320 / 331
今度は学園外にアレが発生したようです
第三話 お腹一杯ですわ
しおりを挟むまたですか……
うんざりというか、げんなりというか……ただただ、精神が疲労していきますわ。
正直、ここまで来たら、もう呪われているとしか思えませんね。
神に嫌われたのか。
それとも、神がそれを所望したからなのか。
界を渡ったらしい兄の悪戯なのか……どちらにせよ、巻き込まれる私はいい迷惑ですわ。
「……学園長、彼ら全員、確かハンター資格を有していなかったと記憶していますが、間違いありませんか?」
「はい。誰一人、登録しておりません」
よくそれで、高ランクハンターを育成する当学園に短期留学をしようと思いましたね。
「では、第一次試験の選考基準は?」
私が淡々と学園長に尋ねる間も、馬鹿たちは持論を声高らかに叫び続けています。私への罵詈雑言を交えながら。
罪が加算され続けてるってわからないようですね。それにしても、何故お花畑たちは皆、独自の持論を持っているのかしら。頭が痛いですわ。
「ハンターランクがD以上の者です」
排除するのは簡単ですが、ただたんに排除するだけでは、私の怒りは収まりません。それに、説明書は詳しく書いた方が親切でしょう。
「つまり、彼らは第一次試験を受ける資格すらなかったというわけですね。試験資格については、公に公示し受験者には送付済みのはず。なのに、落とされたと学園に猛抗議し、門番に暴力を振るい、理事長でありコンフォート皇国の第一皇女である私に対し、諸悪の根源と暴言を吐き、罵しり、両手を地面に付け謝罪しろとのたまった。それに間違いありませんね……学園長」
「間違いありません」
「よろしい。では、この者たちは不敬罪と暴行罪、脅迫の罪で拘束するのが妥当ですね」
私がそう言い終わるとほぼ同時に、衛兵が六人を抑え付け、あっという間に拘束完了です。
何吃驚しているのです? 手配して当然でしょう。それに驚きですよ。
あまりにも、意味不明なことを叫び続けるので、衛兵が猿轡を噛ませようとした時でした。女が叫んだのです。
「セリア・コンフォート!! 私にこんなことをして許されると思うの!! 私は竜神の巫女なのよ!! 呪われるわ、絶対に神罰が下るから!!」
竜神の巫女? そんな者いたの? お祖父様から聞いたことないけど。
私は片手を上げ衛兵を止めます。
「竜神の巫女ですか……訊きますが、なんの竜神様でしょうか?」
竜神様と一口にいっても、色々おられますから。巫女なら知ってますよね。
「竜神様は竜神様よ!!」
自信満々に答える女に、私は冷たい目を向けます。
「……そうですか。全員、平民牢に連れて行きなさい」
「はっ」と答えると、衛兵は女にも猿轡を噛ませ、馬鹿たち全員を連行して行きました。
一気に静かになりましたわ。
「大丈夫ですか?」
私は門番に駆け寄ります。いくつか、擦り傷があるようですね。私が治すこともできますが、これくらいの傷に治癒魔法は使いません。
「学園長、門番を保健室に。代わりが来るまで、私がいますわ」
「わかりました。至急、代わりの門番をよこします」
「急がなくていいですよ」
軽く私に一礼すると、学園長と教師はその場を後にしました。
「……なかなか強烈なお花畑だったわね。でもいいの?」
傍観していたリーファが、呆れながら声を掛けてきました。
「その心配は無用ですわ。確かに、王族も高位貴族もいましたが、特に友好国でもありませんし、やったことがやったことですので、平民牢が妥当でしょう。ちゃんと、一部始終記録済みですから」
とても良い笑顔で答えます。真っ黒ですが。
「抜かりがないわね。セリア、内心かなり怒ってたでしょ」
「当然ですわ。いきなり、初対面の私を諸悪の根源と罵ったのですから」
皇女関係なく、失礼を通り越して無礼ですわ。
「ありえないわね」
「ほんと、ありえませんわ」
私とリーファは同時に溜め息を吐きます。
「それで、セリア、あれ本当だと思う?」
「竜神様の巫女ですか……正直、微妙ですわね」
「というと?」
「簡単に言えば、竜神信仰からなのか、それとも、竜神様の加護を持っているのか……まぁどちらにせよ、こちらは粛々と行うだけですけど」
「とっとと国に帰れって思いながらね」
よくわかってるわね、さすが親友ですわ。
私は答える代わりに、にっこりと微笑みました。
竜絡みの事件が片付いたばかりなのに、また竜絡み。念のために、一度、お祖父様に話を伺いに顔を出した方がいいですわね。あと……街の監視も強化しておいた方がいいですね。スミスに頼んで、彼の配下を手配してもらいましょう。
次から次へと……私、過去世で大罪でも犯しましたか……正直、もうお腹一杯ですわ。癒やしが欲しい……
341
お気に入りに追加
7,467
あなたにおすすめの小説
婚約破棄直前に倒れた悪役令嬢は、愛を抱いたまま退場したい
矢口愛留
恋愛
【全11話】
学園の卒業パーティーで、公爵令嬢クロエは、第一王子スティーブに婚約破棄をされそうになっていた。
しかし、婚約破棄を宣言される前に、クロエは倒れてしまう。
クロエの余命があと一年ということがわかり、スティーブは、自身の感じていた違和感の元を探り始める。
スティーブは真実にたどり着き、クロエに一つの約束を残して、ある選択をするのだった。
※一話あたり短めです。
※ベリーズカフェにも投稿しております。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
愛想を尽かした女と尽かされた男
火野村志紀
恋愛
※全16話となります。
「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」
何を間違った?【完結済】
maruko
恋愛
私は長年の婚約者に婚約破棄を言い渡す。
彼女とは1年前から連絡が途絶えてしまっていた。
今真実を聞いて⋯⋯。
愚かな私の後悔の話
※作者の妄想の産物です
他サイトでも投稿しております
政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~
つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。
政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。
他サイトにも公開中。
【完結】本当の悪役令嬢とは
仲村 嘉高
恋愛
転生者である『ヒロイン』は知らなかった。
甘やかされて育った第二王子は気付かなかった。
『ヒロイン』である男爵令嬢のとりまきで、第二王子の側近でもある騎士団長子息も、魔法師協会会長の孫も、大商会の跡取りも、伯爵令息も
公爵家の本気というものを。
※HOT最高1位!ありがとうございます!
妹がいなくなった
アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。
メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。
お父様とお母様の泣き声が聞こえる。
「うるさくて寝ていられないわ」
妹は我が家の宝。
お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。
妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。