかったけど、オークバーサーカー2匹は思いっきり倒れた!
いまが仕留め時!
『《魔爪刃》わさ!』
『《テンペストブレイド》じゃ!』
「《魔爪刃》」
モナカとミネルの側にいたオークバーサーカーは、モナカたちによって首をはねられ、もう1匹の方は私が首をはねた。
よし、次はオークジェネラルを!
『《ミラクルキック》なの!』
いつの間にか空に跳び上がっていたシラタマがオークジェネラルの後ろ頭から潰すように《ミラクルキック》を決めてくれた。
それによってオークジェネラルは前につんのめり、そこをすかさずキントキが《草魔法》で絡め取って引き倒してしまう。
うちの子たち、最高!
こうなっちゃえば、私が首をはねて終了だね!
「《魔爪刃》!」
こうして2匹目のオークジェネラルも掃除完了。
さて、次は……。
「うーん、大分混戦になっちゃってるな……」
私のところに追加で向かってくるオークはなし。
でも、他のところはかなり大変そう。
よし、まずはサンドロックさんを手助けしよう!
「みんな、サンドロックさんを襲っているオークたちを一気に倒すよ! そうすればサンドロックさんもフリーになれる! それが終わったらキントキはオークの死体を回収して回って!」
『わかったよ!』
『任せるわさ!』
『ドーンといくの!』
『では、ゆくぞ!』
私たちはサンドロックさんに気を取られていた、オークバーサーカー2匹に背後から襲いかかった。
私はダガーで首をはねちゃったし、ミネルたちももう1匹のバーサーカーを瞬殺。
そして、そのいきなりの増援で隙ができたオークジェネラルの喉元に、サンドロックさんの剣が深々と突き刺さり、オークジェネラルも撃破された。
これで私たちは完勝だね!
「ふう、助かったぞ、シズク。さすがにオークジェネラル2匹にオークバーサーカー2匹はしんどい」
「いえ。それよりも、戦っているみんなを助けましょう」
「そうだな。キントキは……もうオークの死体を回収して回っているのか。足場ができて助かるな」
「私たちはそれ以外ですね」
「ああ、オークバーサーカーの生き残りを中心にぶっ殺していくぞ。いくら精鋭を集めたとはいえ、もう被害が出ているみたいだしな」
「……わかりました」
そのあと、私たちは生き残っていたオークたちを次々と撃破していった。
オークバーサーカーを先に始末していったけれど、不意打ちにできない限りはそれなりの時間を奪われてしまい、なかなかうまく倒せない。
それでも、1匹ずつ確実に倒していくことで私たちの宿営地を襲ってきたオークたちはどんどん減っていき、最後の1匹まで始末することができた。
……やっぱり被害も出ちゃってるけど。
いま、サンドロックさんは被害状況の報告を先輩冒険者から受けている。
「それで、死者は何人出た?」
「5人です。サンドロックギルドマスターとシズクが早期に加勢に来てくれたおかげで、生き残っていたオークバーサーカーの意識がそちらに向かい、被害を最小限に食い止めることができました」
「あの早さで救援に入っても5人死んだか。やはり、オークバーサーカーにオークナイトだけの襲撃っていうのは相当きつかったようだな」
「厳しいですね。最初にシズクが不意打ちですべてのオークの注意を引きつけ、隙を生んでくれなければ死者数はさらに増えたものかと」
「死者数はわかった。戦線離脱者は?」
「7人です。シラタマから治療を受けましたがそれでも痛みが引かず、相当深刻な骨折になっているようですね。彼らは本営に一度戻し、アイリーンの街まで撤退させましょう」
「そうだな。これで、俺たちの宿営地からの脱落者は12人か」
「少なかった、そう見るべきですね」
「オークナイト以上の軍勢に襲われ、それだけしか脱落してねぇんだ。シズクをこの宿営地に残しておいて本当に助かったぜ」
「はい。本当に助かったぞ、シズク」
「いえ。私がもっと頑張っていれば……」
「いんや、お前は十分に働いた。オークジェネラル4匹だって2匹はお前が直接仕留めたし、残りの2匹だって俺がとどめをさしたがきっかけを生んだのはシズクだ。お前の救援なしじゃ半数以上が死んでるよ」
「はい……」
「本格的な戦場経験がないお前に落ち込むなというのが無理な話だろうが、できることは全力で果たしたんだ。お前はそれを誇ってりゃいい」
うう、そうなんだろうか?
私がもっと上手に動けていれば……。
「ともかく、第一波は防げた。次があるかどうかわからんが、警戒を……」
「サンドロックギルドマスター!」
「どうした!?」
「本営の方からのろしが上がっています! 本営に襲撃あり、救援求む!」
「ちっ、この状況で本営にまで襲撃がいっていたのかよ!?」
本営に襲撃!?
私たちが戦っている間にそっちにまでオーク軍が出撃していたの!?
「シズク、悪いがお前とペットたちだけで救援に行ってくれ。この宿営地から俺が離れるわけにもいかねぇし、もうひとりだけ救援に出してもあまり意味がないだろう。いいな」
「わかりました。いくよ、みんな!」
『うん! 早く乗って!』
『乗ったわさ!』
『あたちも!』
「私も乗ったよ!」
『儂もシズクの肩に止まらせてもらった。急げ、キントキ!』
『任せて! いくよ!』
全速力で走り出したキントキにしがみつき、私は本営にいるみんなの無事を祈った。
すぐに助けに行くからね!
今日、どう動くか一番わからないのは私だからって。
そんな私も朝日が昇る前には起き出し、滝の裏手をじっとにらみ続けている。
交代で見張りを続けていた先輩冒険者の皆さんから聞いた話では、まだオークたちに動きはないらしい。
でも、オークたちがいつ動き出すかもわからないし、気を抜くわけには……。
「出てきたぞ、オークたちだ」
その言葉に全員の緊張が高まった。
どこだ、どこに向かう?
「……鉱山の方に向かったな。数はおよそ100。ほとんどがオークとハイオーク。それにオークナイト。オークバーサーカー4のオークジェネラル2だ」
「そんなに、ですか」
「いや、まだ少ねぇ方だ」
「サンドロックさん」
「あいつらなら倒しきれる量だ。問題ない」
「でも、バーサーカー4匹にジェネラル2匹は」
「かなり厳しいが耐えてもらうしかないな。次の連中が出てきたぞ」
「なんだ? オークナイトを先頭にオークバーサーカー10のオークジェネラル4?」
「なに?」
「……まずい! こっちにまっすぐ向かってきている!」
「はっ!! 戦力を大きく見てくれたじゃねぇか!! 総員、戦闘準備だ!! シズク!! お前はオークジェネラルを相手にしろ!! お前のペットはオークバーサーカーの数を少しでも減らしてくれ!!」
「はい!」
私たちの宿営地には大勢のオークナイトとオークバーサーカー、オークジェネラルが攻め込んできた。
戦況はいきなり乱戦状態になったけど、私と仲間たちはまだ気付かれていない。狙うべき相手が背中をみせた瞬間……いま!!
「っ!!」
「PiGiii!?」
「《魔爪刃》!」
私は不意うちからの《魔爪刃》でオークジェネラル1匹を討ち取った。
そうなるとオークジェネラルを始め、オークバーサーカーとかほとんどの敵の視線がこっちに集まるんだけど、それだって計算のうち!
「よそ見している暇があるのかよ、豚頭!」
「Pyugyu!」
「お前の相手はこっちだ!」
「相手を間違えるな、豚ども!」
いまできた一瞬の隙を突いてサンドロックさんや先輩方が一気にオークの数を減らしてくれる。
特にオークジェネラル1匹とオークバーサーカー2匹を倒せたのは大きいね!
「Bumoo……」
「まあ、私が狙われるよね」
その一瞬の隙で大分数は減ったけど、オークはすぐに体勢を整えまた相手と向き直った。
私の相手はオークジェネラル1匹とオークバーサーカー2匹か、しんどいな。
まあ、バーサーカー1匹はすぐになんとかできるんだけど!
「Buhi!」
「一気に来るなんて生意気!」
3匹息を合わせてきたけど大した問題じゃないかな?
キントキ、よろしくね!
『《バインディンググラス》!』
突っ込んできていたオークたちの両足に草がいきなり絡みつき、3匹全員がつんのめる。
オークジェネラルは倒れなかったけど、オークバーサーカー2匹は思いっきり倒れた!
いまが仕留め時!
『《魔爪刃》わさ!』
『《テンペストブレイド》じゃ!』
「《魔爪刃》」
モナカとミネルの側にいたオークバーサーカーは、モナカたちによって首をはねられ、もう1匹の方は私が首をはねた。
よし、次はオークジェネラルを!
『《ミラクルキック》なの!』
いつの間にか空に跳び上がっていたシラタマがオークジェネラルの後ろ頭から潰すように《ミラクルキック》を決めてくれた。
それによってオークジェネラルは前につんのめり、そこをすかさずキントキが《草魔法》で絡め取って引き倒してしまう。
うちの子たち、最高!
こうなっちゃえば、私が首をはねて終了だね!
「《魔爪刃》!」
こうして2匹目のオークジェネラルも掃除完了。
さて、次は……。
「うーん、大分混戦になっちゃってるな……」
私のところに追加で向かってくるオークはなし。
でも、他のところはかなり大変そう。
よし、まずはサンドロックさんを手助けしよう!
「みんな、サンドロックさんを襲っているオークたちを一気に倒すよ! そうすればサンドロックさんもフリーになれる! それが終わったらキントキはオークの死体を回収して回って!」
『わかったよ!』
『任せるわさ!』
『ドーンといくの!』
『では、ゆくぞ!』
私たちはサンドロックさんに気を取られていた、オークバーサーカー2匹に背後から襲いかかった。
私はダガーで首をはねちゃったし、ミネルたちももう1匹のバーサーカーを瞬殺。
そして、そのいきなりの増援で隙ができたオークジェネラルの喉元に、サンドロックさんの剣が深々と突き刺さり、オークジェネラルも撃破された。
これで私たちは完勝だね!
「ふう、助かったぞ、シズク。さすがにオークジェネラル2匹にオークバーサーカー2匹はしんどい」
「いえ。それよりも、戦っているみんなを助けましょう」
「そうだな。キントキは……もうオークの死体を回収して回っているのか。足場ができて助かるな」
「私たちはそれ以外ですね」
「ああ、オークバーサーカーの生き残りを中心にぶっ殺していくぞ。いくら精鋭を集めたとはいえ、もう被害が出ているみたいだしな」
「……わかりました」
そのあと、私たちは生き残っていたオークたちを次々と撃破していった。
オークバーサーカーを先に始末していったけれど、不意打ちにできない限りはそれなりの時間を奪われてしまい、なかなかうまく倒せない。
それでも、1匹ずつ確実に倒していくことで私たちの宿営地を襲ってきたオークたちはどんどん減っていき、最後の1匹まで始末することができた。
……やっぱり被害も出ちゃってるけど。
いま、サンドロックさんは被害状況の報告を先輩冒険者から受けている。
「それで、死者は何人出た?」
「5人です。サンドロックギルドマスターとシズクが早期に加勢に来てくれたおかげで、生き残っていたオークバーサーカーの意識がそちらに向かい、被害を最小限に食い止めることができました」
「あの早さで救援に入っても5人死んだか。やはり、オークバーサーカーにオークナイトだけの襲撃っていうのは相当きつかったようだな」
「厳しいですね。最初にシズクが不意打ちですべてのオークの注意を引きつけ、隙を生んでくれなければ死者数はさらに増えたものかと」
「死者数はわかった。戦線離脱者は?」
「7人です。シラタマから治療を受けましたがそれでも痛みが引かず、相当深刻な骨折になっているようですね。彼らは本営に一度戻し、アイリーンの街まで撤退させましょう」
「そうだな。これで、俺たちの宿営地からの脱落者は12人か」
「少なかった、そう見るべきですね」
「オークナイト以上の軍勢に襲われ、それだけしか脱落してねぇんだ。シズクをこの宿営地に残しておいて本当に助かったぜ」
「はい。本当に助かったぞ、シズク」
「いえ。私がもっと頑張っていれば……」
「いんや、お前は十分に働いた。オークジェネラル4匹だって2匹はお前が直接仕留めたし、残りの2匹だって俺がとどめをさしたがきっかけを生んだのはシズクだ。お前の救援なしじゃ半数以上が死んでるよ」
「はい……」
「本格的な戦場経験がないお前に落ち込むなというのが無理な話だろうが、できることは全力で果たしたんだ。お前はそれを誇ってりゃいい」
うう、そうなんだろうか?
私がもっと上手に動けていれば……。
「ともかく、第一波は防げた。次があるかどうかわからんが、警戒を……」
「サンドロックギルドマスター!」
「どうした!?」
「本営の方からのろしが上がっています! 本営に襲撃あり、救援求む!」
「ちっ、この状況で本営にまで襲撃がいっていたのかよ!?」
本営に襲撃!?
私たちが戦っている間にそっちにまでオーク軍が出撃していたの!?
「シズク、悪いがお前とペットたちだけで救援に行ってくれ。この宿営地から俺が離れるわけにもいかねぇし、もうひとりだけ救援に出してもあまり意味がないだろう。いいな」
「わかりました。いくよ、みんな!」
『うん! 早く乗って!』
『乗ったわさ!』
『あたちも!』
「私も乗ったよ!」
『儂もシズクの肩に止まらせてもらった。急げ、キントキ!』
『任せて! いくよ!』
全速力で走り出したキントキにしがみつき、私は本営にいるみんなの無事を祈った。
すぐに助けに行くからね!
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