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第2部 街を駆け巡る〝ペットテイマー〟 第5章 〝ペットテイマー〟ドラマリーンへ
62. 行き倒れの子猫
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それじゃあ、冒険者ギルドで場所を聞いたし、軽く下見だね。
ドラマリーン北門から出て歩きで10分程行った右手の林、あれかな。
中には……うん、《気配判別》で調べると、ウルフがいい感じにばらけて存在している。
少し狩ってみないと確証は持てないけど、この感じだと講習には持って来いなんじゃないかな?
という訳で少し狩ってみたけど、ばらけ方も襲いかかってくる頻度も〝ウルフの林〟と似ていて講習にはうってつけだった。
人数が多いからウルフの方が敬遠するか、少し群れで襲ってくるかどっちかだろうけれど、そこも含めて経験してもらおう。
さて、帰ろうとしたそのとき、《気配判別》に変な反応が引っかかった。
場所は林の奥にある森の方。
なにかウルフが固まっていて、1カ所をウロチョロしている。
これってなんだろう?
「みんな、ちょっと森の方に寄っていきたいんだけどいいかな?」
『構わぬぞ? なにを見つけた?』
「うーん、ウルフが1カ所に固まってなにかをしてるの。ちょっと気になっちゃって」
『わかったよ。一緒に行く』
『ウルフの群れ程度に後れを取ることはないだわさ』
『あたちのキックでドーンだよ!』
「あはは、戦闘になったらみんなもよろしくね」
私は《隠密行動》で気配を消してウルフの間をすり抜け、《気配判別》で引っかかっているウルフの群れへと突き進んでみる。
ウルフの群れのところまでたどり着いたら、そこには猫がいた!
「みんな!」
『わかっておる!』
『動けなくする!』
『切り裂くわさ!』
『飛んでっちゃうよ!』
全員がウルフの群れに対して行動を開始。
私も《魔の鉤爪》や《魔爪》で遠隔攻撃をしてウルフを一気に倒した。
さて、問題の猫の様子だけど……。
「……だめだ、死んでる」
『間にあわなんだか』
『もう少し早く着いていれば間に合ったかな?』
『わからないわさ』
『ともかく弔って……ん?』
死んだはずの猫のお腹が動き出し、ううん、お腹の下から血まみれになった子猫が這い出してきた!
この子も怪我をしているし早く治療してあげないと!
「シラタマ!」
『任せて! 《ヒール》』
シラタマの魔法で子猫の怪我は治ったけどまだ弱々しい。
ええと、他には……。
『水と食料を与えてやれ。そうすれば幾分か回復するかもしれぬ』
「あ、そうだね」
私は大量に買っておいたお皿の上に水と《ペット用ご飯作り》で作り出したお魚ご飯を置いてみた。
すると、子猫もゆっくりとだけど水を飲み始め、ご飯も少しずつ食べ始めてくれた。
よかった、これで少しは安心できる。
『……おいしかった。ママやお兄ちゃんたちにも食べさせてあげたかった』
「君、大丈夫?」
『あれ? お姉さん、人なのに言葉がわかる』
「私、〝ペットテイマー〟なの。だから、あなたとも話せるんだよ」
『そうなんだ。ご飯とお水、ありがとう。もう数日なにも食べてなかったの』
「どういたしまして。それで、あなたたちはなんでこんな場所に?」
『私、パパやママ、お兄ちゃんたちと一緒に、あっちの方にある泉で暮らしていたの。そうしたら、そこをいきなりウルフに襲われてお兄ちゃんたち、みんな食べられちゃった。パパは私とママを逃がすためにウルフに立ち向かっていったけれど、どうなったかわからない。そのあとはママと一緒にウルフから逃げ続けていたんだけれど、ここで追い詰められちゃって……』
そっか、追い詰められたから子猫を隠すために親猫が犠牲になったんだ。
悲しい話だね。
「君、どうするの? お母さんは弔ってあげるけれど、お父さんたちのことも確認したい?」
『パパがどうなったかも知りたい。お姉さん、パパのところまで連れて行って』
「うん、いいよ。行こう、みんな」
『うむ』
『行こうか』
『行くわさ』
『行くの』
私たちはまたウルフをかいくぐりながら林を抜け、子猫が棲んでいたという泉の方へ。
そこに転がっていたのは、多分この子猫の家族だと思う猫の死体たち。
小さいのがお兄ちゃんたちで、大きいのがお父さんかな。
『やっぱり、パパも死んじゃってた』
「ごめんね、私たちも死んじゃってる子はどうにもできないの」
『ううん。私だけでも助けてくれてありがとう』
「どういたしまして。さて、連れてきたお母さんと一緒にお父さんとお兄ちゃんたちのお墓も作ろうか」
『うん!』
私は死体をそっと寄せ集めると泉の側に《土魔法》で深い穴を開けてもらい、その中に子猫の家族を入れてあげた。
それから、また、《土魔法》で蓋をして《草魔法》で覆い隠し、墓石代わりに小さな石を置いてささやかなお墓の完成。
子猫はしきりに泣いていたけど、仕方がないよね。
さて、この子もどうしよう?
「ミネル、この子どうしようか?」
『契約するには幼すぎる。帰ったらケウナコウに預けてはどうじゃ? はぐれの小動物がいたら誘ってほしいと言っていただろう?』
「でも、いいのかな?」
『その子猫1匹では生きていけぬ。連れ帰ってやれ』
「わかった。……子猫さん、私の知り合いの子供が子猫さんみたいな小動物のお世話をしたがっているの。ご飯とお家は用意してくれるから一緒に来ない?」
『……一緒に行く。ここで私まで死んじゃったらパパもママもお兄ちゃんたちもかわいそう』
「わかった。その子の元まで送り届ける間は私が面倒を見てあげるからね? よろしく、子猫さん」
『よろしく、お姉さん』
さて、思いがけないところで思いがけない出会いがあったけれど、本当にケウナコウ様は受け入れてくれるかな?
だめだったら、メイナお姉ちゃんの許可をもらって私の家で育てるけれど。
この子にこれ以上の不幸がありませんように。
ドラマリーン北門から出て歩きで10分程行った右手の林、あれかな。
中には……うん、《気配判別》で調べると、ウルフがいい感じにばらけて存在している。
少し狩ってみないと確証は持てないけど、この感じだと講習には持って来いなんじゃないかな?
という訳で少し狩ってみたけど、ばらけ方も襲いかかってくる頻度も〝ウルフの林〟と似ていて講習にはうってつけだった。
人数が多いからウルフの方が敬遠するか、少し群れで襲ってくるかどっちかだろうけれど、そこも含めて経験してもらおう。
さて、帰ろうとしたそのとき、《気配判別》に変な反応が引っかかった。
場所は林の奥にある森の方。
なにかウルフが固まっていて、1カ所をウロチョロしている。
これってなんだろう?
「みんな、ちょっと森の方に寄っていきたいんだけどいいかな?」
『構わぬぞ? なにを見つけた?』
「うーん、ウルフが1カ所に固まってなにかをしてるの。ちょっと気になっちゃって」
『わかったよ。一緒に行く』
『ウルフの群れ程度に後れを取ることはないだわさ』
『あたちのキックでドーンだよ!』
「あはは、戦闘になったらみんなもよろしくね」
私は《隠密行動》で気配を消してウルフの間をすり抜け、《気配判別》で引っかかっているウルフの群れへと突き進んでみる。
ウルフの群れのところまでたどり着いたら、そこには猫がいた!
「みんな!」
『わかっておる!』
『動けなくする!』
『切り裂くわさ!』
『飛んでっちゃうよ!』
全員がウルフの群れに対して行動を開始。
私も《魔の鉤爪》や《魔爪》で遠隔攻撃をしてウルフを一気に倒した。
さて、問題の猫の様子だけど……。
「……だめだ、死んでる」
『間にあわなんだか』
『もう少し早く着いていれば間に合ったかな?』
『わからないわさ』
『ともかく弔って……ん?』
死んだはずの猫のお腹が動き出し、ううん、お腹の下から血まみれになった子猫が這い出してきた!
この子も怪我をしているし早く治療してあげないと!
「シラタマ!」
『任せて! 《ヒール》』
シラタマの魔法で子猫の怪我は治ったけどまだ弱々しい。
ええと、他には……。
『水と食料を与えてやれ。そうすれば幾分か回復するかもしれぬ』
「あ、そうだね」
私は大量に買っておいたお皿の上に水と《ペット用ご飯作り》で作り出したお魚ご飯を置いてみた。
すると、子猫もゆっくりとだけど水を飲み始め、ご飯も少しずつ食べ始めてくれた。
よかった、これで少しは安心できる。
『……おいしかった。ママやお兄ちゃんたちにも食べさせてあげたかった』
「君、大丈夫?」
『あれ? お姉さん、人なのに言葉がわかる』
「私、〝ペットテイマー〟なの。だから、あなたとも話せるんだよ」
『そうなんだ。ご飯とお水、ありがとう。もう数日なにも食べてなかったの』
「どういたしまして。それで、あなたたちはなんでこんな場所に?」
『私、パパやママ、お兄ちゃんたちと一緒に、あっちの方にある泉で暮らしていたの。そうしたら、そこをいきなりウルフに襲われてお兄ちゃんたち、みんな食べられちゃった。パパは私とママを逃がすためにウルフに立ち向かっていったけれど、どうなったかわからない。そのあとはママと一緒にウルフから逃げ続けていたんだけれど、ここで追い詰められちゃって……』
そっか、追い詰められたから子猫を隠すために親猫が犠牲になったんだ。
悲しい話だね。
「君、どうするの? お母さんは弔ってあげるけれど、お父さんたちのことも確認したい?」
『パパがどうなったかも知りたい。お姉さん、パパのところまで連れて行って』
「うん、いいよ。行こう、みんな」
『うむ』
『行こうか』
『行くわさ』
『行くの』
私たちはまたウルフをかいくぐりながら林を抜け、子猫が棲んでいたという泉の方へ。
そこに転がっていたのは、多分この子猫の家族だと思う猫の死体たち。
小さいのがお兄ちゃんたちで、大きいのがお父さんかな。
『やっぱり、パパも死んじゃってた』
「ごめんね、私たちも死んじゃってる子はどうにもできないの」
『ううん。私だけでも助けてくれてありがとう』
「どういたしまして。さて、連れてきたお母さんと一緒にお父さんとお兄ちゃんたちのお墓も作ろうか」
『うん!』
私は死体をそっと寄せ集めると泉の側に《土魔法》で深い穴を開けてもらい、その中に子猫の家族を入れてあげた。
それから、また、《土魔法》で蓋をして《草魔法》で覆い隠し、墓石代わりに小さな石を置いてささやかなお墓の完成。
子猫はしきりに泣いていたけど、仕方がないよね。
さて、この子もどうしよう?
「ミネル、この子どうしようか?」
『契約するには幼すぎる。帰ったらケウナコウに預けてはどうじゃ? はぐれの小動物がいたら誘ってほしいと言っていただろう?』
「でも、いいのかな?」
『その子猫1匹では生きていけぬ。連れ帰ってやれ』
「わかった。……子猫さん、私の知り合いの子供が子猫さんみたいな小動物のお世話をしたがっているの。ご飯とお家は用意してくれるから一緒に来ない?」
『……一緒に行く。ここで私まで死んじゃったらパパもママもお兄ちゃんたちもかわいそう』
「わかった。その子の元まで送り届ける間は私が面倒を見てあげるからね? よろしく、子猫さん」
『よろしく、お姉さん』
さて、思いがけないところで思いがけない出会いがあったけれど、本当にケウナコウ様は受け入れてくれるかな?
だめだったら、メイナお姉ちゃんの許可をもらって私の家で育てるけれど。
この子にこれ以上の不幸がありませんように。
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