74 / 113
SIDE 璃一
しおりを挟む
晶に保護されてから既に2ヶ月以上が過ぎた
体の傷も癒えて、毎日セイ君にお勉強を教えてもらった
僕は日本人ではないらしく、英語は喋れるけど日本語は喋れるけど拙い発音だったらしい
今ではちゃんと話すことができる
晶にも短期間で習得したことを褒めてもらえた
身体が動くようになってから、光ちゃんの訓練に参加させてもらっている
動きは悪くないらしいけど、体力がなさ過ぎて途中でへばってしまうから、今はもっぱら体力作りのメニューをこなしている
そして今日、晶と静流君とセイ君に呼び出された
「璃一、前にお前自身の事が分かったら教えてほしいって言ってたよな」
向かい合わせに座った晶の表情は硬い
「うん。他の誰かじゃなく晶の口から聞きたい」
「ああ。今日はその話をする為に呼んだ。話を聞いて記憶を思い出すかもしれないし、途中で気分が悪くなるかもしれないから医者として静流とセイに同席してもらった」
「わかった。」
晶は一つ深呼吸をした
「お前の本当の名前は【シエル=ファーグラス】年齢は20歳になる。」
「シエル…?」
本名を聞いてもピンとこない
「幼少期は上流家庭の家で家族4人で暮らしていたが、父親が事故を起こしその事故で犠牲になったのが人気国会議員の身内だった。メディアに報道され叩かれ、お前の家族は周りから嫌がらせを受け続けた。」
まるでドラマのストーリーを聞いている気分だ…
「嫌がらせに耐えかねた両親は一家心中を試みたが、死んだのは両親だけ。生き残ったお前と妹は、頼れる親戚も居らず逃げるように国外へ出た。
そこから月日は流れ、南アフリカ地域で暮らしていたお前達兄妹の元にあいつが現れた。」
南アフリカ……?
あれ?
なんか懐かしい感じが……
「その男の名前はまだ分からないが、傭兵部隊の隊長でデビルと呼ばれていた男だ。
デビルは小児愛者でな、お前の妹を誘拐した。お前は妹を助ける為デビルと取引をしたんだ。
妹に手を出さない代わりにデビルの手足となる事を。」
「妹……?デビル………?」
思い出そうとすると脳にモヤが掛かったようになる
「デビルはお前に暗殺技術を教え込んだ。暗殺者となったお前はAngel of Deathと呼ばれていた。通り名がつくほどの腕前だったお前はある日デビルに裏切られた。」
通り名がつく程の腕前……それって…………それだけ僕は人を殺したって事?
ドクンーーードクンーーー心臓が今にも飛び出してきそう…
気持ち悪い……
「晶ストップ」
静流君が隣に座り僕の手を握る
「璃一。」
「し……しず君……僕………」
「璃一、知ってるか?畜産業を営む人は動物を殺すって事」
「……え?」
「漁師は海の生き物を殺す」
「しず君……?」
「俺は裏切り者や邪魔な奴を殺す」
「………………」
「お前は暗殺者だったから対象の人間を殺した」
「……………」
「皆自分が生きる為に何かを殺したり犠牲にする。お前が暗殺者になったのは守る者が居たからだ。
お前は暗殺者だったが快楽殺人者ではない。その証拠に、この2ヶ月人を殺したくてしょうがないと言った気持ちは一切無かっただろう?」
「無かった…」
「お前は畜産業や漁師のように生きる為に暗殺者になるしかなかっただけだ。そんなお前を、晶は勿論俺達も誰も嫌いにならない。」
「………本当に?」
「本当だよ。前に言っただろ?どんな璃一でも愛してるって」
耳元で声がし振り返ると晶が僕の側に来てくれていて優しく微笑んでくれている
静流君の手が離れ次に晶に抱き締められた
「璃一、日本のヤクザなんて所詮自分の都合で相手を殺したりする。俺もそのヤクザの一員だ。自分の邪魔をする奴らをこの手で消した事もある。
俺の事軽蔑するか?嫌いになるか?怖いか?」
「そんな事無い!!僕は例え晶が快楽殺人者であっても大好きだよ!!」
「快楽殺人者にはならないから安心しろ」
クスクス笑われて吐息が首をかすめゾクッとした
「璃一、君は暗殺者の時の記憶が無い。もし思い出したとしても、生きる為に暗殺者になったんだから殺した人の事を考えて気に病む必要はないし、殺した時の感覚とか思い出しても、医者だって人の体切ったりして同じ感覚を知ってる。
暗殺者だから知ってるわけじゃ無いってこと覚えててね?」
セイ君はそう言って優しく笑った
僕に記憶が戻った時、心が壊れてしまわないようになんだろう
皆が僕の心を救ってくれる
その気持ちが嬉しくて自然と笑みが漏れた
しず君の婚約者になってからセイ君はボサボサの髪も伊達メガネも辞めた
綺麗なオッドアイが見えて可愛らしい顔が見れるようになり僕にとってセイ君の笑顔は一種の癒しになっている
「皆ありがとう…記憶が戻っても…僕はここに居ていいのかな…?」
できればこのままずっと晶と共にいたい
「ん??何言ってるの??璃一は晶の嫁でしょ??」
静流君が首をかしげる
…ん?嫁??
「しずっ……バカ!」
晶が僕を抱き締めたまま静流君に手を伸ばす
「あっ!!」
グラッと身体が揺れ背中に衝撃が加わる
目の前には晶の顔
「ふぁあ!!」
あまりの近さに変な雄叫びを上げてしまった
「悪ぃ………」
直ぐ離れて僕を片手で軽々起こした晶の顔は真っ赤に染まっていて、それは僕にも伝染した
二人でモジモジしていると、静流君が溜息を吐いた
「晶、隙を作らないように。璃一、晶に任せてたら良いから。」
「へ??」
何の話だろう??
「…………璃一帰ろうか。」
晶に手を取られドアへ向かう
意味がわからなくて振り返ると、静流君とセイ君にとびきりの笑顔で手を振られた
いったい何なんだろう??
けど、記憶は戻らなかったけど自分の事を知れてよかった
デビルって人に裏切られたからあんな怪我をしてたのかな…?
僕に妹が居たんだ…けどデビルが裏切った……それって殺されたって事かな……?
だから記憶を失った?
でも僕が捕まったのは晶の家の傘下だったらしいから、僕は晶を殺す為に日本に来たのかもしれない………
晶だけじゃなく、セイ君や静流君の事も…………
日本に来てからデビルが裏切り僕は記憶を失ったって事だろうか?
記憶を失ったからこそ暗殺は遂行されなかった
つまりは暗殺失敗…
暗殺が失敗しても、依頼人は諦めないのがドラマの流れだった
現実でもそうかもしれない
それなら、僕は皆を守りたい
僕が暗殺者だったんなら、きっと体は動き方を覚えてるはず
明日からもっと運動メニューを増やそう
この時はまだ知らなかった
次の日身体が全く動かなくなる事になるなんて…
体の傷も癒えて、毎日セイ君にお勉強を教えてもらった
僕は日本人ではないらしく、英語は喋れるけど日本語は喋れるけど拙い発音だったらしい
今ではちゃんと話すことができる
晶にも短期間で習得したことを褒めてもらえた
身体が動くようになってから、光ちゃんの訓練に参加させてもらっている
動きは悪くないらしいけど、体力がなさ過ぎて途中でへばってしまうから、今はもっぱら体力作りのメニューをこなしている
そして今日、晶と静流君とセイ君に呼び出された
「璃一、前にお前自身の事が分かったら教えてほしいって言ってたよな」
向かい合わせに座った晶の表情は硬い
「うん。他の誰かじゃなく晶の口から聞きたい」
「ああ。今日はその話をする為に呼んだ。話を聞いて記憶を思い出すかもしれないし、途中で気分が悪くなるかもしれないから医者として静流とセイに同席してもらった」
「わかった。」
晶は一つ深呼吸をした
「お前の本当の名前は【シエル=ファーグラス】年齢は20歳になる。」
「シエル…?」
本名を聞いてもピンとこない
「幼少期は上流家庭の家で家族4人で暮らしていたが、父親が事故を起こしその事故で犠牲になったのが人気国会議員の身内だった。メディアに報道され叩かれ、お前の家族は周りから嫌がらせを受け続けた。」
まるでドラマのストーリーを聞いている気分だ…
「嫌がらせに耐えかねた両親は一家心中を試みたが、死んだのは両親だけ。生き残ったお前と妹は、頼れる親戚も居らず逃げるように国外へ出た。
そこから月日は流れ、南アフリカ地域で暮らしていたお前達兄妹の元にあいつが現れた。」
南アフリカ……?
あれ?
なんか懐かしい感じが……
「その男の名前はまだ分からないが、傭兵部隊の隊長でデビルと呼ばれていた男だ。
デビルは小児愛者でな、お前の妹を誘拐した。お前は妹を助ける為デビルと取引をしたんだ。
妹に手を出さない代わりにデビルの手足となる事を。」
「妹……?デビル………?」
思い出そうとすると脳にモヤが掛かったようになる
「デビルはお前に暗殺技術を教え込んだ。暗殺者となったお前はAngel of Deathと呼ばれていた。通り名がつくほどの腕前だったお前はある日デビルに裏切られた。」
通り名がつく程の腕前……それって…………それだけ僕は人を殺したって事?
ドクンーーードクンーーー心臓が今にも飛び出してきそう…
気持ち悪い……
「晶ストップ」
静流君が隣に座り僕の手を握る
「璃一。」
「し……しず君……僕………」
「璃一、知ってるか?畜産業を営む人は動物を殺すって事」
「……え?」
「漁師は海の生き物を殺す」
「しず君……?」
「俺は裏切り者や邪魔な奴を殺す」
「………………」
「お前は暗殺者だったから対象の人間を殺した」
「……………」
「皆自分が生きる為に何かを殺したり犠牲にする。お前が暗殺者になったのは守る者が居たからだ。
お前は暗殺者だったが快楽殺人者ではない。その証拠に、この2ヶ月人を殺したくてしょうがないと言った気持ちは一切無かっただろう?」
「無かった…」
「お前は畜産業や漁師のように生きる為に暗殺者になるしかなかっただけだ。そんなお前を、晶は勿論俺達も誰も嫌いにならない。」
「………本当に?」
「本当だよ。前に言っただろ?どんな璃一でも愛してるって」
耳元で声がし振り返ると晶が僕の側に来てくれていて優しく微笑んでくれている
静流君の手が離れ次に晶に抱き締められた
「璃一、日本のヤクザなんて所詮自分の都合で相手を殺したりする。俺もそのヤクザの一員だ。自分の邪魔をする奴らをこの手で消した事もある。
俺の事軽蔑するか?嫌いになるか?怖いか?」
「そんな事無い!!僕は例え晶が快楽殺人者であっても大好きだよ!!」
「快楽殺人者にはならないから安心しろ」
クスクス笑われて吐息が首をかすめゾクッとした
「璃一、君は暗殺者の時の記憶が無い。もし思い出したとしても、生きる為に暗殺者になったんだから殺した人の事を考えて気に病む必要はないし、殺した時の感覚とか思い出しても、医者だって人の体切ったりして同じ感覚を知ってる。
暗殺者だから知ってるわけじゃ無いってこと覚えててね?」
セイ君はそう言って優しく笑った
僕に記憶が戻った時、心が壊れてしまわないようになんだろう
皆が僕の心を救ってくれる
その気持ちが嬉しくて自然と笑みが漏れた
しず君の婚約者になってからセイ君はボサボサの髪も伊達メガネも辞めた
綺麗なオッドアイが見えて可愛らしい顔が見れるようになり僕にとってセイ君の笑顔は一種の癒しになっている
「皆ありがとう…記憶が戻っても…僕はここに居ていいのかな…?」
できればこのままずっと晶と共にいたい
「ん??何言ってるの??璃一は晶の嫁でしょ??」
静流君が首をかしげる
…ん?嫁??
「しずっ……バカ!」
晶が僕を抱き締めたまま静流君に手を伸ばす
「あっ!!」
グラッと身体が揺れ背中に衝撃が加わる
目の前には晶の顔
「ふぁあ!!」
あまりの近さに変な雄叫びを上げてしまった
「悪ぃ………」
直ぐ離れて僕を片手で軽々起こした晶の顔は真っ赤に染まっていて、それは僕にも伝染した
二人でモジモジしていると、静流君が溜息を吐いた
「晶、隙を作らないように。璃一、晶に任せてたら良いから。」
「へ??」
何の話だろう??
「…………璃一帰ろうか。」
晶に手を取られドアへ向かう
意味がわからなくて振り返ると、静流君とセイ君にとびきりの笑顔で手を振られた
いったい何なんだろう??
けど、記憶は戻らなかったけど自分の事を知れてよかった
デビルって人に裏切られたからあんな怪我をしてたのかな…?
僕に妹が居たんだ…けどデビルが裏切った……それって殺されたって事かな……?
だから記憶を失った?
でも僕が捕まったのは晶の家の傘下だったらしいから、僕は晶を殺す為に日本に来たのかもしれない………
晶だけじゃなく、セイ君や静流君の事も…………
日本に来てからデビルが裏切り僕は記憶を失ったって事だろうか?
記憶を失ったからこそ暗殺は遂行されなかった
つまりは暗殺失敗…
暗殺が失敗しても、依頼人は諦めないのがドラマの流れだった
現実でもそうかもしれない
それなら、僕は皆を守りたい
僕が暗殺者だったんなら、きっと体は動き方を覚えてるはず
明日からもっと運動メニューを増やそう
この時はまだ知らなかった
次の日身体が全く動かなくなる事になるなんて…
12
あなたにおすすめの小説
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
心からの愛してる
マツユキ
BL
転入生が来た事により一人になってしまった結良。仕事に追われる日々が続く中、ついに体力の限界で倒れてしまう。過労がたたり数日入院している間にリコールされてしまい、あろうことか仕事をしていなかったのは結良だと噂で学園中に広まってしまっていた。
全寮制男子校
嫌われから固定で溺愛目指して頑張ります
※話の内容は全てフィクションになります。現実世界ではありえない設定等ありますのでご了承ください
幼馴染がいじめるのは俺だ!
むすめっすめ
BL
幼馴染が俺の事いじめてたのは、好きな子いじめちゃうやつだと思ってたのに...
「好きな奴に言われたんだ...幼馴染いじめるのとかガキみてーだって...」
「はっ...ぁ??」
好きな奴って俺じゃないの___!?
ただのいじめっ子×勘違いいじめられっ子
ーーーーーー
主人公 いじめられっ子
小鳥遊洸人
タカナシ ヒロト
小学生の頃から幼馴染の神宮寺 千透星にいじめられている。
姉の助言(?)から千透星が自分のこといじめるのは小学生特有の“好きな子いじめちゃうヤツ“だと思い込むようになり、そんな千透星を、可愛いじゃん...?と思っていた。
高校で初めて千透星に好きな人が出来たことを知ったことから、
脳破壊。
千透星への恋心を自覚する。
幼馴染 いじめっ子
神宮寺 千透星
ジングウジ チトセ
小学生の頃から幼馴染の小鳥遊 洸人をいじめている。
美形であり、陰キャの洸人とは違い周りに人が集まりやすい。(洸人は千透星がわざと自分の周りに集まらないように牽制していると勘違いしている)
転校生の須藤千尋が初恋である
もう一度君に会えたなら、愛してると言わせてくれるだろうか
まんまる
BL
王太子であるテオバルトは、婚約者の公爵家三男のリアンを蔑ろにして、男爵令嬢のミランジュと常に行動を共にしている。
そんな時、ミランジュがリアンの差し金で酷い目にあったと泣きついて来た。
テオバルトはリアンの弁解も聞かず、一方的に責めてしまう。
そしてその日の夜、テオバルトの元に訃報が届く。
大人になりきれない王太子テオバルト×無口で一途な公爵家三男リアン
ハッピーエンドかどうかは読んでからのお楽しみという事で。
テオバルドとリアンの息子の第一王子のお話を《もう一度君に会えたなら~2》として上げました。
※画像は男の子メーカーpicrewさんよりお借りしました。
僕の幸せは
春夏
BL
【完結しました】
【エールいただきました。ありがとうございます】
【たくさんの“いいね”ありがとうございます】
【たくさんの方々に読んでいただけて本当に嬉しいです。ありがとうございます!】
恋人に捨てられた悠の心情。
話は別れから始まります。全編が悠の視点です。
新しい道を歩み始めた貴方へ
mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。
そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。
その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。
あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。
あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?
※沢山のお気に入り登録ありがとうございます。深く感謝申し上げます。
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる