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第12章

終わり無き旅路

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「此処に住まう住人の多くは、元は人間だった者達です」
そう彼女は一つ一つ言葉を慎重に選びながら言った。

「死して尚、晴らせぬ想いをその身に宿す者は幽鬼となりこの地に留まり、貴方のように此処を出る手段を探し続けるのです」

「そして、幽鬼となった者は現世へと戻る事が叶えば貴方を連れて来た者達のような人間をこの宿場街へ、もしくは幽鬼を辺獄へと誘う鬼となり、地獄へ至れば地獄の鬼となるのです」

ーーいや、それでは困る。

「俺は普通に人間のまま地上に戻りたいんだ」
彼女の言葉を半ば混乱しつつ聞いていたが動揺だけは見せまいと声のした方を睨みつける。
「何か方法があるだろう?その門なら元の世界へ戻れると、確かにそう聞いて此処へ来たんだ」

「どうも誤解があるようですね。この門を只の人間界地上への通行手段として捉えているようですが、それは大きな間違いです。門が人間界地上へと導く事が可能なのは代行者の補佐役として使命を帯びた幽鬼達だけなのですよ。この世界煉獄の存在を支える代行者によって加護を受けた魂のみがこの扉を開ける鍵となり得るのですから幽鬼達のように何らかの加護をその魂に宿さない存在はこの門を潜る事はどうあっても叶いません」


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