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今度は学園外にアレが発生したようです

第三話 お腹一杯ですわ

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 またですか……

 うんざりというか、げんなりというか……ただただ、精神が疲労していきますわ。

 正直、ここまで来たら、もう呪われているとしか思えませんね。

 神に嫌われたのか。

 それとも、神がそれを所望したからなのか。

 界を渡ったらしい兄の悪戯なのか……どちらにせよ、巻き込まれる私はいい迷惑ですわ。

「……学園長、彼ら全員、確かハンター資格を有していなかったと記憶していますが、間違いありませんか?」

「はい。誰一人、登録しておりません」

 よくそれで、高ランクハンターを育成する当学園に短期留学をしようと思いましたね。

「では、第一次試験の選考基準は?」

 私が淡々と学園長に尋ねる間も、馬鹿たちは持論を声高らかに叫び続けています。私への罵詈雑言を交えながら。

 罪が加算され続けてるってわからないようですね。それにしても、何故お花畑たちは皆、独自の持論を持っているのかしら。頭が痛いですわ。

「ハンターランクがD以上の者です」

 排除するのは簡単ですが、ただたんに排除するだけでは、私の怒りは収まりません。それに、説明書は詳しく書いた方が親切でしょう。

「つまり、彼らは第一次試験を受ける資格すらなかったというわけですね。試験資格については、公に公示し受験者には送付済みのはず。なのに、落とされたと学園に猛抗議し、門番に暴力を振るい、理事長でありコンフォート皇国の第一皇女である私に対し、諸悪の根源と暴言を吐き、ののしり、両手を地面に付け謝罪しろとのたまった。それに間違いありませんね……学園長」

「間違いありません」

「よろしい。では、この者たちは不敬罪と暴行罪、脅迫の罪で拘束するのが妥当ですね」

 私がそう言い終わるとほぼ同時に、衛兵が六人を抑え付け、あっという間に拘束完了です。

 何吃驚しているのです? 手配して当然でしょう。それに驚きですよ。

 あまりにも、意味不明なことを叫び続けるので、衛兵が猿轡さるぐつわを噛ませようとした時でした。女が叫んだのです。

「セリア・コンフォート!! 私にこんなことをして許されると思うの!! 私は竜神の巫女なのよ!! 呪われるわ、絶対に神罰が下るから!!」

 竜神の巫女? そんな者いたの? お祖父様から聞いたことないけど。

 私は片手を上げ衛兵を止めます。

「竜神の巫女ですか……訊きますが、なんの竜神様でしょうか?」

 竜神様と一口にいっても、色々おられますから。巫女なら知ってますよね。

「竜神様は竜神様よ!!」

 自信満々に答える女に、私は冷たい目を向けます。

「……そうですか。全員、平民牢に連れて行きなさい」

「はっ」と答えると、衛兵は女にも猿轡さるぐつわを噛ませ、馬鹿たち全員を連行して行きました。

 一気に静かになりましたわ。

「大丈夫ですか?」

 私は門番に駆け寄ります。いくつか、擦り傷があるようですね。私が治すこともできますが、これくらいの傷に治癒魔法は使いません。

「学園長、門番を保健室に。代わりが来るまで、私がいますわ」

「わかりました。至急、代わりの門番をよこします」

「急がなくていいですよ」

 軽く私に一礼すると、学園長と教師はその場を後にしました。

「……なかなか強烈なお花畑だったわね。でもいいの?」

 傍観していたリーファが、呆れながら声を掛けてきました。

「その心配は無用ですわ。確かに、王族も高位貴族もいましたが、特に友好国でもありませんし、やったことがやったことですので、平民牢が妥当でしょう。ちゃんと、一部始終記録済みですから」

 とても良い笑顔で答えます。真っ黒ですが。

「抜かりがないわね。セリア、内心かなり怒ってたでしょ」

「当然ですわ。いきなり、初対面の私を諸悪の根源とののしったのですから」

 皇女関係なく、失礼を通り越して無礼ですわ。

「ありえないわね」

「ほんと、ありえませんわ」

 私とリーファは同時に溜め息を吐きます。

「それで、セリア、あれ本当だと思う?」

「竜神様の巫女ですか……正直、微妙ですわね」

「というと?」

「簡単に言えば、竜神信仰からなのか、それとも、竜神様の加護を持っているのか……まぁどちらにせよ、こちらは粛々しゅくしゅくと行うだけですけど」

「とっとと国に帰れって思いながらね」

 よくわかってるわね、さすが親友ですわ。

 私は答える代わりに、にっこりと微笑みました。

 竜絡みの事件が片付いたばかりなのに、また竜絡み。念のために、一度、お祖父様に話を伺いに顔を出した方がいいですわね。あと……街の監視も強化しておいた方がいいですね。スミスに頼んで、彼の配下を手配してもらいましょう。

 次から次へと……私、過去世で大罪でも犯しましたか……正直、もうお腹一杯ですわ。癒やしが欲しい……

 
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