反転の書〜異界の扉が開いた現実世界を鬱を抱えて生きるという事(仮称)〜

煉獄図書館アーカイブス

生霊とアーティファクト

砕け散った門とその眷属達は、永き漂泊の中で自らを純化し、物質界に存在する微小な存在と一分を融合させる事で完全なる消滅から免れた。
とはいえそれは門としての多くの権能を失い、不完全な存在となる事も意味していた。完全なるものは存在出来ない不完全な世界に根を降ろし、辛うじてその身を存続させた門の欠片達の中には、物質界を渡り歩く内に生命群の住まう領域に辿り着くものも現れた。
やがて、生命群の内にかつて自らが有していた権能の名残りを見出した欠片達は生命群の認識の力を得て、新たな形を得ると彼等と奇妙な共生関係を持ち始める。彼等は有機生命の知力を利用しながら周囲の環境を彼等の性質に沿う姿へと変容させ始めた。そのような意思を宿し、周囲の知性や生霊を活性化させ時に利用する物質存在は煉獄世界では俗に「アーティファクト」と呼ばれる。