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「ルーク、痛くはないか?」
「はい、大丈夫です!」
「痛くなったら直ぐに言うんだぞ?」
「はい」
俺は今、クルーウェルさんの馬に2人で乗って、スプロンドゥ王国の中心部へと向かっていた。
自分が居た所が王宮だということに気付いたのは、部屋を出て廊下に国王様と王妃様が書かれた絵が飾られているのを見た時だった。
重ね重ね申し訳なく感じた。
馬に乗って30分ほど走ると、街の中心部であるソニンに着いた。
ソニンはたくさんの人達で賑わっていてとても華やかだった。
馬から降りて、歩いて街を回ろうと思っていた矢先、見事にクルーウェルさんに姫抱きをされた。
「·····あの」
「ん?」
「自分で、歩けます」
「ダーメ。何かあったら嫌だから。」
「えぇ······」
姫抱きをされるのは慣れた。でも、クルーウェルさんにされるととても目立つ。
そして、視線が全て集まってくるから苦手なのだ。でも、彼の腕の中に居るってだけで安心する俺はもう、毒されているのだろう。
「クルーウェルさん、あれ何ですか?」
「ん?·····あぁ、あれは冒険者ギルドだ」
「冒険者ギルド?」
「冒険者になるための登録や依頼を請け負うギルドの事だ。冒険者っていってもフリーでやるか、チームで組むかも重要となってくる。その情報や仲間を集めるのにも無くてはならない場所だ。」
「へぇー」
冒険者ギルドの前を通り過ぎて、暫く歩いていくと何やら大きな人だかりが出来ていた。
クルーウェルさんはそこに躊躇なく踏み込んだ。
「何があった。」
その声に周りにいた人達がザッと振り向いた。
「リアム騎士団長!?」
「なんでこんな所に·····」
「やったー!会えたわ!!」
「まさか見れるとは····」
その中の多くの声が、クルーウェルさんを絶賛するような声だった。
(人気者······なんだ)
俺とは大違いだな、と思って、胸が痛んだ。
一緒に居ることの恥ずかしさを感じて思わずクルーウェルさんの胸の中に顔を埋めた。
「ルーク?」
そして、その一声で皆の目線が俺に向けられた。
「リアム騎士団長·····その子は····」
「この子はルークだ。俺の最愛の子だ。」
「「「「えぇぇぇぇぇ!?」」」」
その声に思わず身が震えた。
「·····あの、リアム騎士団長が?」
「どんなに可愛い子に告白されても断り続けてきた方が·······?」
「凄い、気になる」
体が少し震えているのが分かった。そして、その時クルーウェルさんが俺の背中を軽く叩き、自己紹介を、と優しく耳元で囁いた。
俺は、泣きそうになるのを我慢しながらクルーウェルさんの服をギュッと掴んだ。
「······る、ルーク····です····えっと····お願いします····?」
いい終わった後、俺は直ぐにクルーウェルさんの胸の中に顔を埋めた。
「やば、可愛い·····」
「てか、黒髪黒目って····」
「うん。珍しいよね。」
「リアム騎士団長が惚れるのも分かるわ」
今の俺には周りの人達の声が聞こえなかった。
「よく頑張った。すまないが、人見知りなものでね。·····ルーク、帰ろうか。」
「ぁ、ありがとうございました。」
優しく体を支えられながら、俺達はまたソニンを堪能することにした。
「はい、大丈夫です!」
「痛くなったら直ぐに言うんだぞ?」
「はい」
俺は今、クルーウェルさんの馬に2人で乗って、スプロンドゥ王国の中心部へと向かっていた。
自分が居た所が王宮だということに気付いたのは、部屋を出て廊下に国王様と王妃様が書かれた絵が飾られているのを見た時だった。
重ね重ね申し訳なく感じた。
馬に乗って30分ほど走ると、街の中心部であるソニンに着いた。
ソニンはたくさんの人達で賑わっていてとても華やかだった。
馬から降りて、歩いて街を回ろうと思っていた矢先、見事にクルーウェルさんに姫抱きをされた。
「·····あの」
「ん?」
「自分で、歩けます」
「ダーメ。何かあったら嫌だから。」
「えぇ······」
姫抱きをされるのは慣れた。でも、クルーウェルさんにされるととても目立つ。
そして、視線が全て集まってくるから苦手なのだ。でも、彼の腕の中に居るってだけで安心する俺はもう、毒されているのだろう。
「クルーウェルさん、あれ何ですか?」
「ん?·····あぁ、あれは冒険者ギルドだ」
「冒険者ギルド?」
「冒険者になるための登録や依頼を請け負うギルドの事だ。冒険者っていってもフリーでやるか、チームで組むかも重要となってくる。その情報や仲間を集めるのにも無くてはならない場所だ。」
「へぇー」
冒険者ギルドの前を通り過ぎて、暫く歩いていくと何やら大きな人だかりが出来ていた。
クルーウェルさんはそこに躊躇なく踏み込んだ。
「何があった。」
その声に周りにいた人達がザッと振り向いた。
「リアム騎士団長!?」
「なんでこんな所に·····」
「やったー!会えたわ!!」
「まさか見れるとは····」
その中の多くの声が、クルーウェルさんを絶賛するような声だった。
(人気者······なんだ)
俺とは大違いだな、と思って、胸が痛んだ。
一緒に居ることの恥ずかしさを感じて思わずクルーウェルさんの胸の中に顔を埋めた。
「ルーク?」
そして、その一声で皆の目線が俺に向けられた。
「リアム騎士団長·····その子は····」
「この子はルークだ。俺の最愛の子だ。」
「「「「えぇぇぇぇぇ!?」」」」
その声に思わず身が震えた。
「·····あの、リアム騎士団長が?」
「どんなに可愛い子に告白されても断り続けてきた方が·······?」
「凄い、気になる」
体が少し震えているのが分かった。そして、その時クルーウェルさんが俺の背中を軽く叩き、自己紹介を、と優しく耳元で囁いた。
俺は、泣きそうになるのを我慢しながらクルーウェルさんの服をギュッと掴んだ。
「······る、ルーク····です····えっと····お願いします····?」
いい終わった後、俺は直ぐにクルーウェルさんの胸の中に顔を埋めた。
「やば、可愛い·····」
「てか、黒髪黒目って····」
「うん。珍しいよね。」
「リアム騎士団長が惚れるのも分かるわ」
今の俺には周りの人達の声が聞こえなかった。
「よく頑張った。すまないが、人見知りなものでね。·····ルーク、帰ろうか。」
「ぁ、ありがとうございました。」
優しく体を支えられながら、俺達はまたソニンを堪能することにした。
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