上 下
4 / 31

4話 初めての任務

しおりを挟む

 今回受けた任務は、この王都から3キロほど東に向かったところにある草原でマテ草を一定数納品するというものだった。

 マテ草は味付け調味料として王都では必要とされている。マテ草から発されてる香りは魔物よけとも言われていて、採取がとてもしやすい。 

 その分もらえるポイントは少ないが受けやすい任務となっている。
 なので俺たちみたいな組み立てのパーティーにはもってこいな任務である。だが油断しているわけではない。2人で少しでも連携を取れるように、当日の朝俺とカナは話していた。

「カナはどうして大学院に行きたいの?」

「私は家系がみんな大学院卒業だから親に大学院を卒業しなさいって言われてるんだ。」

 カナの話によると、家系全員が医者な為小さい頃から医者になるように躾けてこられたようだ。
 だがカナは治癒魔法が使えず、後継ぎを妹に取られてしまいそうな状態になって焦って任務を受ける事にしたとのことだった。

 なるほど。大変な人なんだなと思った俺は、カナのためにも必ず4万ポイントまで貯めて2人で大学院に入ると心に誓った。

「ダイスはみんなのレベルが低いから大学院に行きたいんでしょ?」

「わかるの?」

「だって《全再生》って医者1000人分の実力がある治癒魔法だよ?私と組んでもらうのは勿体無いくらいだよ。」

「そうかな。でも俺もし魔物が出ても治癒魔法しか使えないから戦えないけどね。」

 俺は自分の弱点をカナに話した。

「大丈夫。私が攻撃するから。それにこの任務は魔物が出づらいって書いてあったし。」

 カナの攻撃魔法は充分優秀だと俺は見込んでいる。

 俺とカナはそれぞれ攻撃魔法と治癒魔法を持っていて初対面でパーティーを組んだ。
 これは運命なのではないだろうか。

「結構話したことだしそろそろ出発しようか。」

「そうだね。とりあえずはやってみないとだね。」

「うん。あと草原にはマテ草が生えているから魔物は来ないかもしれないが、道中は魔物が出る可能性がある。充分気をつけながらいこう。」

「わかった!」

 俺とカナは、マテ草の生えている草原へと向かった。
 

 1キロほど歩いたところで俺は何か走っているものの魔力を感じた。

「カナ! 後ろだ!」

 そこに現れたのは、猫の魔物だった。どうやら威嚇をしているようではないらしい。

「ビックリした。可愛いこの猫。」

「一応魔物だから気をつけて。」

「うん。この子は逃がしてあげようよ。」

「そうだね。攻撃的ではないしね。」

 猫の魔物に別れを告げ、無事1時間ほどで草原へと到着した。後はマテ草を採取して持ち替えれば任務完了になる。

「思ったより近かったし、あまり危ないこともなくて良かった。」

「そうだけど、まだ帰りがあるから気を緩めてはダメだよ。」

 その後も順調ににマテ草採取することができ、束にまとめて王都に向かい始めた。

 2人で採取したマテ草を納品し無事安全に王都に戻ることができ、
 
 そして報酬の10ポイントを獲得した。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

勇者の生まれ変わり、異世界に転生する

六山葵
ファンタジー
かつて、勇者と魔王が存在し激しい戦闘を繰り広げていた。 両者は互いに一歩譲らなかったが、やがて勇者は魔王に決定的な一撃を与える。 しかし、魔王もまた勇者に必殺の一撃を残していた。 残りわずかとなった命が絶たれる前に勇者はなんとか聖剣に魔王を封印することに成功する。 時は流れ、現代地球。 一人の青年が不慮の事故で突然命を失ってしまう。 目覚めた真っ白な部屋で青年が自称神を名乗る老人に言われた言葉は 「君は勇者の生まれ変わりなのじゃ」 であった。 これは特別な力をほとんど持たないただの青年が、異世界の様々なことに怯えながらも魔王を倒すために果敢に挑戦する。 そんな王道ファンタジーである。

拝啓、お父様お母様 勇者パーティをクビになりました。

ちくわ feat. 亜鳳
ファンタジー
弱い、使えないと勇者パーティをクビになった 16歳の少年【カン】 しかし彼は転生者であり、勇者パーティに配属される前は【無冠の帝王】とまで謳われた最強の武・剣道者だ これで魔導まで極めているのだが 王国より勇者の尊厳とレベルが上がるまではその実力を隠せと言われ 渋々それに付き合っていた… だが、勘違いした勇者にパーティを追い出されてしまう この物語はそんな最強の少年【カン】が「もう知るか!王命何かくそ食らえ!!」と実力解放して好き勝手に過ごすだけのストーリーである ※タイトルは思い付かなかったので適当です ※5話【ギルド長との対談】を持って前書きを廃止致しました 以降はあとがきに変更になります ※現在執筆に集中させて頂くべく 必要最低限の感想しか返信できません、ご理解のほどよろしくお願いいたします ※現在書き溜め中、もうしばらくお待ちください

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが…… アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。 そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。  実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。  剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。  アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。

元天才貴族、今やリモートで最強冒険者!

しらかめこう
ファンタジー
魔法技術が発展した異世界。 そんな世界にあるシャルトルーズ王国という国に冒険者ギルドがあった。 強者ぞろいの冒険者が数多く所属するそのギルドで現在唯一、最高ランクであるSSランクに到達している冒険者がいた。 ───彼の名は「オルタナ」 漆黒のコートに仮面をつけた謎多き冒険者である。彼の素顔を見た者は誰もおらず、どういった人物なのかも知る者は少ない。 だがしかし彼は誰もが認める圧倒的な力を有しており、冒険者になって僅か4年で勇者や英雄レベルのSSランクに到達していた。 そんな彼だが、実は・・・ 『前世の知識を持っている元貴族だった?!」 とある事情で貴族の地位を失い、母親とともに命を狙われることとなった彼。そんな彼は生活費と魔法の研究開発資金を稼ぐため冒険者をしようとするが、自分の正体が周囲に知られてはいけないので自身で開発した特殊な遠隔操作が出来るゴーレムを使って自宅からリモートで冒険者をすることに! そんな最強リモート冒険者が行く、異世界でのリモート冒険物語!! 毎日20時30分更新予定です!!

若返ったおっさん、第2の人生は異世界無双

たまゆら
ファンタジー
事故で死んだネトゲ廃人のおっさん主人公が、ネトゲと酷似した異世界に転移。 ゲームの知識を活かして成り上がります。 圧倒的効率で金を稼ぎ、レベルを上げ、無双します。

元34才独身営業マンの転生日記 〜もらい物のチートスキルと鍛え抜いた処世術が大いに役立ちそうです〜

ちゃぶ台
ファンタジー
彼女いない歴=年齢=34年の近藤涼介は、プライベートでは超奥手だが、ビジネスの世界では無類の強さを発揮するスーパーセールスマンだった。 社内の人間からも取引先の人間からも一目置かれる彼だったが、不運な事故に巻き込まれあっけなく死亡してしまう。 せめて「男」になって死にたかった…… そんなあまりに不憫な近藤に神様らしき男が手を差し伸べ、近藤は異世界にて人生をやり直すことになった! もらい物のチートスキルと持ち前のビジネスセンスで仲間を増やし、今度こそ彼女を作って幸せな人生を送ることを目指した一人の男の挑戦の日々を綴ったお話です!

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

処理中です...