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俺は留盛零とめもりれい高校2年生だ。


ここ丹羽にわ高校は日本でも有数な有名高。


スポーツから勉強まで、あらゆる分野で優秀な成績を残している。


2年の途中にここに編入してきた。


そして、立派な陰キャに成長した。


不細工な顔を見られるのが嫌で中学の時から前髪を伸ばし続け見事に目を覆うようになった。


それでも頭髪検査には引っかかってしまうので視力は良いけど伊達メガネをかけることにした。


この低身長もコンプレックスだ。


周りから『チビ』と言われ続ける日々。


(まぁ、もう何とも思わないけどさ。)


そんな俺でも唯一好きなものがある。


それは、


「なぁ。明日、ここ行かない?」


「ここ?····ええよ。2人なん?」


「嫌か?」


「なんや急に笑ええで、楽しもーな!」


「おう!」


そう、それは、男同士のイチャラブ。


BLである!!


え、ぇっち···なのは流石に手は出せないけど同性でも恋愛をする事は悪い事だとは思わないし、·····実際にそういう人達が居たら俺は応援する。


性別関係なく、事は誇りだと思うから。


でも、が原因で中学ではいじめの標的になった。


それは中2から中3にかけてずっと続いた。


高校は中学から近くの所を選んだけど顔見知りが居て、それが嫌で県外の丹羽高校に編入したのだ。


でも、お陰で俺は陰キャとして目立つこと無く平和に生活できている。


(·····幸せだぁぁああ!!)


クラスの人数は38人で、という人間が居るのも知らない生徒も沢山いると思う。


そう、が起こるまでは。



時は遡ることほんの少し前。


*****


その日は10月半ばで、俺が編入して来て約3ヶ月が経った。


この高校では女装グランプリと男装グランプリというものがある。


その名の通り男子は女子の格好を、女子は男子の格好をして、各学年ごとグランプリを決める学校の恒例行事だ。


グランプリを取ったクラスには文化祭で使える無料券が1人4枚ずつ配られる。


(····なんとも現実的なんだ。)


俺らのクラスもその為に準備が少しずつ行われた。


そこで事件は起きた。


俺はこういう類のものに興味があまり無いので外をボーっと見ていた。


俺の席は窓側の前から4番目の席だ。


「じゃあ、今から今年のグランプリについて話をします!!」


我がクラス?の実行委員長か張り切っている。


「委員長張り切ってんなぁ~」


クラスで笑いが起きた。


「そりゃそうですよ!!去年うちらのクラスは見事男女ともにグランプリを取ってるんですから!!」


らしい。


(ま、俺には関係ないけどさ。)


そう思いまた外に目を向ける。


「今年なんですけど、私女装して欲しい生徒が居るんです。」


「委員長が?」


「え~誰だろ。気になる!」


すると、委員長とやらは俺の方へ向かって歩いてきた。


そして、机をコンコンと叩いた。


「留盛君。···君にやって欲しいの。」


「···········え?」


委員長のその声にみんなが驚きを隠せていなかった。


そりゃそうだ。俺みたいなモブ、ましてや陰キャがグランプリに出るなんて恐れ多い。


「····何、言ってんだ委員長。」


「そ、そうだよ!」


「無理言ってやってもらうのも·····」


こいつにはやって欲しくない。そんな思いが俺には伝わった。


(やめろぉおお!俺が不細工なんて事は俺が1番分かってるんだよ!!)


それからすぐして委員長は大きな咳払いをした。


(お願いだから、諦めてくれよ。)


俺は陰キャながら心から願った。


「·····皆。それを言うのはまだ早いんじゃない?」


「·····え?」


クラスの人の声が重なる。


その中には怒号を送る生徒も居た。


(ちょ、まじやめて!俺の平和ライフが!)


委員長は急に俺のメガネをとって、前髪を持っていたピンで留めた。


「え、ちょ!」


俺は両手で顔を覆うようにした。


委員長はそんな俺をお構い無しに教卓へ連れて行った。


人前に出るのは昔から苦手で顔が赤くなるのが分かった。


(こ、こんな羞恥はないだろ····。)


知らないうちに目の前がぼやけた。


俺の顔を見たクラスの人達は言葉を忘れたかのように何も言わなかった。


(ほらぁ!皆ポカーンとしちゃったよ!?)


俺は委員長を睨んだ。


「ちょ····留盛君·······見つめんのヤバイ。」


顔を赤くして目を逸らした。


(······あ、すみません。)


そして、俺は泣きべそをかいたまま下を見続けた。



*****

ちなみに委員長は口調が女っぽい男の生徒です!
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