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しおりを挟む叶さんが住んでいるのは高級タワーマンションだった
地下駐車場から直通で、自分の階までカードキーを文字盤の下にかざすだけで行けるらしく、他の住民と会うことなく帰れるらしい
地上1階にはコンシェルジュと守衛さんが24時間体制で居て、オートロックの解除はカードキーとドアを通る人数を入力して入る
ただ人数より多く人が通ろうとするとセンサーが反応し守衛さんが駆けつけるんだそうだ
たまに住人じゃない人が住人と共に入ろうとする事があるが、それを阻止する為のセキュリティなんだとか
この高級タワーマンションは政治家や大手の社長さんなどが住んでいるから徹底された防犯設備があるらしい
災害が起きても、自家発電等もありマンションあるあるの水も電気も止まったなんて事にはならないらしい
全部屋分譲だったらしいが、一体いくらしたのやら……
部屋に着くと、中を案内してもらった
玄関を入れば左手にシューズクローゼットがあり、場所が空いてるからそこに僕の靴も直したらいいと言われた
廊下の右手側はLDKとトイレとトイレ横は3畳程の納戸
リビングに入るとその景色に目を奪われた
一面ガラス張りになっていて夜景が凄く綺麗だ
50畳有るというLDKは余計なものが置かれておらず、入って左手の奥に対面式キッチン、そのキッチンの前にダイニングテーブル
その横に大きなソファとローテーブルに壁掛けテレビ
リビング右手には不自然にも壁側に大きな本棚だけしかなく、カーペットが敷かれているだけだ
「そこは、演技の勉強をするスペースだよ。特注のロールスクリーンを下ろせばスクリーンが鏡になるから、いつもここで演技の練習や筋トレをしてる。」
叶さんはそう言って実際に見せてくれた
どんな作りなのか、本当に鏡のようで、まるで稽古場のようだった
「キッチンの奥は食料庫になってて、そこに酒類も置いてあるから。誕生日が来たら一緒に飲もう」
誕生日まで後約4ヶ月…楽しみだな
ソファに荷物を置き他の部屋も案内してもらう
玄関から左手側には洗面所とバスルーム、その隣がゲストルームになっている
L字の廊下を曲がると書斎があり、その隣がマスタールームらしい
マスタールームに入ると、大きなベッドの隣に小さなチェスト、2人掛けのソファーとローテーブル
ウォークインクローゼットもついているらしい
壁には大きな海の絵が飾られている
「彼方、こっち来て」
部屋の奥のドアの前にいる叶さんをおいかけると、ここにも洗面所とトイレ、バスルームがあった
けどさっきと違うのはバスルームから外が見える事
シャワーブースとバスタブは壁で仕切られていて、電気はシャワーブースの方しかつかないらしい
バスタブの方は外が見えるようマジックミラーになっているらし く、外からは見えないが夜は電気をつけてしまうと丸見えらしく、淡い色の間接照明で少しだけ明るくするんだとか
外から見えると言っても近くに高い建物がないので実際は覗き見する事などできないだろう
なんでそんな面倒な造りにしてるんだろうと思ったけど、叶さん曰く「解放感と癒し」なのだそうだ
僕が泊まるのはゲストルームだけど、こっちのバスルームを使いたければ使ってね、という事でマスタールームも案内してくれたらしい
ただ1週間ギプスの様な物で足首を固定している為、お風呂につかれない
志乃さんがお宅拝見ツアーをしている時に持ってきてくれた僕の服等の荷物の荷解きもしなくてはいけないのでゲストルームの方のシャワーを借りた
ゲストルームに入ると、ベッドは置かれていたが布団は買った時のままだった
「彼方、何か手伝うこと……」
叶さんが手伝いに来てくれて言葉がと切れた
荷解きどころか、カーテンもなく布団もベッドへ乗せてベッドメイクをしなきゃいけないし、早く休むように言われたけどさすがに無理だ
「あー…志乃も忙しかったからな………ベッドは俺がやるから……カーテン無くても寝れるか?」
「あ、大丈夫です…すみません……」
叶さんに手伝ってもらい、僕は荷物の整理をする
ただこの部屋ベッドしか家具が無くて、大学の教材等は床に直接置いた
クローゼットを開けると、ハンガーが無かった……
「……悪い、ゲストルームと言いながら誰も泊める事が無かったからベッドだけ買って後は放置してたんだ。志乃もここまで何も無いって知らなかっただろうし…明日の事情聴取後に家具とか必要な物は買いに行こう」
「いえ、わざわざ買わなくていいですよ!ずっとお世話になるわけじゃないですし!」
家具とかそんな高いもの買ってもらう訳にはいかない
「でも生活するのにこれじゃあ不便だろ?この部屋もちゃんと整えないととは思ってたから気にしないで。明日買い物付き合って。」
叶さんに優しく微笑まれると頷くしかない
この笑顔にNOと言える人が居るなら見てみたいものだ
部屋を整え「また明日、おやすみ」と言葉を交わし僕はベッドへ入った
柔らかい布団に包まれてすぐ僕は眠ってしまった
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