ペットとともに大地を駆けるステップワンダー ~ 私はモンスターテイマーじゃありません! ペットテイマーです!~

あきさけ

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第1部 〝ペットテイマー〟ここに誕生 第3章 一人前の冒険者を目指して

11. 4匹目の〝ペット〟

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「よし! 今日は晴れた!」

 あの雨は二日目の午後まで降り続き、結局2日間まったく狩りにいけなかった。
 メイナさんのところでお世話になっているから大丈夫だったけど、宿暮らしだったらカツカツかも……。
 メイナさんに感謝感謝。

「さて、今日は新しい装備を受け取ったら早速ウルフ狩りだよね! メイナさんからはいつもの場所で薬草を採ってくるなって言われたし」

 2日間も雨が降り続いたから、沢の水も増水していて危ないだろうってメイナさんから言われている。
 いまなら、ミネルの《静音飛行》ですぐなんだけど、それは隠しているから仕方がないか。
 さて、アダムさんのお店に到着と。

「来たか、シズクの嬢ちゃん」

「アダムさん、レザーアーマーの調整、終わってますか?」

「バッチリだ。着ていってみろ」

 アダムさんから渡されたレザーアーマー一式は確かにぴったりと体にフィットした!
 これなら動きやすそう!
 ……一部はブカブカだけど。

「とりあえず、それでベルト調整は完璧だろう。調整幅にも余裕を持たせてあるから体系が変わってもある程度は合わせられる。それでもだめになったら俺のところにまた来い。ベルトの取り替えをしてやるよ」

「ありがとうございます、アダムさん」

「いいっていいって。こっちも仕事だ。それで、今日はこれから狩りか?」

「本当なら図書館とかで勉強の予定だったんですけれど、2日間もなにもできなかったので、ウルフ狩りです」

「そうか。防具が新しくなったからって油断するなよ。首元もあるある程度は守られちゃいるが、押し倒されればそれで終わりだ」

「はい。気をつけます」

「じゃあ、頑張ってこい!」

「はい!」

 さて、後押しもしてもらったし、早速ウルフ狩りだよね!
 今日はいつもの林だと道がぬかるんでいてキントキとモナカが歩きにくそうだし丘の方に行ってみよう。
 あっちもウルフの生息地だし。
 いままでは囲まれると危なかったから避けてたけれど、いまなら頼りになる仲間ペットたちがいるからね!

 そう考えて丘の方までやってきたんだけど、ウルフがなにかを追い回している。
 追い回している先を見れば真っ白いウサギがいた。
 これは早く助けてあげないと!

「ミネル!」

『心得た。あのウサギを拾ってくればいいのじゃな?』

「うん! その間に私たちであのウルフを全滅させるから!」

『わかった。ウルフは全部で7匹。気を抜くなよ』

「わかってるって!」

 ミネルは私の肩から飛び上がると、そのままウサギさんをつかみあげて空へと舞い上がっていった。
 それを追いかけようとしたウルフたちに私からの先制攻撃だよ!

「《魔爪》!」

《魔爪》はモナカのスキルで本来なら魔力の爪でひっかくスキル。
 でも、これをナイフの斬撃と組み合わせると《魔爪》の効果が飛んでいくんだよね!
 この距離なら首をはねられる!

「ギャゥン!?」

 よし、まず1匹目は掃除完了!
 残った6匹もこっちに気がつき襲いかかってこようとするけど、甘い甘い!

「《砂嵐》!」

《砂嵐》もモナカから借りている《砂魔法》による魔法の一種で文字通り砂嵐を起こし、周囲を見えにくくする魔法。
 ウルフは嗅覚もあるから油断はできないけれど、こっちを見失っているから気付かれないように《魔爪》とナイフでゴリッと首を切れば、ウルフたちはすぐに全滅した。
 うん、便利だね、《砂魔法》!

『どうやら終わったようじゃな』

「あ、ミネル。ウサギさんの具合は?」

『怪我が酷い。傷薬はメイナに持たされていたな? それで治療してやれ』

「うん。わかったよ」

 ミネルからウサギさんを預かると真っ白い毛並みのいろいろな場所が血だらけになるほど怪我をしていた。
 私はすぐに背負い袋から傷薬を取り出してウサギさんに塗ってあげる。
 錬金術で作り出した魔法の薬だからすぐに効果が出始めて、ウサギさんもゆっくりとだけど目を覚ましてくれた。

「プー? (人?)」

「私? ステップワンダーだよ」

「ぷくー(言葉が通じているの?)」

「私、〝ペットテイマー〟だから小動物の言葉がわかるの」

「ぷぷー(お姉さんがあたちの傷を治してくれたんだね。ありがとう)」

「どういたしまして。それで、なんであなたはウルフに襲われていたの?」

「ぷぷぷー(あたちたちの巣穴がウルフに襲われたの。あたちはなんとか逃げ出せたけど、みんなは大丈夫かなあ)」

 ウサギさんたちの巣穴か。
 ウルフに襲われたってことはもう……。

「ぷぷ(お姉さん、あたちを巣穴のあるところまで連れて行って)」

「え、でも」

「ぷーぷ(みんなが死んでいることは諦めているの。でも、少しだけでもみてみたいの)」

「ミネル?」

『《静音飛行》で飛んでいけば問題なかろう。その上で、生き残りがいれば助けてやればよい』

「ありがとう、ミネル」

『そうと決まれば善は急げじゃ。早速飛び立つぞ』

「うん! ウサギさん、巣穴の方向ってわかる?」

「ぷー! (わかるよ!)」

「じゃあ、それだけ指示して、私たちは飛んでいくから。キントキとモナカもおいで」

『僕たち、置いていかれるかと思ってた』

『わちたちでは、ウルフはまだきついのよ』

「置いていかないよ。さあ、行くよ。《静音飛行》!」

 ミネルから借りたスキルで空へと飛び立ち、ウサギさんの指し示す方角まで一気に飛んでいった。
 でも、そこに広がっていたのは、やっぱりというか、ウサギさんたちがウルフに食べられている光景だったよ。

「ぷー……(仲間たち、逃げられなかった)」

「みたいだね」

『この高さから《魔爪》で首をはねれば反撃されることもあるまい。せめてもの弔いじゃ。ウルフどもを蹴散らしてしまえ』

「……そうするね。キントキとモナカもバランスが悪くなっちゃうけど我慢して」

『僕も許せないから我慢する』

『わちも』

「ぷー(ありがとう、みんな)」

 私はそのまま上空から《魔爪》を使った飛ぶ斬撃でウルフたちの首をはね飛ばし続けた。
 ウルフたちもなにが起こっているのか理解できず、そのまま全滅してくれたけれど、なんの気休めにもなりはしないよ……。

 ウルフの掃除が片付いたらミネルの勧めでさっき倒したウルフ7匹を解体魔法で解体して《ストレージ》の中にしまい、そのままウサギさんたちの巣に戻っていくと今度はウルフを解体魔法で解体して肉や毛皮、魔石を取り出して回収、ウサギさんたちは《土魔法》で穴を掘って1匹ずつ埋めてあげた。
 私が助けたウサギさんは、状態がいい仲間は解体して人の街に持ち込んでもいいよって言ってくれたけど、そんな気分になれないもん。

 結局、全部の作業が片付いたのは日が暮れ始める頃。
 倒したウルフは47匹もいた。
 死んだウサギさんもそれに匹敵するくらい多かったけど。

「ぷー……(お姉さん、ありがとう)」

「どういたしまして、これくらいしかできないんだけどね」

「ぷくー(でも、明日からどうやって生きていこう。行くあてがないや)」

「あれ、ウサギさんはほかに仲間がいないの?」

「ぷく(同じ種族の仲間はいないよ。だから、独りぼっち)」

「じゃあ、私と一緒に来る? ご飯と寝床は用意してあげられるよ?」

「ぷく! (いいの!?)」

「うん。それくらいしかしてあげられることもなさそうだし」

「ぷっぷー! (じゃあ、一緒に行く! どうすればいいの!?)」

『シズクが名前をつけるからそれを拒まず受け入れればいい。それで契約成立じゃ』

「ぷっぷ! (早くお名前ちょうだい!)」

 お名前、また悩む。
 好きなお菓子シリーズ、許してもらえるかな……。

「ねえ、シラタマっていうのはどうかな? これも私の好きなお菓子なんだけど……」

「ぷっぷー! (わかった! いまからあたちはシラタマ!)」

 ウサギさんから契約の光が放たれて銀色のネックレスもかかった。
 これでウサギさんはシラタマになってくれたんだ。

『よろしくね、シズクお姉さん!』

「こちらこそ、よろしくね、シラタマ」

『さて、仲間ペットが増えたのはいいがこのウルフの数は異常じゃぞ。冒険者ギルドとやらに報告した方がいいのではないか?』

「そうだね。お肉と毛皮を届けたら冒険者ギルドにも報告しよう」

 ミネルの勧めに従い、ミノス精肉店とウェイド毛皮店に今日の収穫を届けたあと、冒険者ギルドにも足を運んだ。
 よかった、リンネさん、まだいてくれたみたい。

「おや、シズクちゃん、いらっしゃい。この時間になんのようですか?」

「ちょっと報告したいことがあって」

「報告。聞きましょう」

 私がシラタマの巣があった場所にウルフが40匹以上いたことと、それを倒してきたことを話すとリンネさんは難しい顔をしてこう告げてくれた。

「うーん、そのクエスト、もうあるんですよね……」

「え? そうだったんですか?」

「一緒にクエストボードを見に行きましょうか。確か、『丘に生息しているウルフを30匹以上討伐しろ』っていうクエストですから、受領者がいなくて残っているかも……あった」

 リンネさんが剥がしてくれた紙には確かにシラタマがいた丘のウルフを30匹以上討伐せよという内容の依頼が書かれていたよ。
 依頼者は冒険者ギルドになってる。

「ウルフを30匹も倒すって面倒くさいだけで、たいしたお金にもならないから残っていたんでしょうね。それで、討伐証明の魔石は持ってきましたか?」

「はい。47匹分、この袋の中に詰めてあります」

「……47匹。これは、森の中を調査させてウルフのコロニーができていないか確認しないと」

「私が行きますか?」

「あなたひとりでは危ないです。いくらペットがいるとはいえ、ペット単体でウルフ相手には戦えないでしょう? 他の冒険者に依頼を出します」

「わかりました。よろしくお願いします」

「では、魔石の確認と買い取りです。こちらへ」

 どうやら魔石って、どこに生息していたかを調べる機能を持った魔導具もあるみたい。
 それを通して調べてもらったけど、全部対象の丘のウルフで間違いなし。
 リンネさんはさらに頭を抱えていたよ。

 私は魔石の臨時収入で嬉しかったけれど、冒険者ギルドとしては深刻みたい。
 私ももっと強くならなくちゃ。
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