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26 S

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森を抜けるまでに本当に2日かかった

あの距離を1日で移動するってどんだけだよ!

道は泥濘があったり、獣道で急に斜面になっていたりで何度転けたり躓いた事か…

見かねてモアさんが先頭を歩いてくれて、草を枯らして歩きやすいようにしてくれた

枯らしても一時の事らしく、既に元に戻ってるらしい



森を抜ける頃には俺はもうヘロヘロで、レイドに子供の様に抱っこされた


そのまま青の国の砦に向おうとするから、慌てて止めるもカインに「他の人にヘロヘロな姿を見せたいの?ラウに抱っこされてても、番なんだからこの世界では仲良しなんだなってしか映らないから抱っこされときなよ」と言われ、レイドの腕の中で大人しくした


青の国の砦も大きく、白の国とは違って崖の砦といった感じだ


石の門があり身分証を言われた所へかざすと門が開いた


「すげぇ……」


「青の国は騎士の国だから防衛に特化してるんだ。だからこの中では移転魔法も使えない。使ったら総監の私にすぐ分かるようになっていて、拘束される事になる。
モアはそれで子供の時に出会ったんだよ。」


「…子供の時に移転魔法が使えたってこと?」


モアさんを見れば苦笑いが返ってきた


「知らなかったんだよ。青の国で移転魔法が禁止だって。魔力制御の訓練で沢山魔力を消費する為に白の国では移転魔法を使いまくってたから、ここでもやっちゃって。
伯母に会いに母上と青の国を訪れたんだけど、暇になって市井にこっそり出かけたら迷子になってね。
城に移転したら、そこにラウが居て庇ってくれたんだ。」


「懐かしいな。私が強請って移転魔法を見せてもらったって言い訳して当時の総監に2人で怒られて。あれからだな、私達の付き合いは。」



懐かしそうに2人は笑い合う


そんな子供の時から仲が良かったのか


子供の時のレイドかぁ…見てみたいなぁ……写真とかってこの世界には無いもんな


絵姿っていう肖像画はあるけど、画家によっては主観入りまくりだったり少しでも格好良く描いてるやつが多いから、それを見てもなぁ…



「総監!!モア様!!お帰りなさい!!」


門を抜けると上り坂になっていてそこを上り切ると騎士寮の様な建物がいくつか有り、訓練場らしきものもあった


そこで剣を持った人達がこちらに気づき走ってきた



「ただいま。訓練お疲れ様、何も問題ないか?」


青い鎧をつけた騎士にレイドが話しかける


「はっ!モア様が考案された訓練を行った所、負傷者が15名出まして、基礎訓練を追加いたしました!」


「そうか。怪我をしたものは治療を優先した後基礎訓練を他の者の倍するように伝えてくれ。私達は国王の元へ報告に行くから、明日以降また顔を出すよ」


「了解いたしました!お疲れ様でした!!」


深々と頭を下げる騎士達の間を通り、その場を後にした


「流石青の国…礼儀がしっかりしてますね。」


カインが普段の口調に戻しレイドに話しかける


「礼儀はね。騎士の礼儀知らずは国の恥だから、入隊した時に徹底的に叩き込むんだ。そこで続けれない者は実際の訓練には耐えれないから篩いに掛けるようなものだけどね。」


なるほどなー、確かに中学の時の部活で一番最初に習ったのは先輩や顧問の先生への挨拶の仕方や接し方だったな

それに反発したり、従わない奴は辞めていったな


体育会系って、世界が変わっても同じなんだな


同じ事を考えてたのか、ふとカインと目が合いブフォっと2人で吹き出してしまった


「………何か面白かったか?」


モアさんが不思議そうな顔をする


「いや……世界が違っても体育会系って同じなんだなって思って。僕達の元の世界でも肉体を鍛えて何かをする人達は大抵が礼儀から学ぶからさ。」


カインがモアさんにわかりやすく説明する


「礼儀は何処の世界も重んじるんだな。」


そんな話をしながら最初の街に入る


レイドとモアさんに気づいた国民が集まってくる


「ラウ様!モア様!こんにちは!!」

「お帰りなさい!!」

「お披露目楽しみにしてます!!」



口々に挨拶していく国民に、2人はにこやかに返事を返している


子供も大人も一定の距離を取って話しをしている


でも俺やカインについて誰も質問しないし、俺達に話しかけたりジロジロ見てきたりもしない

紹介されないとその人の話題はNGなのかな?


後ろを歩くカインをチラっと見ると頷かれた


だから、カインはエスパーですか?


『エスパーじゃなくて、爽の顔に全て書いてんだよ。』


頭の中にカインの声が響く


あ、これあの時のやつだ


『正解。国民が声をかけないのは僕達がこの国の人間じゃないからだよ。気にはなってても、王子達が連れてるって事は国のお客様。国から公表されてない時は安易に関わっちゃ駄目なんだよ。』


『なるほどねー。世界が違うと国民性も全然違うのな。日本なんて芸能人とか見たら我先に触ろうとするし盗撮するし、したい放題じゃん?』


『まぁな。ただ総理とか天皇とかはボディーガードがちゃんと居るだろ?下手なことしたら逮捕されるから皆遠くから手を振るくらいだ。』


『そうだよな、それに比べてこの二人はボディーガードもなしに出歩いてるとか……他の王族もこんな感じなのか?』


『いや、この二人が特別なだけだ。国民もこの二人だから話しかけるってところだな。』


『へー……他の王族は王族らしいんだ。だよな…でないと近衛騎士の役割なくなるもんな』


『そうそう、近衛騎士は王族を守る為の組織だからね。これからは爽も王族の仲間入りになるって分かってる?』


『…え?』


『ラウと番ったんだから当たり前だろ?嫁入りするんだぞ?』


そっか……そこまで考えてなかった………


どうしよう、こっちの常識とか王族の振る舞いとかわかんねぇ……


『大丈夫。ラウは王位を継がないから爽は王妃教育とかないから。ゆっくりこの世界の国々について知っていけば良いよ。』


『うん。あれ?ならカインは王妃教育を受けないといけないんじゃねーの?』



『…………まだ番ってないし。』


『青の国着いたから、番うだろ』


『でも………』


『何悩んでんの?』


「うわっ!!」


突然カインがモアさんに抱き上げられた


「ユーリは何に不安になってるんだ?匂いが変わったけど。」


あぁ……相性抜群の番は感情の変化が分かるんだったな


「いや………そのぉ…………あ………後で言うから………今は……ちょっと………」


カインは周りをチラ見し気にしている


周りには国民が目をキラキラさせてモアさんとカインを見ていた


「……分かった。後で…教えてね?」


極上の笑顔を披露しカインの頬にキスをすると、いつの間にか用意された馬へカインを乗せ、モアさんもその後ろに跨った


俺もレイドに乗せられ「え?え?」と戸惑っている内に馬は駆け出した


この馬で城まで行くって事なんだろうけど、馬に乗るなら言っといてよ!
クウーラに乗ってから、速い乗り物苦手なんだから!!


俺の恐怖心に気づいたのか、レイドが俺の腹に尻尾を巻き付けた


……モフって良いのか?………モフっちゃうもんね……


サラサラな毛に指を通して何度か撫でる


頭の上からクスクス笑う声が聞こえた


ふーんだ


いっぱいモフってやるもんな!


お城に着くまでひたすらモフりまくるのだった


んー…尻尾最高!!















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