20 / 26
18
しおりを挟む
人混みを抜けて少しホッとした。
チラリと上を見ると、視線に気づいたクルーウェルさんが優しく笑ってくれる。
それを見る度に、胸が温かくなる。
「ルーク、そろそろ······」
「?クルーウェルさん?」
「んー······」
少し苦い顔をした。
でも、どこか恥ずかしい顔をしていた。
「·············リアムって····」
「·····へ」
頭をガシガシとかきながら言ってきた。
(もしかして、名前····)
少しむず痒い気持ちになりながらも、服を掴んで精一杯の笑顔で言った。
「リアムさん」
「っ······はぁぁぁぁぁぁ····うん」
顔を赤く染め、そっぽを向かれた。恥ずかしがっているその仕草にまた胸が跳ねる。
それを実感する度、とても嬉しくなる。
そして、何だか名前をもっと呼びたくなった。
「リアムさん」
「····なんだ」
「呼んでみただけです!へへっ」
「っ·······そうか···」
俺が名前を呼ぶのと同時に、俺の名前も沢山呼んで欲しい、と思った。
「リアムさん」
「ん?」
「·····俺の名前·····貴方にあげるから····代わりにもっと、····呼んでもいい?」
「!······あぁ」
なんだか、特別なことを約束した気がした。今の俺には、それで十分だった。
そんな言葉の掛け合いから少しが経ち、昼食を摂ることになった。
久しぶりに外に出て、少しお腹が減った。
だから、クルーウ····リアムさんがよく行っているというお店に行くことになった。
お店の周りは草木で囲まれていて、とても不思議な空間だった。
リアムさんが、ドアに手をかけ、鈴が鳴る。
「ん?お!リアム!·····と、誰だこのべっぴんさんは。」
俺達を迎えてくれたのは、右腕にバンダナを巻き、額に大きな傷のあるかっこいい男性だった。
彼の目の色はオレンジでとても綺麗だった。
「ティン·····あまりルークに近づくな。」
「へぇ、ルークって言うのか。俺はティファニー・ガルマだ!よろしくな!」
クシャッと笑うその顔はとても幼く見えた。
「ルーク、です。よろしくお願いし、ます。」
この人の雰囲気はどこか穏やかで、怖さを感じなかった。
そして、席に案内される。
店内は、綺麗に整っていて、飾られている花はとても生き生きとしていた。
気で作られたコップに水が入ったものが出され、メニューを渡された。
「リアムはどうせいつものだろ?ルークは?」
「おい、気安く呼ぶな」
「おっかねぇ~!」
その2人のやり取りは、どこか馴染みあるもののように感じた。
「俺は········」
リアムさんがメニューを開き、見せてくれた。
「えと······これで」
「お!いい線いったねぇ。うちはそれ、売りだぜ!」
「そうなんですか。」
「は や く い け」
少しイライラしたリアムさんは、眉を真ん中に寄せながら言った。
「はいはい。少々お待ちー」
ティンさんが去って、リアムさんが急に俺を抱く腕に力を入れた。
「リアムさん?」
「·········無理するなよ?」
「はい」
リアムさんは、心配性だ。
俺は、メニューを見てて気になってたグラタンというものを頼んだ。
チラリと上を見ると、視線に気づいたクルーウェルさんが優しく笑ってくれる。
それを見る度に、胸が温かくなる。
「ルーク、そろそろ······」
「?クルーウェルさん?」
「んー······」
少し苦い顔をした。
でも、どこか恥ずかしい顔をしていた。
「·············リアムって····」
「·····へ」
頭をガシガシとかきながら言ってきた。
(もしかして、名前····)
少しむず痒い気持ちになりながらも、服を掴んで精一杯の笑顔で言った。
「リアムさん」
「っ······はぁぁぁぁぁぁ····うん」
顔を赤く染め、そっぽを向かれた。恥ずかしがっているその仕草にまた胸が跳ねる。
それを実感する度、とても嬉しくなる。
そして、何だか名前をもっと呼びたくなった。
「リアムさん」
「····なんだ」
「呼んでみただけです!へへっ」
「っ·······そうか···」
俺が名前を呼ぶのと同時に、俺の名前も沢山呼んで欲しい、と思った。
「リアムさん」
「ん?」
「·····俺の名前·····貴方にあげるから····代わりにもっと、····呼んでもいい?」
「!······あぁ」
なんだか、特別なことを約束した気がした。今の俺には、それで十分だった。
そんな言葉の掛け合いから少しが経ち、昼食を摂ることになった。
久しぶりに外に出て、少しお腹が減った。
だから、クルーウ····リアムさんがよく行っているというお店に行くことになった。
お店の周りは草木で囲まれていて、とても不思議な空間だった。
リアムさんが、ドアに手をかけ、鈴が鳴る。
「ん?お!リアム!·····と、誰だこのべっぴんさんは。」
俺達を迎えてくれたのは、右腕にバンダナを巻き、額に大きな傷のあるかっこいい男性だった。
彼の目の色はオレンジでとても綺麗だった。
「ティン·····あまりルークに近づくな。」
「へぇ、ルークって言うのか。俺はティファニー・ガルマだ!よろしくな!」
クシャッと笑うその顔はとても幼く見えた。
「ルーク、です。よろしくお願いし、ます。」
この人の雰囲気はどこか穏やかで、怖さを感じなかった。
そして、席に案内される。
店内は、綺麗に整っていて、飾られている花はとても生き生きとしていた。
気で作られたコップに水が入ったものが出され、メニューを渡された。
「リアムはどうせいつものだろ?ルークは?」
「おい、気安く呼ぶな」
「おっかねぇ~!」
その2人のやり取りは、どこか馴染みあるもののように感じた。
「俺は········」
リアムさんがメニューを開き、見せてくれた。
「えと······これで」
「お!いい線いったねぇ。うちはそれ、売りだぜ!」
「そうなんですか。」
「は や く い け」
少しイライラしたリアムさんは、眉を真ん中に寄せながら言った。
「はいはい。少々お待ちー」
ティンさんが去って、リアムさんが急に俺を抱く腕に力を入れた。
「リアムさん?」
「·········無理するなよ?」
「はい」
リアムさんは、心配性だ。
俺は、メニューを見てて気になってたグラタンというものを頼んだ。
55
お気に入りに追加
2,918
あなたにおすすめの小説

総長の彼氏が俺にだけ優しい
桜子あんこ
BL
ビビりな俺が付き合っている彼氏は、
関東で最強の暴走族の総長。
みんなからは恐れられ冷酷で悪魔と噂されるそんな俺の彼氏は何故か俺にだけ甘々で優しい。
そんな日常を描いた話である。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!
ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。
「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」
なんだか義兄の様子がおかしいのですが…?
このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ!
ファンタジーラブコメBLです。
平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります♡
【登場人物】
攻→ヴィルヘルム
完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが…
受→レイナード
和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。

飼われる側って案外良いらしい。
なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。
なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。
「まあ何も変わらない、はず…」
ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。
ほんとに。ほんとうに。
紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22)
ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。
変化を嫌い、現状維持を好む。
タルア=ミース(347)
職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。
最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

お前ら、、頼むから正気に戻れや!!
彩ノ華
BL
母の再婚で俺に弟が出来た。義理の弟だ。
小さい頃の俺はとにかく弟をイジメまくった。
高校生になり奴とも同じ学校に通うことになった
(わざわざ偏差値の低い学校にしたのに…)
優秀で真面目な子と周りは思っているようだが…上辺だけのアイツの笑顔が俺は気に食わなかった。
俺よりも葵を大事にする母に腹を立て…家出をする途中、トラックに惹かれてしまい命を落とす。
しかし目を覚ますと小さい頃の俺に戻っていた。
これは義弟と仲良くやり直せるチャンスなのでは、、!?
ツンデレな兄が義弟に優しく接するにつれて義弟にはもちろん愛され、周りの人達からも愛されるお話。

俺が総受けって何かの間違いですよね?
彩ノ華
BL
生まれた時から体が弱く病院生活を送っていた俺。
17歳で死んだ俺だが女神様のおかげで男同志が恋愛をするのが普通だという世界に転生した。
ここで俺は青春と愛情を感じてみたい!
ひっそりと平和な日常を送ります。
待って!俺ってモブだよね…??
女神様が言ってた話では…
このゲームってヒロインが総受けにされるんでしょっ!?
俺ヒロインじゃないから!ヒロインあっちだよ!俺モブだから…!!
平和に日常を過ごさせて〜〜〜!!!(泣)
女神様…俺が総受けって何かの間違いですよね?
モブ(無自覚ヒロイン)がみんなから総愛されるお話です。

不良高校に転校したら溺愛されて思ってたのと違う
らる
BL
幸せな家庭ですくすくと育ち普通の高校に通い楽しく毎日を過ごしている七瀬透。
唯一普通じゃない所は人たらしなふわふわ天然男子である。
そんな透は本で見た不良に憧れ、勢いで日本一と言われる不良学園に転校。
いったいどうなる!?
[強くて怖い生徒会長]×[天然ふわふわボーイ]固定です。
※更新頻度遅め。一日一話を目標にしてます。
※誤字脱字は見つけ次第時間のある時修正します。それまではご了承ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる