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SIDE セイ
しおりを挟む話は百合さんが桜川美怜を尋問した時へと戻る
あの時、静流と百合さんはアイコンタクトをしていた
その後静流は、皆に指示を出したんだけど…
その指示っていうのが、まず美怜が社員の名前で買ったと言う物件の捜査とその社員が関わっているかどうかの確認
次に、美怜の携帯やパソコン、会社のパソコン等と彼女が使う事のできる機器を解析する事
実際に俺を攫って連れて行こうとした場所へ行っての捜査だった
少し時間はかかったけど、どんどん情報が降りてきた
結果、勝手に名前を使われた社員は白
職場で財布を無くし、見つかったのが一週間後
これは裏も取れていて、コーヒーを自販機で購入しカバンに財布を直したのを一緒に買いに行っていた同僚が見ていたことから、盗難騒ぎになったらしい
その一週間の間に、美怜はこの社員の妻だと名乗り書類を偽造
キャッシュで物件を購入した
売却した不動産にも確認が取れている
そして、黒幕とのメールのやり取りの復元はうまく行った
片言の日本語で書かれたメールに、俺達は外国人で静流に恨みのある者…と考えると、最近活発に動いている【隊長】が黒幕であると判断した
春さんの会社で隊長が使用したアドレスがどこから送信されたのか調べ上げると、毎回違う場所であった
しかし海外ではなく国内、ホテルとか建物の中ではない事から車で移動している可能性があると考え、俺が開発した、防犯・監視カメラにアクセスし映像処理を自動でかけ目標を追跡するプログラムでその車を探した
車のナンバーや乗っているメンバーなど、詳細がわかりそこから普段車を停めている地点を絞り込んだ
車に出入りするメンバーを一人ずつ写真で撮影し皆で情報共有する
「あれ?この人どっかで見た………」
静流が一枚の写真を手に取り唸っている
蛇みたいな目に、眉のところに傷がある男
でもこの時は静流も思い出せなかった
俺達は地道な証拠集めと捜査をした
普段の仕事もあるので本当に休みがない
寝る時間だけは確保していたが、麒麟会の専属組員総出で調べ上げていた
そこでわかったのは、リーダーは隊長と呼ばれる男で仲間は20人
俺達の事を監視していた
しかも尾行がバレバレ
戦闘能力は高いのかもしれないが、尾行はド素人だった
そしてある夜、静流が皆を集めた
「この隊長と呼ばれてる男なんだけど、思い出した。」
「誰なんだ?」
「最悪な事に、俺の血の繋がった兄だ。」
皆が写真と静流を何度も見返す
「いやいや、似てなさすぎでしょう」
旬さんは半目になっている
「まだ静流と晶が兄弟って言われた方が信じれるな」
光一さんも信じれないようだ
でも確かに全く似ていない…
静流は端整な顔なのに対し静流の兄らしい人は正直不細工だ
「俺が3歳の時以降会ったことが無いから、見た目じゃ確信が持てなかったんだけどな。虎、皆にあれを。」
虎さんが出してきたのは書類
「この男が外でタバコを吸ってて、そのまま捨てたのを拾ってDNAを調べた。そしたら、この結果。」
【89%の確率で兄弟である】
「何か微妙な数字だね?」
「ああ。親子鑑定じゃないからな。」
「でも何でその兄弟が?」
兄ちゃんが首を傾げます
「そうだよなぁ。3歳までしか同じ家に住んでなかっただろ?」
皆、静流の幼少期を知っているようだ
「ああ。恨むのはこっちだと思うんだけど…」
溜め息をつく静流
「その兄に何があったのか調べてみるか」
樹さんが立ち上がる
「…樹?」
「ちょっくら海外へ飛んでくる。分かった事があれば逐一連絡する」
樹さんはそれだけ言うと出て行った
「流石樹。思い立ったら即実行だな」
春さんはゲラゲラ笑った
樹さんが海外での情報集めをし始めた数日後、兄ちゃんと璃一からある提案があった
その提案とは【璃一の記憶を催眠で呼び起こす】というもの
俺と静流はその危険性も理解している
兄ちゃんも知っているはずだ、なのにその治療を今したいだなんて………
「理由は?」
静流は、厳しい表情で2人に聞く
「最近僕、夢を見るんだ。銃をすごい速さで組み立ててたり、一人で敵の中心に走っていって皆殺しにする。夢は似たりよったりで、車の荷台に乗って移動してたり、誰かに命令を受けてたり、人を殺してたり。ちょっと年下の女の子と遊ぶ夢も見た。
多分、記憶が夢に現れてるんだ。懐かしいなって思うし。でも皆が、僕に暗殺者であった過去があっても嫌わないって言ってくれたから、僕はその夢を受け入れる事ができたんだ。
でも………」
璃一は顔を歪め泣きそうなのを我慢していた
「でも、そうは言ってられないことが起こった。俺としては構わないんだが、璃一が怯えて眠ろうとしないんだ」
確かにここ数日、日に日に璃一のくまが酷くなっている
兄ちゃんのせいだとばかり思っていたんだけど…
「最近の……夢は男に命令されるんだ。晶としず君の写真を見せられて、この男達を殺せって。コイツは、血も涙もない鬼という生き物だ。油断したら最後、殺されるのはお前だ。殺られる前に殺れって。
驚いて飛び起きて…………3日前ついにパニックになって……晶の……晶の首に手を………俺……晶を殺そうとした…………」
ボロボロ泣き出した璃一を兄ちゃんが優しく抱きしめあやす
「……なる程。璃一、記憶を思い出すと言う事は知りたくなかった事も思い出す。それでも、晶を殺してしまう恐怖の方がお前にとっては重いか?」
「うん……晶は僕が首を締めてるのに……微笑んだんだ………その笑顔を見て……やっと手の力が抜けた……自分のした事が信じられなくて………そんな僕を晶は抱きしめてくれて…………僕が大事なのは晶なのに………夢の筈なのに現実だと思っちゃって………今のままじゃ何が現実で何が夢か……分からなくなりそうで………」
「…璃一はまた同じ事をするんじゃないかって、寝ようとしないんだ。無理に寝かそうとすれば、手足を縛ってクローゼットにでも放り込んでくれって言うんだぞ。そんな事できるわけないのに。
正直、思い出さなくて良い記憶なんてそのままにしておきたい。
けどそれじゃあ、璃一の精神はすり減って、このままでは壊れてしまう…」
兄ちゃんも悩んだんだろう
「分かった。けどもしも、記憶を思い出しても晶や俺を殺さないといけないって、強迫観念に囚われたらどうする?」
「その時は……きっともう、僕じゃなくなってる。暗殺者だったシエルだ……例え過去の僕でも、皆を殺そうとするのは許さない…。」
璃一は兄ちゃんから離れ床に座る
「龍洞静流会長、一生のお願いです。
僕がもし記憶を思い出した後、誰かを殺そうとしたら、躊躇なく僕を殺してください。」
璃一は頭を下げ土下座する
「璃一!!」
兄ちゃんが怒鳴った
それでも頭を上げない
「お前を殺せば晶に恨まれるんだが?」
静流はスッと麒麟会会長の表情になる
「承知しています。でも、晶に僕を殺させないで下さい。きっと晶は罪悪感に押し潰されて後を追ってしまう。
静流会長にはとても迷惑な話だと分かってます。ですが、晶に後を追ってほしくない…生きて欲しいんです。」
「璃一…」
兄ちゃんは泣きそうな顔で璃一を見る
「………分かった。もしもの時はそうしよう。」
「本当ですか!!」
ガバっと体をお越し前のめりになる璃一に、静流は苦笑する
「ただし、条件がある。必ず乗り越えろ。」
「…乗り越える……………」
「俺だって璃一を大切に想っている。お前を手に掛けたくない。記憶が戻って、どんなに辛い事を思い出しても必ず乗り越えろ。」
静流がいつもの優しい笑顔を向ける
「!!…はい!!」
璃一はまた泣き出し、兄ちゃんに視線を向けた
璃一は兄ちゃんの顔を見て、驚いた顔をしたあと直ぐに兄ちゃんに飛びついた
兄ちゃんは難なく抱き留めその肩に顔を埋める
きっと泣いているんだろう
そりゃそうだよな……
愛してる人がもしもの時は殺してくれだなんて……自分には生きて欲しいなんて、悲しすぎる………
俺達は2人に気づかれないよう静かに部屋を出た
その日から4日後、静流は催眠療法に長けているという医師を連れてきた
普通、催眠療法は長期に渡り少しずつ行うほうが良いとされる
でないと心に負荷がかかり、悪化する場合もあるし、心が壊れてしまうからだ
でも璃一は今日全てを思い出したいから、途中で止めるなといった
静流も俺も兄ちゃんも駄目だと言ったけど、璃一は譲らなかった
自分を信じてほしいって
絶対に過去の記憶には負けない、記憶が戻っても今の自分でいるからと
最後はこちらが折れることになった
当日、部屋に入るのは最小限にする為、催眠療法の先生と何かあった時すぐ対処できる静流、璃一がリラックスできる様に兄ちゃんが部屋に入る
俺達は最悪の事態に備えて俺は医療チーム、光一さんは各所に連絡する為、光一さんは警護チームとして部屋の外にソファを置き待機している
静流いわく、一日がかりになるとの事だ
璃一の治療中誰も一言も話さなかった
飲み物と軽食を運んでくれた虎さんも鷹さんも一言も話さず難しい顔をしている
飲み物や軽食は静流達にも運ばれた
部屋から虎さんが出てくる時、部屋から璃一の叫び声が聞こえた
虎さんは心配そうな顔でグッと拳を握り、静かに出て行った
夜になって、先生と静流が部屋から出てきた
2人とも疲れた顔をしていて、先生は虎さんと鷹さんが送っていった
俺は静流に言われ、解熱剤と栄養剤の入った点滴を持ち部屋に入った
璃一は兄ちゃんに後ろから抱っこされ眠っているようだ
顔色が悪い
「セイ」
「兄ちゃん…璃一は………」
「全部思い出したよ。悪夢に魘されるように叫んだりもしたけど、すっげぇ頑張った。頑張りすぎて熱が出たけどな」
苦笑いしながらも、愛しそうに頭を撫でる
「そっか。静流から言われて点滴しに来た。璃一の腕出してもらえる?」
「ああ」
できるだけ俺は触れないほうが良いだろうと、兄ちゃんにしてもらう
「うん、管が引っかからないようにだけ気をつけてね。何か必要なものはある?」
「あー…抱きまくらと、俺の香水持ってきてくれるか?」
「それはいいけど……」
なぜそのチョイス?
「俺が離れると分かるみたいで魘されるんだ。ただトイレとか行けないと困るから、抱きまくらに俺の匂い付けてその間だけ抱きまくらを抱かせとこうと思って」
「なるほど、すぐ持ってくるよ」
流石にトイレに行けないのは可哀想すぎる
兄ちゃんの荷物を届けて皆が集まる部屋へ向かった
「お帰りセイ。璃一は寝てた?」
「うん。兄ちゃんにもたれて寝てたよ」
やはり顔色の悪い静流の隣に座る
「静流顔色悪いよ?」
「そう?まぁ、流石に今日は疲れたかなぁ…」
「今から報告会?」
「軽くね。俺も晶も断片的にしか聞けてないから、詳しい事は璃一の回復を待つ感じ。」
「そっか。」
そして静流は話してくれた。
やはり璃一が日本に来たのは兄ちゃんと静流を殺す為だった事、あの大怪我は、妹を殺した直後に隊長から鎖に繋がれている状態で受けた暴行のせいだったらしい
暴行を受けた理由は、兄ちゃんと静流を殺せという命令を断ったのと隊を抜けると言ったからだった
璃一が隊長の男の言う事を聞いていたのは、妹が人質になっていたからにすぎなかった
その妹を目の前で殺され、璃一は従う意味はもう無くなったのだ
日本に来る密入国の船の中で妹は殺され、璃一も暴行を受け、次の日には妹が殺された記憶を失っていたらしい
隊長はそれを良いことに、暴行したのは潜入する為に必要だったからと嘘を付き、矢沢に匿って貰う間に兄ちゃんと静流を殺せと指示されたそうだ
しかしスーツケースに閉じ込められ矢沢に地下で監禁されてから、いつの間にか今度は全ての記憶を失っていたらしい
静流は怪我の手当もされず、元々栄養が足りなかった状態で監禁され、極限状態だった為に心と体を守る為に防衛反応が起こったのだろうと推測した
よくある、多重人格障害の様なものだと
璃一は二重に記憶喪失となっていたのだ
「璃一は今回、大分無理をした。普通なら心が病むような体験の記憶全てを一気に思いだしたからな。
身体と心が悲鳴を上げてる。
その為高熱が出ているし、晶が離れると凄く脅える。
治療が終わった直後朧気な様子の璃一に、英語で『俺を殺すのか?』と聞かれた。『NO』と答えたら、『何故?』って聞かれて璃一の記憶が可怪しくなっている事に気付いた。
『璃一を殺す訳がない』と晶が抱きしめて言えば驚いた顔をしてオロオロしだした。
『何でその名前を知ってるの?あれは俺の夢だろう?』って言ったんだ。
話を聞くと、俺達との日々は幸せで楽しくて自分には起こり得ない時間だったから夢だと思ったって言ってた。
ちゃんと夢じゃないって否定したけどな。
璃一はそれでもずっと謝ってくるんだ。殺そうとしてごめんなさいって。
璃一はただ命令されただけで、結局は俺達は何もされてないのにずっと謝るんだ……。
璃一が晶から離れないのは多分、捨てられるかもしれないと恐怖に感じてるんだろう。
まだ記憶がゴチャ付いてるから、数日は記憶の整理が必要になる。
それまでは熱も出続けるだろうし、晶が離れる事に脅えるだろう。」
静流の話しを聞き終え、皆何とも言えない顔をしていた
「あんな小さい子に………本当に隊長という男は許せませんね…」
旬さんは悔しそうに呟く
「そうだな。今の璃一を癒せるのは晶だけだけど、璃一が俺達との日々を幸せと感じてくれているなら、俺達にできる事をしてやろう。璃一はもっと幸せになんなきゃいけねぇ。」
光一さんの言葉に皆頷く
「樹も調査が終わったそうで、3日後には戻ってきます。それまでは皆一度休憩しましょう。
このままでは皆…特に静流は倒れてしまいます。
セイ君、静流を癒やしてあげてください。」
旬さんに言われ、皆も心労からだろうが顔色があまり良くない
「わかりました。皆さんもしっかり休んでください」
そう言って俺達は休みを入れることにした
が
樹さんの帰りと、璃一の復帰が思ったよりもとても早く、2日後の夕方にはまた顔を合わす事になった
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