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超不機嫌な顔も最高です
しおりを挟む「……亮君って、やっぱり年上女子に受けがよかったね~」
読み通り。亮君、可愛いからね。蓮君のお母さんとお姉さんが虜になってるよ。礼儀正しい、中学生の美少年は正義だね。
それに引き換え、蓮君は超仏頂面だわ。
実は、亮君がチャイムを押した後、ライン入れたんだよね。すると、凄い剣幕で玄関に出てきてくれたよ。
見たことがないくらいに目付きが鋭くて据わっている。で、お母さんとお姉さんに怒られてる。体調が悪いせいもあるけど、落差凄っ!! でも、今まで見たことがない蓮君の姿が見れて、新鮮で嬉しい!! 悪戯が大成功して、楽しくなってきたよ。おかげて、収穫もあったし。
「何、連写してるの?」
超真剣に写真を撮っている私の隣で、立花ちゃんが若干引き気味で呆れている。
「動画の方がよかった? なら、切り替えるけど」
「違う!! そうじゃなくて。そもそも、私、あいつに興味なんてないし」
蓮君は立花ちゃんの好みじゃないみたい。包容力があって、優しくてカッコいいのにね。顔もハンサムだし。
「だって、今まで見たことがない仏頂面だよ。これは、なんとしても残さないといけないでしょ」
私の沽券に関わるからね。
「それ……ある意味、あいつにとっては黒歴史だよね。それに、気付かれたみたいよ」
あっ!? ばっちり目が合ったわ。こっち来る!? 青筋立てて私の名前叫んでる。
「立花ちゃん、逃げるわよ!!」
私は立花ちゃんの腕を掴むと、亮君を置いて走り出した。
「逃げなきゃいけないことしてる自覚はあるんだね」
やや冷ややかな目で立花ちゃんは言う。文句を言いながらも、付き合ってくれるんだよね、そういう所好きだよ。
だけどさ……それブーメランだよね。立花ちゃんも私に近いことしてたよね。そう反論したくなったけど、それよりも前に訂正しないといけないことがある。
「それは違うよ!! 逃げるのは、捕まったら写真消されてしまうからよ!! 推しのコレクションは、なんとしても死守しないといけないでしょ」
なので、悪いことをしてるなんて、これっぽっちも思ってないからね。
「三奈さん……さすがに引くよ」
うわ~って顔されてるね。そんな残念なものを見る目で見なくてもいいじゃない。蓮君が推しにされるのは嫌だけど、推しを尊ぶ気持ちは理解してほしいよ。
「酷っ!! 立花ちゃん酷すぎる~」
「どこが? 酷いのは三奈さんだよ。あっくん置いてけぼりにして逃げちゃうんだから」
うっ!! そう言われると耳が痛い。
「まぁ……このあとスーパー寄るの知ってるから、待ってれば来るよ」
「やっぱ、酷っ」
う~ん、さすがに放置は酷かったかな……
「ちゃんとあとで謝るよ」
「で、さっきから鳴り続けてるスマホどうするの?」
そうなんだよね~
「……どうしよう?」
「出るしかないでしょ」
恐る恐る画面をスライドすると、着信履歴、十件越えてるよ!? 五分も経ってないよね!? ラインも引っ切り無しに来てるし!?
「怖っ!! どうしよう……?」
「取り敢えず、電話に出ればいいんじゃない」
「無理無理無理」
怖くて出れないよ……なら、ラインだよね。さすがに既読無視はできないから。
〈元気そうな顔が見れて嬉しいです。安心しました。私は嘘吐いてないから。ちゃんと、私はいかないって書いてたからかね。それじゃあ、ゆっくり休んでね〉
今までの中で一番の早打ちだよ。
〈はぁ!?〉
返ってきた返事はこれ。
ガチギレしてる。盗撮がいけなかったのかな。まぁ、してしまったものは仕方ないよね。私は苦笑するとスマホをミュートにした。
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