騎士団長の溺愛計画。

どらやき

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 今日もまた、暗くて狭い部屋に1人。
でも、もう慣れた。なんせ、5歳からこの生活だから。

俺、ルーク・ウィバースは今年で、12歳となった。俺の見た目は、黒髪黒目というアシタナ王国では珍しい色を持って生まれてきた。

アシタナ王国では、先祖代々黒髪黒目のいる家は呪われる、という伝承があるらしい。

(·····早く、早く···ここから出たい。)

十分に与えられない食事。毎日、家族の機嫌によって起こる、体罰や言葉の暴力。

俺の精神はボロボロだった。

そんな俺にも、味方は居て、俺の専属メイドのクレイだ。

「ルーク様、·······国王様に、訴えましょうよ····お願いですから、もう、これ以上は·····」

泣きながら訴えてきた。

「····訴えたら、·····死ぬと思うよ。」
「っでも!国王様は、あんな伝承信じていませんので、きっと、きっと!」
「······ありがとう、クレイは優しいな。気持ちだけ、受け取っておくよ。」

そうなのだ。この国で、伝承されていたとしても、信じていない人達は多いのだ。でも、強く信じている者もいる。

それが、俺の父と、義母、だった。

歳が5つ離れている、義姉のダリアは、信じているのかいないのか分からない。

そして、俺の実の兄であるニールは、俺と16離れており、今では騎士団に専属となっていて、滅多に家に帰ってこない。

だから、兄との記憶はほぼゼロに等しい。

そして、ウィバース公爵家に長らく務めている執事のセバスによると、俺は確かにらしい。

俺の実母が、俺の父と離婚するまでは。

母は、父の性格に耐えられず離婚したらしい。

(······よく分かるな。)  

父はすぐに暴力をする。

すると、俺の部屋のドアがギギギと開いた。

その瞬間、体に冷や汗が走り、体が震えた。父だった。

「おい」 

目で立て、と言われ立つ。クレイには目で合図をして、部屋から出るよう催した。
 
恐る恐る立つと、

「ゔっ!」

お腹を強い力で殴られる。次は頭を掴まれて壁に打たれる。

「いっ、!」 

まるで俺をサンドバックのように扱う。
頭と顔からは、赤黒い血が出た。
そして、お腹には、新たな痣が刻まれた。

父は思う存分俺を殴ったり、蹴ったりした後、ふんっと言って部屋を去っていった。

居なくなったのを確認し、痛む体をベットに寝かす。

外からは父がクレイに説教をしている声が聞こえた。恐らく、俺の部屋を出禁になったのだろう。

(あぁ、やだ、やだ·····もう、死んでしまいたい)

カラッカラの体から、あったのか、と思う程涙が出てきた。

それを最後に俺は眠りについた。
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