騎士団長の溺愛計画。

どらやき

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人混みを抜けて少しホッとした。
チラリと上を見ると、視線に気づいたクルーウェルさんが優しく笑ってくれる。

それを見る度に、胸が温かくなる。

「ルーク、そろそろ······」
「?クルーウェルさん?」
「んー······」

少し苦い顔をした。

でも、どこか恥ずかしい顔をしていた。

「·············リアムって····」
「·····へ」
 
頭をガシガシとかきながら言ってきた。

(もしかして、名前····)

少しむず痒い気持ちになりながらも、服を掴んで精一杯の笑顔で言った。

「リアムさん」
「っ······はぁぁぁぁぁぁ····うん」

顔を赤く染め、そっぽを向かれた。恥ずかしがっているその仕草にまた胸が跳ねる。

それを実感する度、とても嬉しくなる。
そして、何だか名前をもっと呼びたくなった。

「リアムさん」
「····なんだ」
「呼んでみただけです!へへっ」
「っ·······そうか···」

俺が名前を呼ぶのと同時に、俺の名前も沢山呼んで欲しい、と思った。

「リアムさん」
「ん?」
「·····俺の名前·····貴方にあげるから····代わりにもっと、····呼んでもいい?」
「!······あぁ」

なんだか、特別なことを約束した気がした。今の俺には、それで十分だった。

そんな言葉の掛け合いから少しが経ち、昼食を摂ることになった。

久しぶりに外に出て、少しお腹が減った。
だから、クルーウ····リアムさんがよく行っているというお店に行くことになった。

お店の周りは草木で囲まれていて、とても不思議な空間だった。

リアムさんが、ドアに手をかけ、鈴が鳴る。

「ん?お!リアム!·····と、誰だこのべっぴんさんは。」

俺達を迎えてくれたのは、右腕にバンダナを巻き、額に大きな傷のあるかっこいい男性だった。

彼の目の色はオレンジでとても綺麗だった。

「ティン·····あまりルークに近づくな。」
「へぇ、ルークって言うのか。俺はティファニー・ガルマだ!よろしくな!」

クシャッと笑うその顔はとても幼く見えた。

「ルーク、です。よろしくお願いし、ます。」

この人の雰囲気はどこか穏やかで、怖さを感じなかった。

そして、席に案内される。

店内は、綺麗に整っていて、飾られている花はとても生き生きとしていた。

気で作られたコップに水が入ったものが出され、メニューを渡された。

「リアムはどうせいつものだろ?ルークは?」
「おい、気安く呼ぶな」
「おっかねぇ~!」

その2人のやり取りは、どこか馴染みあるもののように感じた。

「俺は········」

リアムさんがメニューを開き、見せてくれた。

「えと······これで」
「お!いい線いったねぇ。うちはそれ、売りだぜ!」
「そうなんですか。」
「は や く い け」

少しイライラしたリアムさんは、眉を真ん中に寄せながら言った。

「はいはい。少々お待ちー」

ティンさんが去って、リアムさんが急に俺を抱く腕に力を入れた。

「リアムさん?」
「·········無理するなよ?」
「はい」

リアムさんは、心配性だ。

俺は、メニューを見てて気になってたグラタンというものを頼んだ。
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