上 下
166 / 336
これって、乙女ゲームのサブストーリーでしょうか

ゴミはゴミ箱に。生きのいい生ゴミは?

しおりを挟む


 ゴミはゴミ箱に捨てましょう。

 これ常識ですよね。

 生ゴミは指定された日に。これもまた常識ですよね。

 では、生きた生ゴミはどうしましょう。

「どうしたらいいと思います? 騎士様」

「……俺に訊くな!!」

 真剣に悩んで相談しているのに、そんな風に突っ張られたら少し悲しくなりますよ。もしかしたら、こういう生ゴミを処理した事がないから分からないのかも。なら、幾つか提示しましょう。何度か処理してますから。

「そうですね……幾つか処理方法があるんですけど……」

「処理なのか……?」

 もしかして、怒ってます? ああ……彼はそのタイプの人間なんですね。理解しましたわ。まぁ騎士様に多いタイプですね。俗に言う、人類皆平等というやつですね。罪人にも権利があるって、ほざく輩たちです。

 訊いた私が馬鹿でした。

「騎士様はそのまま護衛をして下さい。代わりの侍女と一緒に」

「その必要はないだろ。俺にも交代が来たからな。最後まで付き合う」

 結構です。横からごちゃごちゃ言われるに決まってますから。さも、自分の正義感が正しいと押し付けてくるに決まってますから。なので、ここは丁重にお断りしましょう。

「いえ、結構です」

「いや、付き合う」

 折れませんね。押し問答が続いている間に、交代に来た仲間は行ってしまったし。人目が付かない場所であっても長居は出来ませんね。生きた生ゴミは、生きがいいですし。

 しょうがないですね。ここは私が折れましょう。但し、

「口を挟まないで下さいね」

「非倫理的な事をするなら、口を挟む」

 険しい表情で言われても、特に何にも感じませんよ。ただ面倒臭いだけです。鬱陶しいだけです。

「そうですか? 好きになされば宜しいですわ。但し、聞く耳は生憎と持ち合わせていないのでご了承を。
 それとも、力尽くでいうことをきかします?
 騎士である貴方が女である私を」

 少し意地悪な言い方をしてしまったようだけど、本心なのであしからず。

 大き目な麻袋が異様な形に変形します。本当に生きがいいですね。ちょっと静かにしてもらえます。軽く蹴ると大人しくなりました。初めからそうすればいいのに。頭悪いですね。

「おい!!」

「声が大きいですよ。人が来たらどうするんです?」

 言わなきゃ分かんないの? 心底面倒臭い。今この状況見られたら、私たち完全な人攫いでしょ。

 私は麻袋を肩に担ぐと歩き出す。身体強化しているので、これくらい屁でもありません。

「ちゃんと付いて来て下さいよ。付いて来れなかったら、置いて行きますので。もしはぐれたら、城の地下牢に来て下さい」

 私にしてはかなり遅いスピードだったんだけど……後ろを振り返ると、騎士様の姿はどこにもなかった。鍛え方、ぬるいんじゃないですか? まぁでも、行き先を伝えているので大丈夫ですね。
 
 地下牢に着くと、乱暴に麻袋を石畳に置く。

 呻き声が聞こえたけど無視。

「生きがいい生ゴミだな」

 スミスさんがポツリと感想を述べた。

「ですよね。どうします?」

「速やかに、廃棄する」

 それがいいですね。

「で、何処に廃棄します?」

「それなら心当たりがある」

 スミスがそう告げるとほぼ同じ時間、コツンコツンと階段を降りる足音がした。どうやら、回収者が来たみたいですね。

 現れたのは、独特な服装をした方たちでした。おそらく彼らは……聖教会の。

 男たちは麻袋の中を確認すると、軽く頷き合う。その様子に、スミスさんは満面な笑顔で応えています。威圧込みで。

「では、確かにお渡ししましたので、速やかに退出して頂けると有り難いのですが」

「分かった」

 へぇ~~この人出来ますね。スミスさんの威圧に耐えてる。

 長居は無用とばかりに、男の一人がそう短く答えると、軽々と麻袋を持って出て行った。残りはそれに付いて行きます。

 その直後に、騎士様到着。やけにゆっくりでしたね。スミスさんは騎士様を一瞥しただけで、さして興味なさそうですね。

「……不満か?」

 騎士様を無視して、ぽつりとスミスさんが尋ねた。そんなに表情に出てたかな。

「不満か不満でないかと訊かれたら、不満ですね。セリア様の恩賞を反故にされたのですよ。然るべき罰が必要だったのではありませんか」

「苦痛は人それぞれだ。そもそも、あの女がシオン様に近付いた最大の目的は、聖教会からの離脱が目的。目を覚ましたら、さぞかし絶望するだろうな」

「確かにそうですね。一生涯、傀儡としての監禁生活が待ってますからね」

「傀儡って、おい!!」

 騎士様が怒鳴ってますが、当然、私もスミスさんも完無視です。

「では、我々も仕事に戻りましょうか」

「そうですね」

 湿った地下牢にこれ以上いると、侍女服に匂いが付きそうだからね。

「おい、待て!!」

 さっきから煩いですね。

「騎士様も持ち場に戻られたらどうです? それとも、聖教会の方を追われますか? もし追うのであれば、この場で粛清しますが、それでも宜しければどうぞ」

 ニッコリと微笑みながらそう告げると、騎士様は押し黙った。

 ほんと、中途半端な奴ね。正義感を振りまくだけで、それを押し通そうとはしない。まぁ、こういう奴に限って大概そうなんだけどね。

 だから、騎士って奴は嫌いなのよ。

 一体誰にその剣を捧げてるのよって、言ってやりたいわ。ほんと、騎士様と組むのは懲り懲りだわ。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

アリシアの恋は終わったのです【完結】

ことりちゃん
恋愛
昼休みの廊下で、アリシアはずっとずっと大好きだったマークから、いきなり頬を引っ叩かれた。 その瞬間、アリシアの恋は終わりを迎えた。 そこから長年の虚しい片想いに別れを告げ、新しい道へと歩き出すアリシア。 反対に、後になってアリシアの想いに触れ、遅すぎる行動に出るマーク。 案外吹っ切れて楽しく過ごす女子と、どうしようもなく後悔する残念な男子のお話です。 ーーーーー 12話で完結します。 よろしくお願いします(´∀`)

【完結】側妃は愛されるのをやめました

なか
恋愛
「君ではなく、彼女を正妃とする」  私は、貴方のためにこの国へと貢献してきた自負がある。  なのに……彼は。 「だが僕は、ラテシアを見捨てはしない。これから君には側妃になってもらうよ」  私のため。  そんな建前で……側妃へと下げる宣言をするのだ。    このような侮辱、恥を受けてなお……正妃を求めて抗議するか?  否。  そのような恥を晒す気は無い。 「承知いたしました。セリム陛下……私は側妃を受け入れます」  側妃を受けいれた私は、呼吸を挟まずに言葉を続ける。  今しがた決めた、たった一つの決意を込めて。 「ですが陛下。私はもう貴方を支える気はありません」  これから私は、『捨てられた妃』という汚名でなく、彼を『捨てた妃』となるために。  華々しく、私の人生を謳歌しよう。  全ては、廃妃となるために。    ◇◇◇  設定はゆるめです。  読んでくださると嬉しいです!

旦那様、離縁の申し出承りますわ

ブラウン
恋愛
「すまない、私はクララと生涯を共に生きていきたい。離縁してくれ」 大富豪 伯爵令嬢のケイトリン。 領地が災害に遭い、若くして侯爵当主なったロイドを幼少の頃より思いを寄せていたケイトリン。ロイド様を助けるため、性急な結婚を敢行。その為、旦那様は平民の女性に癒しを求めてしまった。この国はルメニエール信仰。一夫一妻。婚姻前の男女の行為禁止、婚姻中の不貞行為禁止の厳しい規律がある。旦那様は平民の女性と結婚したいがため、ケイトリンンに離縁を申し出てきた。 旦那様を愛しているがため、旦那様の領地のために、身を粉にして働いてきたケイトリン。 その後、階段から足を踏み外し、前世の記憶を思い出した私。 離縁に応じましょう!未練なし!どうぞ愛する方と結婚し末永くお幸せに! *女性軽視の言葉が一部あります(すみません)

我慢するだけの日々はもう終わりにします

風見ゆうみ
恋愛
「レンウィル公爵も素敵だけれど、あなたの婚約者も素敵ね」伯爵の爵位を持つ父の後妻の連れ子であるロザンヌは、私、アリカ・ルージーの婚約者シーロンをうっとりとした目で見つめて言った――。 学園でのパーティーに出席した際、シーロンからパーティー会場の入口で「今日はロザンヌと出席するから、君は1人で中に入ってほしい」と言われた挙げ句、ロザンヌからは「あなたにはお似合いの相手を用意しておいた」と言われ、複数人の男子生徒にどこかへ連れ去られそうになってしまう。 そんな私を助けてくれたのは、ロザンヌが想いを寄せている相手、若き公爵ギルバート・レンウィルだった。 ※本編完結しましたが、番外編を更新中です。 ※史実とは関係なく、設定もゆるい、ご都合主義です。 ※独特の世界観です。 ※中世〜近世ヨーロッパ風で貴族制度はありますが、法律、武器、食べ物など、その他諸々は現代風です。話を進めるにあたり、都合の良い世界観となっています。 ※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。

【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。

くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」 「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」 いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。 「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と…… 私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。 「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」 「はい、お父様、お母様」 「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」 「……はい」 「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」 「はい、わかりました」 パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、 兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。 誰も私の言葉を聞いてくれない。 誰も私を見てくれない。 そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。 ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。 「……なんか、馬鹿みたいだわ!」 もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる! ふるゆわ設定です。 ※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい! ※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇‍♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ! 追加文 番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。

【完結】婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?

つくも茄子
恋愛
国王唯一の王子エドワード。 彼は婚約者の公爵令嬢であるキャサリンを公の場所で婚約破棄を宣言した。 次の婚約者は恋人であるアリス。 アリスはキャサリンの義妹。 愛するアリスと結婚するには「妃教育を修了させること」だった。 同じ高位貴族。 少し頑張ればアリスは直ぐに妃教育を終了させると踏んでいたが散々な結果で終わる。 八番目の教育係も辞めていく。 王妃腹でないエドワードは立太子が遠のく事に困ってしまう。 だが、エドワードは知らなかった事がある。 彼が事実を知るのは何時になるのか……それは誰も知らない。 他サイトにも公開中。

【7話完結】婚約破棄?妹の方が優秀?あぁそうですか・・・。じゃあ、もう教えなくていいですよね?

西東友一
恋愛
昔、昔。氷河期の頃、人々が魔法を使えた時のお話。魔法教師をしていた私はファンゼル王子と婚約していたのだけれど、妹の方が優秀だからそちらと結婚したいということ。妹もそう思っているみたいだし、もう教えなくてもいいよね? 7話完結のショートストーリー。 1日1話。1週間で完結する予定です。

政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~

つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。 政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。 他サイトにも公開中。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。