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第一章 田舎娘が聖女になりました
私の家族
しおりを挟む私の家族はお人好しなの。それも、超が付くほどのお人好し。
まず、人を疑うことをしない。
そもそも、疑うって言葉も知らないんじゃないかって、本気で考えているほどのお人好し。信じられないよね。ここだけの話、生まれたての赤ちゃんよりもピュアな存在だと、私は内心思ってるの。少なくとも、六歳の私よりもピュアなのは間違いないわ。言ってて、ちょっと悲しくなるけど。
なので、すぐ人に騙される。
貧乏なのに、人が良いから、頼まれたらすぐにお金を貸すんだよね。困ったことに無利子で。まぁ、貧乏だから、貸せるお金は限られてるけど。借金がないのがせめてもの救いよね。そのせいで、生活は常に苦しい。あと、やたら、家には犬や猫がウロウロしているの。可哀想だからって拾ってくるんだよね、両親が。普通、反対でしょ。
正直、ないよね。
何度怒って訴えても、両親は苦笑しながら謝るんだけど、根っからの気性だからなおりはしない。もう諦めたわ。
だけど、そんな両親が大好きなの。とってもね。
だから、これ以上生活環境が悪くならないようにするには、私が防波堤になるしかないよね、必然的に。ほかに兄姉がいないから。
今ね、お母さんのお腹の中に赤ちゃんがいるの。頼りない両親と生まれてくる妹弟のために、お姉ちゃん頑張るから早く生まれてきてね。
大きくなったお母さんのお腹を撫でてると、ポコポコと元気よく蹴って返事をしてくれた。臨月だってお母さんが言ってたから、もうすぐ会えるの。すっごく楽しみなんだ。
「ユーリア、もうすぐ、七歳の誕生日よね」
仲良くソファーに座っていると、お母さんが私の頭を撫でてくれた。
「うん。そうだけど、どうしたの?」
お母さんの優しい声に、私はにっこりと微笑みながら答える。
「だったら、教会に行かないといけないわね」
「教会? あっ、そうか、鑑定を受けなくちゃいけないんだよね」
この国に生まれた子供は、貴族、平民関係なく、七歳になったら、教会で〈スキル〉の鑑定を受けなくちゃいけないの。法律でそう決まってるんだって。めんどくさいよね。
でもね、参加したら、王都のお菓子がもらえるから内心楽しみなの。こんなど田舎じゃ食べられないからね。
お父さんは〈木工職人〉で、お母さんは〈針子〉。なら、私も職人系よね、絶対。その方がいい。手に職を付けたら強いよね。どこでも働けるし、家族も護れるし。早く知りたいけど、ちょっと怖いかな。
「怖がらなくても大丈夫よ、ユーリア。スキルはね、神様からの贈り物なの。それに優劣はないわ」
お母さんってすごいよね。不安な気持ちがスーと消えちゃった。
「そうだよね。お母さん、大好き!!」
「私も大好きよ」
お母さんは私の頭を撫でてくれた。それだけで安心するよ。
この時の私は、自分のスキルが、とんでもないものだって思いもしていなかったんだ。
そしてそのスキルが、私の人生を大きく変えることになるなんて思ってもいなかった。
でも、後々考えたら、大変だけど、ラッキーだったと思うよ。
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