大嫌いな聖女候補があまりにも無能なせいで、闇属性の私が聖女と呼ばれるようになりました。

井藤 美樹

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第七章 知らない所で死亡フラグと監禁フラグが立ってます

古代語と水鏡の魔法具

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 今日は葉月ちゃんのお家にお邪魔した翌日の月曜日、2週連続で週末にビッグイベントがあったので今週は平和に過ごしたいです。でも、今週のどこかで紫苑さんと合う予定がある。例のアルバイトの打ち合わせと契約を結ぶためです。単なる打ち合わせで済むのか不安だ……。

 昨日葉月ちゃんのお家から帰る時に兄貴に電話で結婚する事を伝えたけど、まだ両親には言っていない。年に一度しか会わない両親に、言い出しづらいというのが本音なのだ。とりあえず正月に帰るから、その時に説明すれば良いかなって考えている。頼んだぞ、未来の僕。

 そろそろ大学へ行く準備をしようと思いベッドから起き上がり、ふと横を見て見る。昨日はここに葉月ちゃんが寝ていたんだと思ったら、急に寂しく感じてしまった。葉月ちゃんが恋しいです。
 
 いつものトーストにイチゴジャムを塗り、インスタント珈琲で簡単な朝食を頂きます。葉月ちゃんと一緒に暮らしたら、ちゃんとした朝食を作れるように考えないとダメだな……。これから始まる新しい生活を思い、少し不安になってきた。

 この不安を払拭するためにも、今日の運勢を見て見ようかな! 鏡に映る自分を見て、神様に祈った。




中野薫なかのかおる
 東京の国立大学に通う2年生。
 成績は普通だけど、順調に単位を取得しているので進級に問題ないです。この調子で卒業出来るでしょう。
 来年4月に恋人の黒川葉月と結婚します。彼女の両親とも馬が合い、関係は良好です。
 うーん、将来的に彼女の家に住まわせて貰うのが良いと思うよ?
 友好関係は千葉修二と天王寺玲子と特に仲が良く、親友と呼んで良いでしょう。
 あと、天王寺紫苑とはビジネスパートナーです。
 兄の中野日向との関係も良好です。ちなみに、中野日向は天王寺楓と再来年に結婚します!



※今日の運勢※
 平和な一日になるでしょう♪


※業務連絡※
 言うの忘れてたんだけど、レベルアップに伴い情報規制が一部解除され、負荷が軽減されました。おめでとうございます!



 まさかの業務連絡があった。そして遂にレベルアップしていました!!! 神様ありがとうございます。これからも神様のお言葉を良く聞いて頑張ります!

 どのタイミングでレベルアップしたのか分からないけど、情報規制が解除されたって書いてあるし、今なら色々な事が分かるかもしれない! あと負荷が軽減って事は使用回数が増えたのかもしれないな。後で数えて見ようかな。

 それにしても、自分の個人情報が詳しくなってる気がする。しかも兄貴の結婚まで教えてくれています。兄貴が結婚するのは確定なのか……。

 そうだ、もしかしたら天王寺久美子さんの天眼と同じように、物の情報もいっぱい分かるかもしれないな。金額とか見れたら面白そうだけどちょっと怖いな。でもまあ、ちょっと見て見よう。金額とか詳しい情報が見れるように祈りながら鑑定してみた。



【エッチな下着】
 これは黒川葉月が初エッチした時に履いていたエッチな黒いパンツです。
 スケスケのレースがふんだんに使われ扇情的ですが、履き心地は抜群です。



 洗濯機の底に残されてた葉月ちゃんのパンツは、エッチな下着でした。べ、別にわざと返さなかった訳じゃないんだからねっ! 今度葉月ちゃんに返します……。

 情報規制の一部解除というのがどんな内容なのかは分からないけど、やっぱり僕の鑑定だと物の情報は少ないようです。やはり久美子さんの天眼とは別物な気がします。

 まあ物の価値が分かっても使いこなせないと思うし……。もし値段とか分かったとして、玲子さんの実家で出てくる食器一つ鑑定したら、金額に驚いて手が震えて大変なことになりそうだ。知らぬが仏です。
 
 今日は平和な一日を満喫しよう!



   ◇



 今日も今日とて朝の集会です。今日は葉月ちゃんの事とか報告しようと思うけど、長くなりそうだからお昼休みにしようかな。

 今日の運勢が平和ってことは、修二や玲子さんも平和だと思う。少なくとも悪い事は無いと思います。

 そんな事を考えていたら、修二と玲子さんの登場です。今日もキラキラと輝いていますね!

「おはよう二人とも」

「うーっす」

「おはようございます薫さん、聞きましたよ昨日のこと」

 むむ? 昨日の事とはあれですか、僕たちのエッチなお話ですか? こんな公衆の面前でそんな話をするなんて、このお嬢様は何を考えているのでしょうか。ここはビシッと言ってあげないとダメですね。

「玲子さん、セクハラですよ!」

「何の事かしら? 婚約したんでしょう?」

「……くっ」

 違ったようです。婚約の事でした。どこから漏れたんだ? 普通に考えて葉月ちゃんかな……。さて、ビシッと言ってやったのは良いけど、気まずいな。よし、矛先を変えよう。

「えっと……修二ありがとう! 修二の体験を参考になんとかなりました!!」

「え? 俺、何か言ったっけ?」

「……薫さん、セクハラですわよ!!」

 修二は分からないようだけど、玲子さんは気が付いたようだね。ふふ、僕は玲子さん達の初体験の内容を知っているのですよ。そうです、僕が暴走しなかったのも修二のお陰です。ありがとうございます!

「何のことかな? そろそろ今日の運勢見て見るよ~」

 誤魔化して鑑定のお時間です。いつも通り、修二から行こうかな。神様神様、修二くんの恥ずかしい情報を教えて下さい! そんな事を考えながら神様に祈った。



千葉修二ちばしゅうじ
 東京の国立大学に通う2年生。
 千葉修二と天王寺玲子の出会いは小学校時代にまで遡る。
 二人は元々、家同士の付き合いがあり小学校も一緒だった。
 小さい頃から修二はイケメンでモテまくった。そんな修二を見て玲子はずっとヤキモチを焼いていたのである。
 玲子は別の高校へ進学したが、修二は一人で共学の高校へ進学した。玲子が傍にいない修二は、女子たちから狙われまくったのだった。
 だがしかし、その頃には玲子との縁談の話もあったため、誰とも付き合わなかったのである。
 そんな事が続いた結果、千葉修二は男が好きであるという噂が一気に広がった。そして、男からのお誘いが絶えなくなった……。
 その状況に限界を感じた修二は、父親を説得して転校した。そして転向してすぐ、縁談の決まった玲子に迫った。きっと、自分が女性を好きということを確認したかったのだろう……。
 実際に玲子と結ばれた日、玲子の体に興奮してしまい大暴走したのは良い思い出です。


※今日の運勢※
 近所のお肉屋さんに行くと良いかも♪



 どういう事だろう……。確かに鑑定する前に神様に修二の恥ずかしい情報が知りたいと願った。その結果がこれなのか?

 つまり、今まで通り何も考えずに鑑定したら今朝の僕のような情報になって、知りたい情報を願って鑑定するとその情報が得られるのだろうか?

 修二に聞きたい。『高校の時、男に迫られて転校したの?』って聞きたい! けどまだだめだ。もう少し情報を整理して、紫苑さんラスボスに相談してからの方が良さそうだ。

 まだサンプルが少ないから色々と見てみる必要がありそうだな……。

 とりあえず、修二には今日の運勢だけ伝えよう。

「こんな感じでした。お肉屋さんで特売でもあるのかね?」

「あー、大通りから外れたところに小さな肉屋があるんだけど、すげー美味いんだよ。いつも行列出来ててさ。帰りに寄ってみるな」

 ふぅ、何とか誤魔化せた。次は玲子さんか。

「次は玲子さん行きますね!」

「よろしくですわー」

 セクハラ発言をしてしまったので、ちょっと玲子さんが不機嫌です。よし、この鑑定能力の実験台になってもらいますよ玲子さん!! これが本当のセクハラだー!!

 神様神様、玲子さんの最新エッチ情報を教えて下さい! そんな事を考えながら神様に祈った。



天王寺玲子てんのうじれいこ
 東京の国立大学に通う2年生。
 とある飲み会が終わった夜のことである。玲子は打ちひしがれていた。
 真面目でしっかりとした妹だと思っていたら、まさかの特殊性癖の持ち主だったと知ってしまったからである。
 妹の楓は、ショタをベッドに縛り付け、優しく囁き、溶かすような愛撫を行い、泣きながら懇願しても責め立てるドSなお嬢様だったのである。
 自宅に帰った玲子は修二に相談した。楓の言う拘束寸止め焦らしトロトロ溶かしプレイがしてみたいと。玲子は妹の気持ちを理解したかったのである。
 酔っぱらった修二は何も考えずに了承した。拘束具などないため、タオルで修二の両手を縛るだけの簡単な拘束だった。
 玲子は修二の体にキスをして、ローションを使って優しくマッサージをした。次第に硬くなる修二のそれを、暴発させないようにねっとりと育てた。
 玲子は次第に楽しくなってきた。いつも責められっぱなしだが、今日は修二が自分の手で感じている。修二の切なそうな表情を見るだけで濡れてくる。
 ちょっと楓の言う事が分かったかなと思った瞬間、玲子は大きな誤算をしていることに気付かされた。そう、修二はドMではなく、ドSだったのである。
 修二を拘束していたタオルは簡単に解け、玲子は簡単に押し倒されてしまった。
 暴走した修二は背後から玲子に襲い掛かり、激しく責め立てた。まさに獣の交尾、ワンワンスタイルであった。
 玲子が何度達しようと止まらない責めに、逃げるようにうつ伏せに倒れてしまう。そして逃げ場の失った玲子を更に責め立てる修二は、大暴走していた。
 この時、玲子は獣のような声を上げながら思った。このプレイはもうやめようと……。そんな事を考えながら、玲子の意識は沈んでいった。



※今日の運勢※
 午後の講義は休講ですよ~!


「エッッッッッッ!!」

「大丈夫か薫?」

「どうしたんですの薫さん、顔が赤いですわよ」

 ちょっとした出来心だったんです。本当に出来心だったんです。まさか本当に玲子さんの最新エッチ情報を教えてくれるなんて思ってもいませんでした……。

 鑑定する前に知りたい情報を神様に願うとその情報が得られるというのは確定な気がする。あとはどこまでの情報が得られるのかが問題かもしれない。情報規制も一部しか解除されてないようだし……。

 それよりもこの情報って『居酒屋よっちゃん』で5人で飲んだ夜の事だよね。あの夜にこんなすごいエッチをしていたなんて思いませんでしたね。というかエッチの内容を想像したら玲子さんの顔が見れないよ……。

 もうさっさと今日の運勢を伝えて逃げよう。

「玲子さん、今日の午後は休講らしいです。運勢に出てました! じゃあ僕はもう行きますので~」

「え!? ちょっと薫さん待ちなさい!!」

 背後で叫ぶ玲子さんの声を聞きながら、玲子さんはエッチの時どんな声なんだろうって想像してしまった。獣のような声ってどんなのだろう? この情報は危険だ。

 色々と使い方を勉強しないとダメだと分かった平和な朝だった。
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