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今度は学園外にアレが発生したようです
第十九話 暗殺者ギルドに突入しました
しおりを挟む「へぇ~まさか、暗殺者ギルドの入口が廃神殿の礼拝堂とはね……考え付きもしませんでしたわ」
私がそう呟くと、抱えている暗殺者さんの身体が一瞬ですが、強張りました。
正解のようですね。
それにしても、高い教育されているのか、素直に戻らず、あえてかなり遠回りをし、地下道にも潜って移動していたようですけど、全部無駄に終わりましたね。
「驚いたようですね。私には貴方がたよりも優秀な暗部がいるのですよ。当然でしょ。私はこの皇国の第一皇女ですよ。そして、この地の領主です」
「…………」
「さて、行きましょうか」
イヤリング型の魔法具から連絡を受けた私たちは、転移魔法で廃神殿に向かいました。
到着すると、残りの二人を追尾していた者たちと合流しました。スミスに人選を任せていましたが、私の専属侍女とは。なかなかナイスな人選ですね。
私が頷くと、侍女の一人が祭壇の板の裏に手を伸ばします。
カチャという音がすると、そのまま床板に手を伸ばします。どうやら、ここから入るみたいですね。なんか、ワクワクしてきましたわ。
「……まさかと思いますが、セリア様、楽しんでいませんか?」
スミスの声がやや低いです。
「少しだけ」
「今から暗殺者ギルドの本部に乗り込むというのに……」
溜め息混じりに言われましたわ。
「緊張してガチガチよりはマシですよ、スミス様」
仕掛けを解いた侍女が助け舟を出してくれました。もう一人の侍女は、私の荷物を代わりに持ってくれます。持つというよりは、引きずってますけどね。
「言葉遣いが悪いですよ」
冷たい声で、同僚を諌めます。いつも通りの展開ですね。ほんと、良いコンビですわ。
侍女二人が先行して地下に潜ります。
大丈夫そうなので、私とスミスも地下へ。床板を戻すと、カチャと音がし鍵がしまりました。
私は探知魔法ではなく、気配察知のスキルを使い、地下の様子を探ります。
探知魔法は魔力を周囲に張り巡らせ探る魔法なので、範囲によりますが、それなりに魔力は使います。その反面、スキルはそれほど魔力を使いません。代わりに、制限が掛かっていることが多いです。回数であったり、範囲であったり。私の場合は範囲ですね。でもこれくらいなら、気配察知で十分です。
それに、魔力探知の魔法具を暗殺者ギルドが使用していたら、探知魔法を使った時点で、皆さんにバレて逃げられる可能性がありましたから。
「……それほど、奥にいませんね。でも、地下にこんな大きい空間があったなんて知りませんでした」
「貯蔵庫にしては広すぎますね。ダンジョンの名残りでしょうか?」
「たぶん。廃ダンジョンの地下と繋げてるようね」
ほぼ声を出さずに話す私たちを見て、捕まっている男が驚いてます。
「驚きました? まさか、皇族の姫が暗部の訓練を習得してるなんて思いもしませんよね」
この訓練、リムお兄様は受けてはいません。お兄様は政、表で生きる人間。
でも私は、魔物討伐をする、いわば汚れ役。
暗部の訓練は必要不可欠でした。シオン様の剣術と同時に、スミスから暗部の訓練も受けていたのです。つまり、スミスは私の師の一人ですね。
「バラバラに配置されていなくてラッキーでしたね」
先頭を歩く侍女が言います。
「とりあえず、私と侍女で中に入るから、あとの制圧お願いするわ」
「「畏まりました」」
その返事と同時に、二人の姿は消えました。
「では、開けましょうか」
私は声を出して、侍女に告げます。侍女が頷き、扉を開けました。
突然の来訪者に驚愕する、暗殺者たち。
「こんばんは。私、セリア・コンフォートと申します。深夜ですが、お邪魔しますわ。暗殺者ギルドの皆様方」
挨拶しているのに、せっかちですね。一斉に攻撃を仕掛けて来ました。
でも、届かないですよ。届くわけないでしょ。貴方がたが相手にしているのは、大陸一と噂されている、最強の暗部軍団なのですから。
「――さて、落ち着いた所で、話をしましょうか。貴方がたの今後の話を」
☆☆☆
最後まで読んで頂き、ありがとうございます。
新連載スタートしてます。
タイトルは〈幼馴染と義妹、合されば最強だと思いませんか? 悪い意味で〉です。
鋼メンタルの伯爵令嬢が、お花畑の親たちと婚約者、そして、婚約者の義妹たちを捨て、自分の居場所を掴み取る物語です。
これからも、頑張って書いていきますね。
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