38 / 104
第三章 スタンピードと神聖魔法
騎士団の地獄行きが決定しました
しおりを挟む 翌朝、僕は親父と母さんを連れて東京へ向かっていた。今日はさっさと東京へ行って葉月ちゃんに会いたいので、特急電車に乗ってます。特急電車に乗るのなんて何年ぶりだろうか?
数年前に特急電車が新型車両になって話題になっていたけれど、実は初めて乗りました。外観が銀色で先頭車両が丸いフォルムになっていて、内装は座席の間隔が広くてゆったりと座れ、黄色いシートが鮮やかです。座り心地も良くてお金を払う価値があるなって感じました。
2列シートなので両親が並んで座り、僕は一人です。チラッと聞こえる会話を聞いていたら、旅行気分で楽しいと喜んでいました。まあ旅行気分で居られるのもあと半日だけどね!
特急電車で40分くらいで池袋駅に着き、そこから乗り継いで東京スカイツリーへ来ることが出来た。正直なところ、何回か迷ってスマホで調べました。東京観光に連れて行くと言いながら、僕のヘタレ具合を披露する形になってしまった。まあうちの親だし、良いよね!
天望回廊と天望デッキがセットになった当日入場券を買って館内を進み、煌びやかなエレベーターに乗り込みます。休日という事もあってすごく混んでる……。
「すごい加速だな」
「楽しいわね」
「展望デッキは地上350mらしいよ」
展望デッキで降りて窓側へ進み窓の外を見渡せば、模型のように小さくなったビルで溢れていた。東京にはこんなにビルがあったのかと思い知らされてしまった。葉月ちゃんのお家はどっちの方角だろうか?
「見て見ろ薫、富士山が見えるぞ」
興奮する親父が指す方向を見れば、雪を被った富士山が見えた。今日は晴天のため、遠くまで良く見える。
しばらく眺めた後は、別のエレベーターで更に100m上昇し、展望回廊というところへやってきた。シースルーになった道を歩いて次のフロアへ向かうため、空中散歩している気分が味わえるのだ。
「綺麗ね~」
「夜景の方が良かったかもね」
母さんも喜んでいるようで良かった。でも僕は普段から似たような景色を見ているため、そこまで驚くことは無かった。葉月ちゃんと一緒ならもっと楽しかったんだろうな……。
そんな感じで午前中は東京スカイツリーを満喫しました。さて、ここからが本番だ……。
東京スカイツリー観光が終わってから電車を乗り継ぎ、ついに最寄り駅へ着いた。だがしかし、さすがに歩き詰めで体力の無くなった両親は休憩を所望し、駅のロータリーにある喫茶店で一休みなのである。
僕たち3人でホットコーヒーを飲みながら、東京スカイツリーの感想を言い合っていたが、親父からこれから行くところについて聞かれてしまった。
「これから会うお世話になってる人って、どんな人なんだ?」
「すごく良くしてもらってる人達なんだ。これからもお世話になるから、会って欲しいんだよね」
「そうなのか……」
どうやら親父は怪訝そうな顔をしている。まあ急に言われても反応に困るよね……。
「良く分からないけど、会えば良いんでしょ? はぁ……これが薫の彼女とかだったら良いのにね~」
「え? 彼女も紹介するよ?」
「はいはい、楽しみにしてるわ~」
母さんはまったく信用してくれていないようだ。まあ僕の母親だし、今まで僕のモテない歴史を全部知ってるからね。急に彼女が出来て会って欲しいと言っても信用してくれないのだろう。葉月ちゃんとの写真を見せても良いけど、ここまで来たら直接会ってビックリしてもらおう!
「じゃあそろそろ行こうか」
僕は葉月ちゃんにチャットアプリで連絡を入れ、これから向かう事を伝えたのだった。
クリスマスのイルミネーションが輝く駅のロータリーから歩く事5分、タワーマンションが見えて来た。どうやら両親も目的地がどこなのか気付いてしまったらしくビビッている。
「ほ、本当にこんなところに行くのか?」
「大丈夫なの?」
「大丈夫だよ。今はここに住んでるからね。ほら急がないと待たせちゃうから」
ビビッて行かないとかなるとまずいので、無理やりエレベーターへ連れ込んだ。今の両親の気持ちは良く分かります。僕は2回も葉月ちゃんに連れ込まれたからね!!
さすがに観念したのか、両親は沈黙してしまった。そしてエレベーターが止まり、葉月ちゃんのお家に着いてしまった。勝手に入っても良いけど、チャイムを鳴らそうかな。
「ここが僕のお世話になってるお家です。そして僕の彼女の実家なので失礼の無いようにお願いね」
「彼女だと!?」
「噓……」
チャイムを鳴らし、しばらくすると玄関が開いた。そして僕の天使がお出迎えしてくれた!!
「おかえりなさい先輩。さあどうぞ入ってください。寒いところありがとうございます」
「ありがとう葉月ちゃん。お待たせしました」
そうして僕は、オロオロする両親を連れて広いキッチンルームへ案内したのだった。
◇
普段はリビングで食事をしているため、広いキッチンルームは使っていなかった。キッチンルームはちょっとしたパーティーを行うときに使用するらしいです。そして今日はうちの両親を招いたパーティーのため、いつものキッチンルームがパーティー会場に変わっていた。
天井から照らされる淡い光がオシャレ感を演出し、大きな窓から見える景色は東京スカイツリーで見たものに負けないと思う。ふふふ、このために午前中に東京スカイツリーへ行ったのだ!
座席は僕の隣に親父、母さんと並んで座り、僕の正面に葉月ちゃんが座っている。葉月ちゃんの隣にお義父さん、お義母さんと並んでいる。
テーブルの上には和食から洋食、中華までたくさんの料理で溢れていた。きっと好き嫌いが分からなかったので、大量に用意したんだと思います。お酒もビールからワイン、日本酒や焼酎までラインナップがすごい事になっていた。
「薫くんのお父さん、お母さん、今日は遠いところありがとうございます」
「い、いえ……」
「お招きありがとうございます……」
お義父さんが仕切ってくれるようだ。やはり企業のトップともなれば、こういう事に慣れているのだろう。そしてうちの両親、特に親父は慣れていないのか返事をするだけで精一杯です。きっと僕のヘタレ具合は親父に似たんだな!
「まずは乾杯しましょう」
お酒飲める人はビールを、葉月ちゃんはリンゴジュースで乾杯です。どうやら親父は吹っ切れたようで、ビールをグビグビと飲んでいた。酔っ払って勢いで乗り切ろうという作戦かもしれないな……。
お義父さんの乾杯が終わった後は、軽く自己紹介を行って食事を食べ始めた。どうやら料理は出前を頼んでおいたようです。さすがにこれだけの料理をお義母さんが作るのは無理だよね。
葉月ちゃんが僕の彼女という事と、同居している事を伝えたら驚いていた。
「ほ、本当に彼女なの?」
「昨日説明したよね、彼女紹介するって」
やはり信じていなかったようだ。さて、さすがに酔っ払って記憶が無くなる前に、僕からしっかりと伝えておこうかな。
「今日集まってもらったのは、僕とこちらの葉月さんですが、明日婚姻届を出そうと思ってます」
「黒川葉月です。お義父様、お義母様、宜しくお願い致します」
「本当に結婚するのか……」
「あの……葉月さんはお若いようですが、おいくつなんですか?」
「18歳です」
「18!?」
母さんの顔が驚愕を通り越して、顎が外れそうなくらい大きな口を開けていた。葉月ちゃんは18歳よりも若く見えるかもしれないけど、どっちにしても18歳で結婚は早いと思うのだろう。
「も、もしかして出来ちゃったとか……?」
「母さん失礼だろ! すいません葉月さん」
「いえ、気にしてませんので大丈夫です。それに赤ちゃん欲しいのでいつでも大歓迎です♪」
葉月ちゃんは赤ちゃん欲しいのか……。まあお義母さんの言葉じゃないけど、赤ちゃんは授かりものだし自然に任せよう!
どうやら両親の緊張も解けて来たようで、僕のヘタレ具合や悪口を言っている。本当にうちのヘタレで良いのかと聞いていた……。酷すぎる!
「そういう事だから、僕は婿養子で黒川さんのお家に行きます。中野家は兄貴に任せたから」
「そうか……」
「黒川さん、うちの息子を宜しくお願いします」
「こちらこそ、宜しくお願いします」
どうやら両親も納得してくれたらしく、僕も肩の荷が降りた。よし、後はご飯食べて料理を楽しもう!
◇◇
無事に顔合わせが終わり、両親を最寄り駅まで送って行った。二人とも結構お酒を飲んでいたようだけど、フラフラになる程飲んではいなかった。
「今度家に帰ってこい。色々と話を聞かないとダメだからな」
「そうよ。何でこんな大事な事を隠してたの!」
「いや、昨日言ったけど信じてくれなかったじゃないか……」
昨日しっかりと伝えたのに逆ギレされてしまった。解せぬ……。
「今度葉月ちゃん連れていくよ。気を付けて帰ってね」
「ああ、黒川さんに失礼の無いようにな」
「薫も風邪引かないようにね。いつでも帰って来なさいね」
最後は笑顔で帰って行く両親を見送り、僕のミッションは終了した。これで僕は明日から黒川薫になるのか……。
一人で家まで帰る途中、考え込んでしまった。この鑑定能力を授かってからというもの、僕の人生が大きく進んでしまった。バイト仲間である葉月ちゃんは気になる女性だったけど、お付き合いして結婚するなんて思ってもみなかった。
僕はこれから、葉月ちゃんを支えて幸せな家庭を作るのだ。笑顔溢れる幸せな家庭を作ろう。いつか分からないけど、子供が出来たら可愛いんだろうな……。葉月ちゃんに似た子なら、男の子でも可愛いに違いない。
そんな幸せな家庭を考えていたからだろうか、すぐに家に着いてしまった。
「おかえりなさい先輩」
「うん、ただいま葉月ちゃん」
笑顔で出迎えてくれた僕の奥さんは、世界で一番可愛いと思う。そうだ、今日は葉月ちゃんを鑑定していなかったな……。もう一日も終わりだけど、鑑定しておこうかな。葉月ちゃんを見つめ、神様に祈った。
【黒川葉月】
都内に住む高校3年生。
身長150cmくらいの小さな体ですが、お胸が大きくて肌はまさに処女雪のように白いのです。
見た目は小さいけど、健康体で健やかに育っています。
中野薫を婿養子に迎え、もうすぐ結婚します! お幸せに~!!
あと妊娠してますよ、おめでとうございます! 元気な子が産まれるでしょう♪
ヤンデレ度5%(-15)
※所有スキル※
名も知らぬ飢えた女豹の加護
激おこ葉月ちゃんの逆襲
※今日の運勢※
笑顔を絶やさないのが吉です。
「……っ」
あの神様、昨日までの鑑定に無かった一文が追加されてるんですが本当ですか!?
数年前に特急電車が新型車両になって話題になっていたけれど、実は初めて乗りました。外観が銀色で先頭車両が丸いフォルムになっていて、内装は座席の間隔が広くてゆったりと座れ、黄色いシートが鮮やかです。座り心地も良くてお金を払う価値があるなって感じました。
2列シートなので両親が並んで座り、僕は一人です。チラッと聞こえる会話を聞いていたら、旅行気分で楽しいと喜んでいました。まあ旅行気分で居られるのもあと半日だけどね!
特急電車で40分くらいで池袋駅に着き、そこから乗り継いで東京スカイツリーへ来ることが出来た。正直なところ、何回か迷ってスマホで調べました。東京観光に連れて行くと言いながら、僕のヘタレ具合を披露する形になってしまった。まあうちの親だし、良いよね!
天望回廊と天望デッキがセットになった当日入場券を買って館内を進み、煌びやかなエレベーターに乗り込みます。休日という事もあってすごく混んでる……。
「すごい加速だな」
「楽しいわね」
「展望デッキは地上350mらしいよ」
展望デッキで降りて窓側へ進み窓の外を見渡せば、模型のように小さくなったビルで溢れていた。東京にはこんなにビルがあったのかと思い知らされてしまった。葉月ちゃんのお家はどっちの方角だろうか?
「見て見ろ薫、富士山が見えるぞ」
興奮する親父が指す方向を見れば、雪を被った富士山が見えた。今日は晴天のため、遠くまで良く見える。
しばらく眺めた後は、別のエレベーターで更に100m上昇し、展望回廊というところへやってきた。シースルーになった道を歩いて次のフロアへ向かうため、空中散歩している気分が味わえるのだ。
「綺麗ね~」
「夜景の方が良かったかもね」
母さんも喜んでいるようで良かった。でも僕は普段から似たような景色を見ているため、そこまで驚くことは無かった。葉月ちゃんと一緒ならもっと楽しかったんだろうな……。
そんな感じで午前中は東京スカイツリーを満喫しました。さて、ここからが本番だ……。
東京スカイツリー観光が終わってから電車を乗り継ぎ、ついに最寄り駅へ着いた。だがしかし、さすがに歩き詰めで体力の無くなった両親は休憩を所望し、駅のロータリーにある喫茶店で一休みなのである。
僕たち3人でホットコーヒーを飲みながら、東京スカイツリーの感想を言い合っていたが、親父からこれから行くところについて聞かれてしまった。
「これから会うお世話になってる人って、どんな人なんだ?」
「すごく良くしてもらってる人達なんだ。これからもお世話になるから、会って欲しいんだよね」
「そうなのか……」
どうやら親父は怪訝そうな顔をしている。まあ急に言われても反応に困るよね……。
「良く分からないけど、会えば良いんでしょ? はぁ……これが薫の彼女とかだったら良いのにね~」
「え? 彼女も紹介するよ?」
「はいはい、楽しみにしてるわ~」
母さんはまったく信用してくれていないようだ。まあ僕の母親だし、今まで僕のモテない歴史を全部知ってるからね。急に彼女が出来て会って欲しいと言っても信用してくれないのだろう。葉月ちゃんとの写真を見せても良いけど、ここまで来たら直接会ってビックリしてもらおう!
「じゃあそろそろ行こうか」
僕は葉月ちゃんにチャットアプリで連絡を入れ、これから向かう事を伝えたのだった。
クリスマスのイルミネーションが輝く駅のロータリーから歩く事5分、タワーマンションが見えて来た。どうやら両親も目的地がどこなのか気付いてしまったらしくビビッている。
「ほ、本当にこんなところに行くのか?」
「大丈夫なの?」
「大丈夫だよ。今はここに住んでるからね。ほら急がないと待たせちゃうから」
ビビッて行かないとかなるとまずいので、無理やりエレベーターへ連れ込んだ。今の両親の気持ちは良く分かります。僕は2回も葉月ちゃんに連れ込まれたからね!!
さすがに観念したのか、両親は沈黙してしまった。そしてエレベーターが止まり、葉月ちゃんのお家に着いてしまった。勝手に入っても良いけど、チャイムを鳴らそうかな。
「ここが僕のお世話になってるお家です。そして僕の彼女の実家なので失礼の無いようにお願いね」
「彼女だと!?」
「噓……」
チャイムを鳴らし、しばらくすると玄関が開いた。そして僕の天使がお出迎えしてくれた!!
「おかえりなさい先輩。さあどうぞ入ってください。寒いところありがとうございます」
「ありがとう葉月ちゃん。お待たせしました」
そうして僕は、オロオロする両親を連れて広いキッチンルームへ案内したのだった。
◇
普段はリビングで食事をしているため、広いキッチンルームは使っていなかった。キッチンルームはちょっとしたパーティーを行うときに使用するらしいです。そして今日はうちの両親を招いたパーティーのため、いつものキッチンルームがパーティー会場に変わっていた。
天井から照らされる淡い光がオシャレ感を演出し、大きな窓から見える景色は東京スカイツリーで見たものに負けないと思う。ふふふ、このために午前中に東京スカイツリーへ行ったのだ!
座席は僕の隣に親父、母さんと並んで座り、僕の正面に葉月ちゃんが座っている。葉月ちゃんの隣にお義父さん、お義母さんと並んでいる。
テーブルの上には和食から洋食、中華までたくさんの料理で溢れていた。きっと好き嫌いが分からなかったので、大量に用意したんだと思います。お酒もビールからワイン、日本酒や焼酎までラインナップがすごい事になっていた。
「薫くんのお父さん、お母さん、今日は遠いところありがとうございます」
「い、いえ……」
「お招きありがとうございます……」
お義父さんが仕切ってくれるようだ。やはり企業のトップともなれば、こういう事に慣れているのだろう。そしてうちの両親、特に親父は慣れていないのか返事をするだけで精一杯です。きっと僕のヘタレ具合は親父に似たんだな!
「まずは乾杯しましょう」
お酒飲める人はビールを、葉月ちゃんはリンゴジュースで乾杯です。どうやら親父は吹っ切れたようで、ビールをグビグビと飲んでいた。酔っ払って勢いで乗り切ろうという作戦かもしれないな……。
お義父さんの乾杯が終わった後は、軽く自己紹介を行って食事を食べ始めた。どうやら料理は出前を頼んでおいたようです。さすがにこれだけの料理をお義母さんが作るのは無理だよね。
葉月ちゃんが僕の彼女という事と、同居している事を伝えたら驚いていた。
「ほ、本当に彼女なの?」
「昨日説明したよね、彼女紹介するって」
やはり信じていなかったようだ。さて、さすがに酔っ払って記憶が無くなる前に、僕からしっかりと伝えておこうかな。
「今日集まってもらったのは、僕とこちらの葉月さんですが、明日婚姻届を出そうと思ってます」
「黒川葉月です。お義父様、お義母様、宜しくお願い致します」
「本当に結婚するのか……」
「あの……葉月さんはお若いようですが、おいくつなんですか?」
「18歳です」
「18!?」
母さんの顔が驚愕を通り越して、顎が外れそうなくらい大きな口を開けていた。葉月ちゃんは18歳よりも若く見えるかもしれないけど、どっちにしても18歳で結婚は早いと思うのだろう。
「も、もしかして出来ちゃったとか……?」
「母さん失礼だろ! すいません葉月さん」
「いえ、気にしてませんので大丈夫です。それに赤ちゃん欲しいのでいつでも大歓迎です♪」
葉月ちゃんは赤ちゃん欲しいのか……。まあお義母さんの言葉じゃないけど、赤ちゃんは授かりものだし自然に任せよう!
どうやら両親の緊張も解けて来たようで、僕のヘタレ具合や悪口を言っている。本当にうちのヘタレで良いのかと聞いていた……。酷すぎる!
「そういう事だから、僕は婿養子で黒川さんのお家に行きます。中野家は兄貴に任せたから」
「そうか……」
「黒川さん、うちの息子を宜しくお願いします」
「こちらこそ、宜しくお願いします」
どうやら両親も納得してくれたらしく、僕も肩の荷が降りた。よし、後はご飯食べて料理を楽しもう!
◇◇
無事に顔合わせが終わり、両親を最寄り駅まで送って行った。二人とも結構お酒を飲んでいたようだけど、フラフラになる程飲んではいなかった。
「今度家に帰ってこい。色々と話を聞かないとダメだからな」
「そうよ。何でこんな大事な事を隠してたの!」
「いや、昨日言ったけど信じてくれなかったじゃないか……」
昨日しっかりと伝えたのに逆ギレされてしまった。解せぬ……。
「今度葉月ちゃん連れていくよ。気を付けて帰ってね」
「ああ、黒川さんに失礼の無いようにな」
「薫も風邪引かないようにね。いつでも帰って来なさいね」
最後は笑顔で帰って行く両親を見送り、僕のミッションは終了した。これで僕は明日から黒川薫になるのか……。
一人で家まで帰る途中、考え込んでしまった。この鑑定能力を授かってからというもの、僕の人生が大きく進んでしまった。バイト仲間である葉月ちゃんは気になる女性だったけど、お付き合いして結婚するなんて思ってもみなかった。
僕はこれから、葉月ちゃんを支えて幸せな家庭を作るのだ。笑顔溢れる幸せな家庭を作ろう。いつか分からないけど、子供が出来たら可愛いんだろうな……。葉月ちゃんに似た子なら、男の子でも可愛いに違いない。
そんな幸せな家庭を考えていたからだろうか、すぐに家に着いてしまった。
「おかえりなさい先輩」
「うん、ただいま葉月ちゃん」
笑顔で出迎えてくれた僕の奥さんは、世界で一番可愛いと思う。そうだ、今日は葉月ちゃんを鑑定していなかったな……。もう一日も終わりだけど、鑑定しておこうかな。葉月ちゃんを見つめ、神様に祈った。
【黒川葉月】
都内に住む高校3年生。
身長150cmくらいの小さな体ですが、お胸が大きくて肌はまさに処女雪のように白いのです。
見た目は小さいけど、健康体で健やかに育っています。
中野薫を婿養子に迎え、もうすぐ結婚します! お幸せに~!!
あと妊娠してますよ、おめでとうございます! 元気な子が産まれるでしょう♪
ヤンデレ度5%(-15)
※所有スキル※
名も知らぬ飢えた女豹の加護
激おこ葉月ちゃんの逆襲
※今日の運勢※
笑顔を絶やさないのが吉です。
「……っ」
あの神様、昨日までの鑑定に無かった一文が追加されてるんですが本当ですか!?
117
お気に入りに追加
464
あなたにおすすめの小説

聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います
登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」
「え? いいんですか?」
聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。
聖女となった者が皇太子の妻となる。
そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。
皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。
私の一番嫌いなタイプだった。
ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。
そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。
やった!
これで最悪な責務から解放された!
隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。
そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。

投獄された聖女は祈るのをやめ、自由を満喫している。
七辻ゆゆ
ファンタジー
「偽聖女リーリエ、おまえとの婚約を破棄する。衛兵、偽聖女を地下牢に入れよ!」
リーリエは喜んだ。
「じゆ……、じゆう……自由だわ……!」
もう教会で一日中祈り続けなくてもいいのだ。
実家を追放された名家の三女は、薬師を目指します。~草を食べて生き残り、聖女になって実家を潰す~
juice
ファンタジー
過去に名家を誇った辺境貴族の生まれで貴族の三女として生まれたミラ。
しかし、才能に嫉妬した兄や姉に虐げられて、ついに家を追い出されてしまった。
彼女は森で草を食べて生き抜き、その時に食べた草がただの草ではなく、ポーションの原料だった。そうとは知らず高級な薬草を食べまくった結果、体にも異変が……。
知らないうちに高価な材料を集めていたことから、冒険者兼薬師見習いを始めるミラ。
新しい街で新しい生活を始めることになるのだが――。
新生活の中で、兄姉たちの嘘が次々と暴かれることに。
そして、聖女にまつわる、実家の兄姉が隠したとんでもない事実を知ることになる。

私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜
AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。
そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。
さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。
しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。
それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。
だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。
そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。

宮廷から追放された聖女の回復魔法は最強でした。後から戻って来いと言われても今更遅いです
ダイナイ
ファンタジー
「お前が聖女だな、お前はいらないからクビだ」
宮廷に派遣されていた聖女メアリーは、お金の無駄だお前の代わりはいくらでもいるから、と宮廷を追放されてしまった。
聖国から王国に派遣されていた聖女は、この先どうしようか迷ってしまう。とりあえず、冒険者が集まる都市に行って仕事をしようと考えた。
しかし聖女は自分の回復魔法が異常であることを知らなかった。
冒険者都市に行った聖女は、自分の回復魔法が周囲に知られて大変なことになってしまう。
結界師、パーティ追放されたら五秒でざまぁ
七辻ゆゆ
ファンタジー
「こっちは上を目指してんだよ! 遊びじゃねえんだ!」
「ってわけでな、おまえとはここでお別れだ。ついてくんなよ、邪魔だから」
「ま、まってくださ……!」
「誰が待つかよバーーーーーカ!」
「そっちは危な……っあ」

婚約破棄……そちらの方が新しい聖女……ですか。ところで殿下、その方は聖女検定をお持ちで?
Ryo-k
ファンタジー
「アイリス・フローリア! 貴様との婚約を破棄する!」
私の婚約者のレオナルド・シュワルツ王太子殿下から、突然婚約破棄されてしまいました。
さらには隣の男爵令嬢が新しい聖女……ですか。
ところでその男爵令嬢……聖女検定はお持ちで?

二人分働いてたのに、「聖女はもう時代遅れ。これからはヒーラーの時代」と言われてクビにされました。でも、ヒーラーは防御魔法を使えませんよ?
小平ニコ
ファンタジー
「ディーナ。お前には今日で、俺たちのパーティーを抜けてもらう。異論は受け付けない」
勇者ラジアスはそう言い、私をパーティーから追放した。……異論がないわけではなかったが、もうずっと前に僧侶と戦士がパーティーを離脱し、必死になって彼らの抜けた穴を埋めていた私としては、自分から頭を下げてまでパーティーに残りたいとは思わなかった。
ほとんど喧嘩別れのような形で勇者パーティーを脱退した私は、故郷には帰らず、戦闘もこなせる武闘派聖女としての力を活かし、賞金首狩りをして生活費を稼いでいた。
そんなある日のこと。
何気なく見た新聞の一面に、驚くべき記事が載っていた。
『勇者パーティー、またも敗走! 魔王軍四天王の前に、なすすべなし!』
どうやら、私がいなくなった後の勇者パーティーは、うまく機能していないらしい。最新の回復職である『ヒーラー』を仲間に加えるって言ってたから、心配ないと思ってたのに。
……あれ、もしかして『ヒーラー』って、完全に回復に特化した職業で、聖女みたいに、防御の結界を張ることはできないのかしら?
私がその可能性に思い至った頃。
勇者ラジアスもまた、自分の判断が間違っていたことに気がついた。
そして勇者ラジアスは、再び私の前に姿を現したのだった……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる