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第三章 学園生活の始まりです
学園に到着しました
しおりを挟む丸一日掛けて学園に来たんだけど……ちゃんと学園に着いたよね。うん、今さっき、文句をを通ったはずだよ。門番の兵士さんに軽く会釈したし。
「なのに、なんで建物が一つもないの~~!!」
また、窓を全快にし、身を乗り出して叫んでしまったよ。
目の前にあるのは、綺麗に整備された一本道。その両横には、これまた整備された芝生。そして、森。林のレベルじゃない。建物一つ見えはしない。
『認識操作の魔法だよ。よく機能してるよね。簡単に言えば、ユーリアは錯覚を見ている状態かな。特別な通行書がなければ、永遠に学舎には着ないよ』
ハクアがわかり易く教えてくれた直後かな、思わず「あっ」って声を上げてしまった。なんか、全身がザワッとしたから。初めて、自分に魔力があることを知った時の感覚を、何倍にもした感じだったの。
『うんうん、さすがユーリア。よく感じたね。ほら、窓の外を見てごらん』
ハクアに促されて窓の外に視線を向ける。さっきまで森だけ景色が、噴水と重厚な建物があった。
「……ここが、学園なの?」
『そうだよ!! ようこそ、ポーラット魔法学園へ!!』
ハクアが満面な笑顔で笑った。ハクアの笑顔を見ると、私の不安な気持ちがスーと消えていく。ほんと、不思議だよね。ハクアもそうだったら嬉しいな。
そう、ここが、これから六年間、私が本当の意味で聖女になるために学ぶ場所。
ポーラット魔法学園ーー
ポーラット王国最高ランクの学習機関。超エリート校。他国からわざわざ留学に来るほどにね。
就学期間は基本六年。最大八年まで在学可。飛び級制度あり。入学年齢は七歳以上。
元は、魔法を専門に学習し極める学園だったけど、今は魔法だけでなく、騎士養成と領主教育などにも力を入れていて、名称は魔法学園だけど、総合的な分野に特化している学園だ。
なので、試験は超難しいらしいの。学科に実技、そして面接。学科にもよるけど、魔法科は百人受験して合格するのはよくて五人くらい。他の学科は、もう少し合格率が高いらしいけど。それから、三年間は試験資格を持ち続けることができるけど、三年を越えれば受験資格を永久に失う。
そこまでして入学したいのは、この学園に入学し卒業すれば、将来は約束されたものだって言われてるから。実際、ポーラット王国の要職に就いている方々は、大概この学園の卒業生だからね。学生案内にそう書いてたよ。そりゃあ、力入るよね。特に貴族様は、自分の子供をどんなことしても入学させたいと思うよ。箔がつくもの。
ちなみに、聖女養成は魔法科の中にあるの。
聖女のスキル持ちは必ず入学しなくちゃいけないから、私は無試験での入学になったの。当然、面接もない。
だから、勉学とマナーが必須になるんだよ。
無試験とはいえ、学園の勉強に付いて行かなくちゃいけないからね。貴族様なら、幼少時から家庭教師を付けるから大丈夫だけど、平民の私にはね……だから、家庭教師として教皇様が付けてくれたよだよ。
馬車が静かに止まる。
御者がドアを開けてくれた。私は御者さんに支えてもらいながら馬車から降りた。私の横にはトランクと大きなリュック。頭にはハクア。
「ありがとうございました」
お礼はちゃんと言うよ。礼儀だから。
「頑張ってくださいね、ユーリア様」
応援してくれた御者さんは、私と荷物を下ろすと帰って行った。ポツンと残される私。少し不安になる。私以外誰もいないから。
「確か……ここで待ってれば、来てくれるんだよね」
そう呟いた時だった。
「君がユーリア様。またせたね、迎えに来たよ」
やけにイケメンなセリフと可愛らしい声が私の耳に届いた。無事合流できて良かったです。泣いてなんかないからね。
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