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これって、乙女ゲームのサブストーリーでしょうか
第十四話 とうとう吐きましたね
しおりを挟むお母様と話をした後、早速動きましたわ。細かい計画は追々に。
取り敢えず、まずはやるべきことをしませんと。手をこまねいてる暇はありませんわ。
目標は唯一つ。
シスターをシオン様に絶対会わせない。これしかありませんわ。
シスターを排除する。
邪魔者を排除すれば、私の勝ちでしょう。今の私なら、意図も簡単に出来るでしょうね。でもそれでは、本当に勝ったことになるのでしょうか。目的は果たせますが、理不尽な乙女ゲームからさっさと離脱したようにしか思えないのです。
そう告げると、お母様から頑固者と呆れられましたけどね。
まぁそれはさておき、攻略なんて絶対させるものですか!!
乙女ゲーム?
そんなもの、私には一切関係ありませんわ。私にしたら、ゴミです。汚物です。
何度も言ってますが、私たちはこの世界で生きている人間なのです。乙女ゲームの登場人物と同じ人格なんてしてるわけありませんわ。もし同じ人格なら、何故私がシオン様を愛し婚約したのでしょう。この気持ちを間違いだとは、何人たちにも言わせませんわ。
なのに、ゲームの筋書を押し付けられても受け入れるわけないでしょ。迷惑ですわ。確実に、私に喧嘩を売ってますわね。
なので、今まで以上に徹底しましたわ。
私一人では無理なので、ここは砦の皆様にそれとなくお願いしましたの。少し前に作った魔法具を渡して。この魔法具があれば、シスターが近くにいるか分かりますからね。勿論、何処に向かうかも。
とはいえ、本来の仕事の方が大事ですから、程々に。差し支えがない程度にと。皆様、心地よく引き受けてくれましたわ。持つべきものは、背中を預けられる仲間ですわね。勿論皆さんに、臨時ボーナスを出しましたよ。私のお財布から。さすがに、税金は使えませんからね。
シオン様自身、自分が攻略相手だと知っていますので、砦の皆の動きに対して、なんとも言えない表情で従ってくれてます。
シスターを完全に排除するまで我慢して下さいね、シオン様。
そんな毎日を送ること二週間目。
……そろそろ熟してきましたね。
いつものカフェでリーファとジーナ様と一緒にお茶を楽しんでいたら、魔法具が震えました。取り出すと、シスターの反応が。どうやら、こちらに向かって来ているみたいですね。
するとリーファが、「また、美味しいデザートを食べれるのね」と喜び、ジーナ様は心配そうに私を見ます。
「今回は、それ程美味しいか分かりませんよ」
苦笑しながら答えます。前回の件で味をしめたようですわね。
「でも、不味くはないでしょ」
「そうですね。不味くはありませんわ」
そんな会話をしていると、シスターが取り巻きたちを引き連れてやって来ました。取り巻きっていっても、全員男子学生ですけどね。下僕と呼んだ方が適切かもしれません。
ジーナ様の元婚約者はいませんね……。全てを失って、少しは反省したみたいですね。それとも、ただの平民になって捨てられたのかしら。まぁどっちでも、私は構いませんが。
「セリア様!! 単刀直入に言います!!」
挨拶も何もなしに、突然シスターはそう切り出しました。無礼にも程がありますわ。
下僕たちは下位とはいえ貴族なのに、誰一人嫌悪感を露にしていません。当然な顔をしています。嫌悪感を露にしているのは、同席しているリーファとジーナ様、そして、カフェを利用している生徒と従業員ですわね。
本当に情けない。ちゃんと調べているので、いくら学園を卒業しても王宮や皇宮で働くことは無理でしょう。自業自得ですわね。
「誰の許可を得て、私たちに話し掛けてるの?」
嫌悪感丸出しで、リーファはシスターに問い掛けます。
「煩いわね。貴女には関係ありません。黙っていてくれませんか。腰巾着が!!」
腰巾着……リーファが…………。
一瞬信じられない言葉を聞きました。頭で考えるよりも先に体が動きます。テーブルに置いてあったコップを手に取ると、中身をシスターにぶち撒けました。
「冷たっ」
シスターの悲鳴に、後ろに控えていた下僕たちが私に手を上げようとしましたが、私の一睨みで金縛りにあったかのように動けなくなっています。
「私の親友に対し、無礼は許しませんよ」
低く冷たい声で言い放ちます。
「…………なっ、何よ!! 悪役令嬢のくせに偉そうにしないでよ!!!! あんたが悪いのよ!! 大人しく退場してなさいよ!!」
「退場? どうして、私が退場しなければなりませんの? そもそも何処に?」
至極真っ当な質問ですわ。
「そんなの私が知るわけないでしょ!! そんなことよりも、シオン様を私に返して!!」
この女、とうとう私の前でその台詞を吐きましたわね。
「…………私の大事な婚・約・者を返してとは、面白い冗談ですわね。一度会った事もなければ、話した事もない相手なのに」
言葉に魔力を少し乗せて放ちます。そうすることで、遠くまではっきりと聞こえますからね。シオン様の名誉のためにも大事な処置ですわ。
「今はまだ会った事がないけど、シオン様は私のモノだって決まってるのよ!!」
まだ言いますか。
今回はとことん付き合いますよ。覚悟なさい。
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