兄弟がイケメンな件について。

どらやき

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1章

nine(有りの世界)

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「た、ただいまマイハウス~!!」

帰ってくるなり俺は早々にベットに飛び込んだ。干して行ったからフワフワだ。

(········内緒··か。)

ボッ

(あぁああぁぁぁぁああ!思い出すと恥ずかしぃ~!!)

俺キスされた時なんて声を出していたんだ!これは、記憶をブラックアウトする必要があるな。

現時刻は16時。明日は日曜で休み。

気持ちを切り替えて明日する事を考えていた。

(さて、俺よ。明日何をする?)

一日中寝るか、家で過ごすか悩んでいたらピコンとLINEが来た。昴からだった。

『明日暇か?』

明日·····うん!暇だな!

『暇だよ。』

『じゃあさ、明日9時に駅前に来て。』

『なんで?』

『何でも。』

(いや、要件を言って欲しいんだけど!)

まぁいいかと思いながら『分かった』と返信した。

*****

「朔~ご飯。」

「分かった。」

楓兄が俺を呼びに来た。

しっかし楓兄は家でもオシャレなんだな。俺は家だとパーカーとダボッとしたズボンだぞ?

ここが、モテ男と非モテ男の違いか。

リビングに入るとテーブルには俺の好きなオムライス!

「これ珀兄が作ったの!?」

「おう。美味そうだろ?早く食え。」

俺は超速攻で椅子に座って「いただきます」と言った。

卵にスプーンを入れるとトロっと卵がご飯にかかった。これぞ俺が好きなTheオムライスだ!!

パクっと1口。

「どうだ?」

「~んっ~めえ!珀兄最高!」

「ふっ、惚れたか?」

「え?それは~·····あっ!女の子だったら惚れてるんじゃない?ほら!今料理男子って流行ってるじゃん!?」

(············あっぶねー。いつものノリで惚れたわとか言いそうだった。)

いつものノリで言えないのもしょうがない。だって、ねぇ?言われたら、ねぇ?

そりゃこうなりますよ。




俺はものの10分で完食した。

「美味しかった!また作って!」

「また、な。」

食べ終わって大満足の俺とは反対に、楓兄と葵兄はテレビを見ながらご飯を食べている。

(あ、現在進行形ね。)

俺がご馳走様をして自分の部屋に戻ろうとしたら、

「あ、朔。甘い物食べる?」

(ナニッ!?甘い物···だと?)

楓兄は冷蔵庫から白い箱を持ってきた。

中を見ると、

「ふぉ、フォンダンショコラだ!」

「そう!しかも数量限定の優れもの。」

これってあの有名な洋菓子店。"mezyu-ru"の大人気商品だ。店で買うのは勿論困難。店で買えない人達の為に通販で販売しても販売からわずか10分で売り切れてしまうほどの人気。

でも、

「どうやって手に入れたの?」

そう聞くと楓兄はさらっと言った。

「mezyu-ruを作った社長が俺の知り合いでね。弟の為にって頼んだら秒でOKしてくれた。」

「·············さ、流石楓兄。」

これには俺もびっくりだ。

楓兄は全国洋菓子技術コンテスト大会で高校2年生初の最優秀賞をとったすごい人なのだ。

それから、トップ・オブ・パティシエ・イン・アジア(2年ごとに開催されているアジア大会)でも日本人初の最優秀賞を獲得。

はたまた、フランス・アメリカで開催されている世界大会では、優秀賞と最優秀賞の2つを獲得した。

簡単に言うと世界で1番すごいパティシエなのだ。

(改めて家族がそんなんって考えると俺はなんて所に来ちまったんだ·········。)

冴えない自分が恥ずかしい。

まぁ!今更だけど!!



その後はフォンダンショコラを充分に満喫し、風呂に入った。

*****

「あ、そうだ。兄達、俺明日9時前から出かけるね。」

そう言うと"何言ってんだ"というような顔で俺を見てきた。

「え、何?」

「誰と?どこに?何時に帰ってくる?」

(·······心配されてるのは分かるけど流石にカッチーンと来るよね。)

俺は小さい子供かっ!?

「えーっと、昴と駅前に集合してどこか行く。」

「どこ?」

「知らない。」

「言わないと行かせない。」

(はぁ、面倒臭いなぁぁああ!!)

「大丈夫だって!ちゃんと7時までには帰るから!何かあったら電話して!」

これでいいだろ···。もう、好きに遊ばせてくれ。

「はぁ。分かった。だけど遠い所には行くなよ?」

「分かった。」


ジトーっと俺の事を兄達が見てくるのでこれ以上言われると嫌だから俺は、

「おやすみっ!」

と言って素早く部屋に戻った。


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