大嫌いな聖女候補があまりにも無能なせいで、闇属性の私が聖女と呼ばれるようになりました。

井藤 美樹

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第七章 知らない所で死亡フラグと監禁フラグが立ってます

囲うって同居だよね

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 セイいわく、小さいのなら大丈夫ってことで、一番小さな精霊石を貰ったよ。用途を話したら、これで十分だって。それから、念のためにセイと私は魔力を精霊石に与え、補充しておいた。食料とか生活用品は、私のマジックバックに収納しとおく。簡単だけど、これで大丈夫かな。

 魔力を補充したから、半年は戻らなくていいって。

 でもまぁ、定期的に様子を見に来ないとね。あと、モアさんのご飯も食べにね。

 小さくなれるって言ってた通り、セイは中型犬並みの大きさに変化。これ以上は魔力を食うから、あまりやりたくないみたい。眠たくなるんだって。でも「必要なら縮めるよ」って言ってくれたけど、私はやんわりとお断りした。

 だって、あまり無理してほしくないからね。それに、多少大きさが変わっても、竜は竜だからね。大差ないよ。

 てな感じに、セイの洞穴で引っ越し作業を終えて地上に戻って来た私たち。

 待っていたのは、ケイ兄さんの雷だった。そして、そのままケイ兄さんの胸にダイブ。号泣されたよ。

 この反応、予想はしてた。してたけど……ケイ兄さん、私しか目に入ってないね。セイのこと完全無視してるよ。モアさんは呆れて溜め息吐いてるし。

 目の前に、SSSランクの魔物だよ!? その気になったら、倒せちゃうんだけど。それでも、少しは反応しようよ!!

 あ~しないよね。うん、しない。どこまでも通常運転だわ。お尻の下に腕を回し、片腕で抱っこ。そのまま運ばれるみたい。

 ほんと、ケイ兄さんって超過保護。

『スモアフラ、アキって赤ちゃんなの?』

 だよね、そう思うよね。っていうか、やっぱりかなり親密なんだね、セイとモアさん。

「ケイの中では、永遠に幼児なんですよ」

 確かに、そうなんだよ。学園に行く年齢で冒険者資格も取ってるのにね~

『そうなんだ~アキ、すっごく可愛いもんね。囲いたくなるもん』

「おや、おや、そこまで気に入ったんですか」

『うん!!』

 小声で話しているけど、バッチリ聞こえてるからね。当然、それはケイ兄さんも。

うるさいぞ、トカゲ」

 超低音ボイス、殺気と魔力ダダ漏れ状態のまま超高速で剣を抜き、セイに剣先を向けている。

『アキ~モア~、この人間怖い~!!』

 セイはモアさんの後ろに隠れると泣き出した。

「ケイ兄さん、何、セイ泣かしてるの!! 下ろして!! 下ろさないと、しばらく口聞かない!!」

 そこまで言うと、ようやくケイ兄さんは私を下ろしてくれた。モアさんの後ろに隠れていたセイが、私の胸に飛び込んでくる。

 可愛いんだけど、身体強化掛けたままでよかった~

 頭をよしよしと撫でてあげると、セイはどうにか泣き止んだ。

「ほんと、大人気ない。まだ成体になっていない子供に対して、本気で剣を向けるなんて」

 すっごく呆れた声でモアさんが言う。

「ケイ兄さん、最低~」

 私の攻撃がよっぼど効いたようで、ケイ兄さんはめっちゃショックを受けたのか、膝を抱え座っている。

「……しかたないだろ、囲うなんて言うから」

 ケイ兄さんはブツブツとそんなことを言ってる。

「一緒に住みたいってことでしょ」

『うん、そうだよ。成体になったら一緒に住んで、巣から出さないの。ずっと一緒』

 ん……? 何を言ってるのかな? ちょっと、ニュアンスが違う気がする。ここは、はっきりと訂正しないといけないよね。

「普通に嫌だけど。だって、閉じこもったら、美味しいものも食べれないし、綺麗な景色も見れない。ましてや、冒険できない。だから、嫌」

『ぼ、僕と一緒にいるの、嫌なの……』

 ガーンて副音声が聞こえそうなほど、セイはショックを受けてる。ケイ兄さんと立ち位置が逆になった。

「馬鹿ね、セイは。嫌じゃないよ。セイも一緒に食べたり見たりするんでしょ」

 そう告げると、セイの顔がゆっくりと上がる。

『僕も一緒?』

「そうだよ、仲間だもん」

 にっこりと微笑みながら言った。

『……そっかぁ~仲間なんだ』

 ちょっと不服そうな小さな声で、セイは独り言のように呟いた。気にはなったけど、訊き返す前にモアさんが口を開いた。

「さて、そろそろ戻ろうか。陽が暮れる前に村に戻らないと」

 村に戻る頃には、すっかり忘れていたよ。

 
 
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