15 / 100
第1部 〝ペットテイマー〟ここに誕生 第4章 秋の訪れ、少しずつ強く成り行く私とペットたち
15. 本格的なゴブリン戦
しおりを挟む
「ふむ、本当にスノーウルフが寝ていやがるな」
「ああ。それも、ここから見えるだけでも数十匹、奥までいったら百匹以上だな」
「でかい発見だぞ、シズク。ウルフの生態に大きな功績を残せたんだからな」
私はリンネさんの望み通り、ギルドの調査員の方々を連れてスノーウルフの寝床まで案内した。
そんなに大きな功績なのかな?
「これでウルフとスノーウルフが同一個体だって証明に一歩近づける。あとは、シズクが見ていたっていうスノーウルフに変わる瞬間の証拠さえあればよかったんだが」
「ごめんなさい。私、そういうのの取り方がわからなくて」
「気にするな。目撃情報なんて曖昧になるもんだ。それを見ていた冒険者がいるってだけでも十分に根拠となるさ」
「だったらいいのですが……」
「さて、気付かれる前にこの場から退散だ。さすがに数十のウルフなんて相手にできない」
「はい。こっそり帰りましょう」
私たちはこっそりとアイリーンの街まで戻り、私だけ別れて林の方までやってきた。
《気配察知》は常に使っているから周りには誰もいないことがわかっているし、念のためミネルも周囲を見張ってくれるからね。
周りに誰もいないことの確認が終わったら沢の上にある薬草を集め、そこから周囲を見渡してみた。
この林から街道を挟んだところにあるのが森、通称〝ゴブリンの森〟なんだよね。
こっちの林は〝ウルフの林〟って呼ばれているらしいけれど、私以外、狩りをしている人は滅多に見ない。
私が占有しているわけじゃなくて、〝ゴブリンの森〟の方が実入りがいいんだ。
浅いところでゴブリンに出くわすことなんて滅多にないし、ウルフだって森の方がたくさん生息している。
だから、新人冒険者も何人かでパーティを組んで〝ゴブリンの森〟でウルフ狩りをするのが常識。
〝ウルフの林〟で細々とウルフ狩りを専門にしていた、私の方が非常識なんだ。
いまは頼れる仲間がいるから大丈夫、だと思うけれど。
やっぱり、ゴブリンとは戦いたくないなぁ。
ともかく、林じゃウルフを見かけなくなってきたし、森の方に行かないと。
私は沢から降りたあと、キントキに乗って〝ゴブリンの森〟へとやってきた。
うー、藪も多いし、動きにくい。
サンドロックさんの厚意で森の歩き方も習っているけど大変だよ。
でも、都合よくウルフのグループも発見できたし、先手必勝でグシャって潰しちゃえ。
そんな感じでウルフを40匹ちょっと倒せて今日の狩りも終わり、帰ろうとしていたらなんだか戦闘音が聞こえてきた。
一体なに!?
気配を消しながら様子を見に行くと、ステップワンダーたちがゴブリンと戦っていた!
それも森のこんな浅い場所で!?
加勢、に入るには私の能力がばれると厄介だし……って、痛い!?
気がついたら頬をかすめて矢が飛んできていた。
これ、目とかに突き刺さってたら即死……ってあれ?
体が動かなくなって?
『《キュア》!』
あ、シラタマに解毒してもらったら、体がまた動くようになった!
そして、ミネルとキントキがそれぞれ木の上にいたゴブリンを倒してくれて、モナカは地上にいたゴブリンを倒してくれていた。
……本当に危なかったよ。
この子たちがいなかったら殺されていたかも。
『大事ないか、シズク?』
「う、うん。矢がかすめたあと、急に体が痺れて動かなくなってきただけで」
『ゴブリンの毒矢の一種じゃな。痺れ毒の矢を使われたのじゃろう』
「ゴブリンってそんなものまで使ってくるんだ」
『ああ。そして、木の上に2匹の弓兵が、地上に2匹の歩兵がいた。これではこの者たちでは敵うはずもない』
「あ……」
気がついたら、戦っていたステップワンダーたちはみんな死んでいた。
ゴブリンの粗末な剣で何度も切られて見るも無惨な肉塊へとなりはてて。
『その子たち、毒の気配もする。多分、最初に毒矢を受けたと思うの』
『わちもそう思う。聞こえたのは戦闘音じゃなくて死体をボコボコにしている音だわ』
『僕もそんな気がするよ。それよりも、シズク。この子たち、どうするの?』
「えっと、どうしようか……」
もう既に死んじゃっているから《ストレージ》にしまえる。
でも、死体を持ち帰っても困らないかな……?
『迷っているなら、とりあえず死体ごと持ち帰れ。あとは冒険者ギルドとやらがなんとかしてくれるだろう』
「う、うん。わかった」
『ゴブリンの解体はしておいたよ。……魔石しか残らなかったけど』
『役に立たないわさ』
『ウルフの方がお肉や毛皮があっていいの』
「あはは……キントキ、《ストレージ》を借りるね」
『うん』
私は死んだ3人の遺体を《ストレージ》の中にしまい……しまい?
『どうした、シズク?』
「おかしいな? 遺体は3人分しかないのに武器は5人分転がってる」
『それは変だね』
『わちもそう思う。でも、いまは増援が来る前に逃げるわさ』
『うんうん。怖い』
「そうだよね。ゴブリンの武器も回収して早く逃げよう」
私たちは必要なものをすべて回収したら一目散に森から逃走、そのまま冒険者ギルドに直行し、サンドロックさんがいないかシズクさんに確認してみることに。
「サンドロックさんですか? 急にどうして?」
「サンドロックさんがいないならデイビッド教官でもいいです。ともかく……」
「どうしたんだ、シズク?」
「あ、サンドロックさん!」
冒険者ギルドの上の階に通じる階段からサンドロックさんが降りてきた。
資料室にでも行っていたのかな?
「……ひょっとして、訳ありか?」
「はい。訳ありです」
「わかった。リンネ、お前も冒険者の秘密は守れるよな?」
「当然です。受付嬢が冒険者の秘密を言いふらす真似はしません」
「というわけだ。お前の秘密はリンネにも打ち明けていい。それで、なにがあった?」
「森の浅い部分でステップワンダーたちがゴブリンと戦って殺されていました」
「……浅い部分でか。面倒な状況だな」
「そうですね。一度、集落を襲って数を減らさないと」
「他に情報は?」
「ええと、この場では……」
「……わかった。どこならいい?」
「死体安置所とかってありますか?」
「あるぞ。まあ、すぐさま死体を火葬にして骨を共同墓地に埋めちまうんだが」
「じゃあ、そこで」
「行くぞ、リンネ」
「はい。シズクちゃん、こっちよ」
冒険者ギルドの奥の奥、そこに死体安置所はあった。
すぐとなりに外への扉があるのは、共同墓地につながっているんだろうな。
「シズク、《ストレージ》から持ち帰ったものを全部出せ」
「えっ!? シズクちゃんって《ストレージ》を使えるんですか?」
「正確にはそっちの犬が使えるそうだ。シズクのスキルでペットにした小動物が持っているスキルを借りることができるらしい」
「それは……口外できませんね」
「そういうわけだ。絶対にばらすなよ、リンネ」
「もちろんです。シズクちゃん、持ち帰ったっていうものを出して?」
「はい……これで全部です」
私はステップワンダー3人分の死体と5人分の武器、それにゴブリンたちが使っていた武器を床に並べた。
それを見て、サンドロックさんもリンネさんも渋い顔をしていたよ……。
やっぱり、まずい状況なのかな?
「リンネ、こいつらの冒険者タグを持っていってパーティ申請の状況を調べろ。おそらく、女がふたりいたはずだ」
「でしょうね。念のため調べてきます」
「女がふたり?」
リンネさんは走って出ていってしまったし、サンドロックさんは相変わらず渋い顔をしていたし、どういう意味なんだろう?
「女のシズクにはあまり言いたくないんだがな、ゴブリンってヒト族の女を動けなくしてさらう習性があるんだよ」
「女をさらうんですか? なんのために?」
「……孕み袋としてだ」
「孕み袋……赤ちゃんを産ませるため!?」
「ああ。動けない状態にしてから強制的に何度も交わって女を孕ませる。その子供も20日程度で生まれてくるから、生まれたらまた交わって孕ませる。女はそれを死ぬまで強要されるんだよ」
「うぅ……」
「おまえ、〝ゴブリンの森〟でウルフ狩りをするとき、浅いところでゴブリンを見かけたら逃げ帰ってもいいって言われなかったか?」
「言われました……」
「つまり、お前がそういう目にあうのを防ぐのが目的だよ。普通のギルド職員からすれば、お前は小動物を連れ歩く変わったソロ冒険者でしかないんだからな」
「はい。肝に銘じます」
「そういうわけだから、浅い場所でゴブリンと戦っている連中を見かけても助けようとせず、気付かれないうちに逃げ出せ、いいな。お前がいなくなると、この街の食糧事情が悪化するんだ」
「わかりました。無理はしません。今回も矢が頬をかすめただけで、痺れて動けなくなりそうでしたから」
「やつらの常套手段だ。今後は本当に気をつけろ」
「……はい。仲間を助けられないのは悔しいですが逃げ出します」
「冒険者の命は自己責任だ。助けるのは悪いことじゃない。だが、無理をしてお前まで死んだら意味がないぞ。よく覚えておけ」
ここでリンネさんも戻ってきてやっぱり女性ふたりも一緒のパーティだったことが判明した。
その2日後には大規模なゴブリン狩りが行われたけど、私は参加禁止という命令が冒険者ギルドからみんなの前で下されてしまう。
今回の一件で冷静さを欠いて暴走しないようにって。
本音は、私が怪我をしたり死んだりしないための温情措置なんだろうけど、先輩方も笑って見逃してくれた。
……そして、今回連れ去られていたらしいステップワンダーも含めて何人かの女性が助けられたらしいけれど、その先がどうなるかはわからないらしい。
特にステップワンダーは百年間、里に帰れないしきたりだからどこにも行く場所がないし。
私にもして上げられることなんてない。
どうか、早まった真似だけはしないでほしいな。
「ああ。それも、ここから見えるだけでも数十匹、奥までいったら百匹以上だな」
「でかい発見だぞ、シズク。ウルフの生態に大きな功績を残せたんだからな」
私はリンネさんの望み通り、ギルドの調査員の方々を連れてスノーウルフの寝床まで案内した。
そんなに大きな功績なのかな?
「これでウルフとスノーウルフが同一個体だって証明に一歩近づける。あとは、シズクが見ていたっていうスノーウルフに変わる瞬間の証拠さえあればよかったんだが」
「ごめんなさい。私、そういうのの取り方がわからなくて」
「気にするな。目撃情報なんて曖昧になるもんだ。それを見ていた冒険者がいるってだけでも十分に根拠となるさ」
「だったらいいのですが……」
「さて、気付かれる前にこの場から退散だ。さすがに数十のウルフなんて相手にできない」
「はい。こっそり帰りましょう」
私たちはこっそりとアイリーンの街まで戻り、私だけ別れて林の方までやってきた。
《気配察知》は常に使っているから周りには誰もいないことがわかっているし、念のためミネルも周囲を見張ってくれるからね。
周りに誰もいないことの確認が終わったら沢の上にある薬草を集め、そこから周囲を見渡してみた。
この林から街道を挟んだところにあるのが森、通称〝ゴブリンの森〟なんだよね。
こっちの林は〝ウルフの林〟って呼ばれているらしいけれど、私以外、狩りをしている人は滅多に見ない。
私が占有しているわけじゃなくて、〝ゴブリンの森〟の方が実入りがいいんだ。
浅いところでゴブリンに出くわすことなんて滅多にないし、ウルフだって森の方がたくさん生息している。
だから、新人冒険者も何人かでパーティを組んで〝ゴブリンの森〟でウルフ狩りをするのが常識。
〝ウルフの林〟で細々とウルフ狩りを専門にしていた、私の方が非常識なんだ。
いまは頼れる仲間がいるから大丈夫、だと思うけれど。
やっぱり、ゴブリンとは戦いたくないなぁ。
ともかく、林じゃウルフを見かけなくなってきたし、森の方に行かないと。
私は沢から降りたあと、キントキに乗って〝ゴブリンの森〟へとやってきた。
うー、藪も多いし、動きにくい。
サンドロックさんの厚意で森の歩き方も習っているけど大変だよ。
でも、都合よくウルフのグループも発見できたし、先手必勝でグシャって潰しちゃえ。
そんな感じでウルフを40匹ちょっと倒せて今日の狩りも終わり、帰ろうとしていたらなんだか戦闘音が聞こえてきた。
一体なに!?
気配を消しながら様子を見に行くと、ステップワンダーたちがゴブリンと戦っていた!
それも森のこんな浅い場所で!?
加勢、に入るには私の能力がばれると厄介だし……って、痛い!?
気がついたら頬をかすめて矢が飛んできていた。
これ、目とかに突き刺さってたら即死……ってあれ?
体が動かなくなって?
『《キュア》!』
あ、シラタマに解毒してもらったら、体がまた動くようになった!
そして、ミネルとキントキがそれぞれ木の上にいたゴブリンを倒してくれて、モナカは地上にいたゴブリンを倒してくれていた。
……本当に危なかったよ。
この子たちがいなかったら殺されていたかも。
『大事ないか、シズク?』
「う、うん。矢がかすめたあと、急に体が痺れて動かなくなってきただけで」
『ゴブリンの毒矢の一種じゃな。痺れ毒の矢を使われたのじゃろう』
「ゴブリンってそんなものまで使ってくるんだ」
『ああ。そして、木の上に2匹の弓兵が、地上に2匹の歩兵がいた。これではこの者たちでは敵うはずもない』
「あ……」
気がついたら、戦っていたステップワンダーたちはみんな死んでいた。
ゴブリンの粗末な剣で何度も切られて見るも無惨な肉塊へとなりはてて。
『その子たち、毒の気配もする。多分、最初に毒矢を受けたと思うの』
『わちもそう思う。聞こえたのは戦闘音じゃなくて死体をボコボコにしている音だわ』
『僕もそんな気がするよ。それよりも、シズク。この子たち、どうするの?』
「えっと、どうしようか……」
もう既に死んじゃっているから《ストレージ》にしまえる。
でも、死体を持ち帰っても困らないかな……?
『迷っているなら、とりあえず死体ごと持ち帰れ。あとは冒険者ギルドとやらがなんとかしてくれるだろう』
「う、うん。わかった」
『ゴブリンの解体はしておいたよ。……魔石しか残らなかったけど』
『役に立たないわさ』
『ウルフの方がお肉や毛皮があっていいの』
「あはは……キントキ、《ストレージ》を借りるね」
『うん』
私は死んだ3人の遺体を《ストレージ》の中にしまい……しまい?
『どうした、シズク?』
「おかしいな? 遺体は3人分しかないのに武器は5人分転がってる」
『それは変だね』
『わちもそう思う。でも、いまは増援が来る前に逃げるわさ』
『うんうん。怖い』
「そうだよね。ゴブリンの武器も回収して早く逃げよう」
私たちは必要なものをすべて回収したら一目散に森から逃走、そのまま冒険者ギルドに直行し、サンドロックさんがいないかシズクさんに確認してみることに。
「サンドロックさんですか? 急にどうして?」
「サンドロックさんがいないならデイビッド教官でもいいです。ともかく……」
「どうしたんだ、シズク?」
「あ、サンドロックさん!」
冒険者ギルドの上の階に通じる階段からサンドロックさんが降りてきた。
資料室にでも行っていたのかな?
「……ひょっとして、訳ありか?」
「はい。訳ありです」
「わかった。リンネ、お前も冒険者の秘密は守れるよな?」
「当然です。受付嬢が冒険者の秘密を言いふらす真似はしません」
「というわけだ。お前の秘密はリンネにも打ち明けていい。それで、なにがあった?」
「森の浅い部分でステップワンダーたちがゴブリンと戦って殺されていました」
「……浅い部分でか。面倒な状況だな」
「そうですね。一度、集落を襲って数を減らさないと」
「他に情報は?」
「ええと、この場では……」
「……わかった。どこならいい?」
「死体安置所とかってありますか?」
「あるぞ。まあ、すぐさま死体を火葬にして骨を共同墓地に埋めちまうんだが」
「じゃあ、そこで」
「行くぞ、リンネ」
「はい。シズクちゃん、こっちよ」
冒険者ギルドの奥の奥、そこに死体安置所はあった。
すぐとなりに外への扉があるのは、共同墓地につながっているんだろうな。
「シズク、《ストレージ》から持ち帰ったものを全部出せ」
「えっ!? シズクちゃんって《ストレージ》を使えるんですか?」
「正確にはそっちの犬が使えるそうだ。シズクのスキルでペットにした小動物が持っているスキルを借りることができるらしい」
「それは……口外できませんね」
「そういうわけだ。絶対にばらすなよ、リンネ」
「もちろんです。シズクちゃん、持ち帰ったっていうものを出して?」
「はい……これで全部です」
私はステップワンダー3人分の死体と5人分の武器、それにゴブリンたちが使っていた武器を床に並べた。
それを見て、サンドロックさんもリンネさんも渋い顔をしていたよ……。
やっぱり、まずい状況なのかな?
「リンネ、こいつらの冒険者タグを持っていってパーティ申請の状況を調べろ。おそらく、女がふたりいたはずだ」
「でしょうね。念のため調べてきます」
「女がふたり?」
リンネさんは走って出ていってしまったし、サンドロックさんは相変わらず渋い顔をしていたし、どういう意味なんだろう?
「女のシズクにはあまり言いたくないんだがな、ゴブリンってヒト族の女を動けなくしてさらう習性があるんだよ」
「女をさらうんですか? なんのために?」
「……孕み袋としてだ」
「孕み袋……赤ちゃんを産ませるため!?」
「ああ。動けない状態にしてから強制的に何度も交わって女を孕ませる。その子供も20日程度で生まれてくるから、生まれたらまた交わって孕ませる。女はそれを死ぬまで強要されるんだよ」
「うぅ……」
「おまえ、〝ゴブリンの森〟でウルフ狩りをするとき、浅いところでゴブリンを見かけたら逃げ帰ってもいいって言われなかったか?」
「言われました……」
「つまり、お前がそういう目にあうのを防ぐのが目的だよ。普通のギルド職員からすれば、お前は小動物を連れ歩く変わったソロ冒険者でしかないんだからな」
「はい。肝に銘じます」
「そういうわけだから、浅い場所でゴブリンと戦っている連中を見かけても助けようとせず、気付かれないうちに逃げ出せ、いいな。お前がいなくなると、この街の食糧事情が悪化するんだ」
「わかりました。無理はしません。今回も矢が頬をかすめただけで、痺れて動けなくなりそうでしたから」
「やつらの常套手段だ。今後は本当に気をつけろ」
「……はい。仲間を助けられないのは悔しいですが逃げ出します」
「冒険者の命は自己責任だ。助けるのは悪いことじゃない。だが、無理をしてお前まで死んだら意味がないぞ。よく覚えておけ」
ここでリンネさんも戻ってきてやっぱり女性ふたりも一緒のパーティだったことが判明した。
その2日後には大規模なゴブリン狩りが行われたけど、私は参加禁止という命令が冒険者ギルドからみんなの前で下されてしまう。
今回の一件で冷静さを欠いて暴走しないようにって。
本音は、私が怪我をしたり死んだりしないための温情措置なんだろうけど、先輩方も笑って見逃してくれた。
……そして、今回連れ去られていたらしいステップワンダーも含めて何人かの女性が助けられたらしいけれど、その先がどうなるかはわからないらしい。
特にステップワンダーは百年間、里に帰れないしきたりだからどこにも行く場所がないし。
私にもして上げられることなんてない。
どうか、早まった真似だけはしないでほしいな。
11
お気に入りに追加
821
あなたにおすすめの小説

異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

できれば穏便に修道院生活へ移行したいのです
新条 カイ
恋愛
ここは魔法…魔術がある世界。魔力持ちが優位な世界。そんな世界に日本から転生した私だったけれど…魔力持ちではなかった。
それでも、貴族の次女として生まれたから、なんとかなると思っていたのに…逆に、悲惨な将来になる可能性があるですって!?貴族の妾!?嫌よそんなもの。それなら、女の幸せより、悠々自適…かはわからないけれど、修道院での生活がいいに決まってる、はず?
将来の夢は修道院での生活!と、息巻いていたのに、あれ。なんで婚約を申し込まれてるの!?え、第二王子様の護衛騎士様!?接点どこ!?
婚約から逃れたい元日本人、現貴族のお嬢様の、逃れられない恋模様をお送りします。
■■両翼の守り人のヒロイン側の話です。乳母兄弟のあいつが暴走してとんでもない方向にいくので、ストッパーとしてヒロイン側をちょいちょい設定やら会話文書いてたら、なんかこれもUPできそう。と…いう事で、UPしました。よろしくお願いします。(ストッパーになれればいいなぁ…)
■■
コーデリア魔法研究所
tiroro
ファンタジー
孤児院を出て、一人暮らしを始めた15歳の少女ミア。
新たな生活に胸を躍らせる中、偶然出会った魔導士に助けられ、なりゆきで魔法研究所で働くことになる。
未知の世界で魔法と向き合いながら、自分の力で未来を切り拓こうと決意するミアの物語が、ここから始まる。

ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!
仁徳
ファンタジー
あらすじ
リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。
彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。
ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。
途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。
ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。
彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。
リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。
一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。
そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。
これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!
蓮華
釜瑪 秋摩
ファンタジー
小さな島国。 荒廃した大陸の四国はその豊かさを欲して幾度となく侵略を試みて来る。 国の平和を守るために戦う戦士たち、その一人は古より語られている伝承の血筋を受け継いだ一人だった。 守る思いの強さと迷い、悩み。揺れる感情の向かう先に待っていたのは――
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

伯爵令嬢アンマリアのダイエット大作戦
未羊
ファンタジー
気が付くとまん丸と太った少女だった?!
痩せたいのに食事を制限しても運動をしても太っていってしまう。
一体私が何をしたというのよーっ!
驚愕の異世界転生、始まり始まり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる