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「そもそもこの鏡は『望んだことを答えてくれる』物ですよ?人が入る理由がありませんわ」
ヴァイオレットは鏡に手を添えクリスに言う。
「よろしければお見せしますが、いかがいたします?」
クリスにそう提案するヴァイオレットはイタズラっ子のようだ。
「い、いや…」
「あら、怖いんですか?」
「そんなことはない!」
「じゃあやってみましょうか?」
「それは…」
二人のやり取りは見ていて飽きないな、とイリアは自分で淹れたお茶を飲みながら思っていた。
それにしても、クリスは思いのほかこの鏡に怖がっている。
それはただ単に色んな話を聞いたことの先入観なのか、それとも…?
「そこまで言うなら見せてもらいましょう!」
クリスの意を決した声が聞こえてきたことでとうとう決まったことをイリアは知る。
「そうですわね、ここは王道でいきましょうか」
そう言うやいなや、ヴァイオレットは鏡に魔力を流し始め、
「鏡よ鏡、世界で一番美しいのは誰?」
どこかで聞いたことのある台詞を鏡に向かって言う。
すると鏡に映ったヴァイオレットが、
「ヴァイオレット様です」
と答えた。
「っ?!」
クリスは声も出ないほど驚いている。
「鏡よ鏡、世界で一番優秀な刑事は誰?」
「クリス警部です」
「っ?!」
今度は自分の名前が出たことで驚いているようだ。
「ふふ、いかがですか?」
「…不思議なもんですな」
「そうでしょう?しかもこんな完璧な状態で残っているのはとても珍しいんですよ?私も実物を見たのは初めてですの」
「そうなんですか、しかし例の宗教団体はこれを手に入れて何をしたかったのでしょうかね?」
その疑問にヴァイオレットは「推察ですが」と前置きをして。
「魔力を流しながら、第三者を鏡の前に立たせて先程のような問いを鏡に向かって言うと、第三者の問いに答えてくれる、しかも自分の望み通りの答え。神秘性を感じませんか?」
「確かに…」
「鏡の中の自分がこう言っているのです!あなたの望みは叶うでしょう!」
芝居がかった口調と舞台女優のような仕草でヴァイオレットは続ける。
「鏡はいつでもあなたの望みを叶えてくれます!」
両手を広げたヴァイオレットは、そこで芝居を終えたようだ。
「こんな感じで締めくくったらかっこよくありません?」
「そうですね」
「宗教団体に魔力持ちがいたのでしょう、滅多に見られない魔法を披露するには、この鏡は良いツールですわ」
なんとなくヴァイオレットの口調が厳しく感じる。
「魔法をこういうことに使われると、他の魔力持ちもそういう目で見られることになる、いい迷惑ですわ」
ヴァイオレットもイリアも魔力持ちということで嫌な思いもしている、そのことを思い出しているのだろうか。
「それでクリス警部、あなたの見立ては?」
そうだった、クリスは捜査の一環でロゼ商会に来たのだ。
「多分、逃げ切れないと思って姿を消しただけだと思いますよ」
「あら、何から逃げていらしたの?」
「実はかなり前から例の宗教団体は捜査の対象になってましてね、なんでも魔力持ちだけを集めて国を作る、と言っていたのだとか。それだけなら荒唐無稽なことを言ってるだけで済んだんですが、信者から金を巻き上げるようになりましてね」
「まあ…」
ヴァイオレット、イリアの声が重なる。
「手をかざして、傷が治りました!とやったり、あとは空を飛んだり。その上話す鏡ときたら信じてしまいそうですね」
イリアはクリスの前にお茶を運ぶ、先程から話しっぱなしで喉が渇いていたのだろう、温めに淹れたお茶を一気に飲み干した。
「魔法は素晴らしい!魔法は正義だ!とにかく魔法賛辞でしたね」
「ずいぶん詳しいですのね?」
「調査で潜入したんですよ、被害者の証言もあるしそろそろ逮捕というところでしたよ」
「逃げた、ということは情報が漏れていた?」
「おそらくは…」
クリスが心底残念そうに息を吐く。内通者として仲間を疑わなくてはならないのだから当然か。
「ところでクリス警部、空を飛んでたと言いましたけど、空を飛べるくらいの魔力量を持っている人は今はいませんよ?」
ここでようやくイリアが口を挟んだ。
「え?でも見ましたよ?」
クリスにしてみれば目の前で起こったことなのだから信じているのだろう。
「手品という娯楽が流行ってますよね?マジシャンと言われる人がステッキを花に変えたりトランプの柄が違う柄になっていたり。前に空を飛ぶ手品を見たことがあります」
歩いていたらたまたま見かけた手品、空を飛んでいるマジシャンに誰もが魔法を使えるのか?と聞くと、マジシャンは「いえ、手品です。種も仕掛けもありますよ?」と挑発的に話していた。
そもそも最難関と言われる魔法で、魔法が当たり前だった半世紀前でも空を飛べる人はほんの一握り。現在では存在するはずがない。
「それには私も同意見ですわ」
ヴァイオレットがしっかりと頷き、同意する。
「そう、なんですか…」
魔力持ち二人に言われたらクリスは納得するしかなく、ガックリと項垂れてしまう。どうやら信じていたようだ。
「まぁ、これで鏡のことは解決ということでよろしいのかしら?」
クリスのあまりの落ち込みようにヴァイオレットが話題を変えた。ヴァイオレットがしなかったらイリアがしていただろう。
「ああ、そうですね…。解決といいますか、その…」
先程よりも輪をかけて焦れているクリスに二人は頭の中に『?』を浮かべる。
「実は、ですね?これに問題がないのなら、こちらで引き取ってもらえないかと」
「はぁ?!」
思いがけないクリスの要望に、ヴァイオレットの動揺が声で現れる。
「失踪と鏡は関係ないと分かったんで証拠品として保管しておく必要もないですし、こんな大きな物を置いておくスペースももったいないですから」
「…気味が悪いとかではなくて?」
「そんなんじゃありませんよ!扱い方が分ってる人が持っている方がいいだろうという上層部の判断なんですよ」
「ですが、現在の所有者はどう言ってるんですか?」
「ああ、それは問題ないですよ。所有者が失踪してるんですから」
「破棄しようとは思わないんですの?」
「…それがですね、こんな大きな物を破棄するには分解しなくちゃいけないんてすがなぜか出来ないんですよ」
「ああ、破壊阻害がかかっているようですわね?」
「破壊阻害?」
聞き慣れない言葉にクリスはヴァイオレットに聞き返す。
「壊れないようにする魔法ですわ、大事な物だったのでしょうね、よほどの魔力持ちではないと壊せませんわ」
「そんな魔法があるんですか?」
クリスの好奇心を刺激したようだ。
「ええ、壊れやすい物にはかかっていることが多いですわね」
イリアを残して二人の会話は続く、この二人は本当に仲がいい。
「では、本当に引き取らせていただきますわ」
「よろしくお願いします、助かります」
魔法談義に満足したクリスの背中を窓越しに見下ろしていたヴァイオレットは、おもむろにイリアに向く。
「それでイリア、鏡が持ち込まれた時の話をしてくれるかしら?」
「はい」
そうくるだろうなと踏んでいたイリアは、できるだけ簡潔に、しかし丁寧にその日のことを話し始めた。
ヴァイオレットは鏡に手を添えクリスに言う。
「よろしければお見せしますが、いかがいたします?」
クリスにそう提案するヴァイオレットはイタズラっ子のようだ。
「い、いや…」
「あら、怖いんですか?」
「そんなことはない!」
「じゃあやってみましょうか?」
「それは…」
二人のやり取りは見ていて飽きないな、とイリアは自分で淹れたお茶を飲みながら思っていた。
それにしても、クリスは思いのほかこの鏡に怖がっている。
それはただ単に色んな話を聞いたことの先入観なのか、それとも…?
「そこまで言うなら見せてもらいましょう!」
クリスの意を決した声が聞こえてきたことでとうとう決まったことをイリアは知る。
「そうですわね、ここは王道でいきましょうか」
そう言うやいなや、ヴァイオレットは鏡に魔力を流し始め、
「鏡よ鏡、世界で一番美しいのは誰?」
どこかで聞いたことのある台詞を鏡に向かって言う。
すると鏡に映ったヴァイオレットが、
「ヴァイオレット様です」
と答えた。
「っ?!」
クリスは声も出ないほど驚いている。
「鏡よ鏡、世界で一番優秀な刑事は誰?」
「クリス警部です」
「っ?!」
今度は自分の名前が出たことで驚いているようだ。
「ふふ、いかがですか?」
「…不思議なもんですな」
「そうでしょう?しかもこんな完璧な状態で残っているのはとても珍しいんですよ?私も実物を見たのは初めてですの」
「そうなんですか、しかし例の宗教団体はこれを手に入れて何をしたかったのでしょうかね?」
その疑問にヴァイオレットは「推察ですが」と前置きをして。
「魔力を流しながら、第三者を鏡の前に立たせて先程のような問いを鏡に向かって言うと、第三者の問いに答えてくれる、しかも自分の望み通りの答え。神秘性を感じませんか?」
「確かに…」
「鏡の中の自分がこう言っているのです!あなたの望みは叶うでしょう!」
芝居がかった口調と舞台女優のような仕草でヴァイオレットは続ける。
「鏡はいつでもあなたの望みを叶えてくれます!」
両手を広げたヴァイオレットは、そこで芝居を終えたようだ。
「こんな感じで締めくくったらかっこよくありません?」
「そうですね」
「宗教団体に魔力持ちがいたのでしょう、滅多に見られない魔法を披露するには、この鏡は良いツールですわ」
なんとなくヴァイオレットの口調が厳しく感じる。
「魔法をこういうことに使われると、他の魔力持ちもそういう目で見られることになる、いい迷惑ですわ」
ヴァイオレットもイリアも魔力持ちということで嫌な思いもしている、そのことを思い出しているのだろうか。
「それでクリス警部、あなたの見立ては?」
そうだった、クリスは捜査の一環でロゼ商会に来たのだ。
「多分、逃げ切れないと思って姿を消しただけだと思いますよ」
「あら、何から逃げていらしたの?」
「実はかなり前から例の宗教団体は捜査の対象になってましてね、なんでも魔力持ちだけを集めて国を作る、と言っていたのだとか。それだけなら荒唐無稽なことを言ってるだけで済んだんですが、信者から金を巻き上げるようになりましてね」
「まあ…」
ヴァイオレット、イリアの声が重なる。
「手をかざして、傷が治りました!とやったり、あとは空を飛んだり。その上話す鏡ときたら信じてしまいそうですね」
イリアはクリスの前にお茶を運ぶ、先程から話しっぱなしで喉が渇いていたのだろう、温めに淹れたお茶を一気に飲み干した。
「魔法は素晴らしい!魔法は正義だ!とにかく魔法賛辞でしたね」
「ずいぶん詳しいですのね?」
「調査で潜入したんですよ、被害者の証言もあるしそろそろ逮捕というところでしたよ」
「逃げた、ということは情報が漏れていた?」
「おそらくは…」
クリスが心底残念そうに息を吐く。内通者として仲間を疑わなくてはならないのだから当然か。
「ところでクリス警部、空を飛んでたと言いましたけど、空を飛べるくらいの魔力量を持っている人は今はいませんよ?」
ここでようやくイリアが口を挟んだ。
「え?でも見ましたよ?」
クリスにしてみれば目の前で起こったことなのだから信じているのだろう。
「手品という娯楽が流行ってますよね?マジシャンと言われる人がステッキを花に変えたりトランプの柄が違う柄になっていたり。前に空を飛ぶ手品を見たことがあります」
歩いていたらたまたま見かけた手品、空を飛んでいるマジシャンに誰もが魔法を使えるのか?と聞くと、マジシャンは「いえ、手品です。種も仕掛けもありますよ?」と挑発的に話していた。
そもそも最難関と言われる魔法で、魔法が当たり前だった半世紀前でも空を飛べる人はほんの一握り。現在では存在するはずがない。
「それには私も同意見ですわ」
ヴァイオレットがしっかりと頷き、同意する。
「そう、なんですか…」
魔力持ち二人に言われたらクリスは納得するしかなく、ガックリと項垂れてしまう。どうやら信じていたようだ。
「まぁ、これで鏡のことは解決ということでよろしいのかしら?」
クリスのあまりの落ち込みようにヴァイオレットが話題を変えた。ヴァイオレットがしなかったらイリアがしていただろう。
「ああ、そうですね…。解決といいますか、その…」
先程よりも輪をかけて焦れているクリスに二人は頭の中に『?』を浮かべる。
「実は、ですね?これに問題がないのなら、こちらで引き取ってもらえないかと」
「はぁ?!」
思いがけないクリスの要望に、ヴァイオレットの動揺が声で現れる。
「失踪と鏡は関係ないと分かったんで証拠品として保管しておく必要もないですし、こんな大きな物を置いておくスペースももったいないですから」
「…気味が悪いとかではなくて?」
「そんなんじゃありませんよ!扱い方が分ってる人が持っている方がいいだろうという上層部の判断なんですよ」
「ですが、現在の所有者はどう言ってるんですか?」
「ああ、それは問題ないですよ。所有者が失踪してるんですから」
「破棄しようとは思わないんですの?」
「…それがですね、こんな大きな物を破棄するには分解しなくちゃいけないんてすがなぜか出来ないんですよ」
「ああ、破壊阻害がかかっているようですわね?」
「破壊阻害?」
聞き慣れない言葉にクリスはヴァイオレットに聞き返す。
「壊れないようにする魔法ですわ、大事な物だったのでしょうね、よほどの魔力持ちではないと壊せませんわ」
「そんな魔法があるんですか?」
クリスの好奇心を刺激したようだ。
「ええ、壊れやすい物にはかかっていることが多いですわね」
イリアを残して二人の会話は続く、この二人は本当に仲がいい。
「では、本当に引き取らせていただきますわ」
「よろしくお願いします、助かります」
魔法談義に満足したクリスの背中を窓越しに見下ろしていたヴァイオレットは、おもむろにイリアに向く。
「それでイリア、鏡が持ち込まれた時の話をしてくれるかしら?」
「はい」
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