短編集

ヤカンになる

好きにも色々あると言う。
簡単に言えばLove or LIke。
私にも、好きな人がいる。きっと…いやもちろんLoveの方だと信じている。

高校に入ってできた部活の先輩。先輩はカッコイイし優しい。もちろん女子人気は高い。バレー部のキャプテンとして、頼りにもなるいい先輩だ。

私の高校には、世間一般でいうブラック校則は無い。ただし、ひとつだけ私たちの青春を邪魔するルールがある。それは、パートナーについてだ。生徒同士での男女の恋愛は付き合った場合、先生に報告しなければならない。理由は、生徒一人一人の成績の上がり下がりを見るためらしい。それにしても、よく分からない。でも多くの人は従っている。本人達に聞いても、
「恋人ができてから沢山いいことがあるから気にしてない。」
だそうだ。ほんとによく分からない。

気になることは、いくつかあるけど、1番は、「良いことだらけ」という部分だ。私は報告したら、クラスやグループが話されやすくなると思っていたからそこに対して、とても疑問を持った。

     だから、恋人を作ることにした。

最初は適当な人でいいと思った。でも私には、本当に好きな人がいる、と思うとやっぱり女の子で、恋を叶えたいと思ってしまう。
……しょうがない先輩に告ろう。

それから告白の仕方について、色々調べた。体育館裏とか、ラブレターとか。
結果、口で伝えることに決めた。

告白なんて人生初めてでとても緊張した。下駄箱にメモ用紙を入れた。

放課後時間があったら、
     体育倉庫に来てください。

体育倉庫にしたのは、体育館裏だと、そういうのを見て楽しむ輩がいるらしい。それと、先輩との色んな思い出のある体育館内がいいと思ったから。

放課後になり、先輩が歩いてくるのが遠くから見えた。遠くから見つけることができる度、私は先輩に夢中なんだと思い知らされている気がした。

熱い夏の日、私の熱い思いは送られた。
「ずっと憧れで…………好きです。」
言葉が大幅に抜けた。でもきっと伝わっただろう。そう思い、前を見ると、先輩は、悲しそうな笑顔で私を降った。
「ありがたいけど、私はあなたと付き合えない。先生が認めてくれるわけない。私に憧れてるだけだよ。」
と言った。
熱い夏の日、振られた私の心は、ヤカンのように、恥ずかしい熱さと高い悲鳴をあげていた。

何がいけないかなんて、すぐ分かる。私は女、先輩も女。女バレの後輩と先輩。男女の交際を求める学校には会ってない。
分かってた。分かってけど、好きだった。

これはきっとLoveだと思ってる。
信じたいよこの気持ち…