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また、乙女ゲームですか
第十九話 最高傑作ですわ
しおりを挟むこれは、女の戦いです。
まだ、例の【シオン様】が、私の最愛の最愛のシオン様だとは断定されてはいませんわ。
しかし、断定されてから行動を起こして、手間取っているうちに、何かしらシオン様の身に災いが降り掛かったらどうするのです。
例えば、あのシスターにシオン様が擦り寄られたりしたら……あの脂肪の塊を押し付けたりしたら、想像するだけで不愉快なのです。強いて言うなら、視界に入るだけで不快なのです。
とはいえ、お母様の件もありますし……決まったわけでもありません。ましてや、学園内。それに犯罪者でもありません。なので、私が権力をもちいる事は許されません。いくらシオン様を愛していても、こればかりは出来ないのです。
なので考えましたわ。ええ、考えました。
そして、一つの結論に行き着きましたの。
「「それが、これですか……」」
仲がいいですわね。スミスとクラン君。
「ええ。私の最高傑作の魔法具ですわ!!」
あまりにも興奮し過ぎて、大声を出してしまいましたわ。
「少し形が不格好ですが、探知魔法を付与したものですの!!」
前から構想はあったのです。これが成功し実用化出来れば、探知魔法が使えない方でも魔物の位置を正確に把握することが出来ます。それに、探知魔法を使える方の魔力消費にも役立ちますわ。探知魔法って、実はかなりの魔力を消費する上、あまり使える方がいらっしゃらないのが現実なのです。とはいえ、実用化はまだまだ先ですけどね。
「探知魔法を付与ですか……」
「出来たら、歴史を変える品物になると思いますが……」
スミスもクラン君も、私と温度差違い過ぎますわ。理由は分かってますけどね。出来ないと思っているのです。もしくは、失敗していると。そう思われても仕方ありませんよね。何故か、探知魔法は付与出来ないとされていますから。事実、今までそうでしたし。
「あら。それなら、転移魔法はどうなるのです? 今でこそ、転移魔法は魔法具に付与出来ますが、以前は出来なかったでしょ」
「まぁ、それはそうですが……」
クラン君がそう答えると、スミスが続けて「本当に付与出来たのですか?」と確認する。
「狭い範囲ですけどね」
ニッコリと微笑みながら答える。
「それじゃあ、起動させてみましょうか。クラン君、血を一滴下さるかしら」
「俺の血ですか……それは構いませんが」
さすがのクラン君も戸惑ってますよね。
「対象者を認識するために必要なのです」
ゆくゆくは、血を必要としないようにしたいですわ。それが一番の問題点ですわね。そう簡単に対象者の血を手に入れることは難しいでしょ。
クランから血を一滴貰いました。それを内部の魔石に垂らします。スーと魔石の中に、クラン君の血が吸収されていきます。吸収されてから、私は魔法具を起動させます。魔力が魔法具に吸い取られます。
思いのほか吸い取られますね。これも要改良点ですわね。
起動出来ましたわ。第一段階クリアですわね。では展開させてみましょうか。この瞬間が一番緊張しますわ。
「…………成功してるのですか?」
クラン君。いきなりズバッと訊いてきますね。折角、成功の余韻を味わってたのに。台無しです。
「失礼ですね、ちゃんと成功してますよ。
見て下さい。中央のこの赤い点がクラン君ですわ。魔法具を中心としてますから、ここにクラン君の印があるのです。
クラン君。頭を使いましたので、甘いものが食べたいですわ」
実験のためにクラン君をお使いに出します。
よしよし。今のところ、ちゃんと作動してますわね。
「……ほんとに探知出来てますね。流石です。セリア様」
「「おめでとうございます!!」」
スミスと侍女が褒めてくれました。
「ありがとう。まだまだ簡易的なものですけどね。それにどれぐらい起動するか分かりません。実験は継続ですね」
クラン君のプライベートはなくなってしまいますが。
「被検体は多い方が良い成果を得られますよ」
スミスが提案します。勿論、私もそう考えていました。
「そうですね」
久し振りに真っ黒な笑みを浮かべましたわ。
「畏まりました。早速手に入れてきましょう」
「ありがとう。スミス」
その言葉と同時に、侍女の一人がスーと消えました。
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