騎士団長の溺愛計画。

8

目が覚めてから、彼は俺に付きっきりだった。

「気分はどうだ？苦しくないか？なにかして欲しい事はあるか？」

あまりにも俺の事を大切に扱うので、少し可笑しく思い、笑ってしまった。

「ふっ」
「········笑った·····」
「？」
「いや、なんでもない。それより、なんでも言ってくれて構わない。」
「ｺｸﾝ」

相変わらず声は出ないまま。
体は動かず、ご飯も喉を通らない。

俺の事を全てしてくれる彼に対して罪悪感しかない。

それに、俺は彼の事を何も知らない。

彼の名前も、仕事も、どうして俺に付きっきりなのかも。

(······なんで、声が出ないの········)

自分の不甲斐なさに嫌気がさす。

すると、彼は俺のベットの脇にイスを置き、話を始めた。

「自己紹介がまだだったな。俺はリアム・クルーウェル。ここは、スプロンドゥ王国で、王国騎士団の騎士団長をやっている。歳は22だ。好きな食べ物は肉。
あと、甘いものも好きだ。苦手な食べ物は辛いものと酸っぱいものだ。
それで、俺が君に付きっきりな理由は、俺が君の看病をしたかったからだ。」

クルーウェルさんは、まるで俺の考えていることが分かるのかと思うほど、知りたいことを話してくれた。

"俺が君の看病をしたかったから"

その言葉が凄く嬉しかった。今までそう言ってくれる人は、クレイとセバスだけだったから。

そして、その日はクルーウェルさんのお話を沢山聞いて、眠りについた。